あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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⑩ 団欒弾丸

 

「ロウルぅ?今日までどこに行ってたか教えなさい」

 

「いだだだだだ!?折れるっ!腕折れるっ!」

 

「この程度で折れる訳ないでしょう?関節を極めてるだけなのよ」

 

「イッテェんだよクソババア!毎回毎回しつこく聞きやがって!こっちだってたまたま溜めた金で投資してるとかハシゴしてるんだよ!」

 

「誰がババアですって!?」

 

「あがああああああっ!?」

 

「スウェン、あーん」

 

「あーん」

 

「ずるいですわ!私も食べさせますわよ!」

 

 今日は何故か長く帰ってきてなかったロウル姉さんが帰ってきて久々にみんなで食卓を囲むことになった。

 

 母さんとウェイル姉さんは仕事が多いし、ルゥ姉さんは大学受験のために勉強に励んでいる。

 

 家で勉強しそうなルゥ姉さんは意外にも真面目に外で勉強してるみたいなんだ。

 

 家に家族が誰か欠けてるのは寂しい気もするけど、あと少しで次のRPGが出来そうでデバッグ作業を頑張ってるから僕もあまり時間は取れてないけれど。

 

 もぐもぐとウェイル姉さんとルゥ姉さんからご飯を食べさせてもらっている中で、今だに母さんに関節技をかけられている。

 

「うがああああ!いい、加減にしろババアァーッ!」

 

「口の利き方をわきまえなさい!貴女は社会に出て会社を継ぐ立場になるのかもしれないのよ!」

 

「私が!継げる!訳!ないだろ!」

 

「何でロウルお姉ちゃんは自己評価低いの?」

 

「勉学とかの成績面では私たちより下な事を気にしてますのよね」

 

「でも思い切りは3人の中で一番いいし時勢を読めるタイプだから普通に次期社長の枠取れると思うのにね」

 

 確かに不良っぽいガサツな立ち振る舞いがずっと直せず、勉強も他の姉妹と比べたら出来ないし特徴もこれといってないからと劣等感を抱いてるようだ。

 

 その代わりに投資とかの才能はあるみたいで独自に動いてるみたいだ。

 

 でもまだ大学生だし家に一報も入れず帰ってこなかったのはどうなのかな?

 

「ぎいいい!ぐあああ!きええええ!」

 

「奇声を上げるな!黙れ!」

 

「うっわ、久しぶりに狂乱してる。怖いね、スウェン」

 

「ちょっと、スウェンに抱き付かないでくださいまし?」

 

 そう言いつつウェイル姉さんも俺を抱きしめてくる。

 

 ご飯の途中でも両側から抱きつかれて、その、おっぱいの圧が凄いです。

 

 いい匂いするし柔らかいし、でも何故か野獣が睨んでるような冷たい感じがする。

 

 社会に出てる男性は常にこんなのを感じてたりするのだろうか?

 

「ぐぇいああああ!」

 

「はああああああ!」

 

「お母様!ロウル!うるさいですわよ!」

 

 物凄い剣幕と寄声が食卓に響き渡る。

 

 最近は母さんもスポーツジムにいることあるし、鍛え直してるから関節技でも相当痛いんだろうね。

 

 しかし、ロウルお姉ちゃんの奇声凄いな、あんな声は僕も出せ…………

 

 待てよ?奇声?

 

 あんまり演技力がなくともセルフ発狂した声なら僕だって出せる。

 

 それを調節したり、道具を使って変質させることも容易いことだ。

 

 怪獣映画で怪獣の音声を作る際は加工もしてたりするが人の声を元にしているものもある。

 

 …………ひらめいた。

 

「スウェンが引いてるよ。2人とも、そのまま争え」

 

「次は貴女よ、ルゥ」

 

「ツープラトン覚悟しておけよ」

 

「何でぇ!?」

 

「ウェイル、貴女もね」

 

(わたくし)も!?」

 

「私らが争ってる間に何スウェンといちゃついてるんだお前らぁ!」

 

 日常的に行われてる仲のいい喧嘩は僕に一つのインスピレーションをもたらして夜になるのであった。

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 自室、防音となっている僕の部屋は外に声が漏れる事はない、らしい。

 

 ずっとこの家に住んでいてもそう言った話は聞かないし、ゲームする時もヘッドホンを付けず大音量でやっていても姉さん達からクレームが来たこともない。

 

 僕はイヤホンとかしないタイプだから音はそこそこ出るはずだけど、何も言われないという事はそういうことだ。

 

 目の前にはマイク、パソコンと金に物を言わせて買ってもらった物が揃っている。

 

 誕生日も近くなっているが、既に最新の物を買ってもらってるから逆に困ってるところもある。

 

 金持ち特有の大量プレゼントが毎回送られるから大変なんだよね。おもちゃとか絵本とか部屋に飾っても溢れそうになるから次の置き場をどうしようか困ってる。

 

 そんな子供らしくない誕生日事情はさておき、録音準備は整った。

 

 録音ソフトも起動し、僕は息を吸う。

 

 そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………出来た」

 

 『悪霊の館』を作って一年、新作のゲームが完成した。

 

 タイトルは『めざましの刻』、勇者がモンスターを倒して魔王を倒すRPG。

 

 絵はウェイル姉さんが仲介してくれた絵師の…………確か酢ポン酢酒先生だったね。

 

 勇者パーティだけじゃなくてモンスターのデザインまで作ってくれたんだからありがたい。

 

 一年ほど時間はあったとはいえ相当作業量があったはずだ。

 

 そう感謝しながらも僕はマウスを動かし『スリップ工房』のサイトからアップロードを始める。

 

 事前に告知した際の反響もすごかった。SNSに投稿した瞬間に万バズして恐怖した。

 

 出る周期が早いと言われたりしてたけど、僕の場合は前世の知識があったから早く済んだだけで、本当なら何年もかけて作る物だからね。

 

 かちり、とクリック音と共に『めざましの刻』の配信が始まる。

 

 そしてSNSに配信開始した事を載せる。とりあえずこれで終わり。

 

「あ、サイトが重い」

 

 1分後、僕の『スリップ工房』のサイトがアクセス集中によりクラッシュした。

 

「やばい、想定はしてたけど早すぎる!うわ、ダメだ負荷が違いすぎる!?」

 

 何とかしようと頑張ってパソコンをいじり回したが、本当に何ともならず僕は半泣きになりながベットでふて寝した。

 

 怖い…………みんなからの期待値が高すぎて怖い…………

 




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