ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
シロヱさん実装の時もだけど、この小説書くの時期早々だったかな……とちょっぴり思ったり。どっかで登場させたいですね……(無計画)
なのでボンガ小説書くなら今だよ
まず現在の状況を説明するには、クロとグレイが来訪する少し前に時間を遡る必要がある。
今はアクア城バトルマップにて、シロの強化特訓を行っていた。
メンバーは俺、シロ、アクアとここに最近参加するようになったテッカ。そしてパニシスで歌の上手さが周知されたアクアがピアノも上手だと聞いて、是非デュエットがしたいということでブラスもこの場に集まっていた。
テッカが参加するようになったのは、シロ専用の個別練習をしていることを知った時だ。
テッカはダダンダーンとしての任務で大会には参戦できず、ボンバトの練習も短い間だけ。ならば下手にバトルの腕を鈍らせるよりも、少しでもバトルの練習を他より多くしたいということで、余裕があってついでに見てくれれば、くらいのお願いでシロの練習に参加するようになったのだ。
タイミングが悪いのは仕方がないことだが、それでも積極的にボンバトの練習をしようとする姿勢は高い好感が持てる。ええ子や……。
……ただアクアと対面した時の様子が少し気になったが。
不穏とか敵対的とかではないし、仲は悪くなさそうというか、どちらかといえば良さそうに感じたが……なんだろう、あれ。同志を見つけたみたいな?
ちょっと自分でもその時の様子をうまく説明できないので、この話はここまでにして。シロについての話をしよう。通常の練習とは別に裏で行っていた強化特訓──ボム投げの修行と言い換えてもいいシロの成果はというと……。
「……うん、いい感じに仕上がってきたね」
「ええ。あとは実戦で感覚を掴んでいく必要がありますが……この調子なら、特に問題はないですわね。シロ様ならすぐにものにできるでしょう」
「マスター! アクアちゃーん!」
後方理解者である俺とアクアが、笑顔でバトルマップから帰還するシロを迎えていた。
ボム投げを主力武器とするための練習は、結論から言えばシロはやはりボム投げの才能があり。すぐにその才覚を目覚めさせるのにそう時間は掛からなかった。
これにはアクアも驚きつつも称賛し、あとはボム投げという武器を最大限生かすための立ち回りを身体に覚えこませるための練習を行わせた。どこにどのタイミングで投げたらいいか、など思考を働かせながらのバトルはシロには向いていない。だから思考ではなく本能や直観で動けるように、アクアのサーヴァントが配置されたバトルマップをひたすらシロに走らせ、身体に覚え込ませたのだ。
シロ自身も考えるより動くタイプであるのは自覚しているし、あれこれ考えろと言われるよりはわかりやすいと乗り気になってくれたのも大きかっただろう。元々元気で体力がある子なので、シロはひたすらに身体を動かして練習を頑張ってくれた。
「どうだった? どうだった!? シロちゃんうまくできてた!?」
「申し分ありませんわ、シロ様。この短期間でここまで動けるようになったのも、シロ様の才能と努力の賜物ですわ」
「ボム投げの強さはセンコーとのバトルでわかってたつもりだけど、シロも中々やるじゃん。裏のバトルだけで表のはあんましだけど、アタシでもその戦い方は強いってわかるよ?」
「ボムとかバトルとかはよくわからないけど……シロさんはすごい頑張っているって、ブラスは思います」
アクア、テッカ、ブラスがそれぞれの感想を述べていた。褒められたシロは「えへへ!」と嬉しそうにしながら、最後に俺にも聞いてきた。
「マスター! マスターはどうだった!?」
「そうだね……ボム投げはもう完璧だ。今のシロはすごく強くなってるよ。でもチームバトルなのを忘れちゃ駄目だよ? シロだけ強くても勝てるわけじゃないし、これからはみんなとの連携を中心にやっていく予定で……」
「んも~そうじゃないよマスタ~!」
油断も慢心も駄目やで? とこれからの計画を話そうとしたが、シロが近づいて俺の手を掴むと、なんとその手を自分の頭の上に置いたのだ。
「よくできました! って撫でて撫でて~!」
えっやだなにこの可愛い生き物ガールは……。
俺から触れたらセクハラになるからできないが、シロ自ら触れて導いたならしょうがないよね?(すっとぼけ)ということで俺は優しくシロの頭を存分に撫でまわした。
「ブラスも、お願いします」とちゃっかりブラスもシロと同じように俺の手を自分の頭に置いてきたので、同じように撫でてあげた。……他の残り二名からのとても強く鋭い視線をひしひしと感じる。ふ、不可抗力だから許して……。
でも、本当にシロは一週間という短期間で強くなった。元々ボム投げの才能自体はあったのだが、この特訓のおかげでさらに才能を咲かすことに成功し、それを用いた立ち回りもかなり洗練されたと思う。
具体的にどのような感じなのかというと……と説明しようとしたところでドアがノックされ、執事サーヴァントが来客を連れてきた。その来客というのが──。
「シロばかり構ってずるいぞ、マスター」
「えっと、あの……お邪魔します、先生……」
クロとグレイであり。二人が来訪する場面へと繋がった。
「あら、クロ様とグレイ様。いらっしゃったのですね。……藪から棒にどうしましたの?」
「うむ。お邪魔しますだぞ、アクア」
開口一番のクロのセリフに俺とシロはどしたんと驚いていると、アクアが歓迎しつつも訝し気に真意を問うていた。それにクロは変わらず毅然とした態度で答えていた。
「前々からマスターがシロのために特別な特訓をしているのは知っていた。ライバルであるかわいいシロが強くなってくれるのなら私としても望むところだ。だが……シロだけマスターと一緒に修行して、同じチームで同じボマーである私たちには何もないのは不公平じゃないかと思ってな。こうして物申しにきたという訳だ」
「私はそんなクロ先輩に捕まって巻き込まれたというか……そもそも実習生で、正式なメンバーではありません。クロ先輩の主張は正しいとは思いますが、私自身は特に求めていませんので、そこだけは勘違いしないでください」
《先生との特訓、いいなー……。シロ先輩、必殺技とか伝授されたのかな? もしそうなら私も欲しいなあ、なんて~》
ということらしく。クロが言ったようにシロだけ特別なのは不公平だとことで、二人はこうしてやってきたようである。
……いつかどこかで、誰かに指摘されるんじゃないかとは思ってはいた。というか思っているガールは居ても大体ロール違いだったり、モモコやアクアなどのブロッカーズはバトルの動画を一緒に見たり座学をしたりしているので、シロの待遇にはあまり違和感を持っていなかったのだろう。そう考えれば同じボマーであるクロとグレイの主張は真っ当である。
アクアと最近参加したテッカもシロの特訓に付き合っていたので、そらそうだわと納得している様子であった。俺もこれには言い訳も反論もないし、二人の意見は正しいものである。しかしだな……クロが今からチーム練習から別のものやるのはあまりにもリスクがあるし、可能性があるとしたら……。
「グレイは……化ける可能性があると思うな」
「……!」
俺の呟きに、当人であるグレイがまさか自分とは思わず驚いた様子で俺に反応した。
「ほ、本当ですか、先生……?」
「本当だよ。グレイは特殊ボムの使い方が上手い印象だけど……練習を見てて思ったのは、シロとは別の方向性でグレイはボム投げの素質があるんじゃないかって思ってはいたんだ」
「……ああ、なるほど。シロ様の練習を見てきた今ならわかりますわ。たしかにグレイ様もシロ様と同じ適正がありますわね。下僕様はそこを磨こうというわけですわね?」
俺の考えを読み取ったアクアが感心したような表情を浮かべていた。
……アクアの成長と言っていいのかわからないが、俺と一緒にシロの特訓に付き合ったりブロッカーズで座学をやったりしていたせいか、指導者としての才覚に目覚めつつあるのが今のアクアの印象である。
アクアは元々バトルは上手かったし、元々広かった視野がさらに広がり、より研ぎ澄まされた観察眼も備わって『最強に見える』を文字通り体感している気分で頼もしくなっていた。
アクアの話はここまでにしてグレイの話に戻すが、強くなれる可能性があると聞いたグレイはそれはそれは期待に目を輝かせていたが──何を思ったのか、すぐに顔を曇らせていた。
「……すみません、先生。大変魅力的ですが、さっきも言ったように私は正式なメンバーではありません。今でさえ練習に参加させてもらえているだけでも恵まれているのに、個別で見てもらうのは……流石に、私の立場でそこまでしていただくのは厚かましいと思います」
心底申し訳なそうな表情で、グレイは練習の申し出を断っていた。
……たしかにグレイはあくまで実習生として練習に参加している身である。大会も近くなってきて何度か正式に加入しないかとグレイの気持ちを聞いてみたが、やはりそうではないようで、本人自体も自分が抱えている悩みがわからないまま加入するのはダメな気がするということで加入を見送っており、俺やみんなはグレイの意思を尊重しているのが現状である。
だからだろう。これ以上の我が儘は許されないとグレイは思っている。俺はもちろんみんなも気にしていないといっても、グレイの性格的に気にするなという方が無理な話だろう。
もう少し時間をかけるべきか。それとも強く説得して背中を押してあげるべきか。ここできっかけを与えるべきか否かを考えたところで──クロが口を開いた。
「何を躊躇う必要がある、グレイ。受ければいいじゃないか、マスターの個別指導を」
何を悩む必要がある? と付け足すクロに、グレイは驚きながらもさっき理由は言ったばかりだと反論しようとしたが……クロの真剣な眼差しに思わず口を噤んでいた。
「お前が自分でもわかっていない悩みを抱えているのは、私でもわかる。だがマスターはグレイに可能性を見出している。ならばなにも迷うことはない。受けるべきだ」
「ですが私は、正式メンバーじゃ……」
「正式なメンバーでなくとも、それ以前にグレイは私たちの仲間だ。厚かましくなんかないし、今さら立場を理由に引く必要もない。今お前に必要なのは中途半端な遠慮などではなく……歩みを止めない貪欲さだ」
じっと見つめるクロに、グレイの視線は一瞬揺らいだが……それでも逸さなかった。
それだけ確認できれば十分だと、クロはグレイの中に秘めたる強い意志があるのを感じ取っていた。
「今すぐ答えを出さなくたっていい。だが強くなるチャンスだけは逃すな、グレイ。チャンスを掴み続けて行けば、きっとお前の悩みの正体も見えてくるはずだ」
愚直なほどにまっすぐな言葉で、クロはグレイの一歩を引き出していた。
「………」
グレイは考え込むように顔を伏せ、すぐには答えなかった。だが胸中では今この瞬間が決断を下す時だとわかっている様子で、今まで以上に真剣な表情をしていた。
俺達はただ見守ることしかできず、グレイの決断を待った。時間にして十秒ほどだが、数分にも思える沈黙の間の中、グレイはゆっくりと顔を上げて俺の方へと向いてお願いしていた。
「────先生。私にもその特訓……お願いしてもよろしいですか……?」
「うん、任せて。練習も悩みも、グレイに必要なことはちゃんと全部付き合うよ。もちろん最後までね」
個別練習の申し出をグレイは受け入れてくれた。
どうなることやらと心配したが、前向きな決断をしてくれたことに皆安堵する。本来ならば背中を押すのは俺の役目であるのだが、今回ばかりはクロのおかげでグレイは一歩を踏み込んでくれたのだ。
良かった、これでめでたしめでたし……と思っていたが、期待の視線は一つではなく。先ほど説得していたクロも期待の眼差しで俺のことを見つめていた。
「…………」
うぉ……めっちゃ目キラッキラしとるやんけぇ……。
まあそれはそうだろう。グレイを見るならクロも見てあげるのは当たり前で、指導役としての義務である。だが……クロの強化案を考えるとなると、劇的な変化が想像できないのが理由にある。
クロはもう完成しているというか……
そんな火力は正義を体現しているクロに小手先の技を今から教えるのは、中途半端というリスクになりかねないか? という懸念がある。あるのだが……俺はそこでさっきクロが言っていたことを思い出す。
「歩みを止めない貪欲さ、か……」
ぼそりと呟き、胸の内で反芻する。
そうだよな。完成しているからこそ、そこで止まっていい理由にはならないよな。
クロが求めているのは可能性で……目指すのは限界を超えた先。だから俺の仕事はクロの伸び代を止めることではない。ちゃんと応えてあげることである。
俺は小さく息を吐いた。
「クロ。はっきり言うけど、君のバトルスタイルは完成されている。そこに新しいものを加えることは、いろんなリスクが発生することになる。もしそれでも個別の練習を望むなら……ここから先は、未知の領域になるだろう。それでも──」
俺はしっかりとクロの目を見て、言葉を紡いだ。大して強くならないかもしれない。逆に弱くなる可能性だってある。だからこれは脅しであり、確認であり……覚悟の問いである。
「俺と一緒に、未知に挑戦する覚悟はあるかい?」
「────愚問だな、マスター。あなたと共に挑むのなら、何も怖いものはないさ」
チャンスを逃さず。逃げも隠れもしないと、クロは挑戦の道を選んだのであった。
思わぬ来客であったが、なんとか二人とも納得してくれたようで良かった。グレイの時と同様、上手く収まった様子を見て他の四人も「良かった良かった」とほっとしている様子である。
……よし! そのままさっそく練習といきたいところだが、まずは二人の専用メニューを組まないとな。
グレイはシロのメニューを元に構成していけばいいが、クロは新しく模索しなきゃいけないから少し時間がいるなぁ……。
色々考えることが増えたな、と俺はワクワクしていたのだが……その思考は、次の瞬間には断ち切られていた。
それは予兆もなく、突然の出来事で────。
ドガアアアァァン!!!!
天井を突き破り、深紫の宇宙船が落下してきた。
というわけでクロとグレイの個別練習参加決定回。
ネタバレではないけど補足すると、ボンバトシーン(チーム戦)で原作キャラにオリジナルスキルやオリジナルボムを出させるつもりはないので、技術的だったりスキルやボムの解釈的な方向性の強化になります。
それ以外では出そうかなどうしようかな、ぐらいには現状考えてる感じです。
ちゃんとダァクの姿まで出そうと思ってたけど、思ってたより長くなっちゃったので次回ちゃんと邂逅になります。ここでの予告は……大体失敗してるんで話半分くらいに聞いといてください……。