ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
誰か書いてくれないかな(他力本願)
「みんなに紹介するわ。こいつは「IQ100億の天才にしてプリティーボンバーズの真のリーダー! パイにゃんにゃ! リーダー代理やってたモモさんはここでお疲れ様で〜これからはあたしが代わり」はいここで一曲入りま~す。曲名は制裁だオラァ!!」
時刻は18時を過ぎた頃。場所はモモコの家が一番広いということで、歓迎会はモモコ邸で行われることになった。現在新メンバー4人の一言が終わったタイミングでモモコがパインの紹介をしていた……のだが、パインがモモコの台詞を被せるように主張してきてモモコがそれにキレて早速喧嘩が勃発した。
「モモモモモモ!」「パイパイパイパイパイパイ!」とどこぞの奇妙な冒険でよくやってそうなどつきあいをし、それを見た皆はなんか面白元気な子がきたー! と盛り上がっていた。あかんこれアイドルじゃなくて芸人みたいになってるぞ、モモコ……!
流石に喧嘩はアカンということで仲裁して、なんとかパインの紹介も終えモモコがこれから本格的にアイドル活動を始めていくことを宣言していた。
「ん? でもプリボムってたしかメンバー4人なんだろ? アイドルメンバーでボンバーチーム組めばいいんじゃねえか?」
ボンバーアイドルと聞いてまずもっともな疑問を口にしたオレン。それに対してモモコが溜息混じりに答えた。
「そうね。最初はそれでいく話だったんだけど、メンバー全員見事にブロッカーに適性があったのよ。他のポジションでも練習すればできないことはないんだろうけど……」
「モモさんにできてパイにゃんにできないわけないにゃ〜。リーダーは勿論最強ブロッカーの座もあたしのものですよぉ?」
「……とまあ、身の程知らずの愚かもんが下剋上ほざいてたり、他の2人もそれぞれの理由でブロッカーをやりたがるのよ」
1人はあんまり動きたくないし動かなそうだからという理由で、もう1人は向かってくる可愛い人類の勇姿を見届けたいからということだ。
俺は前世知識で2人のキャラを知っているけど、知らないガール達からすると前者は
「まあ、ブロッカー統一は別に悪い手じゃないわ。たしかにアイドルチームでバトルっていうのはかなり魅力的だけど……逆にいうとかなり負担になるのよね、アイドルボンバーチームにすんの」
モモコが語るプリティーボンバーズのアイドル計画。それはアイドルとボンバーバトルを完全両立させることではなく、アイドル営業をする日のガールとボンバーバトルに専念する日のガールでその日の担当をスケジュールで決めてプリボム内でローテーションで回す動きで活動していくといったものだ。
アイドルのボンバーチームははっきり言って諸刃の剣である。知名度にもよるかもしれないが、活動やライブの練習などでスケジュールが埋まる中ボンバーバトルの練習もとなると、とてつもない負担になるだろう。
やれるかやれないかで言えばやれないことはないだろうが……忘れがちかもしれないが、そもそもモモコ達はまだ小学生である。天才少女達と言えど体力的に考えて流石に酷だとスタッフさんが結論して、プリボムで話し合ってローテーション形式にしたという話だ。これならばどちらの活動にも支障をきたさないようにできるし、円滑に動けるというわけである。
すごい考えられてるやんかあ、と話を聞いていた俺達が関心している中、今度はメカメイドのエメラが「モモコ様たちはたしかまだデビュー前だったと存じます。なにか勝算があるのでしょうか?」とこれまたもっともな鋭い質問をしていた。それに答えたのはスタッフさんである。
「それについては大丈夫ですよ〜。歌って踊れてボンバーバトルもしちゃう新アイドルグループとして、SNSやドルプロ公式の動画チャンネルなどで宣伝していますし、2週間後に開催されるボンバーバトルチャンピオンシップ……略してBBCに合わせてテレビでも発表予告のニュースをしてもらうよう既にボンバーテレビ局と契約済みです」
相変わらずのスタッフさんの抜け目なさに、みんな改めて感心している。そして今の話に出たボンバーバトルチャンピオンシップという大会の存在に、シロやクロ、オレンなどを筆頭に反応しているガールがちらほら見受けられた。やはりみんな気になっているようで、それがわかっているスタッフさんは流れるようにアイドルからボンバーな大会の話へと変えた。
「ボンバーバトル協会が主催するボンバーバトルチャンピオンシップは、ボンバーバトルが新ルールに変わってから銀河中でも唯一初めての大型の大会。その予選が2週間後に行われます。予選はボム地球以外の惑星からも開催され、そこを勝ち切った強者ガール達が本選の大会へと出場資格を得ることができます」
スタッフさんの話に、ボンバーガール達は静かに聞いていた。クロでさえも食べていたキムカル丼を置いて集中している。スタッフさんは良い緊張感だと肌に感じながら、話を続けた。
「みなさんは目標があってボンバーバトルに挑んでいますね? 先ほどのモモコさん達のアイドルの話はもちろん、シロさんクロさんのボンバーマスターを目指す目標。オレンさんやアクアさんのように闘争や刺激を求めたり、パプルさんは運動のためだったり、オレンさんに誘われたり私にスカウトされたエメラさんやウルシさんのような様々な方がここに集まっています。
そんな貴方達に私からあなた達に掛けるべき言葉はありますが……その役目は、ユキトさんに任せるとしましょう」
「……え?」
みんなの視線はスタッフさんから俺へと移り変わった。ここで俺なの…!? 振りが急でしょ! やべーよ、なんも考えてないよ!?
顔にこそ出さないが内心大焦りで今言うべき言葉を考える。頭の中で言葉を探しながら目を泳がせるように見渡すと、みんなの瞳が何かを期待しているように俺のことを見ていることに気付いた。
どこかで見たことがある。どこかで知っている。どこかで同じ経験があった。それは……どこだっただろう?
『ユキト。貴方はなぜ今の仕事を……ボンバーバトルに挑んでいるんだ?』
『私の目標はボンバーマスターになることだ。バトルは新しい姿に変わったが、私の目標が変わったわけではない。勝利は当然、敗北は恥が私の信条だ。だからユキトに聞きたい。貴方がなんのためにバトルに挑んでいるのか。私達と共に歩み、共に栄光を分かち合えると思える関係になれるのか……見極めたいんだ』
つい最近のことだ。クロをスカウトしに行ったファミレスでの会話。思い出すのは、俺とクロの会話の中でじっと見つめてくるシロの瞳。そうだ、その時と同じ目をみんなしているんだと俺は気付いた。
泳いでいた視線は、自然とシロの方へと向いていた。クロの隣に座っている彼女はいつも通りの柔和な笑顔を浮かべてこちらを見ていた。何かを言っているわけではない。ただ背中を押してくれいるような気がして、あの時の俺の願いを今度はみんなにちゃんと伝えるべきだと思った。
「前にシロちゃんとクロちゃんに話をしたんだ。君達に勝って欲しいって、真剣に挑んで楽しんで、最後には勝っている姿が見たいって。……あーいや、違うな。そうじゃない」
あの時と同じ言葉では駄目な気がした。ただの願望だけでしかない。さらにもっと先を目指さなければいけない。もっと強く、もっと欲深く。貪欲に。
「――――俺が君達を勝たせるよ」
●~*
その言葉には力があった。
「ボンバーバトルは100%勝率が確定されてない競技だ。だから確実とか絶対とか言えばそれは嘘になる。それでも俺はあえて言うよ、勝たせるって」
自分達の指導役――砂色ユキトは普通の人だというのが、ガール達の認識であった。多少変なところはあっても非常識さは無く、練習中など普段の姿なども常識的な印象しか持ち合わせていなかった。
「君達の最高にカッコいい勝利の姿を見るのが俺の夢だ。だから君達が夢や目標を持ってバトルに挑んでいるのなら、俺は夢の手伝いでもサポートでもなんでもする。バトルも夢も全部勝ち取る輝かしい姿も見たいからね」
彼のことをよく知らなかったこそ、驚いている。こういう強気なことを……我儘を吐けるのだと。
そして何よりも感じたのが、全幅の信頼であった。必ず勝てると信じて疑わない感情をぶつけられたのだ。
オレンとエメラがユキトの意外な一面を知り、アクアはユキトが放つボンバー玄人特有の雰囲気に自身の目に狂いはなかったと好戦的な笑みを浮かべた。
ウルシとパプル、セイジャは第一印象とは違って熱意のある人だと再認識し、スタッフさんはほう、とユキトの本音を感心するように見ていた。
今日知り合ったばかりのパインはユキトの姿が誰かと重なって見えていた。誰だろうと天才的頭脳で記憶の中から探し出そうとして、何でもないように言う次のユキトの言葉で答えが出た。
「とりあえず、次の大会でまずは優勝しちゃおっか。ここにいる全員、最強のボンバーガールだからね」
『とりあえず、デビューしたら速攻てっぺん取るわよ。あんたら含めて、最強のアイドルやるんだから』
――――あっ、これモモさんだにゃ。
自分が目指す憧れ。越えるべき存在。最も尊敬しているリーダーと同じなのだ。できて当たり前だと強く信じることのできる自信と心を、ユキトも持っているのだとパインは理解した。
そして最後にモモコは一点だけの似た者同士を見つけたような、不思議な気分になっていた。
モモコは基本他人を信用しない。過去に裏切られたとかではなく、人類には2種類の存在がいるというモモコ独自の考えがあるからだ。それはスーパーアイドル・モモぴゅんと、あとはそれ以外の人達というものだ。
他人を信用しないのは逆で、自分が他人から信用されるべき存在であるべきだと自分を磨き続けてきたからだ。群雄割拠のアイドル界でトップを走り続ける大きな野望を持つ、モモコだけの精神論である。
しかし今のユキトの今の話を聞いて、心が惹かれてしまっていると自覚していた。
口に出すだけならなんとでも言える。それらしい言葉を吐いても、結局砂色ユキトという指導役はまだ結果を出していない。だがこの数週間で受けたバトル指導はどれも為になるし、まだまだたくさんの戦法や技を教えて欲しいと思っているのが本音でもあった。
ああそうだ、そうなのだと気付く。認めたくないが、モモコは自分が思っているよりユキトのことを無意識に信用しているのだと自分の心を確認した。
「……できんの? あんたにそれが?」
「できるよ。君達が力を貸してくれるなら」
モモコの最終確認に、ユキトは即答する。それを聞いてふう、と息を吐く。それからモモコは挑戦的な笑みでユキトへと返事を返した。
「ふっふーん♪ それならモモぴゅんを選ぶなんて、ご主人も見る目あるじゃーん♪ あんたの夢、しっかり叶えてやるからびしびしモモぴゅんを鍛えなさいよ!」
「あっモモさん抜け駆けはずるいにゃ! パイにゃん今日から参加にゃんですから、助手はみなさんが指導してもらった時間分パイにゃんが独占するべきですにゃー!」
「うおおおお! 俺も燃えてきた! 俺にも色々教えてくれよな相棒!」
「ご主人様の願いを叶えるため、究極で完璧なメイドエメラはさらに無敵で最強のメイドへとバージョンアップしてみせます」
「ふふふ、お互い期待に応えられるようにしましょうね、下僕様?」
「……ま、乗りかかった船だからね。ボクも可能な限り手伝わせてもらうよ」
「真面目そうな人で良かったね、セイジャ」
「フン、ちょっと強気なだけだろ。弱気よりは良いがな」
モモコの返事を皮切りにみんなユキトの決意表明に各々反応を示していた。ユキトがそんなガール達それぞれに感謝の言葉を伝えていている姿はとても嬉しそうにしているものだった。
……そういえばシロとクロが一言も喋っていないなとモモコは二人を見れば、シロとクロは同じように両手を組んでうんうんと頷いていて、後方理解者みたいな雰囲気を出していた。
「そういやそこのシロクロの二人は知ってたらしいけど、どういう流れでその話になったのよ?」
「ヴェッ!? あーうん、スカウトの時の流れでなっただけというか……まあ、そんな大したことじゃないかな……?」
先に話をしていたと言っていたのを思い出してモモコが聞くと、ユキトは一瞬ビクッと震えてから目を逸らして答えをはぐらかそうとしていた。
「ええー! その時の話しようよー! 私、マスターの話にすごい感動したんだよー?」
「そうだぞマスター。私達に告白してくれたじゃないか。忘れた訳じゃないだろう?」
「は?」
「あ?」
「アッ」
告白という言葉にモモコとアクアが反応し、ユキトもしまったとばかりに短い声を上げてしまう。それが答えだと言わんばかりに、モモコとアクアはユキトに向き直る。
――――詳しく話を聞かせてもらいましょうか?
その後、モモコ邸にてユキトの悲鳴が木霊したのは言うまでもない。
おかしい、クロが満漢全席を作ってパプルがデザートドカ食いする話を書くつもりだったのに真面目っぽい話になった…。
次回は練習回になると思います。