86-エアプサンマグノリア共和国物語…… 作:聖女マグノリアオルタ
星歴2139年。
隣国にして帝国主義者の巣窟ギアーデ帝国が開発した自律式無人戦闘機械〈レギオン〉によって無念にも我が正規軍が壊滅した。
これを受けて旧共和国政府は、大統領令第6609号に基づき戦時特別治安維持法を施行。
共和国内に居住する有色種(コロラータ)を敵性市民と認定して市民権を剥奪し、86区強制収容所へと移送することを決定した。
しかし!
人類史上最良の政体を初めて実現した偉大なる我等共和国民は、すぐにその決定が偉大なる祖国と聖女マグノリアの遺志を愚弄する政権に巣食う豚どもの謀だと気付いたのである!
そこで、人類史上最良の政体を初めて実現した大陸のあらゆる民族に優越する誇るべき我等は、天が偉大なる我等に遣わした聖女マグノリアの遺志を継ぐ新たな聖女と共に豚どもが巣食う政権を打倒せしめんと行動を起こしたのである!
そう、人類史上最良の政体を初めて実現させた偉大なる行動——即ち革命だ!
そして、大陸のあらゆる民族に優越する誇るべき我等に相応しい新たなる素晴らしい政府を樹立した!!
それこそが、我が大サンマグノリア共和国第二共和制政府なのである!
大サンマグノリア共和国万歳!
新第二共和制政府万歳!!
五色旗に栄光あれ!!!(存在しない記録)
これは、過ちを犯した悪しき政権を打倒して成立した、偉大なる大陸最大最強国家大サンマグノリア共和国第二共和制時代を生き、悪しき帝国主義者の尖兵である〈レギオン〉を駆逐した偉大なる聖女(異能カリスマEX系白銀種TS転生者)と彼女に導かれた人類史上最良の政体を初めて実現した大陸のあらゆる民族に優越する誇るべき我等民衆が歩んだ軌跡を記す回顧録である!(存在しない記録)
このままでは白豚蔓延る共和国で、〈レギオン〉によって断頭脳パカされてしまう未来が確定している中、神の道化として選ばれた転生者の彼女がどのようにして足掻き続けたのか。
その足跡をここに記す。
※※※
『あなたには、今から違う世界に転生してもらいます。ちなみに枠が空いている転生先はマブラヴ世界の東ドイツ、86世界のサンマグノリア共和国、進撃の巨人世界のマーレのいずれかのみです』
いつの間にか俺は死んでいた。
そして、目の前にいる神的な存在から、これから地獄に送られることを告げられた。
まあ正確には地獄ではない。
だが、せっかくの神様転生の選択肢的が……
異星起源種に侵略されているのに人間同士で内ゲバして滅びかけているマブラヴ世界。
優れた完全自律無人戦闘兵器相手にアルミの棺桶で対抗しようとしている民度の終わっている滅亡した国がある86世界。
壁の内側では巨人に食われる危険が、壁の外側では確実に巨人に踏み潰される未来が決まっている進撃の巨人世界のいずれかになる。
はっきり言って地獄としか言いようがない。
マブラヴ世界で異星起源種BETAに食われるか、あるいは人類恒例の内ゲバで死ぬか。
86世界でアルミの棺桶に乗せられて特攻させられるか、あるいは自律殺戮戦闘機械のレギオンに断頭脳パカされて脳を機械に移植されるか。
進撃の巨人世界で巨人に食われるか、あるいは自由の障害として地ならしで踏み潰されるか……正直どの世界に行っても最悪な結末になりそうだ。
だが、相手は神的な存在。
逆らえばどんな酷い目に遭うかわからない。
転生させて貰えるだけマシだと思うしかない。
仕方なく、俺は神の話を黙って聞いて天命に身を委ねることにした。
『とはいえ、転生先ですぐにまた死んでしまっては困ります。そこで、あなたに力を授けましょう。世界を掻き回し、努力次第では原作の運命を変えられるほどの力を……』
どうやら黙っていて正解だったようだ。
せめてもの慈悲か神的な存在は転生チートをくれるらしい。
『その力を使って、転生先でも頑張って生き抜いてください。そして、あなたの生き様を観賞することになる我々をできるだけ楽しませてください。期待していますよ」
ただ、神的な存在は善意からではなく、神的な連中が観賞して愉しむ為にチートをくれるらしい。
まあ、どうせ文句を言っても無駄だろうから、黙って有り難く貰っておこう。
後は転生先とチートの内容だ。
それ次第で、俺の転生後の運命が決まる。
『それでは、これからあなたを転生させます。次に意識が覚醒した時、あなたは新たな世界で新たな人生を歩み始めます。それでは頑張ってください』
そう神的な存在が言った瞬間、俺の意識は暗転した。
結局、転生先とチートの内容はわからなかった。
かくして俺は転生した。
転生先は———
星歴2123年。
サンマグノリア共和国の名家バースタイン家にレイラと名付けられた一人の少女が生まれた。
「バブ!?(おい、なんで金◯がないんだ!?)」
レイラ・バーンスタイン0歳。
その産声は、(かつての相棒を失ったせいか)とてもとても大きかった。
それから、彼、いや最早彼女は軍人の
幼い頃は何故か時折死んだ魚のような目をしていた時期が見受けられたが、暫くすると彼女本来の貴種の証である美しく輝く白銀の瞳に戻っていた。
そして、成長したレイラはその知性と異能を徐々に発揮し始めた。
この世界の人間には異能を持つ者がいる。
その能力は継いでいる民族の血によって異なるが、どの異能も一部常人を遥かに凌駕する力を持っている。
レイラもその一人だ。
レイラは共和国の地に古くから住む民族の血を継いでいる。
白銀の髪と瞳を有する貴種。
その純血であるレイラはとある異能を宿していた。
その異能はカリスマ。
それも、洗脳レベルで人々を惹きつけられる規格外のもの。
彼女が素晴らしい言葉を発すれば否が応でも惹きつけられ、彼女の素晴らしい発言を聞くと、まるでそれを神の啓示ように全て受け入れてしまうのだ。
それ程に規格外のものだった。
レイラは最初、幼い自分の言葉に狂信者のような目を向ける大人たちの姿に最初ドン引きしたが、やがて異能の有用性に気づくとおそらくこれがチートかと納得した。
そして、この力で、どうにか自身の死亡フラグ——共和国の滅亡と〈レギオン〉による自身の断頭脳パカ移植endを回避しようと決意した。
それは、祖国の為でもなく、自由の為でもなく、平等の為でもなく、博愛によるものでもなく、正義の為でもない。
すべては自分が〈レギオン〉に殺されない為に。
他の連中はどうなってもいい。
でも、自分だけは死にたくない。
二度目の人生は長生きしたい。
痛いのも嫌だ。
〈レギオン〉に殺されるのも捕まるのも絶対に嫌だ。
だからこそ、白系種も有色人種も関係なく、一人でも多くの自分を守ってくれる優秀で勤勉な肉の盾が必要なのだ。
そんな思いから、後に白豚と嘲笑される程に堕落する大陸のあらゆる民族に優越する白系種(笑)を、一人でも多く優れた肉盾へと改造したいレイラのサンマグノリア共和国での暗闘が始まった。
「とりあえず、お父様のコネで軍の偉い人に会う所から始めるか」
主人公は俗物のドブカスです。
ただし、周りも殆どがドブカス(白豚)です。
なので、サンマグノリア共和国基準ではマシな方の一般人レベルです()