あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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45.プレミア品薄

 

「うっわ、すっごい事になってる」

 

 『クリスタルロボ・洞窟王国の再生記』の発売日を発表して1週間が経過した。

 

 20年の時を越えて新作が発売されると思われていなかった『クリスタルロボ』シリーズが当然出ると思わなかったのだろう。

 

 古いゲームの新作ということで皆一斉に予習しようと様々な手段をとろうとしていた。

 

 その結果、フリマサイトに大量の出品が行われていて原価からかけ離れた値段がついてしまっている。

 

 古いから出回ってる数もそこそこあるとはいえ、1本1万とかいう価格で販売されている。

 

 もう大本の生産は終わってるしプレミア価格になってしまうのもある種仕方ない。

 

 多少の人気があったとはいえど時代をやや先取りしてしまった分生産数も少なめになってしまったのだから。

 

 出回る方も既に会社の手から離れているようなものだから再販は難しい。

 

 スチール(ゲーム販売サイト)にデータとして残せばいい?

 

 いや、新作の再生記はオンラインでのマルチプレイが可能なんだよ。前作はオフラインでのマルチプレイで、それをオンライン用に移植するにも手間がかかる。

 

 だったら初代を移植すればいいっていうけど、古すぎて最新モデルのゲーム機やパソコンに適応させる手間もある。

 

 それに、古いからこそボリュームや内容が薄めになっているのも玉に瑕だ。

 

 本当に大まかで最終的な目的が決まっていないからこそ自由に行えていたというのは違いない。

 

 だが自由と言っても出来る事は限られているので二作目に比べると物足りなさが出る。

 

 難しい塩梅だ、これは会社の人たちも困るだろう。

 

 まあ、僕は作る側だからそういったことに関わらないけど。

 

 『クリスタルロボ・洞窟王国の再生記』の声を当てているのは僕であるが、流石に他の人も入れようということで、重要人物となる一部の妖精やロボットには女性の声を当ててある。

 

 一応は共演という形になるが、それらを担当した声優さん達に直接会ったことは無い。

 

 だって、僕これでも貴重な男性だよ?易々と外に出られる身じゃないし、ケイ家の敷地内に作ったスタジオで収録したのを渡してるだけだし。

 

 それに、ストーリーではクリスタルロボは喋らないけど他のキャラクターは喋る。しかし、僕が演じるキャラと他の声優さんたちが演じるキャラの会話はない。

 

 大変なことになるからだ、相手側が。

 

 僕とかかわりを持てるという時点で特大の地雷だ。金持ちお抱えの男性と関わっているなんて知られたら炎上で済むか分からない。

 

 最悪の場合は『ヤったのか!?ヤったんだお前!』みたいに襲撃される可能性も…………

 

 とはいえど名前を売らなければならないので仕方なく名前は載せないといけないのだ。

 

 そういった面で苦労掛けるなと思いつつ、ひたすらにエゴサをしていく。

 

 ん?なんだこの書き込み?

 

 男性の保護ぉ?なんだそれ?

 

 男性を無為に働かせるなと言う書き込みだ。女性の性奉仕のために働かせるなと?

 

 何言ってんだこいつ、性奉仕自体が男性の義務みたいなものになっているのに声高らかに上げたって何もないだろ。

 

 ほとんどの人もこの声に無関心だし、何言おうと無駄だって感じがプンプン臭う。

 

 …………これさ、こっそり男性がやってるとかないよね?ネットで言うネカマ的なことしていたりしない?

 

 前の世界でもそのような話はあったな。どこにでも思想が偏ってる人はいるものだ。

 

 神サマとかがその代表例だしね。

 

 そんなこんなで製作が終わって心の余裕を持つ僕は、ゆったりとネットサーフィンするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奥様、こちらを」

 

 ケイ家当主であるスライとメイド長は二人きりで部屋に居た。

 

 その手にはある写真が握られている。

 

 そこに写っているのは笑顔の女性。その腕には可愛らしい赤子が泣いている。

 

 微笑ましい光景だろう。父親の年齢を考えなければ。

 

「そう、元気に産まれたのね。スウェンはまだ知らないのよね?」

 

「はい、いつ産まれるかは伏せてあります」

 

「びっくりするでしょうね、いつの間にか生まれていたなんて」

 

「大まかな日時は知られていると思いますが」

 

「あの子は賢いもの。ある程度は分かっているでしょうけれど…………」

 

「賢さは奥様に似たのでしょう」

 

 そう、彼女達が話し合っているのは写真に写っている産まれた赤子の話である。

 

 スウェンを父親として、この館で働いていたメイド達が最初に身ごもった子が産まれたのだ。

 

 もちろん、世間的には体外受精で産まれたとしている。

 

 何故ならしっぽりと子作りをして得た子と言うのは一種のステータスになるからだ。

 

 男性と交わること自体が非常に珍しいこの世界、大金叩いてようやく男と身体を合わせることができるのだ。

 

 その行為で子供を確実に孕むかどうかと言われると、100%ではない。

 

 快楽だけで終わるのとは違い妊娠は一大事だ。滅多に産まれないとはいえ男性を産める可能性だってある。

 

 仮に女性だったとしても出産や育児と未来でやることや考えることが非常に多くなる。

 

 それが今、『ケイ家の館にいる女性全員』がそうなっているのだ。

 

「後どれほど産めるか分かりませんでしたが、私も既に…………」

 

「そうね。ロウルも最近体調を崩す事が多くなってるわ。検査の必要があるわ」

 

 腹をさするメイド長と多く抜けるメイドの補充を考えるスライ。

 

 普通に男を飼うならここまでの事態になることはない。

 

 そもそもメイド風情が大富豪が飼う男と交わることすらできないのだ。

 

「やっぱりスウェンはおかしい方ね」

 

「まあまあ、皆幸せに向かっているのでいいじゃありませんか」

 

「思ってるよりも金銭や人間が動くのだけが問題なのよね。まあ、そこら辺も私がなんとかするわ」

 

 スライ・ケイは大富豪である。

 

 既に亡き親から引き継いだ会社を経営し、事業全般の拡大を成功させている手腕の持ち主である。

 

 金の動き、人の動き、全て未熟とはいえ娘達よりも遥かに優れた才能を持つ天才である。

 

「さあ、スウェンの誕生日に合わせて孫の紹介よ」

 

「プレゼントはあの量でいいのですか?」

 

「あの子ね、『毎年プレゼントの量が多すぎて困る』ってぼやいてたよ。ぬいぐるみとか服は飾ってるだけで使わないし…………物より思い出の方が好きみたい」

 

「そうですか。昔のお嬢様達は喜んでいましたが、お坊ちゃまの誕生日は今後の参考にさせてもらいましょう」

 

「そうね、13歳で妊娠させて、14歳になる前に生まれて…………待って、よく考えたら、あの子ってこんな短期間で新しくゲーム作ってるの?」

 

 持ち合わせていないのは、スウェンのような特異性くらいであった。

 




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