あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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① 第一歩のゲームを作ろう!

 

 吾輩は死者である。名前はもう無い。

 

 本来あり得た幸運を丸っと無視して若くして死ぬという天界のバグにより補填として新たな人生を歩めと神様に言われた。

 

 ついでに何か才能をくれると言われたので、俺は声を求めた。

 

 声、要するに1人で何役も演じられる七色ボイスと呼ばれるようなもの。

 

 声劇や声優というものに憧れがあったが、当時の声を出せる領域が狭くありきたりすぎるもので諦めた。

 

 その代わり、ゲームを作る仕事につきプログラマーとしてある程度頑張っていた。

 

 ただ、初めてのゲームが出来る前に死んだという訳だが。

 

 転生して新しい世界でゲームを作り、声も当てられたら人件費がかからないんじゃね?という時間と手間を無視した考えでこの才能を選んだ。

 

 実際、声の仕事はいつでもある。自信さえ持てば何とかなる。

 

 そして目指せ自作ゲーム出版!利益も必要だが趣味と実益も兼ねてるのでOK!

 

 前世の先輩や親を残すのだけが心残りだが、俺は次に進まなければならない。

 

 こうして俺は転生するのであった。

 

 男女比がかなり狂った世界に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吾輩は転生者である。名前はスウェン・ケイ。

 

 この世に生まれて既に10年。欲しいものは割と簡単に手に入るが、やりたい事はなかなかできないこの頃。

 

 まさか男女比が1:200の世界で生まれるとは思わなかった。

 

 男性が少ない事で女性の性格が全体的に肉食に寄り、男が1人で出歩いたなら100%襲われるくらい世の中が狂ってる。

 

 逆でも相当恐ろしいことになるが、それ以外は現代のままで助かったとも言える。

 

 さて、欲しいものが割と簡単に手に入ると言ったが、運が良いことに良いとこの坊ちゃんとして生まれて金銭的に不自由なく過ごしてはいるが、外に出ることがほとんどない。

 

 唯一外の世界を見られるのはパソコンやスマホ越しのネット環境だけなのだ。

 

 どういうのが良いのかリサーチは出来るが、年齢制限だけは厳しかった。

 

 母さんが言うには『他の女なんて汚れた獣!こんな可愛らしい子を襲わせるにはいかないし、スウェンの心を汚させないわ!』と頑なで年齢制限を解いてくれなかった。

 

 まあ、その、親としては当然なんだよね。普通子供にR18とかに触らせるわけにはいかんよね。

 

 それでもパソコンがあればプログラムは作れる。

 

 基礎部分を今のうちに構築して、後から選択肢を仕込み繋げていく。

 

 流石にアクションゲーは色々と足りない。物はともかく単純に俺の実力がそこまでない。

 

 なので、最初に作るのは鬼ごっこ系。単純なプログラムで動かせて、なおかつセリフも割と少なく済む。

 

 分かりやすい例を挙げると『〇鬼』と呼ばれるようなもの。この世界にもゲームは普通に存在しているが、この手のフリーゲームはかなり少なかった。

 

 いや、その、ウィキペディアもどきを拝見させてもらったらそういうエロゲは存在するようなので健全な物は少なそうだ。

 

 だからこそフリーゲームで実績を作る。簡単なつくりとストーリーこそ至高。

 

 変に設定を詰め込むのは後、とりあえず物を作って簡単な音声を録って…………マイクも買ってもらったから安心!

 

 台詞を入れて…………悲鳴を入れて…………ヨシ!

 

 あとは絵を調達するくらいだけど、残念なことに俺に絵の才能はなかった。

 

 なので簡単にドット絵を作ってキャラクターに仕立て上げた。本来なら金を払って外部に依頼するべきなんだろうが、金の使い方を親に見られたら何しているかばれてしまうので、ちょっと使えなかった。

 

 稚拙ながら、子供をメインとして怨霊に追いかけられる図を作り謎解きで道を切り開くゲームが完成した。

 

 作るのに2年はかかった。家庭教師との勉強とか護身術とかの時間。そして家族とのスキンシップの時間…………

 

 姉が3人いるのはご愛嬌ということで。男の出生率が低すぎるから仕方ないことなんだけど。

 

 さて、これをウェブサイトにアップロードして、寝るか。

 

 SNSもサブサブアカウントを作ったし、これでゲームの宣伝をしていこう。

 

 定型文はたくさん考えてあらかじめメモに残してるから、それをコピーして載せるだけ。

 

 よし、じゃあ…………発射!

 

 あとは様子見だ!テストプレイは何度もやったからバグは殆どないはずだ!

 

 もう疲れたから寝よう。頑張った、俺。子供の体で個人制作で頑張った!

 

 おやすみなさい!明日はいいことあるかな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

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「えー、緊急家族会議を始めます」

 

 大富豪スライ・ケイとその家族、正確には目に入れても痛くない末っ子のみを除いた4人で会議が開かれようとしていた。

 

「では、まずこれを見て」

 

「知ってる、もうおプレイしましたわ」

 

「これにドはまりしてない方がおかしい」

 

「いったい何回わざとゲームオーバーになったことか」

 

 一つのノートパソコンに映し出されているのは一つのフリーゲーム。

 

 タイトルは『悪霊の館』。子供がこっそり遊びに行った廃墟で恐怖が襲い掛かるタイプのゲームであった。

 

 どういうわけか登場人物は全員男の子。登場キャラは3人と少ないのだが、一部の音声が付いているという点が大きな売りということがすぐに分かった。

 

 この製作者は最近SNSアカウントを作ったらしく、宣伝数は少ないものの『声』が付いていることだけでストーリーそっちのけでプレイされている節がある。

 

 そう、男の子の声(・・・・・)のみで。

 

 男性が少ないこの世界では、そういうゲームは滅多にない。性欲を持て余し気味の女性たちは、ちょっとした供給でも食いついてしまうのが(サガ)なのだ。

 

 もちろん、ケイ家の面々も一人を除いてプレイした。

 

 ちょっとした会話の相槌、驚く声、怯える声、そして何より捕まる時の叫び声。

 

 子供たち(プレイヤー)が相手している者がよく分らない怨霊であるという点を踏まえたとしても、その怨霊を自分に見立てて妄想することで一種のプレイ(性行為)を味わえるという口コミで、たった一晩、いや公開してから3時間で有名になった。

 

 だが、その大多数の中で僅か4人だけが、声の違和感に気づいたのだ。

 

「この登場人物に声を当ててる子…………スウェンよね?」

 

「絶対にそうですわ!声を演じ分けてるとはいえ姉が間違えるわけありませんわ!」

 

「ウェイルの言う通りだ!可愛い可愛い声を間違えるものか!」

 

「そういえば、自分の部屋で演劇してると思ってたけど、こういうことだったのね」

 

「…………スウェンの部屋は特注の防音室だったはずだが?ルゥ、何故母親も知らない中身を知っている?」

 

「ぷぴー」

 

 クッソ下手な口笛で誤魔化したが、ルゥと呼ばれた三女はスウェンへのプレゼントにかこつけて盗聴器を仕込んでいたのだ。

 

 それをこの場全員に悟られたことで袋叩きは免れないが、今はそれどころではない。

 

 スウェンが声を当てているフリーゲームが世界中に拡散された事が一番の問題なのだから。

 

「分かるかしら?今は身元不明の何者かが発信した謎のゲームで済んでるけど、スウェンの声が世界中に拡散されてしまってるのよ!分かるわよね?」

 

「世界中でスウェンが材料に…………ぐぬぬぬ」

 

「やりたいことがあるって言ってたけど、それがコレだったの?」

 

「ゲームクリエイターは、確かに夢のある仕事ですが才能の開花が早すぎやしませんこと?」

 

「分かる、この才能は世界中が嫉妬すべき」

 

「ゲーム内容もいいのは当然として…………明日説教するのが嫌だから誰か変わってほしいのだけれど?」

 

「「「スウェンに説教できるか!」できませんわ!」できないもん!」

 

 愛しまくっている末っ子に嫌われる未来が(彼女達の中では)見える事態に全員が二の足を踏む。

 

 男の子に嫌われるというのは最悪の事態であり、自殺を視野に入れるほどの大問題だ。

 

 それぞれが目線で『お前がやれよ』とやり取りしているが、この答えは一向に決まらなかった。

 

 家族会議は深夜を通り越して朝まで続き、4人全員が目の下にクマが出来た状態で起きてきたスウェンにビビられたことで説教するタイミングをズルズルと逃していくのであった。




~人物紹介~

スウェン・ケイ
・本作主人公であり転生者。元々はゲーム開発に関わっていたが若くして亡くなったことで転生する権利を得た。
 この世界でもゲームを作ることを楽しみとしており、最初に鬼ごっこ系ホラーゲームを作ることにした。
 転生してからしばらくゲーム開発から離れていたので知識にブランクが生じており簡素なフリーゲームしか今は作れない。
 自分の声をゲームに当てるというかつての夢を転生特典として得たため、将来的に某声優ばりの一人全役をやろうとしている。
 処女作、もとい童貞作の『悪霊の館』が某鬼のパクリみたいになったことに関しては単純にストーリーを練る力が不足しているためもっと勉強しようと心に決めている。
 この作品が全世界で熱狂させるゲームの一つになることを彼はまだ知らない。

スライ・ケイ
 大富豪の母親。超絶お金持ちで息子が大好き。
 本来ならどれだけ子供を産んでも産まれるか分からない男の子を4人目で生んだラッキーウーマン。
 資産は潤沢であり、なおかつ複数の会社を経営しつつ家庭もおろそかにしないという完璧超人っぷりを見せるが子供たち、とくにスウェンがぶっ飛んだことをするので後の胃痛枠。

ウェイル・ケイ
 御嬢様言葉を使う長女。弟が大好き。
 母親の会社で働いており、既に幹部候補生となっている。
 上品な人であるのだが高圧的な態度に見られて失敗することもしばしば。
 世界が一夫多妻制であるが旦那が欲しい、のだが今は末っ子が可愛すぎて将来のことを一時的に忘れようとしている。
 末っ子は酒か何かか?

ロウル・ケイ
 名前は出ていないが少し乱暴な言葉遣いの次女。
 大学生であり婿探し中だが、やはり末っ子が可愛い。
 パワフルそうなややぐれた感を出しているが実は非力で、スウェンが産まれる前(10歳)でグレて一人暮らししようとした際に荷物をまともに運べず諦めたというアホみたいなことをした。今でも笑い話の種にされている。

ルゥ・ケイ
 ちょっと陰気な三女。末っ子が好み。
 高校生だが機械に強く、将来的に研究者を目指している。
 しかし、その機会に強いことを利用してスウェンを監視しているが今回でバレた。
 機材は全没収の上に小遣いカット、使う物は全部申告制でのみ購入するという縛りを押し付けられて灰になった。


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