あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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22.とっても仲良し

 

「まだ懲りてないようなら秘伝の技で病院送りにするわよ」

 

「舐めるな、こちらも64の殺人術放つわよ?」

 

 全身あざだらけ、顔も腫れてるし血が拭き切れていなくてこびりついている。

 

 滅茶苦茶喧嘩した?何で?

 

 当然ながらマールさんと一緒に来た男の人たちはドン引きしているし、メイドさん達まで引いてるよ。

 

「奥様、もう少し化粧直しの時間をお取りに…………」

 

「ダメよ、これを私が見張っておかないと取り逃がすわ」

 

「自分を高く買いかぶり過ぎよ。いつでも抜け出せるけど、ライン、セイ、モクを置いていけないもの」

 

「貴女が倒れても私から帰すわ。貴女と違って食い散らかすようなことはもうしないわよ」

 

「また殴り合いする?」

 

「受けて立つわよ」

 

 また見えない火花を散らして睨み合う2人。

 

 かなりボロボロになってるのにまだやる気なの?薄々察してたけどお母さんって割と武闘派だよね。

 

 姉さん達を制裁する時も基本的に暴力だし、言い負かすところは見たことがない。

 

 このままだと二回戦が始まりそうなので間に入って仲裁しないと。

 

「やめてよ、暴力はいけない」

 

「ほらスライ、この子も言ってるんだから借りるわね」

 

「分かったわ、二回戦ね」

 

「待って、僕を挟んではじめようとしないで」

 

 間に入った僕は母さんとマールさんの胸に挟まれた。

 

 むにゅん、と柔らかい感覚が頭を覆うが2人は睨み合いをやめてくれない。

 

 2人とも何人も産んでる(マールさんも年齢的に間違いなくいる)のに老化してないのはどうしてだろうか。

 

 テレビでもあまり老けたような人は見かけないし、むしろおばあちゃんに当たるような人を見たこともない気がする。

 

 これも男が産まれ辛くなったせいで寿命を伸ばして多く産もうとしてなのか?いや、変なことを考えるのは止そう。

 

 とりあえず今は2人の喧嘩を止めるべきだ。

 

「んしょっ、僕は別にマールさんを抱いても問題ないけど」

 

「あら?あらあらあら?賢い子ねぇ、誰かさんと違って」

 

「スウェン、真に受ける必要はないわ」

 

「お母さん、この人面倒だから最初の要求をあえて飲んで後から吹っかけたほうがことが進むタイプだよ」

 

「…………今のちょっと傷ついたわね」

 

 柔らかい感触を押しのけて僕は意見を出した。

 

 母さんは嫌な顔をしつつも、今折れておかないと後から何を仕掛けてくるか分からないと判断したのか納得してそうな雰囲気はあり、マールさんはなんか勝手に傷ついていた。

 

「…………本当にいいのかい?君、今言ってることは」

 

「問題ないよ、それが僕たちの義務でしょ?」

 

 どうせ不特定多数に子供が出来るんだ、3人も精子を提供して全国に配られ子供を作られてるのを知らないはずがない。

 

 義務、当たり前のことだし僕はそういうこと(・・・・・・)がそんなに嫌じゃないということも分かってる。

 

 飽きたらどうしようかという思いはあるが、その時にまた考えよう。

 

 そう答えた僕に異質なものを見る目を向ける3人の…………いや、1人だけなんか違う視線がある。

 

 何だろう、尊敬?そんな感じの視線もあるけど特に何もしてないよ?

 

「もう分かったけど最初からそういうつもりで来たんでしょ?僕はいつでも行けるよ」

 

「…………スライ、本当にこの子はいい子ね。物分かりが良すぎて怖いくらいよ」

 

「…………さっさと終わらせなさい」

 

「5時間は頂いちゃうから!」

 

「マール!」

 

 おほほほ、と母さんに殴られる前にマールさんはとても素早い動きで僕を担ぎ、なんか既に用意されていて目印もつけられていた『専用の部屋』に連れてかれた。

 

「初物じゃないのは残念だけど、楽しみましょうね、坊や?」

 

 舌舐めずりするマールさんは妖艶で、トップに立てるだけはある美貌と覇気とサディスティックな圧があった。

 

 そして30分後…………

 

「おかーさーん!マールさんが鼻血と泡吹いて動かないよー!」

 

「救急車」

 

 マールさんは病院へ運び込まれた。

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

「…………凄かったね、あの子」

 

「んふんふ」

 

「本当に年下かどうか…………いや、女たちしか居ない場所で育ったから大人びてるだけかも?」

 

「あのマール・キリシアを股間一本で病院送りにしてるんだよ。普通に考えてもおかしい」

 

「んふ」

 

 ここは車、それも快適な椅子を堪能できる高級車である。

 

 そこの中央の座席に座るのは3人の男。前後にはボディーガードの女性が座っており、いつ襲撃があっても守れるよう待機している。

 

 男一人を移動するだけでも相当の労力が必要になるのだが、それが3人となれば性欲よりも警戒心の方が勝る。

 

 誘拐されたら一大事どころではない。首が飛ぶどころの騒ぎじゃなくなるのでここはグッと我慢しているだけなのだ。

 

 そういった彼女達も帰ったら今日見て聞いて嗅いだ男を思い出し苛酷する訳だが、それは今の彼らに関係ないことである。

 

「どうしたら、あそこまで自由に育つんだろうか」

 

「私達にはそんな、大胆に居られることはできないのに」

 

「そういえば、何で女たちは私達を襲わなかったんだろう?」

 

「さあ、既に満足してたからじゃないか?」

 

「んふんふ」

 

「やはり股間か、股間が全てを解決するのかな…………」

 

「んふ…………?」

 

 本当にそうかなと口がきけない男が言葉なく疑問を出す。

 

 股間よりも人間性が最初から特異であるから常に横柄ともいえる態度をとれるのではと思ってたりする。

 

 残念なことに、口がきけないので何も言えないが。

 

 屋敷の女性を全員抱くという行為だって並大抵ではないし、そうでない日でも何人抱いてるか分からない。

 

 そこから趣味に走ることもできると言われたら、それすらあまり持てていない自分達は何なのか。

 

「んふんふ」

 

「励ましてくれてるのか?」

 

「まあ、アレを見ても何も変わらないけどね」

 

「んふ…………」

 

 あれは一種の強者であり自分達と違う世界の人間だ、そう言い聞かせて帰路につく。

 

「んふ、んふんふ」

 

 僅かな希望が、知らぬ間に胸に宿っていることに気づかず。

 

 





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