色々とミスってしまい申し訳ありません。一部作り変えたりして再投稿です。
「さて、今日の課題はこれです」
ケイ・ゲームズはここ最近躍進していた。
『デッド・セレク(略)』を販売したことにより知名度が上り、ただしスリップ工房のおまけだが、予算も増えてやれる範囲も増えた。
新たにゲームを開発しようとしていた矢先、再び本社から横槍を入れられた。
「クリスタルロボ、昔懐かしのゲームをリメイク、いや新規に作ろうという話です」
「…………何で?」
「先方の要望です」
先方、それはまだ記憶に新しい『デッド・セ(略)』の大部分を作り上げた張本人、3人のヒロインを演じ切った1人の男だと会議室に集められた彼女らはすぐに理解した。
「まあ、金になるなら別にいいけど?あの作品はのほほんとしたゆったり開拓する奴だよ。それも20年前の」
「たまにレトロゲーとしてやる人はいるけどさぁ、『My Road』で実況する人もたまにいるくらいだけど、いまさら?」
「いや、それよりも変な要素を組み込まれそうな気がする」
「というか、リメイクじゃなくて新規でやるって、続編ってことね」
「今の時期にやるのはウケるのか?」
「でもなぁ…………」
「まあ、危機感は分かる」
「あのゲームを世に出した人だからねぇ…………」
そう、かの悪辣なゲームを作った人間が、男とはいえど何かしでかす気がしてならないのだ。
つい最近までは緩んでいた開発部門も、流石に古いとは言え思い入れがあるゲームを汚したくは無い。
しかし、年月も相当経っているため忘れられるのでは無いかという思いがあるのもまた事実。
絶対に男の声を使うのだろうという確信はあえて置いておき、内容を精査しなければならないのだ。
「先方が大まかなあらすじと内容を既に書いて送ってきてるから、一回目を通してみて」
「仕事が早すぎない?」
「普通の作家はそこまで筆早くないよ」
「トヤマ先生原作の原稿すらまだ届いてないのに…………」
「速筆なのはいいけど、修正利くのかしら?」
別件の作家について言及があるが、おそらくこれ以上出てこないので割愛させてもらう。
ペラペラとコピーされた文章を静かに読んでいく。
「内容は…………なるほど、長い年月が経ったから前作は滅んだって言いたいわけ?」
「でも実際長いこと続編が出てないから滅んだと言っても過言じゃないんじゃない?」
「面と向って言われたらイラっとするわね」
「前回の続きじゃなく、最初からっていう認識を持たせるのは悪くないのでは?」
「時代設定的に、千年以上は経ってるから滅んでも問題ないかと」
各々が意見を出しつつ、先方が持ってきた『クリスタルロボ・洞窟王国の再生記』シナリオを読み進めていく。
序盤はシンプルにチュートリアルと作業を進め、中盤で友となる妖精や洞窟王国の子孫を名乗るロボたちと出会い、どちらかに協力して国を再興させるというお話だ。
「…………これ、どちらかってのがネックよね」
「前はほぼ強制一択だったけど、二種類のエンドに分かれるってこと?」
「いや、敵対とかあるみたいだけど最終的に和解して大団円にはするつもりみたい」
「ほんとかなぁ…………?」
ダメな方での信頼はあるが、自称洞窟王国の子孫であるロボがとあるイベントで何体か壊れたり、精霊が傷つく場面もしっかりあるので嫌な予感はする。
しかし、洞窟王国は友情や命の尊さを押し出している面もあるため、そういった場面を入れない訳にもいかない。
「洞窟を掘り進めるサイドと、空の下を歩くサイドはあるんだ」
「そこは前作からある要素だから消さないで居たんだ」
「エンドコンテンツだから残すのはあり」
「登場モンスターは流用?それとも新規?」
「そこら辺はデザイナーと相談するってことでいい?」
「これに関しては譲れないわ。シリーズ通して書いてる人を無視することは出来ないもの」
彼女らとて譲れないものはある。
例え2作だけとは言えど、シリーズ通して世話になった人を外すことは出来ない。
肝心の先方が口を出したいのはストーリーとシステム面だけであり、デザイン等細かい部分は完全に一任している。
杞憂ではあるが、『デッド・セ(略)』はかなり口を出されたので不安に思われるのは仕方ない事だった。
そんな感情は社会人としていったん置いて、ストーリーの総評に移る。
「…………とりあえず、今のところは前向きに考えておこう」
「そ、そうね。問題がありそうなシーンはバッサリ切って改変するべきね」
これも殆ど『スリップ工房』が声を当てて企画を立てるんだなと思いつつ、ちょっとヤバそうなシーンがあれば修正を入れてやろう、そういう心意気であった。
しかし、彼はメインストーリー上ではそういったことをしなかった。
流石に前作から続く雰囲気を壊すような真似はせず、雰囲気は保ったまま形に出そうとしてくれていた。
彼はゲーム作りに関してはかなりやんちゃで狂気的ではあるがリスペクトの精神を忘れてはいない。
「ひとまず細かいところは読み進めていきましょう」
「設定の所有権は私達にあるってことだけ忘れないようにさせないと」
「声、どうするんだろ?」
「やっぱり彼が当てるんじゃない?」
多少の不安はあれど、やっぱり男の子ボイスは欲しい。
真面目に取り組んでも女性は女性、どんな後悔が待ってようと求めてしまうのだ。
その声を当てる彼が不穏なメモを作りまくっていたりするのは彼しか知らず、隠しアイテムとして裏で動いているとも知らずに…………
「…………でも絶対何かやってるよね」
流石にうすうす気づかれていた。
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