ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
拙作を読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。感想や評価、お気に入りは執筆する上でとても励みになりますので、これからも何卒よろしくお願いします。
それはそうと新キャラがカンフーキョンシー自堕落ダウナー系ロリババァでとんだもなく盛られてるキャラが来ましたね……来週イラストお披露目で実装かな? 最高に楽しみですね!
俺にリップルレーザーなる謎の光線銃を突きつけ、人質としているこの喫茶店強盗の男はゲーム本編には登場しないモブキャラで、ボンバーマンガでちょくちょく登場しているキャラである。
強盗の名はオバピーという名で、大体が起承転結の『起』と『結』あるいは『結』のみを担ういわゆるオチ担当である。具体的に言うと買い物や学校にいるガール達の前に現れ、強盗なりスクールジャックなどで今みたいに人質を取ったり脅したりする常習犯。そして大体が次のコマでその場にいた腕っぷしの強いガールに返り討ちにあうという、オチ担当として非常に便利なモブキャラなのである。
オバピーという名前でわかる人にはわかると思うが、元ネタはもちろんボンバーマンシリーズのザコ敵である。しかし強盗が持っているリップルレーザーからセクシーパロディウスというSTGに出てくる自機キャラのタコが元ネタでは? と考察されていたりもする。
流石にコナミの自社作品ネタで複合されているだけだと思うが、とにかく登場回数はモブキャラ達の中でも多い方なので記憶に残っていた。まさかこんな所でオバピーに遭うとは……タンブラーくらい普通に買ってよ……。
目の前で俺が人質に取られたのを見たブラスは「アウトローこわいよ〜……!」と恐れ、身体を震わせていた。お前、ブラスを怖がらせたな……? 許すまじ……こんな拘束今すぐ解いて我がコショウボムの餌食に……スタンディングでハンマーロック!? 片手でできるものなの!?
素人が食らったらまず抜け出せない拘束技で驚いた。まずいな…オバピーも技のプロとかじゃないから振り解けるかもしれないが、無理に暴れると怪我をしてしまうかもしれない。
自分の心配ではなく、近くにいるブラスを心配する。怪我をさせてしまうかもしれないし、そうじゃなくてもトラウマを植え付けてしまうかもしれない。
どうしたものかと悩んでいると、状況が動いた。
「――――ガッデム峰打ち!」
「あばー!?」
ゴッ、とすぐ後ろで鈍い音が鳴ったと思ったら、俺を拘束していたオバピーが横にぶっ飛ばされていた。何が起きたと俺はすぐ後ろを振り向くと、そこには刀を持った一人の女性が立っていた。
金のライン刺繍が入った黒の帝国軍服に、背中に『正』の青い文字で記された黒いマント。フチなしの眼鏡をかけており、表情からは冷淡さを感じさせるクールな女性といった印象を持たせた。そして何よりも特徴的なのは、毛先が白く染まった青い髪。それは間違いなく獣族の中でも忠義に強い千生狼族の証。
「――ボンバー警察・新選組のハナと申します。人質にされていたそこの貴方、大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」
ハナと名乗る女性が、事務確認のように抑揚のない機械的な声で俺の安否を確認した。
どこかで見たことあるような……? 俺はハナを見てそう思ったが、それよりもまずはブラスを優先した。
「ありがとうございます、俺は大丈夫です。それよりもブラスちゃんは…」
ハナに助けてもらった礼を口にしながら、ブラスの方へ振り向くと、いつの間にか俺のすぐ後ろに来ていたブラスが両手で俺の服の裾を強く握り、不安と心配が入り混じった、今にも泣きそうな表情で俺を見上げていた。
「マスター、大丈夫…? 痛いところ、ないですか…?」
「大丈夫、どこも痛いところは無いよ。ブラスちゃんも、痛いところとか怪我はないかい?」
「うん……ブラス大丈夫です……!」
お互いに身を案じて、怪我がないかの確認をする。良かった……もし怪我なんてさせたらパプル達に合わせる顔がないし、ブラスに何かあったらそれこそ腹切りものである。
大事ない様子で安堵していると、ブラスが俺から警察のハナへと向き直った。
「あの……警察のお姉さんも、マスターを助けてくれてありがとうございます…!」
「仕事ですから。怪我がないようで何……より……」
人見知りであるブラスが、勇気を出して初対面であるハナにぺこりとお辞儀をして感謝を伝えていた。ゲームや漫画のどの媒体でもそうだが、やはりブラスはしっかりとして良い子である。ブラスを見て俺はほんわかしていたのだが……何やらハナの様子がおかしかった。
「あら……アラアラアラ……」
「警察のお姉さん……?」
ハナがぶつぶつと怪しく呟き始め、ブラスも何やら不穏な気配を感じ始めていた。俺はというと近くにいたためハナの呟きを拾い、破顔しかけていた顔を見てそこでようやく彼女のことを思い出して――ほぼ反射的に動いていた。
「――ハナさん! さっきの峰打ち、凄い綺麗に決まってましたね。流石新選組です!」
「アラア――――ハッ! い、いえいえ! こんなの大したことありませんよ朝飯前どころか就寝前ですよこんなのあははははは!」
俺が少し声高に話しかけるとハナは正気を取り戻し、先ほどのクールキャラは浜辺で死にましたと言わんばかりに笑って誤魔化していた。
この人確かアサギの同僚の人だったよな? あぶねーもう少しでクレイジーポリス化するとこだったじゃん!
アサギとはアタッカーがロールのプレイアブルキャラの一人であり、怪盗ねずみ小僧をお縄にするためボンバー警察としてボンバーバトルに参入したという設定のボンバーガールである。警察であるアサギの同僚の一人がこのハナという女性である。
彼女はボンバーマンガ出身のサブキャラであり、初登場はアサギの誕生日イベント期間に更新された幹部会議回……という名のお祝い回。この頃は他の同僚と同様に名前は決まっておらず、データ子(仮)と紹介されていた。新選組のリーダーと思われるチグサという警察ガールが追加でプレイアブル化されたことで、ハナという名前が公式から名付けられたのである。
新選組の中でハナは最年長らしく、詳しい年齢は公開されていないがチグサによくそこを煽られたりしていたが――ハナの特徴はそこではなく、ブラスの大ファンであることだ。
ブラスが音楽を広めるためネット配信を行う回で、5分の配信で見に来た視聴者すべてが
そしてブラスが迷子の時にパトロール中のハナとエンカウントしてしまい暴走してブラスに迫る回があり、ハナの破顔しかけの危ないクレイジーポリスフェイスで俺はそのことを思い出し、先ほどのように割って入ったのである。
「あ、ありがとうございます……危うく正気を無くす所でした」
「いえ、少し困っているようでしたので。先ほど助けてくれたお礼というわけではないですが……」
ハナは俺に小声でお礼を言い、俺は気にするなと答える。ブラスはというとなんの話をしているんだろうと疑問を浮かべていた。
配信する前の初コンタクトであったためすぐさま暴走! とはならなかったので、気づけて良かったよ本当……。
「と、とにかく犯人は無力化しましたが強盗事件なので、今すぐ応援を呼びます。他の方々も簡単な事情聴取をしますのでその場から離れずに――――」
ブラスを極力視界に入れないようにハナがトランシーバーを取り出しながら店の中の人達に呼びかけようとしたところで――――またしても、窓が割れる大きな音が響き渡った。
オバピーのように一つではなく複数。すべてのボンバーカフェの窓を突き破って現れたそれは、異形の存在であった。
紫色の皮膚、頭に生えた2本の角に鋭い牙と爪を揃えたそれはまさしく、悪魔種族のデーモン達の姿。
「何ですか、貴方達は!」
ハナが突然現れたデーモン達に激昂し、刀を構えた。ブラスも今度はデーモンと来て言葉も無く震えて怖がっていたので、俺はブラスの前に立って守る形で腕を後ろに制すように広げる。
デーモン達はという警察のハナを無視してスマフォを取り出し、仲間内で画面を見ながら何かを確認していた。その様子に無視されたハナはこめかみに青筋を立てながらもう一度大声を発しようとして、デーモンの一人が俺を指さした。
……俺?
「そこのお前。お前が砂色ユキトだな?」
名前を呼ばれて、俺は驚きで心臓が高く鳴ったのを感じた。えっ、俺が狙いなのこのデーモンさん達!? なんでだ!?
「……そうですけど、俺に何か用ですか?」
違うと答えるべきだと思ったが、デーモン達が見ている画面には俺の写真なりが映っていると推察し、下手に嘘をつくより正直に答えた方が良いと判断して返事をした。デーモン達はそれを聞いて、自ら自己紹介を始めた。
「俺達はデビル暴走族『悪のデーモン軍団』!! 砂色ユキト、大人しく我々に着いて来て貰おう!」
「名前がそのまんま過ぎる!? いやそれより……なんで俺を狙うんだ…!?」
いや世界観。いやなにこのシチュ。他にも色々ツッコミたい所が多すぎたが、一番重要な質問を先に聞いてみることにした。てか、悪のデーモン軍団ってどこかで聞いたような……?
「理由が知りたいと? わざわざ教えてやることもないが、わからないとむず痒いだろうから話してやろう! あれは数日前のこと……」
意外にも素直に答えてくれるようで、デーモン達は回想から始めてくれた。ありがとう! でもその優しさがあるならこの店の窓割らないで俺の誘拐も企てないで欲しいな!
「あれはそう、白いボンバーガールをナンパしていた時だ。俺達よりもボンバーバトルを優先したために無理矢理連れて行こうとしたが……灰色のボンバーガールに阻止されてしまった」
「………」
「その時我々は復讐を決意した。そのためにもまずは弱点を探るために色々と下調べをし……彼女達のバトル指導をしている指導役という存在に辿り着いた。そこでようやく、我々も気付いたよ。ここまで我々をコケにしてくれた真の存在がいたことを……」
デーモン達の視線が俺に集まる。どれも憎しみが籠ったもので、できるだけブラスが見たり向けられたりしないように身体を盾にしてさらにブラスを隠す。そしてデーモンが話した中で、気になるワードがいくつかあった。
白いボンバーガール。ボンバーバトル。そして撃退した灰色のボンバーガール。
『グレイちゃんはすごい出来る子だよー! 私が悪のデーモン軍団に攫われそうになった時も助けてくれたんだよ!』
「………」
思い出すのはこないだのボンバーバトルの練習の時。グレイが初参加した日に、シロがグレイを褒めていた台詞。
じゃあ、つまるところこいつらは――――。
「許さん……許さんぞ、砂色ユキト……! 必ずや貴様であの時の屈辱を晴らさせてもらうぞぉ!」
ただの八つ当たりで来た、ってことぉ!?
「いやそれ、ただの八つ当たりじゃないじゃないですか……」
本当に色々言い返したいことが山ほどあり過ぎたが、ブラスがいる手前狙いが俺とはいえ下手なこと言ってヘイトをこれ以上集めたくなくて黙っていた。しかし流石に内容があまりにもお粗末であったためか、代わりにハナが呆れながら俺の気持ちを代弁してくれた。
「うるさいうるさーい! とにかく来てもらうぞ砂色ユキト! 貴様だけ可愛いガール達に囲まれているのは心底許せんのだああぁ!!!」
「最後本音ー!?」
憎しみの叫びを皮切りにデーモン達は悪魔の翼を広げ飛び上がり、襲い掛かってきた。
「っ! させません!」
迫りくるデーモン達に、ハナが前に出て刀でもって迎え撃った。警察ガールがここにいるとは予想していなかった筈だが、それでもデーモン達は連携でそれに対応してみせた。
「警察は3体で対応! 残りは指導役の男の確保に動け!」
「しまっ……!」
それを聞いたハナは即座に戻ろうとしたが、すぐに3体のデーモンがハナを囲んでいた。「そこの2人、逃げてください!」とハナは俺達に叫んだ。
「ブラスちゃん、ちょっと持つよ!」と俺は一言入れてからブラスを抱っこする。見ればブラスは目を瞑って縮こまっていて、ちゃんと返事を聞く余裕がなかった。
どこだ。どこに逃げる? デーモンが割ってきた窓の方は……駄目だ、他のデーモンが外にいるのが見える。ならば店の裏口に、と俺は店の奥へ走るが翼のあるデーモンが飛んで先回りしていた。
まずい、まずいぞ……ていうか狙いは俺だ。ならブラスだけでも逃がして……。
「一応、その幼女も人質として捕まえておこう。男の方が暴れても面倒だからな」
ザッケンナコラー!
「ふざっけんなブラスちゃんは関係ないだろ!? 俺だけ連れてけよこの悪魔! おたんこなす! デコスケ! 頭つるっぱげ! このハゲー!」
「髪の毛関連で罵倒してくんじゃねーよ!?」
どうするどうする!? 俺だけならともかくブラスちゃんも巻き添えなんて笑えないどころの話じゃなくなってきたぞ!? 何か無いか、俺が使えるボムで使えそうなボムは……!
まずはブーメランボムだが……あくまで形だけ変えた通常ボムなのでパス。せめて真のボムになってからじゃないと威力なんてないボムだ。次にコショウボムは……これは相手の目を奪ったりくしゃみをさせられるからワンチャンアリ寄りのアリ。こんな囲まれている状態で使うもんじゃないけどなあ! あとは風船ボム……はごめんなさいジェッターズファンの方々。流石にこの状況の打開には無理です。俺も思い出深いから好きなボムなんだけどさ!
こうなったらワンチャンアリ寄りのアリであるコショウボムでの不意打ち突破しかない。タイミングを見計らってボンバーシュートし、隙をついたら小さい隙間をうまく通るかしかないだろう。
俺は抱っこしているブラスを強く抱きしめながら、隠した手の平にコショウボムを生成させる。「俺にしっかり掴まってて」と小声で伝えると、ブラスも俺に強く抱き着いてきてくれた。
「俺が『行くぞ!』って言ったらコショウボムを投げるから、そしたら少しの間だけ息を止めてほしい。できるかい?」
「は、はい……ブラス、できます……!」
小声だが力強く返事をするブラスに、俺も覚悟を決める。コショウボムを強く握りしめ、1歩、2歩とこちらへ近づいてくるデーモン達を見据える。焦らず、機を逃さないように……全方向全員のデーモンが射程範囲に入ったのを確認して、俺はボンバーシュートする――――!!
「行く――――」
「ぶべら!!!?」
ぞ、と俺が最後まで言い終わる前に、目の前にいたデーモンが先ほどのオバピーの焼き増しのように、どこからともなく飛んできた人物に蹴り飛ばされていた。
蹴り飛ばされたデーモンを見れば、白目を剥いて気絶しているのがわかる。突然仲間の一人がぶっ飛ばされたことにデーモンは驚き、もしやさっきの警官が? と見てみればハナとデーモン3体がまだ交戦しているのが見える。ならば第三者の仕業だとデーモン達は距離を取って乱入してきた者に対して警戒を強めた。
「なんだ、貴様は!?」
デーモンが乱入者に対して叫ぶ。しかし乱入者はそれに返事をせず無視して、ただじっと俺だけを見つめていた。
周りのデーモンをあれだけ警戒していた筈なのに、俺は今は目もくれず乱入者のガールを大きく目を見開いて、見つめ返していた。――驚愕で、目を離せるわけがなかったから。
前世の記憶を持っている俺は、彼女のことを知っている。そして驚いているのは、一番出会う可能性が無いだろうと思っていたために驚愕していたからだ。
彼女の見た目を一言で表すなら、ピンクをメインにコーデしたギャルである。
ミイロタテハのリボンをしたピンクのツインテールに、胸元が開いたピンクのカーディガンから白いシャツの制服が見えている。ピンクのネイルに、ピンクのルーズソックスに水色の靴を履いている姿は正にギャルと言われるタイプの女子高生の姿で。
何より印象深く見えたのは彼女の瞳で、今している表情にある。俺を見た瞬間、どこまでも深い闇の深淵のような彼女の瞳の奥底には、一筋の淡い薄桃色の希望の光が灯っていた。同時に口角は三日月のように形を変えて、目を細めたその表情はあまりにも蠱惑的で……狂気を孕んだ笑みを浮かべている。
俺は彼女を知っている。
「――――
「久しぶり……
お互いの存在を認識する。同時に俺の頭の中で響いたこの音は、間違いなく幻聴であった。
――――チェチェチェチェイス!
最後のチアモの台詞、「初めまして」から「久しぶり」に変えました。設定的に初めてはおかしいと思ったので。
ほんとはセピア回→グリアロ登場の流れでコラボキャラ初登場はグリアロにする予定だったのですが、書いてて教会行くならブラス絡まないのはおかしくね? で書き直して今回のブラス回→チアモ登場の流れで本作コラボキャラ初登場はチアモちゃんになりました。
チアモは今作では少し設定が違う……というほどではないですが、原作とは違う形で独自解釈が一番表れているキャラにする予定です。詳しくはまた次回……。
・主人公の投げれるボムについて。
バリエーション違いで投げれるボムは今のところブーメランボム、風船ボム、コショウボムの三つ。
ジェッターズはもちろん知っているので、主人公はバーニングファイヤーボムとサンライズサンダーボムをボンバーシュートしたいがために戦士の修行をしていた経歴を持つ。しかしボムの力は心に在ることを頭でわかってても心で理解することができず、真のボムを会得することは叶わなかった。