ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
今回も説明が多くて、とても長くなっています。時間のある時に読んでいただければ幸いです。
体力測定が終われば、いよいよ残すは午後の練習試合。本日はボムタウンにあるボムスタジアムにてバトルは行われる。
「マスター! 着替えてきたよー!」
ベンチにてスタッフさんとガール達の着替えを待っていると、シロの元気な声と共に続々と準備が終わったガール達が現れた。
彼女達はいつもの私服ではなく、それぞれの身体にフィットしラインがくっきりと出る群青色の見た目ウェットスーツのようなピッチリスーツへと着替えていた。
水の中にでも入るのかと思われるかもしれないが、これは新ボンバーバトルには必須のボムスーツである。
ボムスーツは転送ポイントへのワープ機能、ダメージ計算制御、バトルボムの生成と自動補充などの様々な機能が備わっている。一つずつ説明していこう。
まずはワープ機能からだ。これはマップ内の自陣のベースや中継地点に転送ポイントがあり、中継地点は敵タワーを破壊して確保する必要こそあれどそれらにワープ移動することができるのだ。
さらにバトルマップはスタジアムの重力システムにより空中に固定されており、マップ内に入場するにはスーツの転送が必要不可欠であるからだ。
次にダメージ計算制御機能。これは爆発や直接攻撃などに干渉し、ダメージをすべて吸収。吸収したダメージ量を計算して服へと反映させるというものだ。
ちなみにダメージを反映させると服が破れる。原作通りと言えばそのとおりなんだけど……。
なんで? とスタッフさんに聞くとボンバーバトル協会にて服が破れるのは欠かせないと議題に上がり、さらにはその場に居たスタッフさんがエロは金になる!! と強く推したためにこの仕様になったそうだ。スケベがよぉ! てかスタッフさんも発端の一人だったのか……。
とはいえダメージ受けてすっぽんぽんになるわけではなく、胸や臀部、股間辺りは絶対に破けず見えないようにプログラムされている。そしてダメージの許容範囲を超えると強制的に味方ベースへワープされるようになっている。
あと破けるとは言っても基本は腕や足部分が破ける程度で、ダメージが大きくてもお腹や背中部分が一部破けるがギリギリを攻めているとまでは決して言えない、という印象だ。
これはスタッフさんと初めて会ったスタジアム内の練習試合で確認済みなので、うら若き乙女の肌をあまり晒さない意味でも、こういう服破ける系って毎回布勿体無いよねって意味でも安心した。
それとこのボムスーツには女性に取って最大の利点があり、それはボムスーツに自分の着用したい衣装のデータを入力すればマップ内に転送時、入力したデータの服装になるので、マップ内限定だが好きな衣装で戦えるのでガール達からは人気のあるバトルになっている。
最後にバトルボムの生成と自動補充についてだ。
バトルボムはバトルマップ内でのみで生成、使用できるボンバーバトル専用のボムである。本来ボムを取り出すには心で念じて生まれる強いエネルギーでボムを生成する必要があるのだが、このマップというバトル場にはそれとは別のエネルギーをマップ全体に充填させ、そのエネルギーをボムスーツが取り込みリソースとすることでボムの生成と取り出しを可能にし、消費すると自動でエネルギー補充をしてくれる仕組みである。
そのエネルギーはボムエレメントと呼ばれる鉱石だ。世界各地のボム鉱山で採れる鉱石で、ボムエレメントに含まれた独自のエネルギーはこの世界特有のインフラ設備を築き上げ、古くからボンバーバトルにも活用されている。
ボムスーツは科学的に進化した新ボンバーバトルから導入され、戦士の修行シミュレーションをより高度により強く再現することに成功した。ボンバーバトルには必要不可欠な競技用ユニフォームなのである。
「究極で完璧なメイドであるワタシにスーツは不要。超高性能ロボットであるエメラちゃんを世に知らしめます」
「まあ、君はねえ」
謎の使命を口にしたのは緑のメイドロボ・エメラである。
彼女、というよりロボットの選手はボムスーツの着用ではなく、スーツとまったく同じ性能のボムスキンを装備しての入場になる。スーツと違って見た目は変わらず、エメラはいつもの私服……私服? というかメカボディでの参戦となる。
「……どうでもいいけど、早く始めましょうよ」
そう促してきたのは桃色髪美少女のモモコである。しかしどこか元気が無いようで、特に「バトルや~!」「バトルだー!」と騒いでいるシロとオレンの方をチラリと見ては目のハイライトが消えたりしてる。
どうしたのだろうか。大丈夫? どこか体調悪い? と心配で聞いてみるが、モモコは頭を振ってから「大丈夫! モモぴゅん、やわな女じゃないかんね!」と気合を入れていた。どうやら自力で気を取りかえてくれたようだ。少し気になるが、相手チームも集まりお互い準備が完了しているようなので俺は皆に視線を送った。
「うん。それじゃあ皆も集まったし、ブリーフィングを始めようか」
俺がそう言うと皆「はーい」と返事し、聞く姿勢を取ってくれた。
「出発前にも言ったけど、今回は新しくなったボンバーバトルを体感し、学ぶことが目的です。今の俺からはこれをしろ、あれをしろなどの指示はしないしできません。だから言うならば、みんなは自由にバトルをやってみてください。
そこから自分のポジションがどのようなものか、動きの正解と不正解が見えてくる筈です。今回のバトルに勝敗は求めません。勝ち負けは気にせず、とにかくボンバーバトルを楽しんできてください」
世間話をするくらいなら大丈夫だが、こうして指導役としてみんなに話すと敬語になってしまうなぁ。
はい! と元気に返事をしワープポイントへ向かうガール達の背中を見届けながら、俺はそんなことを思うのであった。
●~*
『ゴー……ボンバー!』
試合開始の宣言と共に、ボンバーバトルは始まった。
転送されてきたみんなそれぞれの私服や衣装にチェンジされており、次々とボムを置いてブロックを掘り進んでいく。
ここでボンバーバトルの仕様やオブジェクトなどの全容を説明しようと思う。
まずボンバーバトルのルールは敵拠点であるベースを完全に破壊することで勝利するというもので、これはボムと直接攻撃が基本的にダメージを与える手段となる。攻撃役としてボマー、アタッカーが行い、防御役としてシューター、ブロッカーが味方ベースを守るのが基本的な動きになる。
マップにはそこら中にソフトブロックが進行方向に置かれており、基本バトルボムで爆破して掘り進んでいく。敵タワーの爆破によるワープポイントの中継地点確保があり、他にはマップによる特有のギミックなどあるが、今回のマップにギミックは特にないので割愛する。
攻撃手段であるバトルボムの仕様だが、ボムを出現させてから一秒後に爆発する時限式のボムになっている。これには特徴があり、誘爆以外の衝撃で爆発することがない仕様のボムになっているのだ。
だから相手に投げつけて爆破! という単純な爆弾ゲームにはならず、常に置きボムで追い詰めたり誘爆でうまく当てたりする身体を使う意味のアクションパズルとなるだろう。
そしてバトルボムはポジションによってボムを置ける数がボムスーツによって設定されている。
これは原作と同様でボマーが5個、アタッカーが2個、シューターとブロッカーが3個までしか置けないようになっており、最大値まで置いてボムが爆発し終わってからスーツが補充する仕組みとなる。
だが原作には他にもある爆風の長さや移動速度などのステータスがあのだが、それらは確認できない。というよりもそもそも原作のパワーアップアイテムが存在しないのだ。バトルボムの火力は固定されて設定されており、移動速度に関しては個人の力量である。
他にチーム経験値というスキルを使えるようにするための要素が原作にはあるのだが、現実のこの世界ではもちろんそんなものはなく、このスキルに関してだけはポジションによってその仕様は異なっていく。
バトルに視点を戻そう。我らのチームはシロ、オレン、エメラの三人の順で敵ベース方面へと突き進んでおり、モモコは味方ベースの守りを固めるためブロックをどう置くか四苦八苦している様子が確認できる。
「スクリュ~……ボム!」
進行方向のブロックを一掃しようとシロはバトルボムとは少し形の違うボムを置き、爆破すると5個ほどのブロックを貫通させて道を作っていた。
これはボマーにのみ使える『特殊ボム』と呼ばれるものだ。これは衣装データと同じ作りとなっており、自分で作ったボムデータをスーツに登録することで使えるボムである。
ゲームのように使用後のクールタイムの必要はなく、好きな時に連続して使用することが可能だが、特殊ボムはバトルボムと違って残弾が設定されているのがゲームとの大きな違いだろう。残弾はボムデータの容量による。
たとえば今使ったシロのスクリューボムは爆風と貫通力を高めたもので、容量が大体6だとしたらスクリューボムは容量1で最大6個までは使える計算になる。しかしもう一つの切り札のボムを使うとなるとその容量は大きく変わり、切り札を一つ使うならスクリューボムは4個、二つなら2個となっていく。
「っしゃァあ! 行くぜ行くぜェ!」
シロのスクリューボムで開かれた道を突き進むオレンが今度は見えた。オレンは自慢の足の速さで相手ガールを接近していき、両手に持った双剣で切り裂いていく。
敵シューターもオレンを狙うが素早い動きと破壊不可オブジェクトを盾に隠れ、シューターの射撃が止んだタイミングでオブジェクトを飛び越え攻撃を仕掛ける。それを読んでいた敵シューターはボムをすでに配置していた。オレンが出てきたと同時にボムは爆発して――――。
「――――オラァッ!」
オレンは両手の双剣で爆風を切り裂いて、爆発ダメージを回避していた。
「ええ……」
俺は思わず声を漏らしてしまう。
たしかに原作のゲームでもある仕様の一つでもある。アタッカーはダメージを与えるスキルを持っているのだが、スキル発動中の一秒だけ無敵の判定があるのだ。それを用いてボムや敵の攻撃を避けて進んでいくのがアタッカーの立ち回りである。
流石に現実じゃ無理でしょと思っていたので、まさかの超人と達人的なオレンの一連の動きには驚きしかなかった。そういう感じになるんだ……。
「ていうかこれ、アタッカー人気あるんじゃ……?」
「おや、そこに気付きましたか」
隣に座っているスタッフさんが、俺の呟きを拾い肯定する。やっぱりかぁ。
「役割がわかりやすいんですよね、アタッカー」
積極的に敵に攻撃を仕掛ければ良いし、ボム以外の攻撃手段もあるのが良い。そして何よりも見栄えが良いというか、アクション性が高ければわかりやすく目立つので、見ていて夢中になりやすいのだ。
まあ運動神経抜群の人や体力自慢、武道家など……とにかく身体に自信のある者に偏るだろうが。
そういう意味なら次点でシューターが人気になるだろう。
「シューターモード、オン」
エメラの頭上に三つの炎の球体と、その三つを上回る大きさの大火球が浮かび上がる。エメラは敵ベースではなく、味方ベースの方の攻め込んでいる敵のボマーとアタッカーを見つけ、右腕と左腕を上げて二人に狙いを定めた。
「△スレッド」
3発の火球をアタッカーへと発射し、見事に全弾命中させダメージ許容量を超えたアタッカーは自陣へと強制ワープされる。アタッカーが落ちたことに気付いたボマーは振り向き――――。
「∑スレッド」
目の前にすでに大火球が迫っており、反応が間に合わず直撃しボマーも後を追うように強制ワープされていた。
「パーフェクトデリートでございます。ピースピース」
二人撃墜して満足したエメラは、そのままシロとオレンを追って敵ベースへと向かった。
一瞬で終わってしまったが、エメラの今のシュータースキルはボマーの特殊ボムのように残弾ありの連続使用可能ではなく、ボムスーツのエネルギー補充で弾を生成していく必要がある。
バトルボムを生成する時と過程は同じなのだが、ボムよりもエネルギー補充効率が悪く、ここは原作同様に△スレッドは15秒、∑スレッドは25秒のチャージ期間が必要になってくる。この時間差は敵を仕留めるか仕留められないかで大きく変わってくる課題の一つになるだろう。
「ちょっと! 一人くらい残れっての!」
ところ変わってエメラが前衛に加わって哀れワンオペが確定したモモコ。すぐさま復帰してきた敵ボマーとアタッカーが迫りくる中、モモコは三人が敵ベースを壊滅させるまでなんとか時間稼ぎをしなければならない。
「ウォールモモコだぁ~!」
高らかに叫びながらモモコは手を前に出し、最も狭い通路に縦に並ぶようにソフトブロックを生成した。
これこそはブロッカー専用のスキルであり、シュータースキルと同じエネルギー補充での生成なのだが、弾を作るのとは違いブロック生成は補充の効率がはるかに良いのだ。
生成してから再度使用する時間が脅威の6秒である。これもまた原作と同様であるが、今までのスキルでコスパという点だけは最上に感じるだろう
しかし1対2では分が悪いようで、他の道から来たアタッカーに対応しに行き、その間にブロックを破壊したボマーの進撃で結局二人の侵入を許してしまう。
「た~まやー!」
味方ベース内にまで攻め込まれ万事休すかとなったところで、敵ベースから大きな爆発音が聞こえ、視線を移せば壊滅状態の敵ベースの姿があった。
『フィニッシュ!!』
次にバトル終了の宣言が響き渡り、練習試合ではあるがなんとか我らチームの初勝利となったのであった。
次回の更新を今まで予告していましたが、少しきつかったので不定期更新にしようと思います。それでも週に一度は更新するつもりです。