「SNSは上々ね」
「前と同じくらい話題に上がってるよ」
「いいえ、正式な製品としてですのでもっと話題になってますわ」
僕たち家族はもうすぐ発売が近づいてきている『デッド・セレクション~愛するのは君だけだ~』の評判を様々なSNSで確認している。
それはもう、気合が入りまくりだ。宣伝も専門家監修のもと丁寧に、そして僕の独断ではっちゃけて投稿してるのでいい感じに混乱してるのを眺めることが出来た。
流石に注意はされた、反省はしてる。
収録だって大変だったし、細かいバグが見つかることもあったから大変だった。
個人製作だったら多少はスルーして問題なかったのだが、製品版として世に出す、特にノベルゲーで致命的なバグがあると話題性はともかく雰囲気が台無しになってしまう。
製作者としてはそのような状況は避けたいので頑張りました。
こっそり徹夜しようとしたけどしっかりバレて体力を搾り取られました。勝ったけど。
そんなこんなで様子で作業がひと段落したので家族で集まって団らんしているという事だ。
僕を膝の上に乗せた母さんを中心に、右にウェイル姉さん、左にロウル姉さん、足の台座になってるのがルゥ姉さんだ。
「ねえ、そろそろどけてくれない?お母さんよりスウェンに踏まれたいんだけど」
「無理ね、どこかの誰かがスウェンの部屋に隠しカメラを仕込んでたみたいで、その犯人が見つかるまではね」
「私がやりました」
「素直でよろしい、スウェンが許してくれなかったら貴女は刑務所送りになってたわよ」
普通にダメなことをして家庭内での罰で済ませるという母さんの恩情によって踏まれているだけだった。
男の盗撮は重罪に当たり、懲役刑が必ず課されるほど重い…………らしい。
実際、その犯罪があるのかどうかはわからない。
そう言った犯罪は男性を保護する組織内で起きるため大抵内密に処理されているのだ。
個人では起きることは滅多にないため僕如きが知ることもない。
「ねえ、本当にあのシナリオで良かったのか?社会現象になるぞ」
「なんで社会現象に?」
「あれを素面で考える方が凄いですわよ?」
「何でスウェンの方が疑問系なの?」
「あれくらいしないと面白いと思わないと思ったから」
「やりすぎよ…………」
ナデナデと頭を撫でられながら困惑されても困るよ。
地味にウェイル姉さんとロウル姉さんも近づいてきて僕がサンドイッチにされちゃったし。
「面白い云々はともかく、声の収録は楽しかった?」
「うん!」
「食い入るような即答。ちょっと悲鳴上げる経験が上がってる気がするのは私だけ?」
「特技を書く欄に載せられるね」
「載せないで?」
ルゥ姉さんの質問とツッコミを受けながらも音声収録した時を思い返す。
あらかじめ原稿を知っていたヤノ先生だけ特に体調不良を起こさなかったなぁ。本当にやるのかと滅茶苦茶念押しされたなぁ。
実際、何日もかけて収録したし喉も心配されたけど全然平気だった。
何せ無限に声色を変えられるんだから多少のリスクがあると思われていたんだろうね。
伊達に神様から授かった喉じゃないぞ。
発狂ボイスも楽しくやれたなぁ。台詞を噛んでリテイクすることも多々あったけど…………
なんか五回以上リテイクした頃から退場者が出てきたんだよね。音声収録を担当してくれた方々に色んな意味で感謝。
…………特別手当を出すようには頼んだよ、うん。
「何はともあれ、後は配信まで待つだけだな」
「そういえば、ちょこちょこ男を解放しろって書き込みあるよね。あれ何?」
「「「「気にしなくて良いわ/ですわ/って/よ」」」」
すごい、語尾以外一致してる。
たまに、いやよく殴り合いの喧嘩してるけどめっちゃ仲良しだよねうちの家庭。
金持ちの家庭って割とドロドロしてるような印象があったりするけど、フィクションであることが多いのかな。
ケイ家が特別仲がいいだけか。
僕だってリアルでドロドロしたのは見たくないし、やるとしてもフィクションでやるべきだと思ってる。
ケイ家は僕のせいで身内含め全員爛れた関係になってるのはあえて無視する、無視しないと後が怖い。
「公式グッズは既に開発してるとして…………後は転売の防止ね」
「ほんっっとうにいつの時代も現れますわね。売り切れることは前提としても、余分な利益を吸う害虫を駆除出来ませんこと?」
「金に恋してる奴に何を言っても聞かんだろ。真面目に働くこともできん奴がやる事だ」
「働きたくないのは分かる。ヘイトを稼ぐ神経だけは分からない」
「ルゥお姉ちゃん?」
人のことを言えないがとんでもないブーメラン発言を聞いた気がする。
無意識なのかな?人を煽る行為を割としているのはルゥ姉さんの方だと思うけど、社会人として最低の一線は引いてるのかもしれない。
いや、その割にはみんなからボコボコにされてることが多いや。
「そこら辺の対策も試行錯誤が必要ね。スウェンのものを欲に使うのは許せないわ」
「それ、僕が作ったやつをダウンロードした人に言える?」
「「「「…………」」」」
なんでみんな黙り込んじゃうんだよ。まるで僕がスケベみたいじゃないか。
一晩で30人以上と夜の営みをした僕が言うことじゃないけれどね。
なにはともあれ、『デッド・セレクション~愛するのは君だけだ~』が配信される。
それは彼女らにとっての天国になるか、地獄に落ちるかはお楽しみに…………
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