ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。   作:ハニボン

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新キャラの告知? が来ましたね……テッカの師匠ということはアタッカーかな? 楽しみですね!

あとvsアクアの回で主人公のバトルは最初で最後と言いましたが、もしかしたらまた主人公のバトル回書くかもしれません。


言われてみれば物騒である

『サンクチュアリ』という教会がある。

 

 そこはヴァンパイアハンターを生業とする一族・ベルモンド家が建てたもので、孤児や宿の無い子を住まわせてあげる愛の教会である。

 

『愛の』と付いているのは、前に説明したハンターとドラキュラの戦いと関係している。ドラキュラが人間の女性と結婚したことで戦争が終わったという話を覚えているだろうか? 当時のベルモンド家はドラキュラと女性の種族を超えた愛の絆に感動し……愛は世界を救うと信じて疑わなくなり、信仰するようになったのだ。ドハマりしたと言ってもいいだろう。

 

 そんな教会を管理するのは無論ベルモンド家の者であり、夜はヴァンパイアハンター、昼は街の教会のシスターの二つの顔を持つ自称無限の愛の伝道師セピア・ベルモンドが現当主を務めている。

 

 さて。なんで俺がセピアの話をしているのかというと、それは先日スタッフさんと今後のスケジュールの確認していた時の話になる。

 

 端的に言うと、スタッフさん忙し過ぎじゃね? という話になったのだ。

 

 スタッフさん、ボンバー事務所のマネージャー的存在だと思っていたが、どうやらプリティーボンバーズのマネージャーも担当していてこれからモモコ達にアイドルの営業や仕事を回す業務が追加されるみたいなのだ。さらにボンバーバトル協会の幹部でもある。これからBBCが始まりその準備にさらに追われるわけで、流石にそれは首が回らないんじゃないか?

 

 大丈夫かスタッフさんに聞いてみると、スタッフさんは「まあ少し忙しいですけど、なんとかなりますよ~」となんだか焦点のあってない瞳で言っていたが――これはアカン。というわけで少しでも負担を減らすために仕事を手伝えないか? と聞いてみた。

 

「それならば……継続中のボンバーガールスカウトを任せてもよろしいですか?」

 

 スタッフさんの話によると、新チーム結成は達成したが目ぼしいボンバーガールを見逃すのは惜しいので、ガールスカウト自体は常に継続してほしいとのことだった。そして今はウルシが契約上欠員の可能性が高いので、できればアタッカーを優先的に探してほしいとも伝えられた。

 

 アタッカーか。それならベルモンド家とかどーよ? と俺は原作ガールのアタッカーで真っ先に思いついたキャラを推薦してみた。スタッフさんも「おっいいですねえ~」と俺のチョイスに好感を持ってくれたので、早速パプルに頼んでセピアへのアポイントをお願いした。

 

 それとグレイにもアタッカー向いていそうな子がいたら声を掛けてほしいとお願いした。アサギというアタッカーのキャラがウルシと同じクラスに在籍している筈であるからだ。

 

 それならウルシに頼んだ方が良いのではないかと思うが、怪盗ねずみ小僧という裏の顔と月並中学校に通う生徒という表の顔で正体を隠してるガールなので、俺が知っているとなると説明が面倒になる。そのためウルシと仲の良いグレイに声を掛けたのだ。

 

 だが何も声を掛けないのも勿体ない気がしたので、一応グレイとウルシ2人に良いアタッカーがいたら声かけだけでもお願いと頼むだけ頼んでおいた。

 

 そしてパプルがボムラインでセピアと連絡が取れたということで、早速いつ教会にお邪魔して良いか日程を確認したのだが……明日、ボムシブヤにあるボンバーカフェでお話しましょう、と返信が来たのだ。

 

「教会じゃないんだ? にしてもボムシブヤとはまたシスターのイメージから遠い場所だなぁ」

 

「たまにお買い物に出かけるくらいで、頻繁に出向くわけではないので確かに珍しいですね…」

 

「たしか今出張中で明日教会に帰ってくるんだろ? 炊き出しとかの買い出しもしたいだろうから場所指定したんじゃねえか?」

 

 そんなこともあるんだなぁ、と俺、パプル、セイジャの三人は不思議に思ったがその時は特に疑問は感じずに、そのままボムシブヤのボンバーカフェでセピアと会うことになった。

 

 そして来る当日、ボムシブヤのボンバーカフェの前にて合流することになっているのだが――。

 

「は……初めまして……セピア・ベルモンド、です……!」

 

 ――そこには、天使がいた。

 

 ト音記号の形をした輝く羽、オーディオスペクトラムに動くイコライザの天使の輪。金のミディアムヘアをした小柄な天使の少女が、約束の場所で待っていた。

 

「……」

 

「あの……マスター……?」

 

 出会ってから無言のまま何も言わない俺に、不安にそうにする少女。というか、俺はなんと言えばいいのかわからないだけだ。

 

 だって、今目の前にいるのは本来スカウトする予定だったアタッカーのボンバーガール・セピアではなく……シューターのボンバーガール・ブラスであったからだ。

 

          ●~*

 

 音楽と他人の幸せを何よりも愛する天使・ブラス。

 

 彼女が姉と慕うパプルと同じ天界の天使であったが、パプルが地上に堕ちた時、自分の事を省みずブラス自ら地上へ舞い降りた心優しき天使である。

 

 しかし地上では天使の力が制限される為、路頭に迷い路上演奏などでチップを貰いホームレスな生活をしていた。

 

 そんな所をセピアが保護して以来、教会で共に暮らすようになった。そこでパプルと念願の再会を果たし、今は自分の音楽を世界に広めるために少しずつ活動を始めている小さな一人管弦楽団……それがブラスという健気で良い子な少女である。

 

「それじゃあセピアさん、スカウトの話の前に何か注文しましょうか。なんでも好きなの頼んでいいですよ」

 

「えっなんでも? でもブラス、お金が……」

 

「今回こちらから話を持ち掛けたんですから、お題はこちらで払うから気にしなくいいですよ」

 

「ほ、ほんと? ホットミルクとチーズケーキ、頼んでもいい……?」

 

「大丈夫ですよ。それじゃ俺はモンブランにグリーンティーにするね」

 

 店員に注文をし、セピアを名乗るブラスは目を輝かせて小さく喜んでいた。てか途中でブラスって言ったな今……。

 

 俺はとりあえずブラスの正体を暴かず、セピア(ブラス)として話に乗ってあげることにした。「おめーセピアじゃなくてブラスだろ?」と初対面で頭ごなしに疑いに掛かるのは心象に悪すぎるし、ブラスを不必要に怖がらせることはないだろう。

 

 無論、パプルにはボムラインでブラスの特徴を伝えてこの娘セピアさん? と連絡してある。すぐに今どこにいるのかと返信が来て、場所を伝えるとすぐにそちらに向かうと連絡が来たから距離的に30分くらいで到着するだろう。…文面からして焦っているように感じたから、今はカフェでお茶しているからゆっくりで大丈夫ですよ、と送っておいた。

 

 注文が来たケーキと飲み物を頂きながら、俺はとにかく少し話を聞いてみようとまずは公式漫画でやってた質疑応答の質問をいくつかしてみた。

 

「それじゃセピアさん。食べながらで良いから、いくつか質問したいんだけどいいかな?」

 

「ん……はい、マスター。いつでも大丈夫です…!」

 

 チーズケーキを一口頬張りながら、ブラスは緩んだ頬を戻しながらふんすと真面目な顔つきになった。俺はブラスが口にしてないタイミングを見計らいながら、質問を始めた。

 

「まずご趣味は?」

 

「音楽…」

 

「あなたにとって音楽とは?」

 

「翻訳の必要のない、すべての生き物が魂で理解できる言語…」

 

「音楽って難しくない?」

 

「音を楽しめているのならそれだけで立派な音楽です…」

 

「なるほど…セピアさんは音楽で何か活動とかはしていますか?」

 

「特には……で、でもいつか世界中にブラスの音楽を届けたいって、思ってます…」

 

「世界中となると、大きな夢だね。やろうとしたらとても大変な事だけど……どうして自分の音楽を世界に広めたいのかな?」

 

「……ブラスの音色で、世界中の皆をはぴはぴにしたいから…」

 

「そっか。とても素敵で、素晴らしい夢を持っているんだね。もし機会があったら、セピアさんの演奏を聴かせてもらっても良いかな?」

 

「はい…是非……!」

 

 俺が今度聴かせてねとお願いすると、ブラスはチーズケーキを食べている時よりも目を輝かせていた。わかってはいたけど、すごいしっかりしている娘だ……ちょくちょく自分の名前出してるから、嘘をつけない娘でもあるけど

 

 ブラスの様子を見てそんな感想を思い浮かべながら、俺はここで引っ掛けの質問をすることにした。

 

「そういえば自己紹介がまだだったね。俺は砂色ユキト。改めて貴方の名前とお母さんとお姉さんの名前も聞いてみていいかな?」

 

「はい、私はブラスです…。お母さんはセピアママで、お姉ちゃんはパプルお姉ちゃんで……ぁ」

 

 俺の質問に素直に答えてしまったブラスは、簡単に口を滑らしてしまったと青い顔になっていた。俺はすぐに安心させるべく途中から(ほんとは最初からだが)気付いていたことを伝えた。

 

「何度か自分のこと名前で言っている時があったから、もしかしたらと思ってね」

 

「あの、その……マスター。嘘ついて、ごめんなさいです……怒ってますか……?」

 

 できるだけ怒ってない雰囲気で明るくネタ晴らしをしたつもりだったが、ブラスは身体を震わせながら謝罪を口にしていた。これはアカンな……全く怒ってないことをしっかりと伝えなければ。

 

「全然怒ってないよ、ブラスちゃん。むしろこんな可愛い天使の女の子と喫茶店デートできたんだ。怒るどころか感謝しかないよ」

 

 これは本当である。さっきの面接みたいな質疑応答もブラスの純粋さが見れて可愛かったし、知ってたとはいえ音楽を広める夢も普通に心がポカポカしたからもう、ほんとね……俺的にプラスな事しかないから怒りの感情なんてあるわけないのだ。

 

「……ほ、ほんと……?」

 

 喫茶店デートと聞いてブラスが少し顔を赤くさせながら聞いてきたので、「ほんとほんと!」と俺が笑顔で答えるとようやく少し安心したような表情を見せた。俺もブラスが落ち着いてくれて安心したが……また少し強張らせてしまいそうで申し訳ないのだが、これだけは聞かねばならなかった。

 

「それでブラスちゃんに聞きたいんだけど……どうしてセピアさんに成りすまそうとしたのかな? 怒っているわけじゃないんだ。ただブラスちゃんみたいに正直な子がこんな嘘つくなんて只事じゃないからさ……何か訳があったのかな?」

 

 できるだけ優しく、俺はブラスに聞いてみた。前世から知っているが、このような行為をするキャラではないと記憶していた。だから誰かにやらされたとか、そういったいじめなどを受けているのではと心配した。

 

 だが俺の心配とは裏腹に、ブラスはぽつぽつと質問に答えてくれた。

 

「マスターは……セピアママを、ボンバーバトルにスカウトしに来た……ですよね…?」

 

「うん、そうだね」

 

「ブラスは、セピアママにボンバーバトルしてほしくなくて……パプルお姉ちゃんもそうで……危険な目に、あってほしくないです…!」

 

「……うん? 危険?」

 

 そこからブラスに詳しく話を聞いてみて、話をまとめると次の通りだ。

 

・始まりは出張先を一緒に行動していた時、たまたまセピアの携帯を覗いてしまい、それがボンバーバトルのスカウトだとわかったこと。

 

・セピアにボンバーバトルに参戦してほしくないブラスはセピアに成り変わりスカウトを断るために今回の計画を企て、メッセージは見せずにセピアのみ教会に帰してここに1人で来たこと。

 

・なぜ参戦が嫌なのか。それはボンバーバトルという爆弾や武器を使って戦う危険な競技にセピアを参戦させたくなかったからとのことだ。

 

『アクアブルーナメてんのかこらあぁ!!!』

 

『ブルーがブルってちゃ世話ねぇーよなァー!!?』

 

 ……以上前半がブラスがセピアに成りすました理由であり、後半がブラスが想起した顔面に蹴りを入れる暴力的なボンバーバトルのイメージである。

 

 後半のイメージは流石に違うと声高に否定したいが……前半の危険と思われる所は、言われてみればたしかにとちょっぴり納得してしまっている。

 

 すべてのダメージを完全吸収するボムスーツの存在が大きいのもあるが、そもそもボムと武器で戦う事自体から疑問に思っていなかった頭ボンバーマンだったので、そこに関しては強く否定できなかった。冷静に部分だけ見たらシンプルに物騒だったわ…。

 

 戦っている所を見ている分には物騒であるが、そこは本当にスーツ様様である。ボムスーツのおかげで怪我の危険性はないのでそこは安心してほしかったが……俺はその反論はせず、あえてブラスの意思を尊重することにした。

 

「ブラスちゃんの意思はわかった。ブラスちゃんのセピアさんへの心配は何もおかしくないし、真っ当だ。言われるまで気にも留めなかったけど……ボンバーバトルも、何も知らない人からしたら少し物騒に見えるかもしれないね」

 

「それなら……」

 

「でも最終的にバトル参戦を決めるのは、俺じゃなくてセピアさんだ」

 

 俺はしっかりとブラスの瞳を見つめて、本人の意思を聞くべきと説いた。ブラスも一瞬ビクッと震えたが、俺の目を逸らすことはなかった。

 

「実はパプルちゃんに連絡を入れていて、セピアさんとセイジャさんと一緒にここに来るって返事を貰ってる。もう10分くらいでここに着くと思う。だからここにセピアさん達が来たら、ブラスちゃんは今の意思をちゃんとセピアさんに伝えるべきだ。パプルちゃんはダイエット目的であるからわからないけど……セピアさんは必ず話を聞いてくれる筈だよ」

 

 できるかい? と最後にブラスに聞いてみる。ブラスは直接話すことに対して少し悩んだようにしていたが、セピアに対する信頼が厚いのだろう。「できます。ちゃんと、話してみます」と最後にはしっかり返答してくれた。

 

「マスター……ありがとうございます」

 

 ブラスはぺこりと頭を下げ、俺に感謝を伝えてきた。

 

「指導役の人がどんな人かわからなくて、ちょっぴり怖かったけど……マスターみたいな優しい人で、ブラスとっても良かったです……!」

 

 目を細め、頬を染めたブラスの純粋で直球な感謝の微笑み。それをモロに食らった俺はその破壊力に一瞬クラっとなりかけたが……何とか持ちこたえた。危なかった、俺がロリコンだったら今ので堕ちてたかもしれない。とんでもねえ天使ちゃんだぜ!

 

 あとはもうセピア達を待つだけなので、俺はゆっくりケーキを食べながらお話しよっかとブラスに提案しようとしたタイミングで――――窓ガラスが割れる大きな音が店中に響いた。

 

 突然の出来事で俺やブラスはもちろん、店員や他の客も反応できずに驚くばかり。店内の床をゴロゴロと何かが転がっていると気付い時には、それは俺の背後を取っていて――――。

 

「オラー! マイネームイズ強盗!! この店限定のタンブラーボトルよこさねえとこいつにリップルレーザーをおみまいするぜー!!」

 

 赤い覆面と黒いグラサンを掛けた男が俺を拘束して、光線銃を突き付けていた。

 

 ――――ここで君が出てくるの!? てか、ポワワワワってなんか光線出てるんだけど!? いたがゆい!!

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