ソードアート・オンライン ー浅葱の剣聖ー   作:狂華翠月

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第九話 《神速》

 

皆さんのお陰で1000UAいきました。ありがとうございます。

 

シリアス回を挟んだので今回はキリトとアスナがかなりイチャつきます。やはりキリアスは素晴らしい。

 

 

 

???「見ろ!これがSAO(ラピュタ)メインヒロイン()の力だ!」

 

???「大丈夫だよ、シリカ、リズベット。私はやや劣勢?なシリカやリズベットを応援してる」

 

 

 


 

 

 2024年10月17日

 

 

ー第74層ー

 

 

 互いに獲物を振るい、それぞれのターゲットを仕留めた私とキリトは武器をしまいながら、リザルト画面を確認していました。

 

 

「どうですか、キリト?」

 

「ドロップした。これであと五個だな……」

 

「そうですか。こっちはもう措定された量を集めきったので……」

 

「悪いな、ソウジ……付き合ってもらって」

 

「いえ、こちらこそ気を使っていただいてすいませんね」

 

 そう言って、互いの間に若干の気まずさが漂う中私たちは狩りを再開しました。どうして、キリトとパーティを組んでいるのかの理由については今朝まで遡ります。

 

『一緒に採集クエストに行かないか?』

 

 というメッセージがキリトから送られてきました。討伐戦での一件で、あまり関わることがなかったんでそれ以来でしょうか。

 

 私が思っていた以上に彼はあの時のことを気にしていたらしい。誘いに乗るかも迷いましたが、結局こうしてクエストに参加したといった経緯だ。

 

「よし、これで終わりだな!って、おおっ!」

 

 そんなことを思い返していると、キリトが急に素っ頓狂な声を上げました。何かみつけたんでしょうか

 

「お疲れ様でーす。キリト、どうしたんですか?」

 

「ああ、ありがとな、ソウジ。で、これ見てくれ!まさかのS級食材だ!」

 

「な、本当ですか!確かに本物ですね。S級アイテムなんて実物初めて見ました。流石キリト、持ってますね!」

 

「よし、それじゃあそこ行くか!」

 

 キリトの言葉に頷き、私たちは主街区のカームデットに向かいました。

 

「…………」

 

「…………」

 

 道中は互いの口から言葉が発せられることはなく静かなものだった。すると突然前を歩いていたキリトが足を止めこちらに向き直る。

 

「その、ソウジすまない!」

 

「え…」

 

 突如頭を下げられ、思わず体が固まる。

 

「あの時俺がもっと動けていれば…お前が手を汚す必要も、あんな風に言われることも…」

 

「キリトが気を病むことはありませんよ、私が自分で動いただけですし」

 

「………」

 

 そうしてぎこちないながらも会話を交わしながら歩き始めました。

 

「……そういえば、アスナとは最近どうなんですか?色々噂聞きますけど」

 

「なぁ!?……なんでアスナの名前が出てくるんだよ!?」

 

「いや、流石に無茶ありますよ……未だにばれてないと思っているんだったらキリトの目は節穴ですよ。で、そこら辺どうなんです?」

 

「ああ………実は最近プロポーズを考えていてな」

 

「遂に攻略組最強の一角《黒の剣士》、《二刀流》キリトと、《血盟騎士団》の副団長《閃光》アスナのビッグカップル誕生、というわけですか。そうなったらアルゴさんの新聞の見出しはこれで決まりですね」

 

「よ、よせ。まだ実際にはしてないんだから。それで、お前にはそういう話ないのか?浮ついた話とか一切聞かないからな」

 

 

「……私は色恋沙汰とかそういういったのには疎いみたいでなんとも。それに以前あんなことがありましたしわざわざ近寄ってくる人なんていないですし」

 

「………」

 

「ま、一番の原因はここにいるキリトのせいだと思いますが」

 

「コフッ!!」

 

「どうしたんですか?」

 

「いや藪蛇つついたせいで特大ブーメランが帰ってきた気分になっただけだ。てか、お前は俺をなんだと思っている!」

 

「………歩くフラグ製造機?」

 

恐らくだが違う!

 

「アスナからまた新しい女の子がなんて話を聞きましたよ。確か鍛冶屋のリズベットさんでしたか、あの人の武器お気に入りなんですが。どちらにせよ節度を守ってくださいよ。ちゃんとアスナのこと大事にしてください」

 

「……………ああ、分かった。だからその認識は改めろ、俺はアスナ一筋だ!」

 

「何だかんだ頼られたり勢いに押されてキスぐらいしてるんじゃないですか?」

 

「……」

 

「私からは何も言いませんがアスナに捨てられないようにして下さいね。キリトさんならわかってると思いますけど」

 

 という会話を繰り広げ、ややテンションが低めなキリトをジト目でみつつ目的地に到着しました。

 

ーエギルの店にてー

 

「お久しぶりです、エギルさん。お店は相変わらずですね」

 

「ああ、久しぶりだな。ま、そこは多めに見てくれ」

 

「で、エギル。今日はこれを買い取ってくれるか?」

 

「おいおいおい……キリト。これって、噂のS級アイテムだろう?」

 

「まぁな。運よくエンカウントしてさ」

 

 来店した私たちを迎えたのは、チョコレート色の肌をした巨漢。筋肉質な巨躯にスキンヘッドという風貌は、プロレスラーを思わせる雰囲気を思わせる。何か格闘技やってたりしたんでしょうか?エギルさんとは第1階層攻略以来の仲で頼れる大人の人という感じです。整理整頓が出来てないのはマイナスですが。

 

「売っちまっていいのか?お前ら、金には困ってないだろ?自分らで食おうとは思わなかったのか?」

 

「そりゃ思うけどな……」

 

「ですがキリトには……」

 

「でも、俺は《料理》スキルなんて取ってないし、それにS級食材を扱える程スキルを上げてる奴も心当たりが………」

 

「キリト君、ソウジ君」

 

 その時後ろから見慣れた気配が近づいてきました。

 

「ちょっとキリト君、私を忘れるってどういうわk」

 

「シェフ確保!」

 

「な…………距離が近いわよ

 

 アスナ、嬉しそうな顔隠せてませんね。キリトの行動からも彼の異様な異性からの好かれようが伺える。いつか刺されても知りません。

 

 そんなキリトとアスナ(バカップル)のやり取りをジト目で眺めていますと、それが面白くないのかアスナの後ろに居る髪を後ろで束ねた痩せた男が、キリトに殺気に満ちた視線を向けています。目の前で若い男女が戯れることに腹が立つんでしょうか。……気持ちは理解できなくないですが。キリトはアスナに謝りつつ、今日の一番の戦利品をストレージから取り出して可視化させる。

 

 

「ちょっと!うそっ!これって……S級食材の『ラグー・ラビットの肉』じゃない!」

 

「ああ。ソウジとクエストに行っててさ。その帰りに運よく見つけたんだ」

 

 どうやらアスナにも事情が伝わったようです。

 

「アスナ、今《料理》スキルっていくつくらいだ?」

 

「《料理》スキル?それなら、先週完全習得(コンプリート)したけど?」

 

「「なっ!?/遂にですか」」

 

 アスナは自身満々に言ってのけ、キリトとエギルは驚き、私も感嘆の声を上げる。料理スキルって、上げるのめっちゃくちゃ大変ですから。凄いのですが……でも、その反応は失礼だと思います、キリト。

 

「じゃあアスナこれを料理してくれるか?この調理を半分ずつ「了解したわ」ありがとな、取引成立だな」

 

「い、いいけどよ。キリト、俺達ダチだよな?俺にも味見ぐらいくれたり……」

 

「800文字以内で感想文を書いてきてやるよ」

 

「そ、そんなこと言わないでくれよー」

 

「エギルさん、もし私がS級食材が取れたら一緒に食べましょう。いつもエギルさんにはお世話になってますし」

 

「ソウジ。お前だけが俺の味方だ!」

 

 流石に可哀想じゃないですか、キリト。まぁ、エギルさんの頼りになる大人という評価は取り消させていただきますが……アスナの護衛─クラディールさんが物凄い視線でキリトとアスナの夫婦漫才をにらみつけていたのを確認しながら──目の前の光景にいら立っているにはやや殺気が込められすぎな気がしますが──そのまま、キリトたちと別れ、私は自身の拠点へと戻りました。

 

 2024年10月18日

 

 

「お待たせしました、キリト。今日は迷宮区に行くんですか?」

 

「うぉ、ソウジか……ビックリさせないでくれ。アスナと待ち合わせてるから問題ないな」

 

 74層迷宮区前の転移広場に私はキリトに誘われて合流しました。

 

「で昨日はどうでした?……アスナさんとの進展は」

 

「ま、まぁアスナの料理したラビー・ラグットの肉は美味かったよ……」

 

「あまり大した成果ではないですね。……そんなもんですか」

 

「あのな……お前は一体何様なんだ。勝手に期待して勝手に失望するな」

 

 とキリトをちょっとからかいながら話しているとき、転移門から青いテレポート光が発生した。空中に人影が実体化し、

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!よ、避けてー!!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 

 その人物──アスナはキリトに飛んでいき、二人は地面に転がっていきました。そして、そのまま……

 

「や、やーーーー!っ!?」

 

 次の瞬間、今度はキリトが地面を転がっていきました。些か古典的じゃないですかね。持ち前の感知能力を活かして回避を行いつつ、現実世界だったらギャグ間違いなしの光景を眺めていますと駆け足で先日の可哀想な人が遠くから駆けてきます。いよいよ堪忍袋の緒が切れたんでしょうか。

 

「アスナ様、勝手なことをされては困ります……!」

 

 アスナと同種の血盟騎士団の隊服を纏った、アスナの護衛を務めている、若い恋仲の二人が気に入らない中年──クラディールさんが近づいてきます。眉間に皺を寄せ、凄まじい剣幕で迫る彼に少し警戒心を抱きます。

 

「さぁ、アスナ様、ギルド本部まで戻りましょう!」

 

「嫌よ!今日は活動日じゃないわよ!大体、貴方、なんで朝から家の前に張り込んでいるのよ!!」

 

「護衛のためです!」

 

「そ、それ……団長の指示じゃないでしょ!?」

 

「もちろん!私の任務はアスナ様の護衛です!それにはご自宅の監視も!」

 

「含まれないわよ、バカ!!!」

 

 彼、ストーカーだったんですか…昨日イラついていたのは単純に自分の尊敬するアスナに、キリトが近づくのが許せなかっただけ……全然考えていること違いましたね。

 

「聞き分けのないことを仰らないでください……さぁ、本部に戻りますよ!」

 

 そう言って、クラディールがアスナの腕を掴もうとした時……

 

「悪いな。お前さんのトコの副団長は、今日は俺の貸し切りなんだ」

 

「それに、嫌がる女性を連れていこうとするのは、いくら血盟騎士団とはいえ許されないことではありませんか?」

 

「貴様ら……!」

 

 キリトがクラディールの腕を掴み、それを制止し、私がアスナを庇う様に前に立ちましたた。それに対し、クラディールは物凄い表情でこちらを睨みつけてきます。

 

「アスナの安全は、俺たちが責任を持つよ。別に今日、危険なことをやろうって訳じゃない。本部にはあんた一人で戻ってくれ」

 

「ふ、ふざけるなよ!!貴様らのような雑魚にアスナ様の護衛が務まるかぁ!」

 

「……少なくとも貴方みたいなストーカーまがいな行動を取って護衛対象に怖がられる人よりは上手くやれると思いますよ」

 

「こ、このガキが!そこまで言うのならば私に実力を示してもらおうか……!?」

 

 そう言って、クラディールはウィンドウを呼び出すと、私の前にシステムメッセージが出現します。デュエルの申し込みでした。

 

「………いいですかね?」

 

「大丈夫……団長には、私から報告するから」 

 

 私はアスナに視線を向け許可を取ります。意図を読み取ったアスナの言葉に私はシステムウィンドウを操作して、デュエル申請ウインドウの初撃決着モードを選択し、受託します。

 

「……分かりました、このデュエル受けて立ちます」

 

 そして、デュエルの開始は承認され、空中に60秒のカウントが表示されます。

 

「ソウジ……負けるなよ」

 

「私を誰だと思っているんですか?あまり舐めないで下さい」

 

 デュエルの舞台の外側から送られてくるキリトの声援に、返事を返します。お互いに武器を構えたまま、カウントがどんどん減少してきます。カウントに反比例するがごとくデュエルの舞台にどんどんと野次馬が集まり、広場には人の輪ができていました。そして

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 カウントがゼロになり、「Duel!」の文字が飛散したと共に、クラディールが一気に飛び出すように近づいてきます。それに対して私は一歩も動かないで新しく用意した「菊一文字則宗」を構えます。

 

 

ーキリトside ー

 

 

 ──ああ……勝負あったな……

 

 俺はデュエルが始まった瞬間ソウジの勝ちを確信した。

 

 そもそもソウジの戦闘スタイルはユニークスキル《神速》などを利用した圧倒的な俊敏値を活かした立ち回りを得意としている。「私もヒースクリフさんと同じでイエローに突入したことないんですよ」だったか「全部避ければいいんですよ」ってなんだ……

 

 まぁそんな奴にクラディールは付いて来れないだろう。その上アイツの剣は他に追随する奴がいないほどの腕前だ。ソードスキルがなかったらヒースクリフですらアイツに勝てる気がしない。それに馬鹿みたいな感知能力や空間把握能力、動体視力といったものがアイツの強さを底上げしている。

 

 アイツは一人だけ見ている世界が違うんじゃないか?何だよ剣筋を見ながら適当な角度で刀を添えることでソードスキルを全部受け流せるって……そしてあいつは戦闘中の直感といったものがおかしい。未来視の域に入っているんじゃないかと思ったこともあるほどだ。

 

「そろそろ片が付くな」

 

 

ーソウジsideー

 

 クラディールの握った大剣からエフェクトを迸らせてのスタートダッシュは、ソードスキル発動を示しています。繰り出されるソードスキルは恐らく、大剣ソードスキルの上段ダッシュ技「アバランシュ」ですね。大剣系のソードスキルの中でもバランスの取れた高威力・高レベル技です。

 

 ──ですが、私にその技はちょっと悠長すぎですよ。

 

 クラディールが剣の振り上げに入った時には、既に私は軌道上にいません。間合いを瞬時に詰めクラディールの大剣の腹の中央部を、何度も斬りつけます。互いの攻撃が終わり距離を取り直した時

 

 ──パキィンーーー!!!

 

 金属が折れる音がし、細々とした破片が空を飛びました。クラディールの両手剣ソードスキル《アバランシュ》に対し、私が技の出終わりの攻撃判定が存在しない状態の時に、《武器破壊》を狙った連撃が決まった形です。

 

「まだ武器を変えてやるのなら、相手になりますが?」

 

「な、何が…… ア、アイ・リザイン……」

 

 私の言葉にクラディールはそうして降参をしました。そして、周りの群衆が歓声を上げた時

 

「このぉ……!」

 

 私の言葉にクラディールは舌打ちすると、新たな武器として短剣を取り出してそのまま、私に突撃して来ます。だがその時、衝突の間に入る者が現れました。

 

「……そこまでです、クラディール!」

 

「ア、アスナ様……!?」

 

 細剣でクラディールの短剣を見事に弾き飛ばしていました。アスナがクラディールに向かい合います。

 

「あいつが何かしらの小細工を!武器破壊も、何か仕掛けがあったに違いないんです!そうでもなければ、この私が、大量殺人者なんかに負けるはずが……!」

 

 私のことをどうこう言うのは一切構いませんが、自分の敗北くらいはしっかりと認めて欲しいものですね。

 

「クラディール、血盟騎士団副団長として命じます。本日をもって、護衛役を解任。別命があるまでギルド本部での待機を命じます」

 

「そ、そんな……この……!」

 

 私に憎悪の眼差しを向け呪詛を吐きながらも、転移門に向かい、《血盟騎士団》の本部があるグランザムへと転移した。野次馬は散っていき、私たちだけが残されました。

 

「ごめんなさい、嫌なことに巻き込んじゃって……」

 

「私はそこまでの被害を被ってないですし大丈夫ですよ」

 

「……俺も大丈夫だ。それよりも、アスナは大丈夫なのか?」

 

「……ええ。今のギルドの空気は、ゲーム攻略だけを最優先に考えて、メンバーに規律を押し付けた私にも責任があるから……」

 

 確かに一時期アスナは現実への不安から無茶な攻略を繰り返していた時期がありましたからね、実際高校受験などを含め色々ストレスになることがあるでしょうし。まぁその時もキリトのお陰で落ち着いたんですが…

 

「だけど、そういうアスナの頑張りがあったから、ここまで攻略が進んだだろう?戦いを攻略組が諦めなかったのもアスナによるものだろ?確かにやり方は問題があったのかもしれないけど、結果としてここまで来れたんだ。少なくとも俺は評価するから自分だけを責めるなよ」

 

「……ありがとうね、キリト君。お陰で元気が出たわ」

 

 真剣な表情で、互いを見つめ合う二人に話しかけるのは若干気が引けますが

 

「……もう私帰っていいですか?二人で乳繰り合うなら拠点でしてくれます?」

 

「うわぁ!?」「え!?」

 

「……本人たちが気にしないのなら構いませんがせめて足を動かしてもらえますか?」

 

「わ、悪い……!」「ご、ごめんなさい……」

 

 何でしょうか、これで付き合ってないっていうんですから不思議ですよね。せめて人前でイチャついていることぐらい否定したらどうなんでしょう。

 

 

ー74階層ダンジョン内にてー

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 アスナの見事な細剣8連撃ソードスキル《スター・スプラッシュ》がリザードマンに決まり、敵をポリゴンに変えた……のはいいのですがあれ、私本当にいらない感じですか?さっきの八つ当たりですか?

 

 キリトとアスナの華麗なコンビネーションに俺を目の前に私はこんな感想を抱いていますと二人は昨日の夕食について話し始めます。

 

「いやー、ホントに昨日のラグー・ラビットの肉は美味かったな。勿論素材の力もあるだろうがアスナに料理してもらったのが良かったな。毎日料理して貰いたいぐらいだ」

 

「そ、そんなキリト君褒めたって何も出ないわよ。今日も夜ご飯食べて行く?って毎日ってそれ……

 

 ──頭がピンク色いボケてるんでしょうかこの二人?

 

 私を一切気遣うことなく、キリトとアスナは二人だけの世界を作っています。そろそろお二人に声を掛けさせて頂きましょうか。

 

「お二人ともとても楽しい会話を夢中になってされていたようですね。で、お話し合いは済みましたか?」

 

「「えっ?……あ」」

 

「……つまり私はあなた達の眼中にも入らないような同行者Aということですね。よく分かりました」

 

「い、いや、そんなことはない。すまない、アスナとの会話が楽しすぎて少し羽目を外してしまってな」

 

……わ、私との会話が楽しいって。そんな ソウジ君、キリト君は悪くないわ!私が振った話題にキリト君が答えてくれただけなの」

 

 ──これはもしかしてどうやっても惚気られるだけですか(真理)

 

「いえ、もう何でもありません。あなた達にそんなことを求めた私が馬鹿でした。もう私は案山子とでも思ってください」

 

「……ソウジって意外と辛辣な一言ぶち込んでくるよな」

 

「いい加減口閉じてもらえますか?」

 

 ……もう気を遣っても、遣わなくても、疲れるだけだと気が付き悟りの境地に至った私は黙々と迷宮区を進むことに決めました。憂さ晴らしに必要以上に敵を切り捨てながら進んでいきます。そして、迷宮区の探索を進めていくと一つの部屋にたどり着きました。

 

「……ボス部屋ですね」

 

「……どうする?」

 

 回廊の突き辺りで、怪物のレリーフがびっしりと施された巨大な二枚扉が現れました。残りのマップの空白部分と、周りのオブジェクトの変化から推測してそろそろ辿り着くと思っていた私や他の二人もその扉の前で止まります。

 

「良し、行くか!」

 

 アスナの問いかけに、キリトが扉を開こうとして、慌ててアスナが止める。

 

「ちょ、ちょっと待って!本気!?」

 

「いや、ちょっと様子を見るだけだ。ボスの行動パターンや装備、特徴なんかは見ないと対策の立てようがないだろう?やばそうになったら、すぐに逃げるし……転移結晶の用意はちゃんとしてるし」

 

「私も一応賛成です。やはり情報は集めていて損はありませんしね」

 

「……それもそうね」

 

「よし、行くか」

 

 扉が開いた向こう側に足を踏み入れると見えるのは、どこまでも広がる闇。そしてアスナやキリトもソウジに続いて部屋へと足を踏み入れた時に異変は起きた。部屋の中に設置されている松明に、青白い炎が灯り、部屋全体を照らし出す。

 

 ソウジたちの視線の先には巨大な影が立っていた。やがて鮮明となって見えてきたのは筋骨隆々とした身体に山羊の頭、蛇の尻尾を持った、「悪魔」だった。その名も、『ザ・グリーム・アイズ』。紛れもない、七十四層フロアボスだ。ボスはソウジたちの姿を確認するや否や、斬馬刀を振り上げ、近づいてくる。

 

 

 ──GYAOOOOOOOOOOOOOOO!!!

 

「ん?」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

 ボスを見ると同時にキリトとアスナは私を置いて逃げ出して行きました。何のために入ったんでしょうか?別にこれ、そんな怖くないと思うんですけどね。私は刀を構えつつ、ボスが放つソードスキルを後ろへと飛び下がり回避します。

 

「うーん、戻らなかったら戻らなかったで怒られそうですしね。最低限、行動パターンだけ見てから戻りましょうか」

 

 ボスを引き寄せつつ次々と繰り出す攻撃をギリギリのところまで見極めてから、回避する。地響きを引き起こす雄叫びを上げつつ、斬馬刀を振り回し床に幾つもの孔を開けてソウジを追いかける。ソウジは壁際まで誘導した後は『壁走り』でボスの意表を付く形で出口まで走り抜けた。

 

「大丈夫か?ソウジ」

 

「ほー、私を捨てて逃げた貴方がそれを言いますか」

 

 ボス部屋を脱出し、キリトとアスナがいた安全圏に合流しました。

 

「い、いや……あの迫力はな……」

 

「ご、ゴメンね……おもわず」

 

「……まぁ、しょうがないですね」

 

 そんな言い訳を聞き流しつつ先ほどのボスの話を始めます。

 

「なるほど、そんな挙動が……めんどくさいな」

 

「それにしても、あれは苦労しそうですね」

 

「そうだな。武装は大剣だけだが、特殊攻撃がありそうだ」

 

「スイッチしながら殴っていきたいからそうなると、前衛にタンクを10人は最低限欲しいわね……。とにかく骨が折れそうだわ」

 

 そんなやり取りをしつつ、お昼過ぎなので昼食を食べます。自分はおにぎりを胃に収めていると

 

「さっきのお礼として食べてくれない」

 

 とサンドイッチを手渡されました。焼かれた肉や新鮮な野菜、そしてスパイシーな香りに、一気に空腹を覚えます。

 

「ありがたくいただきます。ん、やっぱり和食もいいですけどお肉も良いですね」

 

 口を開けて齧り付くと、かなり濃いめの甘辛い味が口の中いっぱいに広がり、肉の肉汁と新鮮な野菜とソースが絶妙にマッチしていました。

 

「アインクラッドで手に入る約百種類の調味料が味覚再生エンジンに与えるパラメーターを全部解析して作ったのよ」

 

「何というかすごい執念ですね」

 

「それでこんなものも出来たのよ」

 

 そう言ってアスナは黄緑色の液体が入った小瓶を取り出してきました。

 

「…………!」

 

「きっと驚くわよ、舐めてみて」

 

「……醤油、ですね」

 

「フフフ!驚いた?苦労したわ……」

 

「ええ、驚きました………」

 

「って、どこか良くなかった?」

 

「いえ、ちょっと、すいません、久しぶりの醤油に感動して」

 

「そんなに良かったの?まぁ嬉しいんだけど流石に大袈裟じゃない?」

 

 驚いてしまった理由を誤魔化しつつサンドイッチを食べ進めていると見知った気配を感じました。

 

「……!」

 

「どうした?ソウジ」

 

「いえ、知り合いが向かってきたので」

 

 そうして近づいてきた一行は

 

「疲れた……お、キリト、それにソウジじゃねーか!久しぶりじゃねぇか!」

 

「久しぶりだな、クライン」

 

「お久しぶりです、クライン」

 

 旧知の仲で、ギルド『風林火山』を率いるクラインとそのメンバーでした。

 

「おめえらも元気そうで良かったぜ。そういえば、キリトの後ろにいる人…は?」

 

「あー、ボス戦で顔合わせしてると思うけど、紹介しとくよ……こいつはギルド《風林火山》のクライン。いざってときはかなり頼りになる。で、こっちは《血盟騎士団》のアスナだ」

 

 紹介され、アスナは小さくお辞儀したのだが、クラインは緊張で固まってしまっています。

 

「おーい、大丈夫か……?」

 

「……はっ!?……こ、この人がキリトの……ぐぎぎぎぎ。どうもク、クラインっす!キリトをどうか頼む!」

 

「「なっ!/クライン!」」

 

「いや、アスナはキリトの彼女じゃないのか?前そんなこと言ってなかったか?嫌だったら謝るぜ」

 

「………………」

 

「………へー」

 

 クラインにいきなり衝撃発言をかましたキリト。思わず固まるキリト。そのキリトを期待のまなざしで見つめるアスナ。かなりカオスな状況ですね。んー、ハッキリ言ってキリトは自業自得です。

 

「………………!」

 

「ソウジ君?」「ソウジ、どうしたんだ!」

 

 こちら側に近づいてくる大量の気配に警戒を強めます。キリトとアスナにも警戒を促します。そこに現れたのは……

 

「あれは……軍ですか……?」

 

 そこに現れたのは……強硬派で知られる『軍』でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 この二人いくらでもイチャつける(確信)。何か自然と筆が進みました。……恐ろしい。

 いつかキリトは凶器で刺されないといいですけどね。本人はアスナ一筋なのに。

 大分オリ主が人間やめてますがベースがあの人ですし。是非もないヨネ!
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