鬼を滅するは呪いの刃   作:トロピス

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色々と時代設定がおかしいですが、話の内容的にはあまり支障が出ない程度にします!

色々と駄文ではあると思いますがよろしくお願いします!


1話

「…ここはどこだ?」

 

見渡す限り木しかないことから、ここは森の中だと推測する青年。

 

 

「…にしても油断した。まさか呪霊に飲み込まれるとはな」

 

青年は先ほどまでの出来事を思い出しては、頭を抱え深い溜息をこぼした。

 

(…記憶はある。宿儺との最終決戦で生徒を庇って俺は一度死に、縛りと術式の効果で過去に戻った。

前世の経験を踏まえてより厳しい鍛錬を続けて、前世の時よりだいぶ早く強くなれている。

ただ、悟たちとまた学生できるのが嬉しくて、四人でまた任務に行けるのが楽しくて警戒を忘れていた。

これはだいぶ反省だな。とりあえず、みんなの下へ戻るためにも、今の状況を整理しないとか)

 

青年はゆっくりと森の中を歩き調査をはじめる。周囲の呪力を探ったり、時折、周りの木に触れてみたりと念入りに確認していく。すると、青年はどこか違和感を感じ始めた。

 

(どういうことだ…周囲の木どころかここら一帯、一切の呪力を感じない。まさかここは呪霊の中ではなく、どこかに転送された?)

 

限られた情報のなかで状況を整理していく青年。すると自身のスマホから着信を知らせるバイブが起きた。

相手の名前は五条悟。圏外と表記されているのにつながるそれに少し怪しむも、情報が欲しいため通話をオンにする。

 

「もしm『おい!世那(せな)大丈夫か⁈今どこにいる!』…びっくりした、こっちは元気だよ、悟」

 

予想外の声量に思わずスマホを遠ざける青年─柊木世那は同級生の焦った声音に驚くと同時に、そんなに心配されていたのかとどこか照れていた。

 

『はぁ…まあ無事ならよかった。俺は特に心配してなかったんだけどよ、硝子と歌姫が自分たちのせいでってピーピー泣いてうるせえの。ほら』

『…っ!世那⁈平気⁈ケガしてない⁈』

『…うぁ…!ぜなっ!ごめんなざい…私たちを庇ってあなたが…』

 

悟は世那のためにと電話をビデオ通話に切り替え、周りを映す。すると画面越しに世那に気づいた硝子と歌姫は悟のスマホを奪い取り、泣き顔を隠すことも忘れて世那の状態を確認していた。

 

「心配かけてごめん、二人に何もなくてよかったよ。

俺はケガもしてないし大丈夫だから、二人ともそんなに泣かないで」

 

ポロポロといまだに泣き続ける二人に、少し困りながらも心配しないでと優しく微笑む世那。

その容姿も相まって、どこか小動物のような可愛さを放つそれに、二人は先ほどまでとは別の意味で頬が染まった。画面の向こうでは、二人の表情の変化に気づき揶揄う悟と、それを鬼の形相で追いかける硝子と歌姫がいた。

 

「それで今そっちはどんな状況だ?」

『…みんなあんな調子だから私が伝えようか』

「あはは…よろしく頼むね、傑」

『ああ、私も世那の事は心配していたからね。声を聴くついでにね。

…それで本題だけど、まず世那を飲み込んだ呪霊は取り込むことが出来なかったよ、すまない』

「そっか。傑が取り込めないとなるとあいつは特級クラスだったってことか?」

『いや…階級はおそらく高くて二級だろうね。ただ、君を飲み込んでしまった後、すぐにその呪霊が消滅した。

悟が一瞬視えた(・・・)らしいが、術式の関係もないらしい。完全に謎だ』

 

画面越しの傑は、はぁ…と深い溜息を吐きながら眉間にしわを寄せ親指で揉んでいた。傑が悩んでいたり考えたりするときによくやる癖。完全にお手上げという意思表示。

 

『そっちはどうだい?映ってる範囲だと森の様だけど?』

「ああ、しかも日が沈んでる。深夜ではないと思うけど、明らか異質だね。

おまけに呪力がなにも感じない(・・・・・・・・・・)

『っ!それは本当かい⁈」

「普通森なら蝿頭ぐらい湧いているはずが気配すら感じない。また…」

 

話を止め一度目を閉じる世那。そしてゆっくり目を開けるとその赤い綺麗な目はきらきらと淡く光り輝いていた。

 

「…マジか」

『…世那、何が視えた(・・・)?』

「俺の視える範囲は最大4キロ。その範囲で森を抜けたら小さな村を見つけた」

『村か…。調べるからもう少し村の特徴を教えてくれるかい?』

「全員和装(・・)だ。おそらく、明治から大正にかけての服装。髪型も束髪やマガレイトなどのレトロ感が強いものしかいない。そしてなにより、呪力の揺らぎ(・・・・・・)が視えない」

『…なんだと⁉そんなことはあり得ない!呪力は人間なら誰しもが…』

「そうだ、人間なら誰もが持っているはず。天与呪縛でもない限りね。だが、俺が視える人で13人、全員呪力がない。それで考えられる一番の可能性だが…」

『明治大正を感じさせる身なりをした呪力が全く感じない人たちに、呪霊が比較的発生しやすい環境下でありながら蝿頭すら感じない森。…まさか!』

 

ゴクリッと傑は生唾を飲み込み、顔色がものすごい勢いで青ざめていく。その傑の様子に先ほどまで追いかけ合っていた悟と硝子と歌姫、そして今まで自身の術式で世那を探していた冥冥が、心配して傑の下へ集まり、世那の言葉を聞いた。

 

「ああ。どうやら俺はみんなとは別の世界(・・・・)に来ちゃったらしい」

 

別の世界。文字通りの自分たちのいる世界とは違う場所。

 

世那が異世界にいるという発言に、その部分しか聞いていなかった傑以外の4名は、頭の上に【?】マークを浮かばせていた。

それに気づいた二人は、とりあえず先ほどまでの話を皆に聞かせた。話が進むほど、悟の目はどこか少年のように目を輝かせ、冥冥は顎に手を添え真剣な顔つきで話を聞き、硝子と歌姫は逆に顔を青ざめまたもや目を潤ませていた。

 

『おい世那!異世界ってどんな感じだ!スライムとかドラゴンとかいるのか!』

 

画面いっぱいに悟の顔が映り、若干引く世那。悟の異世界へのイメージが最近一緒にやったゲームに引きずられているため、訂正を入れる。

 

「ふふっ、ドラ○エっぽさは全くないよ。

本当に普通の昔の背景って感じ。ただ俺たちが住む時代じゃないから違和感はあるけど、そこまで孤独感っていうのかな、それはないね。」

『なんだ、なんかつまんねえの』

『悟、もう少し緊張感を持った方がいい。

このままだと、世那はずっとこっちの帰ってこれないかもしれないんだよ』

『っても今のままじゃどうすることもできねえーだろ。とりあえず、連絡手段があるんだ。

だったら今できるのは、俺らはこの土地とか呪霊について調べる。世那はその世界についての調査だろ。

いくら異世界に飛ばされたとしても、なにかしら原因とかつながりがあるはずだ。

なんでもいい、些細なきっかけでもまずは情報がいるだろ』

 

普段の精神年齢五歳児みたいな性格の悟とは思えないほどの冷静な分析と判断に悟以外のみんなの目が点になっている。だが世那だけはその悟の変化にジーっと視線を送る。

 

(悟の今の台詞…一緒に観てたからわかる。

この前観てた主人公が異世界に転移するアニメの台詞を少しパクッてるな。あの悟のドヤ顔で確信した。絶対この状況楽しんでる。…まあ帰ってくるって確信してるからこそだろうし黙っとくかね)

 

「悟の言う通り、俺の方でももう少し調べるよ。せっかくの異世界だし、楽しみたいしね」

『…はぁ、わかった。世那の事だから最悪の事は起きないだろうし、私たちの方でも色々探ってみるよ。

めったにない経験だからね。お土産話を期待しているよ』

『世那~、俺はお土産よろしく~!できれば甘ったるいお菓子ね。あと変なモンスターいたら写真よろ!』

「はいはい、持っていけるかわからないけどね。写真は確かに、記念に撮っておくよ」

 

『世那…私たちのせいでごめん…』

「あはは!さっきから硝子らしくないね。そうだ、お土産においしいお酒とか食べ物あったら持っていくから、元気出して」

『…世那、私からも、本当にごめんなさい。私が油断なんてしてたから、私が弱いばかりにこんな…』

「歌姫先輩までそんな悲しい顔しないでくださいよ。

先輩は弱くないですし、むしろ異世界に行けるなんてめちゃくちゃ嬉しいですよ!

だから二人とも、そんな顔しないでいつもの可愛らしい笑顔を見せてほしいな?」

『『…うん!』』

 

『…随分と罪深いことをしているね、柊木君?私には何か言ってくれないのかい?』

「冥さんは最初から俺のこと心配して無いでしょ?」

『おや、失礼だね。いくらお金しか信用しない私だって、君の事は心配しているし、信頼しているんだよ?』

「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいですね。冥さんにもちゃんと用意しておくので、楽しみにしててくださいね?帰ったら、前に約束していたお店、予約しておくので行きましょうね」

『ふふふ、それは嬉しいね。今から楽しみにしておくね』

 

画面に向こうで、随分とご機嫌なのか鼻歌を歌う冥冥に硝子と歌姫が質問攻めを行い、その三人の光景を見て冷ややかな視線を世那に向けながらコソコソと話す悟と傑。

 

スマホ画面に広がるその光景に、またも優しく微笑む世那。

 

「…それじゃ、いったん行ってくるね!」

 

世那の言葉が聞こえたのか、5人は画面にちゃんと映るように集まって、

 

『いってらっしゃい!』

 

笑顔で送り出した。

 

「いってきます!」

 

それに世那も笑顔で返すと、ビデオ通話を終了した。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

 

「…今生の別れみたいだったな」

 

みんなとの通話を終えた世那は、森の中を探索しながら先ほど視えた村へと向かっていた。

自身の身体のチェックや所持している呪具の具合を確認しながら森を歩いて行くと、少し離れたところで複数人の声と戦闘のような音が聴こえ、何か情報が手に入るかもしれない、と脚に呪力を込めて駆け出した。

 

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「「「「はぁ…はぁ…はぁ…」」」」

 

現在、ある森の中でボロボロの黒い隊服に身を包み刀を構える4人の隊士と、身体の節々から棘のようなものが出ている異形の化け物が不気味な笑みを浮かべていた。

 

「キヒヒッ!貴様ら鬼狩りも所詮雑魚の集まりだなァ!下弦の参である俺の前では、柱だろうが脅威でh「ちょっとごめん」ぶべらぁ!」

 

異形の化け物がボロボロの隊士たちに話しながら近づいてくる。その途中、もの凄い速さで何かが化け物の顔面を踏みつけた。

その一連の流れに隊士たちは驚きのあまり大きく口を開けていた。そして化け物はその勢いからか鼻が折れ曲がり歯が砕けていたが、それよりも自分を踏みつけた不届者は誰だと素早く立ち上がりその姿を捉えた。

 

「この俺に何をしたのかわかっているのかァ!この()風情…が…ぁ」

 

化け物は怒りのままに自身を踏み潰した世那へ怒号を浴びせようとした。

だが化け物は世那の姿を見ると、その怒りはスゥっと消え、それどころかうっすらとその顔を赤く染めていた。

隊士たちも先程まで自分たちを苦しめていた化け物を簡単に踏みつけた世那が気になり、その姿を一眼見ようと視線を向ける。その瞬間その隊士たちもまた、化け物と同じように顔を赤くし、その世那の容姿を凝視している。

 

濡羽色の髪に宝石のように輝く赤目、そして人形のように整ったその容姿は中性的で美男子というよりも美女という表現が適切なような、まるで天使のような神秘さが滲み出ていた。

今まで出会ってきたどの生物よりも儚く美しいと断言できる圧倒的な美に、その場にいる者たちは一瞬呼吸をするのすら忘れていた。

 

「…え、もしもーし?全員黙ってどうしたの?」

 

世那は急にダンマリする周りに不思議に思うと、先ほど踏みつけた人物の姿を見つけた。

刺々しいその肉体に鋭利な歯、眼の中に字が刻まれているその見た目は人間とは言い難い。そして何より、先程に自身が踏みつけ折れた鼻が、砕けた歯が徐々に治っている。

反転術式か呪霊の類いかと呪力を下がっても一切感じないその異形の化け物に、世那は少し目を細めた。

 

「あー…1つ聞きたいんだが、お前は何者だ?」

 

「…ぁあ!?俺は十二鬼月の1人、下弦の参の凱狂だァ!その容姿、それほど美しければさぞや美味な味がするだろう!俺に喰われろォ!女ァ!」

 

興奮しているのか、凱狂は口から大量の涎を垂らしながら身体を一回り大きくさせ、身体中から鋭い棘を複数生やしていた。十二鬼月やら下弦やらよくわからない単語を話していたので色々聞きたいところだが、流石に冷静に話をしてくれる様子ではなさそうなため、世那は腰に刺している黒い日本刀に触れる。

 

「お、おいあんた!見たところ鬼殺隊じゃないだろ!?そいつは鬼だ!普通の刀で斬っても意味がない!」

 

ボロボロの隊士が慌てた様子で世那に叫ぶ。太陽の光か、自分たちのまた刀で首を斬らないといけないこと。それらを聞いた世那は周囲を見渡したあと、スッと刀を抜いて隊士たちに声をかけた。

 

「教えてくれてありがとね!それで一つお願いなんだけど、そこの散らばってる刀を全部貰ってもいいかな?

返せなくなってはしまうんだけど、ちゃんと助けてあげるから」

 

「あ、ああ!何か役に立てるなら存分に使ってくれ!」

 

瀕死状態の隊士のも含めて世那へと投げる隊士たち。その数は倒れている隊士の分も含めて計7本。様々な色のその刀は多少散らばりつつもしっかりと世那の方へと向かっている。

色の違う刀ということで少し綺麗だなと思いつつも、この刀で斬らなければいけないのだから、何か特別な特性でもあるのだろうと察した世那は、自身の持つ黒刀に呪力を込め己の刀の意識(・・)を叩き起こす。

 

「ほら、喰らい取り込め(・・・・・・・)

 

黒刀から黒い泥のようなものが溢れ出ると、まるで命が宿ったかのように投げられた刀を取り込んでいく。

 

側から見たらそれは一瞬で、隊士たちからは一瞬で刀が消えたように写っていた。

そしてその世那と対峙している鬼・凱狂はその異様な黒刀を目の当たりにし、完全に思考が止まっていた。

 

(な、なんなんだあの刀は…今何か出て刀を…。こいつ、纏う雰囲気も何もかもが異質だ。は、早くあのお方に報告しなけr…は?)

 

ゴトッっと何か重い物が落ちた音がした。凱狂は音の発生源を見ようとしても首が回らず思うように見えない。彼が今見えているのはなぜか首がない仁王立ちをした自分の背中だった。その瞬間、自分が首を斬られたことに気付き、焦りと恐怖が凱狂を包み込んだ。

 

「そ…んな、いつ、俺の首を…」

 

「ぼーっと突っ立ってたらそりゃ斬るだろ。一応ここは戦場だぞ?」

 

「俺は…一度、も、隙なん、て」

 

「格上相手にその慢心はやめた方がいい…ああ、もう死ぬんだもんな。

じゃあまあ、生まれ変われることがあるならその時は、その慢心やめるよう頑張んな」

 

その言葉を最後に凱狂の身体はボロボロと崩れ散った。

 

 

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