86-エアプサンマグノリア共和国物語……   作:聖女マグノリアオルタ

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(エアプ)共和国工廠製完全自律無人戦闘機械兵器の誕生(前編)

 

 

 星歴2141年。

 革命による第二共和制政府樹立から二年。

 本来なら、アルミの棺桶こと〈ジャガーノート〉が発明された年だ。

 

 しかし、現在の共和国では、一年前に発明された変形機構を搭載する高性能有人多脚機甲兵器〈アレクサンダ〉が軍の主力を担っており、性能面で劣るうえに無人機と宣伝されながらも実質有人機であった〈ジャガーノート〉が開発されることはなかった。

 

 代わりに、共和国はギアーデ帝国の〈レギオン〉と同じ完全なる自律無人戦闘機械兵器の開発を目論んでいた。

 

 

 

 私の名前はレイラ・バーンスタイン。

 今は18歳で革命の新たな象徴(笑)をやっている。

 

 無事革命を成功させてから二年。

 革命後の一年はひたすらに多脚機甲兵器(フェルドレス)の操縦の練習をしていた。

 

 知覚同調(パラレイド)がまだ実用化しておらず、兵士たちを鼓舞するのにわざわざ危険な戦場に行く必要があったからだ。

 

 勿論、死にたくない私はアンナに土下座して通常機よりも高機動で装甲の硬い専用機を作ってもらったが。

 

 そして、国中の刑務所から超法規的な措置でかき集めた協力者(実験体)たちのおかげで知覚同調が実用化するまでの間。

 

 私は専用機に乗り、共和国の旗を振って兵士たちを鼓舞しつつ、ごくまれに電磁投射砲(ダインスレイヴ)で撃ち漏らした少数の残存〈レギオン〉を狩る「雑魚狩り」をしながら戦場を駆け巡っていた。

 

 おかげで共和国は〈レギオン〉に奪われていた一部の旧領土の奪還に成功。

 

 電磁投射砲無双のおかげで損害も極めて軽微での国土奪還に国中が歓喜に湧いた。

 

 しかし、私は知っている。

 現在〈レギオン〉を圧倒できているのは、彼らの側に高度な指揮能力を持つ〈羊飼い〉たちが存在しないからにすぎない。

 

 いずれ時が経てば、〈レギオン〉は人間の脳を利用した〈羊飼い〉たちによって高度な戦術を取り始めるだろう。

 

 そして、圧倒的な物量と新型の高性能機を駆使して、再び共和国を蹂躙しに来るはずだ。

 

 それでは困る。

 今の共和国は完全戦時体制移行、国家総動員を可能とした国民皆兵化状態という私の理想の盾であり矛なのだ。

 

 ちょっと私が羞恥心を感じる聖女(笑)を演じるだけで白系種、有色種問わず全力で守ってくれる今のこの国は保身のために何としても失う訳にはいかない。

 

 とはいえ、完全自律の機械であり、さらに知性さえもいずれ手に入れてしまう〈レギオン〉相手にいつまでも戦争を続けるのは困難だ。人間である以上、限界はある。

 

 そこで、私は思いついた。

 共和国も〈レギオン〉と同じく完全自律の勝手に増える無人兵器を作ろうと。

 

 搭載する人工知能は86の主人公であるシンエイ・ノウゼンの父レイシャ・ノウゼン氏に作らせた。

 

 有色種が収容所送りになっていない現在、共和国市民の怒りの矛先は主に大統領令第6609号に基づく戦時特別治安維持法を施行した旧政府関係者と〈レギオン〉を生み出したギアーデ帝国の帝国主義者たちへと向けられている。

 

 特に最近は、いつの間にか誕生した偉大なる聖女マグノリアとその意志を継いだ新たなる革命の聖女レイラ・バーンスタインの意志に反する者を粛正する『聖マグノリア自由革命憂国騎士団』なる過激な国家主義団体による私刑が横行している。

 

 彼らは自由と平等、博愛と正義と高潔の精神に反する者、世界で最も偉大で優秀な共和国市民の面汚しである旧戦時特別法に肯定的な国家侮辱者や反戦主義者、世界の癌である〈レギオン〉を生み出したギアーデ帝国関係者及び帝国主義者の襲撃を大々的に宣言。

 

 この団体の存在は、今や共和国全体で大問題になっている。

 私も彼らの名前を初めて聞いたときは、「なんだ、この洗濯洗剤みたいな騎士団のパチモンは!?」と呆れるほどだった。

 

 そして、残念ながらノウゼン家は亡命して来たとはいえ、元はギアーデ帝国代々の武門である帝国貴族の家。

 当然、彼らから矛先を向けられる対象になっている。

 

 だから、私はノウゼン氏に頼んだ。

 

———共和国製完全自律無人戦闘機械兵器に搭載する人工知能開発に協力してください。そうすれば、大々的にノウゼン家は共和国の正義の為に尽力している勇敢な名誉共和国市民であると革命の聖女(笑)である私自ら喧伝しますよ、と。

 

 件の過激派団体は、偉大なる革命の聖女の意志を継いだ新たなる革命の聖女(笑)——つまり私の意志に反する者を粛正するとか言っている連中だ。

 

 よって、私が認めた存在に対してはおそらく手は出さないはず。

 

 察したノウゼン氏は、すぐさまこの頼みを快諾。

 

 そして、妻と二人の息子の為、ノウゼン氏は元々開発していた原作の『ファイド』の基になったものの改良版の人工知能を無事に開発提供してくれた。

 

 その人工知能をドローンとして戦場で運用し、さらに発展、戦争に最適化させたものを用意。

 

 その人工知能を、今や共和国で最も多くの人員と予算を自由に扱えるようになったアンナが主任の共和国工廠に開発させた試作兵器へと搭載させた。

 

 

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