ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
というわけでみなさんはもうダイアちゃんはゲットしましたか? 自分はキャラもスキルも衣装もゲットできました!
ダイアちゃん初期スキルだけでも戦えるしなんならそれだけでも全然強いからシューター初心者にもおすすめ! 公式が初心者講座動画も出してるからまだ始めてない人も始めるなら今ですよ!
別々で購入したチケットであるため、残念ながらブラスたちとはホールに着いてから別れる形となり、各々の指定された席に向かうこととなった。
てかブラスたちの場所が最前席って、めちゃくちゃいいチケットもらったんだな。ちょっと羨ましい。……俺? 最後列ですがなにか??(涙)
とまあ悔しがってはみたが、実際のところ俺は相当見辛くなければ席はどこでも気にしない派である。ブラスたちと近くで楽しみを分かち合えないのが残念くらいかな? 見ているステージは同じなので、それすらもプリボムの迫力の前には些細な問題だろう。
『プッチョヘンザ~♡』
ライブは既に2曲目に突入しており、ラストサビが弾けると同時にスポットライトがふっと落ちた。大きな歓声と拍手が会場を揺らし、息を切らしたプリボムメンバーたちが肩を上下させながらステージ中央へと歩み寄る。
「モモさ~ん? もう疲れちゃったんですかにゃ~? 足のキレが怪しかったにゃ~!」
「はん! ぜーんぜん! 始まったばっかなんだから、余裕に決まってるっつの!」
「プルるんはもう限界……あっ、アタシじゃないよ? お客さんの心配るん☆ ここらで小休憩でも……」
「プルーンはすーぐそうやってサボろうとするんじゃねーですの!」
パインがモモコを煽り、メロンがプルーンを叱る。メンバー同士の軽いやり取すら拍手を誘うほどの盛り上がりを見せていた。
最高だぁ……と俺はプリボム全員のイメージカラーとなるペンライト4本を指の間で掴んで、それを両手に手を振りながら感涙し、応援していた。いやぁ毎回ライブ見に来るたびに感激してはいるんだけど……前世からのファンという、古参を超えた最古参なわけだからね。最の高以上の感想しか出てこないよ。
オタ芸とかもしたかったが、流石に練習していないからできなかったが……その分はパッションで腕振りまくるしかないだろう。気持ちだけは負けていないつもりだ。
サビとか決めポーズのタイミングでモモコやパインの視線が俺に向けられているような気がするが……それは流石にたまたまというか、自意識過剰だろう。向けられていたとしてもそれは身内へのサービスというやつだ。まったく、プリボムは最高だぜ!
「よーし! それじゃ三曲目「の前にここで特別イベントです~」うわあ!?」
次の曲を始めようとしたその時、背後からぬるっと現れた魅惑のカウガール・スタッフさんにモモコは素っ頓狂な声を上げて驚いていた。いや、ほんとに今どうやって出てきたんだ? ステージど真ん中なのに全然入った瞬間とか全然わかんなかったぞ……。
スタッフさんの登場に驚いたのはプリボムや俺だけじゃなく、他のお客さんたちも突然のプリボムマネージャーの出現に戸惑いを隠せない様子であった。
「ちょっとスタッフ! 今ライブ中、ていうか特別イベントってなによ! なんにも聞いてないんだけど!?」
「なんにも言ってないですからね~。サプライズってやつですよ~」
無論、聞いてないぞとリーダーのモモコで率先してスタッフさんに憤慨していた。しかしその反応すら想定内で、スタッフさんは唯我独尊のまま話を進めていった。
「いやぁ最近のプリボムのみなさんの成長ぶりは目覚ましいもので、事務所立ち上げた頃から支えてきた私もようやく金のなる木に……ではなく、これほどのファンが今なお増え続けているのはまさに人気の証。感激で涙が出るほどですよ~!」
「うぉーい本音漏れてんぞー」
「目が一瞬お金の目になってたにゃ……」
スタッフさんが大袈裟にハンカチを手にして目元を拭く動作をし、モモコとパインが冷ややかにツッコミを入れていた。だがスタッフさんのテンションが高く、いつも以上に無敵な人感が極まっていた。
なんだろ。そんなに大事なイベントなのかな?
そんなことを思っていると、スタッフさんは拳を握りしめながら強く語っていた。
「もっともっとプリボムを盛り上げるには、人気を向上させるにはどうすればいいのか……私は悩みました。そして考え抜いた結果、私は今回のイベントを思いついたのです。それは……
言いながらスタッフさんはステージの奥の方に視線を送り、勢いよく腕を突き出して大仰に指差した。
「さあ、登場してもらいましょう! プリボムと対となる、今回限りの期間限定アイドルユニット! その名も……!」
────パニッシュメントシスターズ!!!!
言い終わると同時に、俺の背後から機械の駆動音激しく鳴った。
何事かと俺は反射的に振り向くと、背後の壁が動いているのがわかった。
壁面パネルが自動でスライドし、ライン状の光がゆっくりと横へ伸びていく。舞台が開くと同時に、白い照明が前夫へと流れ込む。その光の中心に、静かに立つアイドルたちのシルエットが浮かび上がった。
「ウィーアー! パニッシュメント―!♡」
「シスターズですー!♡」
「…………ですわ~」
そこには青いアイドル衣装に身を包んだセピア、パプル、アクアの三人の姿と、その脇に相棒悪魔のセイジャと青いハネミンボーのヒロシ(公式名称)がそれぞれポーズを決めて登場した。
図らずもパニシスの最前列となってしまい──不可抗力ながら、その中でも特に死んだ目をしたアクアに目が止まってしまった。
────なんですの────。
────なんなんですの────。
────なんですの────。
…………あ、五七五…………あ、季語ないわ…………。
人はあまりにも受け入れ難い事態に直面すると、現実が見えなくなってしまうという。それが今のアクアでもあった。
あまりにも遠くを見ている瞳。目は口ほどに物を言う、とは言うが……アクアのどこでもないどこかへと向けられている虚ろな視線と途方もない様子を見れば、簡単に察することができるだろう。完全に現実逃避をしている目である。
そんなアクアがセンターを飾るパニッシュメントシスターズを簡単に説明すると……原作ゲームの方ではボンガ2周年記念イベントでアクア、パプル、セピアの三人が組んだ期間限定のアイドルユニットである。
前世では周年イベだったが、今回のはスタッフさんが言った通り今日限りの限定突発ライブなのだろう。
何かの記念でもないのに、スタッフさんはどうやってアクアたちにアイドルをやらせたんだろうと疑問に思ったが……それもすぐに湧き立つ歓喜の感情に吹き飛ばされていた。ひゃっほう! 生のパニシスだー!!
「アクアー! パプルー! セピアー!」
片手のサイリウムをしまい、青、紫、ブラウンの新たなサイリウムを取り出して声を上げながら振った。いつか使うかもといつでも出せるよう用意してて良かったぜ!
他の誰よりも真っ先に発せられた俺の声援に、パニシスの三人は一瞬驚きつつも俺だと気付き、少し恥ずかしそうにしながらも手を振って応えてくれた。……いや、アクアのみがサッと俺から視線を逸らし、顔を赤くしている様子が見られた。かわいい。
他のお客さんも最初は「ライバル!?」とざわついていたが、俺が最初に声を上げたのをきっかけに続くように歓声を発するようになった。ライバルの登場というサプライズはもちろん、キラキラとしたプリボムとはまた違う魅力の新ユニットに熱狂を上げるには充分であった。
そんな会場内の反応に面白くないと感じるプリボムメンバーだが、所詮は素人グループ。初見のインパクトで注目されているだけで恐るるに足らず。こちとら本家アイドルのプロやぞとばかりに余裕の雰囲気を醸し出し、堂々たる王者の風格を知らしめる……!
「高貴なアクさんが……ほぉ〜? そんな格好で……へぇ〜?」
「なかなか似合ってんじゃ〜んwww」
というほどでもなく。パインがにまにゃ〜とにやつき、モモコがぷぷぷ〜と笑ってさっそくアクアを弄っていた。メロンはファンの視線を取られたことに頬をぷく〜っと膨らませてわかりやすく不機嫌そうにしており、プルーンは「おっこのまま乗っ取って代わりにライブしてくんないかな〜?」な視線……かはわからないが。なんだか期待している視線を向けていた。
……ああ、そっか。前世のマンガを知ってる俺からするといろんなアクアを知っているが、プルーンとメロンはともかく、モモコとパインの二人からするとバトルの練習している時の姿しか基本知らないもんな。
練習中のアクアは経験者なのもあってうまいだけじゃなく、意外にもアドバイスや連携の打ち合わせなど聡明かつ積極的で、モモコの次にまとめ役をこなしている印象がある。
モモコやパインからは煽り合いなどの衝突はあれど、優雅で優秀というイメージが二人にはあったのだろう。それがイメージとは遠いキラッキラなの着てたら……煽るに決まっとるやんけ! となるのは必然であった。
「……えぇえぃ!! こうなったらヤケですわよ~ッ!!」
歌ったらぁぁあ! と赤面したアクアが勢いのままライブを開始した。
緩やかな音楽が流れ始める。アイドルらしい軽快なリズムのものではなく、静かで格式を感じさせる旋律。
アクアは大きく身振りをすることはなく、優雅に立ったまま歌い始める。微笑みも抑えめで、その表情は凛として落ち着いていた。
歌声は済んでいながらも、どこか芯の強さを秘めている。甘さよりも気高さが前に出るその響きは、育ちの良さを隠すことなく物語っていた。
観客は自然と背筋を伸ばし、静かに耳を傾ける。
そこにあったのは、歓声に包まれるライブではなく、上質な時間を共有するひとときであった。
────あっ……すっごい上手いんだ……。
この会場にいた誰もが同じ感情と感想を共有していた。俺も初めて聴いたアクアの歌に夢中になって確認はできなかったが、おそらくモモコたちプリボムも聴き惚れていたんじゃないかと思う。
その証拠に歌い終わったあとの会場内の反応は歓声を上げるといった盛り上がる感じではなく、拍手のみで称賛するアイドルのライブとしては静かな盛り上がり方で、プリボムの方からもすぐに何かを言うような反応はなかった。
「パニシス、プロ級じゃん……」
「…………!!?」
しかし、観客の一人が漏らしたこの一言が彼女たちに火をつけるには充分であった。
「……パイン、プルーン、メロン。今までのライブで出したことのない10倍のアイドルボイス、ここでかますぞ!!!!」
「パイにゃんは100億倍でもかまわないにゃよ???」
「えっプルるんは別にやりたくな……アッハイやります……」
「吸血鬼なんてドきゃわいくないもんが、きゃわいい人類を独り占めするなんて許せねえですの~!!!」
────プロが素人に負ける訳にゃあいかないんだよッ!!!
歌い狂い咲くアイドルトリオの活躍に、本家アイドルグループのプロ根性が火を吹いた!!
そこからはプリボムとパニシスのライブバトルとなって会場は大いに盛り上がった。
圧巻の一言であり、前世からのボンガオタクからしたらファンサ過ぎる状況に俺もテンションぶち上げで奇声上げてばかりの記憶しかない。そのくらい幸福なひとときであったのだ。
だからだったのだろう。すべての曲が終了して放心状態だった俺が──いつの間にかステージ上のとある席に移動させられていたことにも気づかなかったのも、そのせいであると思う。
「と、いうわけで……これより特別審査員達による、最推しは誰か!? ナンバーワンのアイドルを決めようランキングをこれから行おうと思います~!!!!」
「……え?」
スタッフさんが高らかに放ったイベント開始の言葉に、俺はようやく正気を取り戻す。いつの間にか審査員席に座らされており、周りを見渡せばブラス、パステル、グリアロの次に俺という順番で並んでいるのがわかった。
こちらと対峙する形でプリボム、パニシスの面々が集結しており、ステージ真ん中に司会進行のスタッフさんがいる形となっていた。
いつの間に……てかこの状況というか、審査員って何!? 俺らのことぉ!? と落ち着いているブラスたちとは真逆に、俺は内心混乱しまくっていた。しかし哀しいかな、そんなこと知らんとばかりにスタッフさんは進行した。
「これより審査員達がそれぞれ気に入ったアイドルを評価……というより推してもらい、気に入られた数が多いアイドルが一番人気アイドルの称号を手にするというもの! それではまずは愛の教会『サンクチュアリ』の天使・ブラスさんからいってみましょぉ~!」
「はい……楽しくなる曲をいっぱい歌ってくれたプリボムのみなさんやすっごくお歌が上手なアクアお姉ちゃんが良かったです。素敵な衣装のパプルお姉ちゃんとセピアママがいいなって思うから……ブラスはみなさんを推したいと思います……!」
みんな素敵で素晴らしい、とブラスの健気な評価に会場全体はほんわかと優しい雰囲気に包まれていた。てか複数評価ありなんだ……それなら全員評価できるから、何も恐れることはないな!
「さっそく全員にポイントが入りましたね〜。では次にウインビーパイロットにしてどんぶり島の国民的アイドル・パステルさんお願いします~」
「は〜いパステルでーす! 急にお呼ばれされちゃった時はびっくりしたけど……こういうサプライズも悪くないね! それであたしが推すのは、プリボムのみんなかな? パニシスももちろん良かったけど、あたし的には元気なプリボムがまさにアイドルって感じで好みだったかな!」
アイドルらしく、明るく元気がもらえる姿が気に入ったと評するパステル。流石国民的アイドルゆえに、シンプルイズベストな王道を好んでいるようだった。
「おやおや〜? プリボムが一歩リードしましたね〜。それでは次はブラスさんと同じサンクチュアリのお手伝いシスター・グリムアロエさんはどうでしょぉ〜?」
「あは♡ グリムアロエだよー♡ そうだねぇ。みーんなカッコ良くてぇ、とーっても気持ち良かったけどぉ……♡」
考えるように言いながら、ちらり、と隣のグリアロがなぜか俺の方を一瞬視線を向けた。
にやり、と蠱惑的な笑みを浮かべて意味深な視線をこちらに送っていたが──グリアロはすぐにスタッフさんの方を向いて、自分の推しと評価を答えていた。
「身内贔屓になっちゃうけどぉ……パニシスのみんなかな♡ アクアちゃんの歌はもちろん、パプルちゃんとセピアさんのダンスも魅力的だったからね♡」
「……ほほう」
グリアロの評価に、スタッフさんはなにやら関心したよう呟いていた。……なんだろう。なぜか嫌な予感が……。
ともかく俺以外の審査員が終わり、複数評価できるとはいえ現状全員が等しく評価が入っている形となっている。誰か一人だけ選べとかなら滅茶苦茶悩むだろうが……これなら全員推せるからな!
「最後は我らプリボムとパニシスが所属しているボンバーチームの指導役の、砂色ユキトさんです! ……あっユキトさん。ここで複数選ばれると一番が決まらないので、ユキトさんは誰か一人だけを選んでくださいね?」
「えっ」
意気揚々と俺は全員を評価対象にしようと口を開こうとした時、スタッフさんが放った一言に言葉を失ってしまった。待って、それだと話が違うじゃん!?
たしかになあなあで終わらせるよりははっきり白黒決めた方が盛り上がるけどさあ!
ステージ上、唯一の男性である俺に対して、会場内の観客は誰? 間に挟まるタイプの男か? 処す? という殺意がちょくちょく感じられるアウェイな雰囲気に包まれているが……それらの反応は、今はどうでもよかった。
というよりはそれどころではない、が正しいだろう。なぜならプリボムとパニシスの面々からじっと視線を向けられているからである。
『…………』
────当然、私を選ぶよね?
そう言われている気がするほどの、圧が強い視線であった。モモコやパイン、アクアなどはもちろん、そんなことは思ってないと思われるパプルやセピアも微動だにしない微笑みをこちらに向けている。
メロンはどういった心境かはわからないがこちらを楽しそうに眺めており、こういったことに一番興味が無さそうなプルーンでも俺が誰を推すのかに関してはなぜか興味を示している様子であった。
そんな注目を一身に受けながら、俺はなんとか全員で答えられないかと足掻いていた。クイズ番組みたいに机の上のボタンを押してモニターに名前が表示されるシステムなんだけど……クソ! 全員のボタン同時押ししても反応しねえ!
「お兄ちゃ〜ん? ダメだよぉ〜? ちゃぁんと一人の子を選ばないと♡ 男の人が女の子全員選ぶなんて〜……それはザコの思考♡ 目移りしちゃダメダメだよぉ〜?♡」
グリガキィ! さてはこうなるってわかってたなぁ!?
俺の耳元で挑発的に囁くグリアロに、俺はいつかわからせねばと心に強く誓う……今のメスガキASMRめちゃくちゃ良かったから許したが。
「早く♡ 早く♡」とグリアロが囁き続け、スタッフさんからはよ選べやと愉快そうにしつつも目でそう訴えてきていた。うう、全員選びたいよぉ……。
誰にしよう、どうしようと俺が過去一番に悩みまくっていると──唐突にモニターにパインの名前が二個表示された。
俺はまだ押していないし、なによりなんで二つも!? と会場は驚きでざわついた。誰だ、とステージ上を探して──その正体はすぐに見つかった。
グリアロとは反対の、俺の隣にいつの間にか用意されていた二つの審査席。そこには一人ずつ……いや、一体ずつのロボットが座っていたのだ。
「パインヤサシイスキスキ」
「パインカワイイダイスキ」
ロボット──メカパインとメカエメラが、パインを評価していた新たな審査員としてなんか勝手にいた。
「………」
俺はそれを無言で見ながら、フッと笑った。先ほどまで悩んでいたことが嘘のように晴れて、俺はそっと推しを決める評価ボタンを押したのだった。
────パイにゃんで……。
パイン以外の全員「逃げたな……」
パイン「逃げたにゃ……でも選んでくれて嬉しいにゃ♪」
・パニッシュメントシスターズ
スタッフさんがイケる! と判断して結成させた特別イベント限定の企画アイドルトリオ。結成するにあたってパプル、セピアは快諾したがアクアが中々首を縦に振ってくれなかったが、前にやった573との練習バトル後にアクアがユキトを借りた件で代わりに対応した時の借りをここで使用。苦虫を噛み潰したような顔でアクアはメンバーに参加してくれた。やはり持つべきものは友である!
年内にあともう一回更新したいけど、ペース的に流石に来年になりそう。できたら更新します。