86-エアプサンマグノリア共和国物語……   作:聖女マグノリアオルタ

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かくして少女は聖女(パチモン)になる

 

 

 

 星歴2133年。サンマグノリア共和国。

 

 私の名前はレイラ・バーンスタイン。転生者だ。

 今はサンマグノリア共和国の裕福な家庭で、10歳の銀髪銀眼の美少女として生きている。

 

 そう、神の手違いか何かで、私は女の子として生まれ変わったのだ。

 とはいえ、もう転生して10年が経つ。前世の某ギロチン革命と冬将軍で敗れた大元帥が有名な国に似たサンマグノリア共和国で「俺」から「私」になり、レイラ・バーンスタインとしての生活にも、 女として生きることにもすっかり慣れてしまった。

 

 いや、正確にはTSしたことをあまり気にしている余裕がなかったのかもしれない。それを気にする以上に差し迫った問題があったからだ。

 

 星歴2149年8月25日。

 それが、私の命日になるかもしれない日だ。

 私は生まれた時から既に原作知識で自分の死——破滅フラグに怯えていた。

 

 その日、レギオンによる大規模な攻勢が始まり、共和国の崩壊が引き起こされる。

 

 電磁加速砲型(モルフォ)の砲撃によって、共和国防衛の要である大要塞壁群が陥落し、わずか一週間で国が滅び、その後、数多くの市民が殺され、一千万人を超える人々がレギオンに連れ去られ、研究材料にされる運命を辿ることになる。

 

 要するに、死にたくなければそれまでに何とかしてレギオンの攻勢に備える必要がある。

 

 だが……絶対に無理だろう、というのが率直な意見だ。

 圧倒的なレギオンの物量、電磁加速砲、移動要塞――そんなものまで作ってしまうレギオンの技術に対抗する手段なんて、思いつくはずがない。

 

 ところが、偶然にも私は一筋の希望に出会った。

 それは、父親のコネで共和国工廠を訪れた時のこと。

 そこで、父と親交のある紫系種の技術者の娘と友達になった。彼女の名前はアンナ。私より少し歳上の小柄な紫髪の少女だ。まだ幼いのに、父親譲りの技術知識は並外れていて、兵器に関する知識も豊富だった。

 

 その時、私は前世の知識を駆使して、レギオンに対抗できる兵器が作れないかと考えていた。

 

 そこで、試しに、アンナに架空の兵器や動力炉のアイデアを話してみた。

 

 仮想の粒子を使った架空の動力炉とか、完全自律無人兵器とか、電磁投射砲とか、ビーム兵器とか、可変機能が付いた人型機動兵器とか……とにかくレギオンに対抗できそうな技術を片っ端から話してみたのだ。

 

 すると、彼女は話を聞いてしばらく考えてから「設備と資金があれば作れるかも」と言い出した。

 

 彼女は白系種(アルバ)紫系種(ウィオラ)のハーフで、紫瑛種(アマティスタ)という、いわゆる貴種の血を引いるらしい。

 

 紫瑛種の異能は知能の強化。つまり、アンナは発明の天才だということ。もしかすると、カリスマの異能ではなく彼女こそが私にとっての真なるチートかもしれない。

 

 そう思った私は、さっそくレギオンによる断頭脳パカendを回避する計画を立てた。

 

 私が洗の……カリスマの異能を使って予算や設備、人員を確保し、アンナに兵器を作らせれば、レギオンに勝てるかもしれない。生き延びるための希望が見えて、私は思わず感激の涙を流した。

 

 しかし、すぐに絶望が胸をよぎった。彼女は紫瑛種の血を引くハーフ、つまり有色種だ。

 

 このままでは星歴2139年、今から6年後に施行される原作主人公たちが86と差別される要因にもなる「戦時特別治安維持法」が、私の計画を全て覆してしまう。

 

 この法律によって、有色種は市民権を剥奪され、強制収容所に送られることになる。

 

 たとえ異能を持つ貴種であろうと、共和国に必要な技術者であろうと例外ではない。勿論半分有色種の血が混じっているアンナも、そして白系種ではない彼女の父親も例外ではないのだ。

 

 私の異能で募ったシンパを使って匿うことはできるかもしれないが、少なくとも天才のアンナの協力で兵器を作ることは不可能になるだろう。

 

 原作でも、主人公の父レイシャ・ノウゼンが作った『ファイド』のようなレギオンに対抗できる可能性を秘めた人工知能技術が存在していたが、結局は収容所に送られてしまい技術発展の芽が摘まれてしまった。

 

 有色種を収容所に送ったせいで、技術の発展が完全に止まってしまったのだ。

 

 おまけにその後も人類史上最良の政体を初めて実現し、大陸のあらゆる民族に優越する誇るべき優良種である白系種以外の考えていたものは役に立たない等と考えて、完全に発展の芽を潰し、共和国の技術進歩の可能性を全部ドブに捨てたのだろう。

 

 つまり、このままでは、どれだけ優れた兵器のアイデアを出しても、それを実現できる人材を奪われ、結局は破滅の未来に一直線となってしまう。

 

 だからこそ、私は「戦時特別治安維持法」の施行する政府を何としても阻止しなければならない。だが、父親のコネを使っても、政府中枢に近づくのは難しい。

 

 幼い私でも、軍のお偉いさんの父と名家出身の母のコネを使えば軍関係者や財界の人間には接触できる。

 

 けれど、流石に大統領や閣僚には簡単には会えない。

 そして、私の異能は直接的な接触や間接的にでも声が届かないと効果を及ぼすことができない。

 

 こうなったら仕方ない。

 

 私が異能のカリスマを使って革命の聖女モドキになって無能な政府を革命で潰し、国家総力を挙げて高性能な兵器を開発してレギオンに対抗できる新政府を樹立してやる。

 

 私は、そう決意した。

 

 かくして私は、その日から某女体化英雄が数多く登場するゲームのジャンヌ・ダルクを意識したコスプレと聖女ロールの練習を始めた。流石にクソ恥ずかしかった。コスプレする原因になった白豚上層部どもは、革命を成功させたら絶対に処刑台に送ってやる。

 

 

 

 

 ※※※

 

 6年後。

 星歴2139年。サンマグノリア共和国国軍本部。

 

「……やはり戦時特別治安維持法の成立は避けられませんか」

 

「ああ、政府の無能どもめ。兵力不足を補う為、徴兵制を復活させるべきだと進言したらあのようなふざけた法律を……!!」

 

 絢爛華麗な後期王政様式の国軍本部の一室。

 その部屋では、部屋の主である共和国軍大将ジィーン・バーンスタインと彼の娘であるレイラ・バーンスタインが重苦しい雰囲気で会話をしていた。

 

 この六年。

 レイラは全力でカリスマを振りまき軍と財界、そして政界の一部にシンパを作ることに成功していた。

 

 そして、シンパに頼んで横領……もとい善意の寄付を募り、天才のアンナに頼んでレギオンに対抗できそうな多脚戦車や無人機械兵器の試作品を作ってもらっていた。

 

 さらに、レイラを溺愛し、レイラが生まれた時から彼女のカリスマを浴び続けてレイラの言うことを殆ど何でも聞くようになってしまった父を通じて軍の要望として試作品の量産、さらに試作品を発展させた次世代機の開発費用を予算として議会に要望したのだが……。

 

「レイシャ・ノウゼン氏の人工知能の兵器転用やアンナに頼んで作らせた量産可能な新型可変式多脚装甲兵器を有色種の発明品だからと予算をつけず、そのせいで軍が壊滅したというのに……」

 

「まったくだ。レイラとアンナ嬢の用意した試作兵器が実戦配備されていたら、私の友や部下たちの多くは死なずに済んだだろう」 

 

 流石は白豚の巣窟。

 なんと議会は有色種の研究に大金を投じるのは無駄と判断。代わりに最低限の予算で済む廉価でさらに予算を中抜き可能なジャガーノートのような兵器の開発を求めてくる始末だった。

 

 その結果、共和国の軍備はレイラの努力実らず原作と殆ど変わらないものとなり、ギアーデ帝国との開戦直後にレギオンによって共和国軍は壊滅。

 

 共和国は多くの領土を失陥し、レギオンの侵攻に戦々恐々とする羽目になった。

 

「やはり、革命しかありませんね」

 

 レイラがそう言うと、ジィーンも賛同するように首を傾ける。

 

「では、お願いしますお父様」

 

「任せてくれレイラ。……私だ。今すぐカールシュタールに繋げ。我らの権利を侵害する腐り果てた政府に対し、我々はこれより革命の日より受け継いできた政府に抗う権利を行使する! 政府が国民の権利を侵害するとき、蜂起することは国民にとって、もっとも神聖で免れることのない義務だ!!」

 

 政府の愚かさで多くの友や部下達将兵を失ったジィーンは、怒りを滲ませた声でレギオンとの戦争を生き残った共和国全軍に命令を発した。

 

 そして、ついに運命の日を迎えたレイラは、準備していた革命の聖女の衣装(コスプレ衣装)をその身に纏った。

 

 

 




サンマグノリア共和国に転生する時の注意点。
どんな技術チートを貰っても、必ず白系種として転生してください。さもないと、全くチートを活かせずに死にます()
また、ニュータイプのような操縦チートを貰ってどんなに操縦が上手くても、乗る機体がアルミの棺桶なので生き残るのにかなり苦労することになります。頑張って亡命するのをおおすすめします()
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