「へえ!生け花のお仕事してるんですね」
「まあ、簡単なものしかできないけど」
「いいじゃないですか。僕もゲーム作ったりしてるんですよ」
若干気まずい空気のままお茶会が進んでいたが、普段何をしているか聞いてみると、おのおの暇な時間が多いようで趣味の話になっていた。
僕は親の金に物をいわせていろんなものを買ったりしてゲームをしたりゲームを作ったりばっかりだ。
他の事は…………まあいったん置いておき、今は出来る限り話をしよう。
「みんなはゲームをやったりするんですか?」
「ボードゲームなら、よくやる」
「トランプならルームメイトと」
「んふんふ」
「ボードにカード…………確かにいいものだね。アナログなものは手を付けてなかったなぁ」
「スウェン君は、どんなゲームを作って?」
「僕のゲームは、まあ、人を選ぶ奴だね、うん」
ホラーや鬱系なのを作ってるとは大っぴらに言えない。マールさんは僕が『スリップ工房』本人と気づいていたのは間違いないけど、あえて踏み込まなかった感じもした。
そこら辺はビジネスが関係してるからこういったところで言い辛いのかも。
『悪霊の館』も『めざましの刻』も母さんが買い取って利益が出ているから、他企業が手を出そうにも出しにくい状況だもの。
少し会話が弾んだものの、何か言いたそうな彼等の話を聞かなければいけない気もしてきた。
だって、男三人が呼び出されて富豪の家に連れてこられたんだ。
この世界の男は貴重で、女性が連れまわす時はドラマとか公的な仕事か性的なことくらいだ。
そういった点ではホストとかありそうだけど、破産者が大量発生or刃傷沙汰へ発展と大変なことになるのは目に見える。
彼らも間違いなく
「…………偉いね、その若さでやりたいことがあるって」
「ヤりたい放題でもあるけどね」
「んふ?」
「え?」
「そう意味で言った訳じゃ…………待って、今君何歳?」
明らかに羨望が混じった声に僕が返答すると、三人から疑問の声が上がる。
「僕?この前に13歳になったよ」
別に偽ることもないし、最近迎えた誕生日も色々大変だった記憶も残っている。
なにせヘビメタフェス開いた後の誕生日だったから…………日を跨ぐほど長く続いた祭りになった。
よく僕の身体も持ちこたえたと思うけど、結局皆も起きるのが遅くなって大変なことになって大慌てしてたよ。
「十分に精通する年齢、精通は分かる?」
「分かる、というか経験もあるよ」
別に隠すこともないし、何なら最低限の義務だから正直に言うと二人が空を見上げた。
もう一人は「んふんふ」と納得したように頷いて、そして態度が柔らかくなった気がした。
「そうか…………何のために私たちが来たんだ?」
「抱かれるため以外ないでしょ、こういう催し物は」
「んふ」
「え、何々?どういうこと?」
僕の知らない何かが彼らの中にあったのか。
事情を全く知らない僕を見てか苦笑し、自嘲するように下を向いた。
「私達は、本当の目的は君の性教育だったんだ」
「へ?性教育?」
「何となくだけどさ、もう精通して女性を抱いたって感じだよね」
「えーっと…………うん、全員抱いた」
「「全員抱いた!?」」
「一日で何とかなったよ」
「「一日で!?」」
「んふ…………」
普通に36人を一日で抱くのはテンションおかしくなってた時とはいえおかしいと思うよ。
でもやり遂げることは出来たんだ。僕の股はおかしいのかもしれない。
「そこのメイドさん達もとっくに『卒業』済みだからね」
「…………何で私たち来たんだろ」
はあぁ、とため息を吐いているがヤってしまったものは仕方ない。
「抱かれるため…………にしては、なんというか」
「んふ?」
「そういった視線がない」
「んふ…………!」
もう一人の男と喋らない男が違和感らしいことを言い始めた。
そういった視線?何のことだろう、と思ったがすぐに思い当たった。
この世界、男女比が偏り過ぎて女性が性的に飢えている。一人で歩いていたら襲われても文句が言えないほど治安が悪い部分もあり、護衛がついていたとしても視姦といった形で見られる…………らしい。
ネット上で得た知識だから話半分と思っていた。よく考えたら僕は一度も敷地内から出たことが無いし、僕のことを見慣れた人しか居ない訳だ。
そういった視線が無いというのはある意味当然ではあるのかもしれない。
確かにメイドさん達はそういう視線を他の人にも向けてない。
つまりエリート、と言いたいけど性癖異常者を自認して自慢げに言ってくるから興味が薄いのかもしれない。
僕の性癖?やっぱり一緒にゲームを作ってくれるのは前提として、首筋、だね。
メイドさん達はみんな髪をお団子にしてまとめ上げてうなじが見えて、そこが整ってるのが美しく思えるんだよね。
毎日見てるから細かい変化にも気づけるし、整え方にも割と個性があるからいいんだよね。
「うーん、みんな理想拗らせて普通の男で興奮しにくくなってるだけだから気にしないで」
「いやいやいや、気にするけど?普通は警戒しないといけないけど?」
「まあまあ、他は知らないけどうちはそうだよ」
「んふ…………?」
「変わってるとしか言いようがないんだけどね…………」
他から見ても僕のところがおかしいのは当たり前なのかな?
本当に供給が無さすぎて悲鳴やモンスター声でもいいや、という声は今でも残ってる。
早く新作を作ってほしいという声はあるが、乙女ゲーのシナリオが完成していないから難しいんだよ。
どこかにいい協力者がいればいいけど、敢えてルートを一本に絞るか?
「今日はゆっくりしていいと思うよ。大丈夫、何かあったら僕がやる」
何がとは言わないが、一応は客人である彼らに手を出させるわけにはいかない。
どこからどうも認識がずれたやはりというか、終始気まずい雰囲気の茶会は終わりを迎えることになる。
「スウェン、何もなかった?」
「お母さんの方が何かあったの!?」
「スライ、ここまでしたんだからおあいこよね。だからさ、ちょっとスウェン君借りるね?」
「何があったの!?ねえ、二人とも!?」
なぜそうなったと叫びそうになるほどボコボコに顔がはれた美女二人が帰還したことによって。
何で普通に喋れてるのかは疑問ではあるが…………僕としてはまだ長い一日が続くのであった。
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