あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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総合日刊ランキング10位になってました。読んでくれている皆様に感謝永遠に


20.恋愛は難しい

 

 どんなタイプが好きなのか。とっさに答えるのは難しいだろう。

 

 実際、その問いかけをされたマールは答えられなかった。

 

 人を好むという行為自体、あまり考えたことがなかった事も答えが出なかった理由でもある。

 

 そもそも、この世界の愛は難しい傾向にある。

 

 基本的に接する者は同性のみ、結婚をしようにも異性とは隔離された状況で会うことすら出来ない。

 

 なので出会いは同性しかなく、女性同士の恋愛自体は珍しくない。

 

 ただ、恋愛よりも経済的な公助の面が強く、心の底から愛し合っている方が珍しい始末である。

 

 それに体外受精による子供もいつか生まれるため、男と直接の恋愛は夢へと消える。

 

「スウェン、またそんなことを聞いて…………」

 

「僕がやりたいことのアイディアに必要だもん」

 

「メイド達じゃダメだったのかしら?」

 

「だって変なことしか言わないもん。ケモ耳エルフショタジジイに巨大丸呑みスライム、あとは口に出すのもはばかられるようなものと僕だもん」

 

「…………そう」

 

 じとりとスライがメイドの方を見ると一瞬だけ肩を震わせていたが、プロらしく即座に平静を装った。

 

 元々性癖異常者であるところにショタコンを組み合わせられてしまったのだ。

 

 雇用条件を見直さなければならないとスライは考えている中、うーんと悩むそぶりを見せるマールは、敢えて正直に自分が好きそうなタイプの男を口に出してみる。

 

「やっぱり征服しがいのある子かしら?ゆっくりとあらゆる方面で勝てないことを認識させて、泣きながら懇願することが多い子ね」

 

「いじめがいがあるのがタイプ、と。なるほどなるほど…………」

 

「ところで、こんなことをわざわざメモするのはどうして?」

 

 マールの言葉を一字一句逃さずメモするスウェン。先程の幼さがあった声とは違ってクールな声に変わっていた。

 

 どれほどの引き出しがあるのかはいまだ不明。だがここまで声を変えられる特技を持つという事は現在に至るまで正体不明だった『とあるクリエイター』に行きつく。

 

「ねえスウェン君、ゲームを作るのは楽しいものなの?」

 

「うん、僕の生きがいだよ」

 

 ビンゴ、ケイ・カンパニーが囲っている『スリップ工房』の正体がこの少年だったとは。

 

 本物の男を使っていることは子宮で分かっていたが、本当に子供なのかどうかは半信半疑のようなものだった。

 

 しかし直接会ったことで確信は持てた。

 

「随分と賢い子じゃない。いいわねぇ、男の子を産めるなんて」

 

「渡さないわよ」

 

「ここまで隠すんだから甘やかされてるのね。どう?お姉さんと遊ばない?」

 

「マール!」

 

 だん!とテーブルを叩いてスライが怒鳴る。

 

 よっぽど大切にしているのだ。ぺろりと舌なめずりしてにこやかに笑う。

 

「そうねぇ…………スライ、ちょっと二人でお話をしない?」

 

「…………いいわ、受けて立つ」

 

 二人の間でバチバチと火花を散らせながら仲良く二人は離れていく。

 

 メイドと4人の男が残されて。

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

「結構仲がいいみたいだね」

 

 僕だよ、最近声変わりしたスウェンだよ。

 

 みんな、何言ってんだこいつみたいな顔をして僕を見てるよ。解せないよ。

 

 気分は赤い彗星、というのは冗談で一応高めな自分の声に戻して話してみる。

 

 母さんもある意味では真っ当だけど、割と今更な事で怒ってる気がすると思った。

 

 過保護、と言われたら間違い無いけどさ?それにしたってあまり信用がない人と友達になってるのに呼ぶとは。

 

 何らかの取引があったりするんだろうか?

 

「そういえば、君たちは好みがあったりする?」

 

 元々聞く予定だった話を残された男の人たちに聞いてみる。

 

「え…………何の?」

 

「女の好みだよ。マールさんがいじめがいがある人が好きって言ってたように、君たちにもあるでしょ?」

 

 どこか徹底的に空気になり黙っていた3人が戸惑っていた。

 

 マールさんも考えていたけど、僕もいきなり言われたら出てこないよ。

 

 僕の家族はもちろん、館に住むメイドさん達も全員美人だし落ち着きがある人ばかりだ。

 

 全員抱いた日は猛獣だったけど、あれは場酔いみたいなものだからノーカン。

 

 よっぽど性格が悪いとかなければ僕はいいと言っちゃいそうだ。強いていうなら一緒にゲーム作ってくれる人。

 

「…………さあ、私たちにそういうものは」

 

「ない、よね」

 

「んふんふ」

 

 怪訝そうに、しかし答えは出ないと正直に話す。

 

「うーん、難しい問題だったかぁ」

 

「そもそもの話…………」

 

「え、何々?好みのタイプが見つかった?」

 

「…………いえ、なんでもありません」

 

「そっかぁ…………」

 

 薄々感じてはいたけど、いい感触は無さそうだ。

 

 それどころか嫌悪感があるようにも思えてくる。

 

 なんだろう、僕と彼らの間に何らかの齟齬があるように感じる。

 

 もしかして女の人が苦手なのかな?僕よりもかなり年上なのは見て分かるけど、それにしたって妙な感覚が伝わってくる。

 

 メイドさん達と目線を合わせてるようで合わせてないし、僕に対しても異質な目で見ている気がする。

 

 なんだか若干不快ではある、けど男同士仲良くしていきたい気持ちもある

 

 もう少しお話しできないだろうか?もうちょっと別の話題を振ってみるか。

 

「じゃあさ、好きなゲームとかない?ゲームじゃなくても趣味になるようなもの、あったりするかな?」

 

 少々ぎくしゃくした空気になったのを何とかするために話題を作ろうと躍起になる。

 

 それでも効果は芳しくなく…………

 

「(どうしよう、私達は性教育と称して連れてこられたんだよな?)」

 

「(それにしては大人びているというか、むしろ少年が話しっぱなしだし声なども変わるせいで、こちらから喋りづらい…………)」

 

「(んふんふ)」

 

 ギリギリ聞こえないコソコソ話をしているのは分かっても、内容までは分からず母さんとマールさんが戻って来るまで微妙な空気が続くのであった。




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