次のゲームを何にするか、僕はそのことを考えていた。
ここまで追いかけっことRPGを作ったから、何となく次に作ろうとしているものは見えていた。
ただ、それを作るのは皆に刺さるのかと言われたら分からないとしか言えない。
形だけ整えるのはとても簡単だった。それだけ仕組み自体は簡単なのだ。
問題は内容、僕が脚本を毎回書くといっても過言ではない現状ではいずれどこかで突き当りが来る。
同じ内容を、似たような内容を繰り返してしまうと飽きられてしまうのは明白だからこそぶつかる壁だ。
こういったのには外からの刺激が一番重要なんだけど…………
僕がつくろうとしているのは、所謂『乙女ゲー』というやつだ。
もちろんだがそういったゲームもこの世界に存在はする。
ただし、全く開拓が進んでおらず夢物語どころか『ちょっとこれどうなのか』という酷いものばかりだ。
それはなぜか?製作者が男性のことを全く知らないからである。
よく考えたら男性に接すること自体がない女性が世に多く存在するこのご時世。全くかかわりのない人物を想像で書けというのはいささか酷だろう。
よって、自分の中でしか存在しない男性像ばかり作り、それを他者に共感されず全く流行らないという流れが出来てしまっているのだ。
流石にいつぞやの『酢ポン酢酒』先生のように外部協力者が必要かもしれないなぁ。
そんな交流自体が珍しすぎて滅多にないんだけどね。
こっそり掲示板のような特定されにくいチャットはやったりするんだけど、乙女ゲーを作るにあたって『わたしがかんがえたさいこうのおとこのこ』が無限に出てくるし想像しづらいものばかりなんだよね。
メイドさん達にどんな人が好みなのかを聞いてもまともに取り合ってくれないし、しっかりしたアンケートがとれない。
母さんと姉さん達は『スウェン』としか答えてくれないし、僕がそんなに大好きなのか?
勢いに任せて全員抱いたことは反省してるけど…………
あの日以来、みんなそわそわしてるし、僕の下半身に目がいってるような気もするし。
別に僕は構わないんだけどね。誰かまでは分からないけど夜に扉の前でうろうろしてるのは知ってるから。
もしかしたらこの年で子供ができる可能性はもちろんある。
ただ、男性は一定の年齢になった際に検査を行い精通した時点で精子の提供を始めないといけない義務があるから、これから頑張らないといけない日々が続くぞ。
なので、僕の年齢で子供が出来るのはおかしくない。逆に何とも思えないのが怖いくらいだ。
メイドさん達に一発でヒットしたらどうしよう。顔合わせに来たりするのかな。
それに、姉さん達にも当たってしまったら…………
ダメだダメだ、またゲーム作りから思考が逸れてる。
こんなタイミングで根を詰めてスランプになるのが一番いけない。
何か気分転換出来ないかなぁ?
「スウェン、ちょっといいかしら?」
そんなことを考えていると母さんが扉を開けて入ってきた。
「どうしたの?変な顔してるよ」
母さんは何か話しにくいものを持ってきたような顔をしている。
ここ最近はかなり機嫌がよかったのに相当嫌な話を持ってきたようだ。
「実はね、お母さんの友達が近いうちに遊びに来るの」
「そうなの?どんな人…………」
「絶対に話しちゃダメよ」
「え?」
「獣のようで、わるーい人なの。可愛いスウェンを攫っちゃいそうなくらい悪い人なの」
「そ、そうなの?」
僕の言葉を遮ってまで物凄い念押しで関わっちゃいけないことを伝えてきた。
よほど人格に問題があるのか、でも母さんの友達という点で来ることを断れなかったのか。
気になる…………僕、気になります!
「お友達は1人だけなの?」
「いいえ…………多分だけど、男の人も来るわ」
「えっ!そうなの!?」
僕以外の男!敷地内にあるスポーツジムで僕を担当してくれているインストラクターの人以外実物を見たことがなかったんだ!
他はドラマや写真でしか見たことないし、本当の表情とかも知らないから生で会えるのは普通に嬉しい!
こほん、ちょっと興奮したけど母さんは何か言い辛そうにしている。
一体どうしたんだろう?何か都合の悪い事でもあるのかな?
「まあ、男の人となら多少は話していいと思うけど、大体のことは話半分でいいわ」
「そうなの?」
やはりどことなく歯切れが悪い。
いや、もしかしたら女性がたくさんいるところに男を連れてくるってことは…………
なるほど、僕が変な影響を受けないよう気遣ってくれてるんだ。
義務ではあるけど道具扱いされてるのは確かに嫌な気持ちにはなる。
恐らくだけど世の女性の大半はそんな感じなんだろう。
「ええ、そうよ。ちょっと変なことを言うかもしれないけど、気にしないでね」
そう言って母さんは僕をキュッと抱きしめる。
柔らかい、4人も産んでるというのに若さを感じるような柔らかい身体だ。
そう言った気遣いは受け入れないと。
でもそれはそれとして話はする。
一体どんな人なのか、どんな好みがあるのか。その時に来る男の人の話も聞きたい。
ゲームはするのか、普段何をしているのか、暗いこともいつか知らなきゃいけないから先人に問う必要だってある。
身体を使うことになろうともタダでは転ばないぞ、何もかも糧にしてやる。
「よいしょ」
「お母さん?」
「スゥーーーーーーッ」
「お母さん?」
「……………………」
「お母さん?」
僕を抱きしめたまま持ち上げ、首筋まで持ってこられたかと思ったら思いっきり吸われた。
母さんはそのまま歩き出して僕の部屋から出る。
あれ、これどこに行くの?何も聞いてないし猫吸いの如く吸われ続けてるんだけど?
「あ、あわわわわ!奥様がスウェン坊ちゃまを抱いて練り歩いてる!」
通りがかったメイドさんも誤解を招くようなこと言わないで?普通に抱っこされてるだけだよ?
このまま2時間、屋敷の中を練り歩いた。
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