ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。   作:ハニボン

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 遅くなってすみません。

 メスガキ描写が思ったより難しくて苦戦したのと、坐骨神経痛になってしまって中々筆が進みませんでした。

 自分の文才の無さが辛い……メスガキ期待してた人は満足できないかもですが、よろしくお願いします。


にわかは本物を相手にすると萎縮する

 かつて世界のそこかしこで発生する瘴気と呼ばれるものがあった。

 

 その正体は知識欲を無くした人々が、本来持っていた知識と虚無的な感情を魔力で発生させたものだった。

 

 瘴気はある時は『(クイズ)』という形を取り、またある時はさらに恐ろしい魔物を生み出した。

 

 当時これらに対し東方より現れた賢者によって一旦の駆逐に成功した。しかし今なお瘴気の発生は続いていて、それに対抗する賢者を育成するために設立されたのが、マジックアカデミーなのである。

 

「――――というわけで、そこにアロエちゃんと通っていたんだけどぉ。どこかで私達の活躍を見ていたのかな? 573のボンバー部門の人にチームスカウトされてね。こっちに来るならついでにセピアさんの所でお世話になっちゃおってことでここでお手伝いしているんだよ♪」

 

「私がヴァンパイアハンターのお仕事で追っていた愛を知らぬ吸血鬼が、グリムアロエさんが対峙している瘴気の魔物と結託していて、そこでグリムアロエさんと知り合って交流するようになったんです♡」

 

「グリアロちゃんは私が地上で迷っていた時に、教会へ案内してくれました。とっても良い子です」

 

「グリアロさんのおかげでブラスと再会できました。教会のお仕事のお手伝いも真面目で、彼女が担当する懺悔室も好評なんですよ? 聞き上手で訪れる人みんな前向きになれたって感謝の言葉やお手紙をもらったりするんです」

 

「ちょくちょくいたずらしてくるのは、やめてほしいけどな」

 

 グリアロが簡単に身の上話をしてくれて、セピア達が各々グリアロについての評価を口にしていた。「んもぅ、やめてよ~」とグリアロは少し恥ずかしそうにしており、先ほどの挑発的な態度ではなく年相応の少女の姿が見て取れた。

 

 この空間めっちゃあったかい……尊い……と俺が教会メンバー特有の家族的な温かみに脳を焼かれていると、グリアロがこちらに話しかけてきた。

 

「そ・れ・でぇ~……おにいちゃんは何に悩んでたのぉ? 今ならグリムアロエの懺悔室公開コースでよわよわなお兄ちゃんのお悩み聞いてあげまちゅよ~?」

 

「懺悔室の意味?! いや……大丈夫、悩みなんてないよ。さっきのはただの失言だから」

 

 みんなには親しく接していたのに、打って変わって俺に対しては最初の少女らしからぬ蠱惑的な態度と挑発のような甘い声でグリアロは接してきた。俺は少したじろぎながらも、平静を装ってなんとか普段通りに答えた。

 

 ――――グリムアロエ。

 

 コナミの長寿アーケードゲームの一つ、『クイズマジックアカデミー』に登場するキャラであり、ボンバーガールにはブロッカーとしてゲスト参戦したキャラである。

 

QMA、またはマジアカと略称されているゲームだが、俺は存在こそ知っているだけで遊んだことは無い。だから瘴気とか魔物とかも今初めて知ったほどで、元となったアロエとのキャラとどういう関係なのかもさっぱりわからない。マジアカに関しては全く説明ができないと言っていいだろう。

 

 しかしボンガでの彼女のキャラについてなら、説明ができる。ボンガのグリアロはコナミの稼ぎ頭と言っていいほどの大人気キャラであり、前世で流行っていたメスガキと呼ばれるキャラクタージャンルの発祥のキャラなのではと噂されるほどのメスガキキャラである。

 

 グリアロは今みたいな態度でプレイヤーに話しかけ、「あたしに興味があるの? 勘違いされちゃうよ~?♡」や「あれあれぇ? あたしの事、懲らしめるんじゃなかったのぉ?♡」とか、「のーみそトロトロにしてあげる…♡」などの台詞も言い方もすべて怪しいものばかりで、当時コラボキャラにあまり興味がなかった俺でさえもその衝撃に目を奪われてしまうほどのメスガキっぷりである。

 

 ボンバーマンガでは冬に水着や薄着の衣装を着せられてイベント告知する可哀そうキャラのポジションを獲得しているグリアロだが、マンガ内の描写を見る限りグリアロは素直で良い子な一面が素であり、サキュバスチアコスの回でメスガキのキャラはプレイヤーたるマスターを喜ばせるために日々努力していることが判明している。

 

 当たり前だが一から百まですべてメスガキ一色というキャラは存在せず、モモコやアクア、パインなどもあくまでメスガキっぽいだけで、ちゃんと彼女達を知れば年相応に良い子なのがわかる。

 

 グリアロはブロッカー勢の中でもメスガキキャラとしてのプロ意識があり、かなりの努力家であることが読み取れるだろう。

 

 ……そう考えると、前までわからせるとかただ言いたいだけでほざいていた俺はなんと浅はかなものか。しかも心の中で言っているだけだし……流石にダサい……。

 

「ええー? 嘘だー♡ パプルちゃんに教えてもらったけどぉ、おにいちゃん今のお仕事始めてまだひと月も経ってないんでしょぉ? だったら色々大変な筈だよ~♡ ……なんでもいいんだよ? あたしがちゃぁんと一言一句聞いてあげちゃうよ♡」

 

 俺の悩みがないに対し、グリアロは小馬鹿にするような言い回しで食い下がる。言い方は相変わらずだが、内容はすごい真面目だった。

 

 あれ? なんか思ってたのと違う。「ザコザコの実の全身ザコ人間♡ 動物系モデル弱者男性~♡ かわいそうすぎて笑えないから慈悲与えてあ・げ・る♡」とか言われると思っていたが……いや、根は良い子な筈だしこれが正しいか。

 

 初対面なのに親身過ぎる気もしたが、教会の懺悔室を担当しているのだからこれぐらい普通なのだろう。

 

「マスター。グリムアロエさんは本業は学生ですが、迷える者達を幾度と救った実績を持つ立派なシスターでもあります。不躾に人の過去を詮索するのは良くありませんが、マスターの愛にどこか陰りのようなものも感じました。

 すべてをお話になる必要はありません。なんでもない小さなことでもお聞かせ願えませんか?」 

 

「堕天したとはいえ……私も元は天使です。マスターのお役に立てるのなら、是非協力させてほしいです!」

 

 セピアとパプルがグリアロの言葉を後押しし、ブラスとセイジャは何も言わなかったが視線だけはこちらを見ており、全員の視線が俺に集中していた。

 

 なんかめちゃくちゃ心配されてる……そんなに……? マジでさっきの失言だったか……!? 

 

 どうしよう、本当に悩みなんてなんもないんだが。そりゃ挫折の一つや二つあるけど、もう全部割り切ったしなぁ。でもこの雰囲気でやっぱありませんなんて言えないしどうしたら……。

 

 ……いや、セピアが言った小さいことでいいなら、一つあるな。悩みではないけど。

 

「……悩みって言われると少し違うけど、昨日スタッフさんに相談したことがあって」

 

 俺は昨日573ファクトリーのメンバー全員欲しいとスタッフさんに相談し、普通に怒られて心配されたことをみんなに話すことにした。

 

 自分達が欲しいと言われたグリアロは少し驚きながらも、すぐに目を細めて笑みを浮かべていた。

 

「私達が欲しいって……おにいちゃんそんなに私達に興味があるの~?♡ 勘違いされちゃうよ~?♡」

 

「めっちゃ興味あるし欲しいです。今からうちに移籍しない??」

 

「即答もだけど事務所を挟まない他チームのスカウト行為は本当にまずいからねおにいちゃん??」

 

 573はそういう所属契約が本当に厳しいから、たとえ冗談でも軽く口に出さない方がいいといつものメスガキ煽り口調は抜きで真剣に説教されてしまった。

 

 だって欲しいんだもん……。

 

 コラボキャラとはいえ、俺の中ではボンガのキャラでもある。みんなで仲良くわちゃわちゃしてほしい、という願望があるのだ。まあそれに関して言うなら、必ずしもうちのボンバーチームに入る必要はないのだが。

 

 でも欲しいじゃん?

 

 もっと本音を言うのなら、狙いはスキルなどのスペックなどにある。スキル狙いと言うと言い方は悪いが、573ファクトリーのキャラはコラボキャラであるがゆえにボンバーマン的な元ネタではないため、彼女達が持つスキルの傾向がどれも他にはない唯一性があり過ぎるのだ。

 

 彼女達を仲間に迎え入れることができたら、戦術の幅が一気に広がる。それだけの価値があるがゆえに手元に置きたいところだったが、流石にちゃんとした企業のチームをそのまま引き抜くなんて不可能であることも理解している。

 

 それでもやっぱぁ…………欲しいじゃんね?

 

「そんなにグリアロさん達を仲間にしたいんですか、マスター? その……私達じゃダメなんでしょうか……?」

 

 パプルが少し寂しそうな声で意見をし、そこで俺ははっとなってパプルの方を見る。目の錯覚か、ほんの少し髪が紫に濃いような気がするパプルの様子にセイジャも怖い顔になっている。

 

 パプルは最近入った新メンバーの一人である。それなのに公式バトルもまだの状態ですぐに別のとこのチームメンバー丸々一つ欲しいと聞けば、よく考えなくても不安になるのは当たり前だろう。

 

「……グリアロちゃん達が欲しいのは単純に戦術の幅がかなり広がるのと、イコールで君達の戦力の強化になるからだ。パプルちゃん達がダメなわけがない、むしろ必要だしうちのチームに絶対に居てほしいって思ってる。

 でも、流石に今のは冷静じゃなかった。悪い気分にさせてごめん、パプルちゃん。……欲しがり過ぎて視野狭窄になってた」

 

 弁明と同時に、俺はパプルに頭を下げて謝罪した。一人の人間としてではなくキャラ的に注目してしまい、パプルを不安にさせてしまった。同じチームメンバーとして間違いなく失態である。

 

 蔑ろにするつもりは毛頭ないが、それでも少しでもそう思わせて精神的ストレスになるのは指導役として三流以下だ。これは反省である。

 

「い、いえ! 謝らないでください、マスター! ちゃんと私達のことを考えくれてるってことがわかっただけで充分なので……!」

 

「いーや、もっと怒っていいぞパプル。なんなら我が儘の一つや二つこのまま言ってやれ」

 

「んもぅ、セイジャ! 私、怒ってないってば!」

 

 パプルが俺の謝罪に慌てて顔を上げるように言い、セイジャが口を挟んでまたパプルが慌てるといった構図が完成していた。心なしかパプルは少しスッキリした感じで、セイジャも先ほどよりも怒りが鎮まったような落ち着いた雰囲気になっているのを感じた。

 

 というかふらっとセイジャが一瞬近づいて「謝罪はいいから、今度パプルに埋め合わせしてやれ。それで俺は許す」と口早に小声で俺に耳打ちしてきた。返事をする間もなくセイジャが離れたので、俺はセイジャに目礼でパプルをスイパラに連れていくことを伝えた。

 

 それから俺は今度はグリアロへと振り向いて、先ほどの非常識さに深く頭を下げて謝罪する。

 

「グリアロちゃんもごめんね。いくらなんでも他所属のガールを直に勧誘はやり過ぎた。……うん、本当に迷惑かけてすみませんでした」

 

「大丈夫だよ~。そもそもよわよわなおにいちゃんの迷惑なんて大したことないから♡ それよりも~……さっき言ってた戦術と戦力強化になるって話。移籍は無理だけど、それだけで良いならおにいちゃんのお願い叶えられるよ?」

 

 解決策がある。その言葉に自然と視線はグリアロに集まった。それはなんぞや? とみんなが思った中、蠱惑的な笑みは変わらぬままグリアロがその答えを口にした。

 

「あたしのチーム『573ファクトリー』とおにいちゃんのボンバーチームで、交流バトルしましょう? それならお互いに得られるものがあって幸せだしぃ……一緒にきもちよくなれる、でしょう?♡」




 次回に573メンバー紹介回、次々回でバトル回になると思います。

 前書きで書いた通り坐骨神経痛で痛み止めでなんとか痛みは抑えられていますが、治るまで少し投稿ペースが遅くなるかもしれません。不定期週一投稿はできれば守りたいとは思っていますので、それだけお伝えしたいと思います。
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