あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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③ 追及 ~甘い音色を乗せて

 

「スウェン、これは何?」

 

「『悪霊の館』だね」

 

「おかしいね、スウェンが寝た後くらいに公開されたゲームなのに何で知ってるのかな?」

 

「作ったからね」

 

 がっくし、という音が聞こえそうなくらい目の前の4人が肩を落とした。

 

 僕、スウェン・ケイはお昼時に家族に呼び出された。

 

 家族、といっても母さんと姉さん3人とメイド数人だけだ。

 

 メイドも僕をお世話するために雇われた精鋭であり、枯れ専なので心配はない…………何の心配と何の情報???

 

 ともかく、俺がゲームを作ったことが問題らしい。なんで、とは言わない。

 

 男に飢えた人間にちょっとした男の子の声を聞かせたらどうなるのかと知りたかった節はあった。

 

 何故なら男女比が1:200の世界、1:1の世界でも性犯罪は起こるのに、我慢を強いられるこの世界の女性はどれほど大変なのか。

 

「こほん、じゃあ何が悪いか分かってる?」

 

「それは…………わかんない」

 

「まずはこれを聞いて欲しいわ」

 

 そう言ってゲームを開始した。

 

 パソコンの画面をプロジェクターで映しながら。

 

 いつの間にか用意されていた映画館顔負けの道具で実物をプレイされるのは恥ずかしいな。

 

 ちょっと照れていたら最初に悪霊と鉢合わせして追われるイベントまであっという間に進んでいった。

 

 妙に手慣れてるなと思っていたが、悪霊が出現した瞬間に猛ダッシュして悪霊に突っ込んでいった。

 

『うわあああっ!』

 

 そして死亡ボイスと共に画面が暗転、GAMEOVERの文字がにじみ出てくる。

 

「…………これ、どう思う?」

 

「リトライして頑張ってクリア目指してね?」

 

「違う、そうじゃないの!」

 

「何で軽率に声を付けたって話なんだけどねー」

 

 まあ、うん。軽率だったのは認める。

 

 でもやりたいことをやったから後悔はない。びっくりするくらい反響があったが、どういう形であれ喜んでもらえるのは何よりだ。

 

 あとは申し訳程度の隠し要素(裏設定メモ)を見つけてもらえるかどうか。

 

「ですが、内容もちょっと下手したら大コケする内容ですが、着眼点のおかげで成功したといっていいでしょうね」

 

「ウェイルおねえちゃん?」

 

「ウェイル、貴方何を言ってるの?」

 

「商業的な視点ですわ。スウェンがやってしまったのはともかく、この声をどうにかして再現したものをリメイクとして買い取れば後からの波紋も少ない被害で収まるはずですわ」

 

「つまり、私たちが火消をするって訳?」

 

「大企業が買収して…………といっても個人製作だからスポンサーとして私たちが付く。そうすれば他も手出ししづらくなるはずよ」

 

「お母さん、もう買収のダイレクトメッセージ(DM)が50件くらい届いてるけど」

 

「全部ブロックしなさい」

 

「お母さんのところも何件か来てるけど」

 

「それは…………後で話を通すから今は無視してちょうだい」

 

 頭痛がすると無言でいっているような母さんに、詐欺とかじゃなくて良かったと若干的外れなことを考えている俺。

 

 とにかく、思った以上に反響があって製作者である俺を特定しようという動きがみられているわけだ。

 

 そんな中で俺が特定されたら一体どうなる事やら。死ぬほど騒がれて何が何でも入手したいと言ってくる人間が現れるだろう。

 

 たとえ大企業相手でも力づくで侵入してくる可能性は否定できない。

 

 だからこそ最初から保護してしまえという提案だろう。

 

 戦略としても間違ってないし、今回は俺が発端だから申し訳ないとは思う。

 

 それはそれとして作るのはやめないが。

 

 作りたいゲームはまだまだあるんだ、簡単にやめさせられるか!

 

「今すぐゲーム部門に連絡して状況を整理するわ。それまで変なDM開いちゃダメよ!」

 

「私が見とく、監視は得意」

 

「変なことしないように見ておきますわ」

 

「…………信用がない」

 

「ルゥおねえちゃん何したの?」

 

 監視の監視とかいう何かやらかしたとしか思えないことをされているルゥお姉ちゃんがうなだれている。

 

 何か変な機械で上のお姉さんたちにいたずらでもしたのかな?

 

 まあ、ルゥお姉ちゃんはいつものことだし(えっ?byルゥの心の声)まさか10歳で社会進出か、労働基準法は適応されるかな?

 

 そもそも男が少ないから基本的な労働は免除されているとはいえ、こういったクリエイトな心意気は誰しも育むべきだろう。

 

 頑張れ俺、堕落しないよう頑張ろう!

 

「がんばって、もっとゲームつくるからね!」

 

「あんまり頑張らないで?」

 

「身のためにもお願いしますわ?」

 

「全く、これで妹だったらぶん殴ってるところだぞ」

 

「凶暴な姉より優しい姉、だよね?」

 

 なんだこの反応、解せぬ。

 

 こうして『悪霊の館』は世間である大企業に買収されたと発表された。

 

 製作者だけはプライバシーの配慮として一切公表されず、しかしまた男性の声を使ったゲームを立ち上げるという声明を上げたことにより期待だけは高まった。

 

 そして大量の要望の声や性癖関係の手紙等が送られてくるため社員の労働時間は増えたとかなんとか。

 

 『悪霊の館』の始まりについてひとまず終わり。ある意味本題はここからだった。

 

「ところでスウェン、本当に一人で作ったの?お友達と作ったわけではなく?」

 

「そうだけど、なんで?」

 

「だって3人の声を使ってたのよ。知らない間に人を集めてるのかと」

 

「そう?ぼくはさいしょからひとりでつくったよ!(元気っ子ボイス)」

 

「はえ?」

 

 母さんは突然声を変えた俺に対して素っ頓狂な声を出した。

 

 初めて聞いたよそんな気の抜けた声。威厳がある姿から想像が付かない声だった。母さんも声優の才能あるんじゃないか?

 

「そ、その声は主人公の一人タケルくんですわ…………!?」

 

「う、うん。し、しらないひととはなすのはちょっと、その、こわかったから、ね(おどおど内気ボイス)」

 

「ぐうっ!?」

 

 俺の態度が変わって怯えたような声で喋ってみたらウェイルお姉ちゃんが胸を押さえて苦しみ始めた。

 

「姉貴!?じゃ、じゃあもしかして」

 

「がんばればえんじれますよ。こどもだけですけど(賢いマセガキボイス)」

 

「分からせてぇーーーっ!?」

 

 実力主義のロウルお姉ちゃんは椅子からひっくり返って叫んだ。

 

「スウェン、私には?」

 

「は?なにゆうてんねん、まいかいへんなことしよって」

 

「何で訛りで喋ったの????」

 

 普通の声のまま某方言で罵倒的なものをしたらすっごい疑問符を付けられた。まんざらでは無さそうなので良しとしよう。

 

「わ、分かった。喉に何人もスウェンが居て使い分けられるのね」

 

「え、演技も鍛えたら売り物になりますわ」

 

「多才すぎますわ…………」

 

「…………国宝だろこれ。一生養うわ」

 

「養うどころか養われそうな気がする」

 

 演技力に関しては、肉体が子供ということで許してほしい。

 

 もっと練習してもっと大勢を魅了するゲームクリエイターになってやるんだからね!

 

 この時、全員が考えても居なかった懸念がある。

 

 この世界にも声変わりという第二次性徴があるということに、俺たちは後で気づくことになる。

 

 





『悪霊の館』買収確定&スウェンやる気満々。これはホラゲの二次創作大量生成ですわ。

 そして息子/弟の才能が恐ろしいことになったと気づいた家族の心境はいかに。

 なお、無意識に好みを分からされている模様。

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