あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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41.明日のシナリオ

 

「懐かしい、子供の頃ウェイルとロウルと一緒にこれで遊んだ」

 

「20年前のゲームなのによく覚えてるね」

 

「…………嘘だ、私を騙そうとしている」

 

「何でみんなそんな感じになるの?」

 

 10年前、20年前のゲームが青春だった姉達はみんな同じような反応をしていた。

 

 ルゥ姉さんも死んだ目でブツブツと何か言っているが、僕はあえて何も言わなかった。

 

 ジェネレーションに不用意に干渉するのはよくない。いずれ僕もああなってしまうのだから。

 

「…………それは置いといて、3Dモデルの話を私に持ってきちゃう?」

 

「人脈は無いの?」

 

「あるけどまだ学生だよ?」

 

 そういえばそうだった。何かと出かけたり帰りが遅かったりするルゥ姉さんは他の姉さん達と違ってまだ学生。

 

 即採用の強力な戦士になる素質があっても資格や卒業云々で就職できるかどうかと聞かれたら困るしか無い。

 

 流石にルゥ姉さんのコネはどうしようもなかった。

 

 お酒を飲める歳でも学生だ、働くよりも遊び盛りなんだろう。

 

 そう考えると僕がおかしい?遊びを仕事にしてるんだから問題ないでしょ。

 

 何処からか電波が飛んできた僕がぼーっとしているところをぷにぷに と頰をつつかれる。

 

 しれっと僕を膝の上に乗せたルゥ姉さんは僕のいろんなところを指で押すのが好きなのだ。

 

 これ以上のスキンシップも日常的に行われているから慣れたものだ。

 

 むしろ家族が妊娠していないというのが不思議なくらいなのに。

 

「もうそろそろ生まれるんだって、聞いたよ」

 

「みたいだねー。会う事が少なくなってきたけど」

 

「やっぱり、妊娠と出産はしんどいみたい。それを何回もするんだから大変だよね」

 

「ルゥ姉さんもいつかは、でしょ?」

 

「スウェンと頑張る」

 

 倫理観破綻してるけど、これが普通に罷り通ってるんだよね。

 

 下の話も日常茶飯事になってきてるのも、感覚が麻痺したのかな。

 

 まあ僕はそれよりもゲームだけど。

 

「とりあえずさ、シナリオの大筋は考えてみたんだ。ルゥお姉ちゃんも読んでみて」

 

「ん、いいよ」

 

 内容について検閲が入ることは諦めた。大まかなあらすじや展開は事前に決めて着地点を作り、後から設定を盛ろうという考えはあった。

 

 でも今は設定だけ先走っちゃって『どうやってみんなに見せる時に削ればいいんだ』と頭を悩ませてる。

 

 いや、その、考えてたら楽しくなっちゃって、まだ構想の段階なのに盛っちゃった。

 

 一度印刷した紙には書いていないけど、本来ならA4用紙40ページ分はある。

 

 そこから更に推敲していくともっとページ数が増えることになるが…………

 

 まあ余計な事を出したら消されるに決まってるから今は出さないでしょ。

 

 パソコンの奥深くのファイルに隠してるから今は露呈しないよ。

 

「ふむふむ、大まかにやることとメモで歴史を語ってる。それに分岐ルートまで作るの?」

 

「最終的には同じエンディングになるから、道中の施設や装備がちょっと変わるくらいだよ」

 

「結構大きい差になりそうだけど…………まあ大丈夫じゃない?」

 

「やった!」

 

「でも後付けしたら怒られるよ?」

 

「余計な事を付けたりはしないよ」

 

 流石に余計な魂胆はお見通しだった。

 

 今までの行動のツケと考えたら致し方なし。だって悪い方に信用あるもん。

 

 SNSだって僕の作品が未だに話題になる事が多々ある。それも新作や続編についての話題だ。

 

 そして謎の信頼によって絶対に暗い、ヤバい奴を作ると予想されている。

 

 匿名掲示板でもそのような言葉が多く見受けられた。そして、それらに登場するキャラクターを演じる謎の人物の話も多く出ている。

 

 もう4年近くになっているけど、何とか正体はバレていない。

 

 SNSも時間帯や写真の位置情報、果てはハッキングまで駆使して正体を暴こうとやっきになっている人たちが居るが、後者に至っては殆ど逮捕されている。

 

 やっぱりハッキングやクラッキングは良くない。犯罪ダメ、絶対。

 

 流石に情報の1つや2つは漏れてると思っていたが、ちょっと厳重すぎやしませんか?

 

 僕を大切に思っている?そう言われたら何も言えないにゃあ。

 

 僕のセキュリティにはどれほど金がかかっているか知らない。教えてくれさえもしない。

 

 下手したら僕が作ったゲーム及びグッズの売り上げよりも遥かにかかっているのでは?

 

 そう考えるととても恐ろしい。僕の売り上げで少しでも負担を少なくしなきゃ。

 

「おお、新旧ロボットの友情。この声もスウェンが当てるつもり?」

 

「うん、それがウリになるのは分かってるもん」

 

「本当のところは?」

 

「声優業もたのしい!」

 

「正直な奴め~」

 

 くるりんくるりんと頬を渦を巻く様に撫でまわされる。

 

 未だにモチモチ感を持つ僕の頬はゆったりと揺れてルゥ姉さんを楽しませるには十分だった。

 

 なお、僕の頬も共有財産である。

 

「時間だぞ、ルゥ」

 

「交代ですわ」

 

「やだやだやだ!延長!延長希望!」

 

「グダグダ言ってないでスウェンを下ろしてくださいお嬢様」

 

 すっと部屋に入ってきたウェイル姉さんとロウル姉さん、そしてメイドさん達がルゥ姉さんから僕を没収した。

 

 僕を奪われたことで20過ぎても醜く駄々をこねるルゥ姉さんだが、あっさりとメイドさん達に運ばれていった。

 

 ああ、ホストとかキャバクラにハマった人の末路ってああなんだな。

 

 一度も行ったことがない風俗のことに思いをはせつつ、次はロウル姉さんの膝の上に座って原稿を見せるのであった。

 




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