86-エアプサンマグノリア共和国物語……   作:聖女マグノリアオルタ

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(エアプ)共和国工廠製完全自律無人戦闘機械兵器の誕生(後編)

 

 

 星歴2141年某日。

 その日、共和国工廠に勤める技術者たちは、いつも以上に慌ただしく動いていた。

 

 ついに完成した共和国製の完全自律無人機械兵器の試験起動日。

 

 今日この日をもって、サンマグノリア共和国は〈レギオン〉を開発したギアーデ帝国に次ぐ完全自律無人戦闘機械兵器を運用する国になるのだ。

 

 そして、その性能はギアーデ帝国の〈レギオン〉を凌駕するものだと、共和国工廠の白衣を着た研究者や作業着に身を包む技術者たちは確信していた。

 

「これが……」

 

 完成した無人機を一目見ようと工廠を訪れたレイラは静かに息を飲む。

 目の前に立つ兵器の圧倒的な存在感に、一瞬、時間が止まったかのように感じた。

 

 開発主任のアンナに案内された工廠の倉庫に、その兵器は佇んでいた。

 

「そう! この仔こそ、レギオンを駆逐する共和国工廠製完全自律無人戦闘機械兵器よ!」

 

 アンナの声が、興奮を隠しきれないままに響く。

 レイラは、その巨大なシルエットを前に、前世の記憶にあるとあるアニメの殺戮無人兵器を思い出した。

 

 その禍々しい姿は記憶に焼き付いて離れない。

 

 しかし、目の前の兵器はそれ以上の圧倒的な威圧感を持っていた。

 

 それは、ただの機械ではない。

 まるで、巨大な捕食者が目を覚まそうとしているような、異様な迫力があった。

 

「全長およそ35.2m。動力炉として人工的に精製した真空素子を相転移させる相転移炉を複数搭載!」

 

 アンナの紫銀の瞳が輝き、興奮に満ちた表情で兵器の説明を始める。

 

「武装は頭部電磁投射砲、腕部クロー、運動エネルギー弾射出装置、超硬ワイヤーブレード、そして、この仔最大の特徴が破壊した〈レギオン〉の残骸を利用する無人随伴機生産プラントを搭載しているところ! レギオンを駆逐すればするほどこの仔を主とする無人随伴機の群れが増えていく。まさに偉大なる共和国に相応しい先進的で人道的な兵器なの! ちなみに、まだ試作中だけど、その内荷電粒子砲(ビーム兵器)搭載型もデビューさせる予定だよ〜」

 

 昂揚したアンナの早口の説明に仰天しながら、レイラは改めてその無人機の姿を改めて目に収める。

 

 戦時だからこそ捻出できた天文学的予算と白系種、有色種問わず、共和国に住まうありとあらゆる研究者の研究の成果と技術者の技術を注ぎ込んだ究極の兵器。

 

 その姿は一見すると巨大な鋼鉄の鳥だった。

 色こそ白亜一色の純白だが、参考にした兵器が厄ネタなだけあって、機体からは禍々しいナニカを感じてしまう。

 

 だが、同時にその禍々しさがレイラにある種の確信を抱かせた。

 

———こいつを量産した暁には、間違いなく共和国は〈レギオン〉に勝てる。この兵器こそ私の保身を完成させる”カギ”だ、と。

 

「ちなみに、暴走とかはしないよね……?」

 

「最上位命令権を私とレイラが握ってるから大丈夫だよー。命令権を持つ人間を追加する前に私たち二人とも死んだら流石に暴走するけどね〜」

 

「……ま、まあ、私が生きてる間暴走しないならいいや!」

 

 一応、危険性はあるとわかっていても、レイラは天才の友人を信じることにした。

 

 あとは、万が一の事態でも原作の主人公シンエイとヒロインのレーナが解決してくれるという他人任せの安心感もあったからだ。

 

「それじゃあ、レイラ。この仔に名前をつけてあげて。レイラの特別な知識があったから、レイラが私たち有色種を守ってくれたから、この仔はこの世界に生まれることができた。だから、共和国の技術の全てを注いだこの仔には、レイラが名前をつけてほしいの」

 

「わかった。じゃあ、名前は〈ハシュマル〉で」

 

 アンナの頼みを聞いて、レイラは静かにその名を告げた。

 

 その名は、天使の位階の第四位にあたる階級の一つ「主天使」に属する天使の一体。主天使に所属する天使長と同じ名。

 

 そして、別の世界では地球の人口の1/4を殺害したと伝わる殺戮兵器の名。

 

 目には目を、歯には歯を、自律殺戮兵器には自律殺戮兵器を。

 

「さあ、目覚めの時だ〈ハシュマル〉。この星から帝国の産廃兵器を一機残らず駆逐しろ」

 

 レイラの言葉に呼応するように、機体のモーターが低く唸りを上げ、まるで咆哮のような駆動音が鳴り響く。

 

 冷たい鋼の巨体に動力が供給され、徐々にその本来の力を解放し、圧倒的な存在感を放ち始めた。

 

「勝ったよアンナ。この戦い、(こいつが暴走しなければ)私たち共和国の勝利だ」

 

 こうして、サンマグノリア共和国は〈レギオン〉の脅威に対抗する最善で最強の共和国工廠製完全自律無人戦闘機械兵器の運用を開始した。

 

 

 

 

 サンマグノリア共和国西部戦線。

 〈レギオン〉の数が最も少ないこの戦線に共和国軍は十機の共和国工廠製完全自律無人戦闘機械兵器〈ハシュマル〉と千機の無人随伴機〈プルーマ〉を投入。

 

 その戦果は圧倒的であり、瞬く間に西部戦線で活動していた〈レギオン〉は全て駆逐され無残な鉄の残骸に成り果てた。

 

 そして、その数多の残骸は全て無人随伴機を生産する材料として有効活用され、地を埋め尽くす共和国製の〈天使の羽(プルーマ)〉の増殖に大きく役立つこととなった。

 

 これ以降、共和国は戦争の主力を〈ハシュマル〉とその発展型後継機である〈天使(モビルアーマー)〉及び〈天使の羽(プルーマ)〉に担わせることに決定。

 

 共和国中の軍需工場から次々と〈モビルアーマー〉と〈プルーマ〉が吐き出されるようになった。

 

 だが、〈レギオン〉の完全なる殲滅を確認するまで共和国は戦時体制を解除する気はなく、正規軍は当然として国民全てに予備役としての基礎訓練と多脚機甲兵器のシュミレーター訓練を義務付けることで国民皆兵状態も維持し続けた。

 

 また、新型有人機甲兵器の開発研究も継続。

 対電磁加速砲型(モルフォ)、対電磁砲艦型等(ノクティルカ)戦を想定した電磁投射砲や荷電粒子砲を搭載予定の新型超重型有人機甲兵器。首狩りの為に生み出される対高機動型(フォニクス)との戦闘を意識した新型超高機動有人機甲兵器の開発、量産が進められた。

 

 さらには2143年。

 第二共和制政府樹立四年目の節目を迎えた年。

 第二共和制政府初の大統領選が行われた。

 結果は満票を獲得したレイラ・バーンスタインが大統領として選出。

 

 大統領に就任したレイラは共和国主導で全世界を〈レギオン〉から解放する"パクス・マグノリア"を提唱。

 

 共和国市民はこの素晴らしい大解放政策を支持し、国中が熱狂の渦に包まれた。

 

 翌年には量産された新型の荷電粒子砲搭載型〈ハシュマル〉とその随伴機〈プルーマ〉の大量投入によってついに共和国全土の奪還を完了。

 

 ついでに〈レギオン〉によって制圧されていた旧ギアーデ帝国領土の一部も奪還し自国領土として併合。

 

 国号を大サンマグノリア共和国に改め以降も奪還した〈レギオン〉支配域を自国領土に編入させるという解放拡大政策を継続した。

 

 これは、戦時体制が長引くことで万が一不満が溜まって再び革命を起こされないように、市民に対して戦争の成果を誇示する目的があった。

 

 ところが、この拡大政策が新たな火種を生み出してしまう。

 

 これまで他国との通信を遮断していた共和国領土中の阻電攪乱型(アインタークスフリーゲ)が荷電粒子砲によって薙ぎ払われたことにより、ギアーデ帝国を打倒し、新たに成立したギアーデ連邦との通信、国交が回復。

 

 さらに、ギアーデ連邦を通じてロア=グレキア連合王国、ヴァルト盟約同盟との国交が再開されることになり、レギオン大戦下で唯一拡大政策を続ける共和国の行動が問題視されるようになる。

 

 こうして、様々な問題を抱えながらも時が過ぎ、星歴2148年。

 

 第二共和制政府樹立から九年目を迎えた年。

 『86-エイティーシックス』の原作が始まる年だ。

 

 既に、歴史は大きく変わっている。

 シンエイ・ノウゼンは父も母も兄も失っていない。

 〈レギオン〉に首を狩られ〈羊飼い〉になるはずだったシンエイの兄ショーレイ・ノウゼンは、何故か『聖マグノリア自由革命憂国騎士団』に入団し、一時期騎士団団長に就任した後現在は大統領秘書に就職している。

 

 だが、変わらなかったこともある。

 例えば、シンエイは錯乱した兄に首を絞められることはなかったが、階段から滑り落ちて頭を強打して死にかけたことにより、意識が集合無意識の深層、死者の領域に接続されてしまい、以後心の声を聞く異能が死者の声を聞く力に変質してしまった。

 

 また、レーナの父ヴァーツラフ・ミリーゼも〈レギオン〉との戦争で戦死し、遺体も未だ発見されていない。

 

 時同じくして〈レギオン〉たちの中に生きたまま、あるいは死んで間もない人間の脳構造を取り込んだ指揮官機〈羊飼い〉の姿が確認され、戦術の高度化や新型〈レギオン〉の配備が進められている。

 

 そして、歴史は再び大きく動き出す。

 

 ”86-エイティーシックス”という蔑称も存在せず、〈ジャガーノート〉も存在せず、怠惰な白豚も存在せず、『聖マグノリア純血純白憂国騎士団』も存在せず、代わりに出所不明の超技術の高性能兵器群と『聖マグノリア自由革命憂国騎士団』が存在し、白系種、有色種問わず国民皆兵化した革命の信徒たちが暮らす自由と平等、博愛と正義と高潔の国で、ついにシンエイ・ノウゼンとヴラディレーナ・ミリーゼの新たな物語が始まる。

 

 ただ、原作を知る者がこの共和国の有様を見たらきっと驚きながらこう思うだろう。

 

———どう考えてもこのサンマグノリア共和国エアプだろ!?、と。

 

 

 




エアプサンマグノリア共和国産兵器その3

共和国工廠製完全自律無人戦闘機械兵器〈ハシュマル〉

リストラされた〈ジャガーノート〉の代わりに最良の政体を世界で初めて実現した大陸のあらゆる民族に優越するサンマグノリア共和国国民の資産と叡智を投じて作られた全長およそ35.2mの天使の名を冠する最強の兵器。
邪悪な帝国主義者が開発した〈レギオン〉に正義の鉄槌を下すエアプサンマグノリア共和国の力の象徴!

大陸で最も優れた共和国の叡智によって生み出された人工知能(有色種のレイシャ・ノーゼン作の人工知能を発展させたもの)を搭載し、共和国市民の研究の成果と高貴な血の滲む努力(白系種、有色種問わずありとあらゆる研究者、技術者たちの尽力)によって生み出された新型動力炉と新型装甲と新型兵器で武装している自由、平和、平等、博愛、正義、高潔な精神を守護する共和国工廠製の完全自律無人戦闘機械兵器である!
 
また、〈レギオン〉の物量に対抗する為、〈レギオン〉の残骸などから無人随伴機を生産するプラントを装備しており、〈レギオン〉を倒せば倒すほど無人随伴機が勝手に増殖する。

初期型武装 
・頭部電磁投射砲〈通称ダインスレイヴ〉
・腕部クロー
・運動エネルギー弾射出装置
・超硬ワイヤーブレード
・無人随伴機〈プルーマ〉生産プラント
 
発展機として荷電粒子砲〈ビーム兵器〉搭載型、さらにはより強化した発展型後継機の〈モビルアーマー〉の生産も予定されている。

弱点
〈レギオン〉との戦争が終わった後〈レギオン〉のように暴走する可能性がゼロではない。(エアプでも一応世界に迷惑をかける可能性がある共和国クオリティ)
 
元ネタは鉄血のオルフェンズのモビルアーマー〈ハシュマル〉
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