あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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12.新作、束の間の平穏

 

 ネット上は大騒ぎ。子供が声を当てたモンスターを倒せないとか、奇声だからギリセーフとか、普通に戦略高くて難しいとか。

 

 うん、難しく作ったかも知れないと思った。

 

 割と作業感が出てしまうがレベルを上げたらしっかり倒せる仕様にはしているが、調整前にテストプレイヤーの『酢ポン酢酒』先生や姉達が賢すぎるせいで最短クリアされて泣きそうになったもん。

 

 だから少し難しくしたつもりで数値をいじったんだけど、一つの話題にできたのなら何よりだ。

 

 流石に死にゲーにはしないし、少し頭を捻ったらクリアできるくらいにはしてある。

 

 それはそれとして納得いかない部分はある。

 

 出来るだけ人にならないよう奇声で正体を隠したつもりだったのにバレてる。

 

 これは何というか、嗅覚とか勘の領域なんだよね。

 

 そういう点では甘かったのかなと思ったりしたが、SNSで話題になっているだけでも制作者冥利に尽きると言うもの。

 

 どんとやれ、エロ目的でも使え。僕の自己顕示欲はこんなものじゃないぞ。

 

 男のメディア露出というのが極端に少ないせいで、子供だましみたいな仕組みで作ったこれも相当有名になってしまうのも問題ではないか?

 

 この世界の女性が超肉食でがつがつと攻め込んでくるのがいけないんだと思うが、女性に対する嫌悪感が非常に高い。

 

 そりゃあ、まあ、いいように使われる種馬みたいなものと扱われているような文献があるし、検索したら根深い闇が見えてきて怖くなってくる。

 

 そういった意味では恵まれている。なんか理解ある家族に自由に使える金、家の敷地からほとんど出られないという事を除けば整った環境を常に提供してくれる。

 

 友人がいない、誰かと競い合うことが出来ないのは寂しいが、そこまで贅沢を言えるほど我が儘にはなれない。

 

「うっひゃあ、擬人化絵だ。こういうのを載せると閲覧数稼げるのはどこも変わらないんだ」

 

 公開して3日と経っていないのに『酢ポン酢酒』先生が描いてくれたモンスターを元にして擬人化させた絵が続々と出ている。

 

 僕が使っている端末やパソコンでは規制がかかってしまいR18のものは見れないが、それも相当数世に出回っているらしい。

 

 興味が無いわけではない。二次創作された身としては嬉しい方に感情が傾く。

 

 え?自分が作った作品が穢されて悔しくないか?

 

 こういうの作ってたら当然こういうことが起きる。当たり前の覚悟はしているさ。

 

 …………僕はだけど、家族がどうなのかは別問題として。

 

 あー、これ何か言われそうだなー。

 

 またグッズ作ったり利権確保に動いて公式を作るみたいなこと言ってたし、ご飯の時間でまたみんなで集まるから実質家族会議になるんだろうな。

 

 まあ何言われても大して気にする必要はない。

 

 僕は僕の道に行くだけだから。

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

 

「スウェン、『めざましの刻』の利権はうちで買い取ることになったわ」

 

「そっか」

 

「どうしましょう、モンスターのグッズを作る目処を立ててるけど生産ラインが追いつくか怪しいわ」

 

「それほどなの?」

 

「それほどで済まないよね。前の『悪霊の館』の時点で供給が追いついていないのに、今回はたくさん出す予定だよね、母さん?」

 

「もう既に各方面から話が来てるわ。場合によっては…………なんだったかしらあの絵師は」

 

「『酢ポン酢酒』ですわ」

 

「そう、お酢か酒か分からないペンネームの絵師と協議して個展まで作ろうという話にもなってるの」

 

「それほど?」

 

 なんか規模が違う。まだ配信して5日も経っていないのに更なる全国展開がされてるんだけど?

 

 それどころか世界に展開するレベルで一産業に発展してるんだけど?

 

 前作からかなりの影響力を持つとは感じていたけれども、甘く見積りすぎていたか?

 

 たとえモンスターの声を演じようと男性の声を求めるということか。

 

 ドラマでも本物の男性が出るのはごく稀であり、基本的に男装した女性が演じている。

 

 そういった彼女達が演じる男性は…………何というか女々しすぎて見るに耐えないレベルで大袈裟だった。

 

 そんなに弱い存在か?そんなに大袈裟に讃えるか?

 

 何だか不自然に思えるが、何で男性が女性と比べると出生率が低いのか今でも判明されてない。

 

 かといって女性同士で子供を作るほどの技術はない。

 

 明らかに僕の専門から外れてる話は考えるだけ無駄だ。何か大きな意志が働いている気もするが…………

 

「動く金額も相当でかいね。もうスウェンが会社を建てたら?」

 

「無理よ、私たちで見ておかないと売るに売れないものを作るわ」

 

「そうですわ!この子は天才なのですからもっと先をいくものを作って困らせるだけですわ!」

 

「私は悪くないと思うが、そんなこと言っても体目当てで近づく奴ばかりだろうな」

 

 ルゥ姉さんの発言に否定的な3人。僕は黙って聞いているからこの中に入っていない。

 

 まあ、そりゃそうか。この世界で男が代表取締役とかついても肉体関係で何とかしたと思われかねない。

 

 男が建てた会社があるという記録を見た事はあったが、風紀が乱れ過ぎてセクハラや汚職が大量に起きて消滅したという悲しき結果だけが残っていた。

 

 僕が会社をコネで設立したところで権力と性欲目当てにくる人ばっかりだろうなぁ。

 

 お金はいくらあってもいいけど不祥事を抱え込みたくないのはいつでもどこでも変わらない。

 

「ずっとフリーゲームで頑張るかぁ」

 

「「「「……………………(どこかで公式化しないと危ない)」」」」

 

「え、何?何なの?」

 

 何か呆れられた目をされて見られた。

 

 怖いよ!すけべ目的で見られるのはあまり気にならないけど『何かやっちゃいました感』がある目で見られたら怖いよ!

 

 結局微妙な空気のまま、ご飯の時間は終わって僕は部屋に戻るのであった。

 

「スウェン、お姉ちゃんと遊ぼぐえっ!?」

 

「ルゥ、貴女は本当に学習しない…………」

 

 後ろで手をいやらしい動きをさせて近づくルゥ姉さんを〆る母さんを放置して。

 

 




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