あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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53.暗い暗い、されど希望を求めよ

 

 さて、どうやら『クリスタルロボ・洞窟王国の再生記』の物語を知ってくれたようだ。

 

 こういうのはSNSや掲示板を探るに限る。

 

 確かに本編は基本的にマイルドで、ルート分岐によるけどクリスタルロボのために仲間達が身を削って活路を切り開くシーン以外は怖いところがないと太鼓判は押された。

 

 ただし、語ってないところで辛い要素は秘めている。

 

 だいぶん前に語ったクリスタルロボの自我獲得からの電池切れによる自我喪失はもっと後半にわかることなので省く。

 

 そう、人間が一切出てこない。

 

 過去作ではクリスタルロボは基本的に人間のために開拓を続けるロボだったが、今作では妖精と他の新たなロボット達のために開拓を続けるという内容だ。

 

 では人間はどこに行ったのか?

 

 データ上はゾットら新たなロボットを作った後に新天地へと向かい消息を絶った、とされている。

 

 消息を絶ったのは外の世界へと旅立ったとされるが、ゲーム内で群を抜いた強さを持つクリスタルロボでも苦戦するようなモンスターが跋扈する外の世界はそう甘くない。

 

 それはそれで苛酷な世界、知恵を以って挑む覚悟があったから崩壊した洞窟王国を捨てて人間は旅立った。

 

 まあ、はっきり言って甘い話ではあるよね。

 

 夢は有っても顛末はある程度察せられる。

 

 ただし、彼らが絶滅したという可能性はあると言えばあるが生き延びている可能性だってある。

 

 これこそご想像にお任せします、というやつだ。

 

 明言されていなければどれほどいくらでも後付けできると言うやつだ。

 

 舞台となる洞窟王国あたりの生態系も人間が居なくなった事で多少変わっているので大体察しがつく人もいるかもしれない。

 

 前作、前前作ではクリスタルロボ以外のロボはいなかったし、妖精はレアキャラで見逃す代わりにアイテムをくれるといった立場だった。

 

 それが繁栄しているという事は…………そういう事だ。

 

 ま、ご想像にお任せしますけどね。

 

 希少生物が天敵無しに過ごせるというのがちょっとおかしい事態だと勘のいいプレイヤーなら気づくことが出来るだろう。

 

 そしてロボットたちが人間のように生活しているのも拍車をかけて考察の余地を与えているだろう。

 

 人間が居なくなり、主なきロボットたちが何故稼働し続けているのか?

 

 実際のところ、何も考えていなかったりする。

 

 だってさぁ、設定を練りたいのはそうだけど考えすぎてたら大変複雑な状況になってしまうんだぞ!

 

 僕は設定をよく練る方だと自負はしている。

 

 しかし、プレイヤーたちが深く考え込むような話にしてしまうと作品に深みが出なくなってしまう…………と僕は考えている。

 

 そういうのは設定集とかで補完すればいい。プレイする間は解く何も考えず遊んで欲しい。

 

 そして恐怖の坩堝に落ちて欲しい。

 

 おっと、欲が出ちゃった。今は自重しないと…………

 

 そんな後ろ暗いストーリーはあるが、クリスタルロボは妖精たちや他のロボットたちのために働く。

 

 彼らが新たな主としてではなく、親愛なる友人として。新たな隣人として彼らと接するようになる。

 

 こうして彼等もまた新たな未来を歩みだしたって訳。

 

 ま、言いたいことは色々あると思うけど時計の針は戻らない。だったら少しでも埋められるよう新たに進みだそうっていう話なんだ。

 

 そんな小さな者たちの奮闘物語、それが『クリスタルロボ・洞窟王国の再生記』だ。

 

 奮闘と言えば、今の僕たちもそうだ。

 

 最近は会えてないけど、僕の子供たちも新しく産まれたり育ったりしているのだ。

 

 僕も会いたいと思っているが、何故か止められるのだ。

 

 何でだろう?僕の知らない何かがあったりするのかな?

 

 まあ、この世界の人たちって基本的に父親のことを知らない。

 

 僕も僕の父親の情報は全くない。もし知ろうとしたらどれほどの金をつぎ込んで探ることになるかわからない。

 

 1人の男性を探すのは、割と法律に引っかかるかどうかのスレスレを行かないといけないとメイド長から聞いたことがある。

 

 僕のような飼われて家の敷地外に出ないのであれば分かりやすいが、体外受精で産まれるのがほとんどだから無理はない。

 

 そして、父親を知ったところで何をするのかも特に無い。しいて言うなら性交渉かな?

 

 かなり業が深いのだけど…………僕が言ったらおしまい案件なんだよね。

 

 なのでこれで話はおしまい!

 

 売り上げはとうに10億ダウンロードを突破したし、残すはグッズ販売だ。

 

 既にぬいぐるみだったりキーホルダーだったりと細やかなものは製作が始まっている。

 

 大事にしてくれると思うが、転売だけは強く規制させてもらう。

 

 自慢になってしまうが、前回の『デドセレ』もグッズの売れ行きが鰻どころか鯉が龍になるが如く売れた。

 

 もうどうするんだよってくらいの大金が流れ込んだとか。

 

 これに対して母さんは色々と大変だったと言ってたなぁ。

 

 経済効果も恐ろしいほどあったと寝床で聞いたもん。

 

 まあ、そりゃあ趣味込みとはいえウケ狙いで作ったのだから当たった時はデカい。

 

 なんかカルト的人気が出てるし、自分で作っておいてなんだけど供給が少なすぎて感覚が敏感になりすぎてるのでは?

 

 今でもキューリューとの生活報告が出てるから見ないフリするんだ。

 

 それだけ詰んだ世界でも、少しは明るい話があれば楽しくない?

 

 恐怖こそあって、不満があるからこそ喜びが強くなる。

 

 そんなゲームをこれからも作りたい、それが僕の根底だ。

 

「ぼっちゃま、お時間です」

 

「ん、分かった」

 

 色々とやる事はある。『クリスタルロボ・洞窟王国の再生記』の宣伝や進捗が進んでないプレイヤーに対してSNSでヒントを出す作業、細かい調整をしながらやらないといけない。

 

 今のところさ、エンディングを見た実績を解除してるのは全プレイヤーの0.1%以下なんだよね。

 

 だからさ、楽しむのはいいよ?でも妖精もロボも低ランク素材をあげるだけで喜ぶからいいんだけどね?もっと高度な施設とかアイテムとかで喜ばせるのも悪くないと思うんだよね?

 

 え?ずっとイチャコラして進捗が進んでないだって?

 

 頼む、進んで便利な生活を彼らに与えてくれーっ!ずっと楽しんでくれるのはありがたいけどせめて1回はクリアしてくれー!

 




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