そうか、ようやく真エンディングに気付いてくれたか。
本来なら魔王を倒してめでたしめでたしというところで終わらせるのはもったいない。
だから隠し要素、真エンドが本筋として『目覚まし呪文』を鍵に目を覚ますためのRPGと銘打って配信したんだ。
ほとんどの人が僕が当てた声をR18目的で購入した人たちが、性的興奮で目をギンギンにするという意味が込められていると思っていただろう。そう思いたくないけどそうだと思う。
それで僕が許すと思っていたのか?
本当の主旨は『事故で眠りについた少年を起こすために家族が怪我、病魔と闘うために尽力している』ということだ。
割と重めなテーマではあるが、こういった落差が人々をゲームへと駆り立てると思ってるんだよね。
僕が作りたかったゲームは多種多様に渡る。
アクション、シューティング、育成、ストラテジー…………ジャンルだけでいえば結構あるといえよう。
この世界のゲームもそういったものはあるが、どれもこれも王道のものばかりだった。
僕が作るようなホラーや
完全にイロモノ扱いされるようだった。しかし再生回数は少なくもない。
潜在的な需要があったんだ。僕が送り出した『悪霊の館』は例外として、ホラーは間違いなく需要がある。
はっきり言って、僕が『悪霊の館』や『めざましの刻』を作り出した時点では実験段階だった。
男の声という需要に対して供給が少なすぎたコンテンツを突っ込み過ぎたせいで予想外の利益と人気を得てしまったせいで本来の目的であったホラー要素の需要が分からなくなってしまったが。
むしろ死にに行く方がおおくなるのはちょっと引いた。生きろよ、命を無駄にしようとするなよ。
それに反して、いや、『悪霊の館』より少しだけ需要がみえてきたのが『めざましの刻』だ。
SNSは真エンドが発覚したことによって地獄のようなうめき声が聞こえてくる。
実際は文字だけなのだが真エンドを迎えたことで表示される天井、あれは病院の天井を書いてもらったもので規則的に鳴る音もフリー素材から取ってきた心電図の音だ。
そこと看護師、医師の会話から考察が進んでいき真実にたどり着いた人たちが各々嘆きと自分の愚かさの呟きを投稿しているのを見るとにやけが止められない。
自分が作ったゲームの感想が飛び交っているのがいい。クリエイターにとってプレイヤーの感想が心の健康だ。
それが予想通り阿鼻叫喚になっているのがなお良し。
そうだ、それでいい。思惑通りに進んでくれるといい。
最近は『めざましの刻』の感想を見ていくだけで精いっぱいだ。しばらくは開発を止めざるを得ないだろう。
というか、一年おきにゲームを作ってることがおかしいまである。
前世から培ってきた知識があったからこそできた事であり、本来なら何年もかけて作るものだ。
存分に金をかけた簡素なものとはいえ、一年スパンで出すのは普通に骨が折れる。
暇という訳ではないけど、そろそろ研究に集中する時間を取らざるを得ない。
ずっと籠りっぱなしな生活も少年の身体に不健康だ。いや、少年の身で何言ってるんだと思われるけれども。
ゲーム作りの腕を上げるだけじゃなくて、ボイストレーニングの方も手を付けようかと考えている。
僕が声を当てるという事は、いずれ演技力が低いままではボロが出てしまうし、質だって上げないといけない。
「お坊ちゃま、ご飯の時間です」
「はーい」
そういえば、この家に住み込みのメイドさんたちには僕のゲームの感想を聞いてないな。
そもそもプレイしたんだろうか?不気味なほど誰も話さないし、そもそも11年住んでいても喋る機会もかなり少ない。
たまに通りがかった時に『ご飯は美味しかったですか?』や『おはようございます/おやすみなさい』みたいな社交辞令的なことばかりだった記憶しかない。
嫌われてはないと思うけど、もしそうだったら凹む。
〜●〜●〜●〜●〜
「スウェン坊ちゃまのゲームやった?」
「やらないメイドがここに居るわけないよな」
「うんうん、国宝が作る国宝をやらない訳がない」
ケイ家のメイドは休憩時間に一室で集まって食事をとる。
家事だけでなく夜間の警備員も兼ねている彼女達は住み込みでありながら交代制で広い敷地内に存在する寮で生活しているのだ。
彼女達は優れたメイドである。
スウェンという男児がいるにも関わらず直接手を出していない。全員が特殊性癖でありながら精神的にも安定したエリートだからである。
ある意味では救いようのない人物たちであるが、少年、いずれ青年に成長する男児がいる家に仕えられるだけラッキーと言うもの。
給金はいい、いずれ熟した果実になるショタを見守ることもできる。
しかも、なんかゲーム作ってるし最前線で近状を知ることが出来る立場でもある。
実際、多少の問答ならスウェンは答えてくれる。世間一般の男性と比べて警戒心が薄いように見える。
普段保護されている男性だったら女性を毛嫌いというレベルで嫌っており、容易に話しかけることはできない。
だからこそ有事の時は獣となってしまうのだが、こういった社会形態と低い出生率が悪い。
「やっぱりアレだよね、最初から聞いてなかったらショック大きいよねー」
「味方の状態異常を治す魔法って、普通敵にかけないからね」
「スウェン坊ちゃんのアイディアには感服するわ。聞いてても割とショックだったし」
「俗物にはダメージ多そう」
キャッキャと自慢の坊ちゃんが作ったゲームの感想を述べ続けるメイドたち。
なお、この感想は肝心のスウェンに届くことはない。
何故ならメイドたちは家主に気を使っているからだ。
大富豪の息子、それに加えて姉三人も優秀な人間であり、守秘義務を抱え込まなければならないメイド一人を消すのは容易いだろう。なお、そんなこと一切考えていない。
スウェンを溺愛している者が近くにいるのに手を出せるものか。
近くに男性が居るにもかかわらず何故か妙に穏やかに過ごせている一家ではあるが、ゲームの感想を述べてもらった方がスウェンの健康にいいのではあるが、雇用主に表立って逆らえる立ち位置でもなく。
「あーあ、私も奥様と娘様にあやかってイチャイチャしたいなー。もうそろそろ
「
「そういった教育を受けるのも近いでしょうし」
「「「精通、楽しみだなぁ~」」」
彼女達は性癖異常者である。それはそれとて触れ合いたい気持ちが無い訳でもない。
未来への楽しみ、おこぼれが待っているかもしれないと下心を持ちながら、今日も明日も仕事に励むのであった。
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