誠実な天使達
長い旅、様々な出会い
あなたがこのキヴォトスに来て経験した物達
周回という概念が無いこの世界では何もかもが新鮮で、楽しい物である
最初こそ慣れず怪奇な目に晒されていたがもう慣れたものだ
今は面倒事を避ける為にこの世界の服を着ている
適当なカッターシャツだ、古臭いコートよりは見た目は良いだろう
最近の服は素晴らしいものでかなり動きやすくなる
行動範囲が制限される鎧とはまた違った良さがある
最終的に鎧の意味が無くなるほど敵が強くなり、装備を軽くして回避に専念するようになったあなたには丁度良いものであった
着心地は前のロングコートより良いし、何よりもコートよりも軽いのである
「……」
そうした新しい物を持って、新しい場所へと赴く
今回そうして訪れたのは…トリニティ総合学園
いわゆるお嬢様学校という奴だ
あなたが居たロードランでも、そういった貴族…お姫様は宵闇のあの人位だったろうか
…あぁ、後はあの巨人墓地へ行った聖者達もだろうか
助けには助けたものだが、その後がどうなったのかなど知らない
あの金髪を生かしているから恐らく図書館にて亡者にでもなっているだろう
もはやどうでも良い事だ、気にすることでもない
大きな門の前であなたはそう思った
今はどうやら閉まっているらしく、空く気配が無い
なんなんだろうか、これは…外からの人を拒絶しているのか?
「そこの人ー、どうかされましたか?」
そうして門の前で右往左往していると、後ろから声がした
そちらの方を見てみれば、髪の長いベレー帽を被った女が立っていた
彼女の後ろには似たような服装をした奴らが居る
…その細目を見て、あなたは胡散臭いと思った
何とも、信用出来ない細目野郎だと心の中で呟く
後々後ろから刺してきそうだ、何故か分からないが…
あなたは胡散臭い彼女に対して、旅の者だと言った
その言葉に対して彼女はある種の納得をしたようだった
「あぁ!噂の旅人さんっすか!……右往左往してるから不審者にしか見えないっすよ」
…どうも門の前でうろちょろしているのが不審者のように見られていたようだ
まぁ仕方ない話ではあるか、実際そうにしか見えない動きだったろう…
あなたはその事に関して謝りながら中に入っていいかと質問した
彼女はそれに対して軽く頷いて承諾してくれた
「私は仲正イチカっす、今後ともよろしくお願いしますよ」
あなたは彼女の自己紹介に対して、自身は旅人だと言った
名前など忘れた、何かあだ名で呼ばれるよりはそう呼ばれた方が楽である
「それじゃ、中にどうぞ、旅人さん?」
彼女が軽く手を振ると開きそうに無かった門が音を立てて開く
先導するように歩く彼女にあなたはついて行った
そうして、あなたは正門から中に入ったのであった
○
荘厳な建物だ
あなたが中に入って思ったことはたったそれだけだ
たった、とあるがそれだけでも凄まじい物である
建物の大きさや装飾の荘厳さと言ったら、かのアノール・ロンドに迫るものがある
というか、かなり似ている気がする…何故か分からないが…
少し歩いて行くと、イチカが止まり何かを手渡してきた
シャーレの先生が首にかけている薄い板のような物だ
【来賓】と書かれている辺り、身分証明のようなものか
「これがあれば基本的な所は回れるっすよ、……ダメな所はダメっすけど」
ダメならば行ってみたくもなるが、それで問題を起こせば後々困るのはあなたの方だろう
ロードランのようにはいかない、キヴォトスでは個人との敵対なんて言う物じゃなく、学園そのものと敵対するのだ
子供達だからと侮っていればやられるのはこちらだ、学園同士で腹の探り合いのような事をしているヤツらなのだから…
数で潰されるのはもう沢山だ
あなたはそう思いながら適当に歩いてみることにした
行き当たりばったりだがロードランでもそうだった、何も違わない
面倒事にならないよう、あなたはアリウス製ライフルを装備している
あれから返していない、というか返す気も無い
再開した時に新しい物を持っていたから返す気は無かった
コイツが使いやすいというのもあるだろうがね
あとロードラン製の武器達はこの世界で時代遅れな為、変に目立つというのがある
モモッターなるものであなたはかなり注目されてしまったのだ、変に人を呼び寄せることになるだろう
あなたの得意武器が封じられるというのは悲しいことだが、面倒事になるよりは幾分かマシだろう
それにソウルの業によっていつでも武器は手に出せるのだ、気落ちする程でも無い
「…おや、あなたは…?」
そう思いながら歩いていると、ふと声をかけられる
見てみると、そこにはいかにもお嬢様と言った雰囲気を纏った女の子が居た
背中に翼が生えている、最初見た時はこのようなデーモンが居るのかと驚いたものだ
…それがデーモンのそれでは無いと知って更に驚いたものだが
「シャーレの先生のお知り合い、…旅人様でしょうか」
あなたはそうだと言いながら彼女が誰であるか考えていた
胸元にコップのワッペンが貼られている、ティーパーティーという英語もある
…確か、ティーパーティーはここの長的な存在だったような………
「私は桐藤ナギサ…ティーパーティーの代行ホストです
ㅤたしか、エデン条約の時にお見かけした気が…?」
あなたは彼女の自己紹介に自身は旅人だと返しながら、後半の質問を否定した
エデン条約の時、あなたはこの場に居なかった
それはきっと、何かしらの幻影だったのだろう
あの時はかなり忙しかったから、見られていたのかなんて覚えていない
「一先ず、私達トリニティ総合学園はあなたを歓迎しますよ
ㅤ…仲良くした方が、我々にとって得でしょうから」
彼女はそういって柔らかく笑ったが、その瞳の中にある意思は物騒なものであった
なるほど、トリニティが他所で面倒だと言われる理由がよく分かる
誰も進んで腹の探り合いなどしたくない、特にあなたは気楽にやりたいだろう
……それはそれとして、ゲヘナと"あんな関係"はどうかと思うが
「案内が必要でしょうか?必要ならば私が案内して差し上げすよ?」
彼女はそう言う
しかしそれをあなたはNOと断った
この先に何があると言われて、楽しめるものか
先に何があるか分からないこそ、楽しさというものは倍増するのだ
「振られましたか…まぁ、いいでしょう…ごゆっくりしていってください」
彼女は悲しそうな顔をして、その場を離れた
含みのある顔だったが、あなたはそれ以上を気にしなかった
逆にいなくなってようやく動けるとせいせいしたのではないか?
あなたは辺りを見渡しながら、次の場所へと足を運んだのであった
○
「…やはり、似ている」
ナギサはそう呟いた
燃え盛る業火のような瞳、そこにある燃えたリング
意志の無い灰に見えて、その実燃え盛る業火
「…もしかして、あの成約も……?」
トリニティに古くからある成約
今も尚続くその古い信仰達
それは、イジメや何がその信者を襲う時に発動する
影よりその蒼き人影は現れた…害する者を退ける為に戦う
正義実現委員会が追っても、その影は闇に消える
調査に乗り出しても誰も知らないと言う始末
「…白教、青教………そして────」
ナギサは懐からとあるシンボルを取り出した
それはまるで、三日月に剣が飾られたようなアクセサリー
しかしそれは古い神の刃であり…不届き者を罰する刃
未だにその刃を見たことは無い、しかし────私は、あの場で見た
月明かりのような大剣を持ち、迫り来る5人のアリウス生徒を切り払う……青い正義を
その、神の刃は─────
○
教会
あなたにとって教会とは基本的にロクでも無い場所である
…いや、教会というかこういう構造の建物と言うべきだろうか
両側に柱が一定間隔で設立され、像が一番奥に設置してある
椅子が置かれていたり置かれていなかったりするが…ロードランは無かった
イルシールではあった、というかそういう時は大体強敵が居た
ロードランでは不死街にバーニス騎士、そしてバルデル騎士
そしてアノール・ロンドにオーンスタインとスモウ
そしてイルシールではサリヴァーン……
…いや、サリヴァーンって誰だよ
脳裏に知らない記憶が混じった事にあなたは毒づきながら教会の中に入り込む
神聖な空気だ、パイプオルガンの音楽が流れている
こちらはどうやらアノール・ロンドに似た様式のようだ
長椅子がある点だけはイルシールに似ている
今回は人が少ない、数人のシスターらしき生徒が居ることしか確認出来ない
「…初めまして?でしょうか…?」
教会に現れた突然の男性に皆困惑している様子だったが、1人のオレンジ色の髪をした子が話しかけてくる
太陽のような優しさを感じられる声だ、グウィネビアは2人居た…?
あなたは自身が旅人であること、旅の途中でこのトリニティ総合学園に寄った事を説明した
「あなたがあの話題の旅人様ですか!長旅お疲れ様です!」
彼女はそう言ってどうぞどうぞ、と長椅子に手を伸ばした
座って休め、ということだろうか?疲れは感じないものだが、好意を無下にも出来ない
彼女の好意に乗ることにしよう
「私、旅人様のお話を聞いてみたかったんです!」
彼女はぱぁっと笑いながら言った
相当楽しみにしていたのだろう、シスターの頭巾に隠れているが獣耳がピコピコと揺れている
…にしても、あなたのお話か…何がいいものだろうか?
色々あるものだが…どれも暗く惨いものが多いように感じる
…ふむ、こういう系は竜が1番楽しめるだろう
あれに限っては他に比べて悪意も何も無い、純粋な挑戦であった
もっとも、楽しめるものであろうからな
あなたはそう思いながら、彼女…シスター・マリーに対してかの厄災の竜について、お話した
○
彼女にとって、それは壮大なものだったのだろう
ずっと目を輝かせて、それを聞いていた
ずっと笑顔でその竜狩りを聞いていた
もう狩る獲物が居なくなったかの巨人については少し悲しそうにしていたが、それ以上の興奮があったようだ
「その奇跡?って凄いですね、雷を飛ばすなんて……」
彼女はその物語を聞き終わってそう言った
あなたから言わせて見れば、雷を当たり前のように扱っているキヴォトスがおかしい
なんでも機械やなんやらは電力なるもので動くそうだ
神の武器でもある雷を、生活の為に有効活用している
昔ならば恐れ多く誰も出来なかったろう、ていうか無理だろう
そう思いながら、あなたは立ち上がった
「もう行かれるのですか?」
あなたは頷く
そろそろ別の場所も見てみたいものだ
旅人故に、いや、好奇心故にあなたはこの世界を歩いている
見たことの無い物、者、世界、武器
まだまだ、このキヴォトスは広い
教会から去ろうとするあなたの背中に、マリーは言った
「…あなたに炎の導きがあらんことを」
あなたはそれを聞いて、少し止まってしまった
ふっ、と笑ってあなたは止まった足を動かしたのであった
旅人の旅路!〜キヴォトス編〜
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全部書いて♡かけ(豹変)