あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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びっくりするほど筆が乗る。


⑥ メディアの反応

 

「ねえねえルゥ!これ知ってるよね?知らないほうがおかしいよね?」

 

「うんうん、しってるしってる」

 

「やっぱりエッチだよね!悲鳴とかリョナとかジャンルがヤバいと思ってたけど、思ったよりも…………ね?」

 

「うんうん、しってるしってる」

 

「『スリップ工房』って知ってるかしら?貴女の家がスポンサーになってるわよね?調べたりできない?」

 

「うんうん、しってるしってる」

 

「相槌が適当過ぎるわよ?」

 

 涼しい顔で話を聞き流してるルゥ・ケイは大富豪の3女であり『悪霊の館』製作者の姉である。

 

 高校生という立場であり将来有望のメカニックなお嬢様という個性溢れる立場を有している。

 

「私もめっちゃ抜いたからちょっと飽き気味になってるから」

 

「そう?まあジャンルがジャンルだからね、性癖には正直にならないと」

 

 休み時間に品のない会話をしているが、女子高生しかいない高校ばかりの世界では下ネタ上等のノリが多発している。

 

 それが当然の世界なのだから。

 

「でもさぁ、グッズがどうしても手に入らなかったんだよねー」

 

「あのぬいぐるみでしょ?予約も一瞬で埋まっちゃってねー」

 

「ルゥ、コネ使えない?」

 

「無理無理、母さんにどやされる」

 

 むしろ情報漏洩で物理的に消されかねない、なんてルゥが言えるはずもない。

 

 自分や上姉であるウェイル、ロウルもスウェンを溺愛しているし、実母のスライはもっと溺愛している。

 

 スウェンが産まれた事で全財産の3割を国に突っ込んで育成環境を確保したのだ、女のルゥ達に比べたら遥かに気合が入っている愛し具合だ。

 

 最初は嫉妬はあった。出産後、長い間家を空けて帰ってこなかったことが寂しくて産まれたばかりの赤子を恨みかけた事もあった。

 

 しかし母が連れ帰ってきた時にすぐに嫉妬と小さな憎悪は霧散した。

 

 見た目はどこでも一緒な赤ちゃんだった。しかし、男の子ということを理解した瞬間に愛おしくなったのだ。

 

 それはどのような愛なのか、少なくとも家族としての愛はあった。

 

 そこから上の姉2人と殴り合いをしてでもお世話係を奪おうと戦ったものだ。

 

「聞いてる?ルゥ!」

 

「聞いてなかった」

 

「もー!あの3人の中で誰が好みなのって」

 

「うーーーーーーーーーーーーん…………」

 

 よく考えたら『悪霊の館』に出てきた主人公枠のショタ3人は母、上姉、中姉の好みに作られていた。

 

 もちろんルゥは全部大好物だが、スウェンが自分を意識したキャラを作っていないという事実に少し落ち込んだ。

 

 だが関係ない、次にスウェンが作ろうとしているゲームで自分が勇者枠になっているのだから。

 

「ふ、ぐふふふ…………」

 

「うわ気持ち悪い」

 

「何その不審者丸出しの笑い方。気持ち悪い」

 

「思い出し笑いしただけなのにひどくない?」

 

 陰キャなのには変わりなく、全身鎧で姿を隠されてるのも仕方ない扱いをされているということに気づいていないだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

 

『急速に広がる「悪霊の館」ブーム』

 

『本日紹介するのは一か月前に突如ネット上に現れたフリーゲーム、「悪霊の館」です』

 

『悪霊が住むと噂される館にやってきた主人公たちが、オカルティズムな悪霊から逃げ惑いながら脱出するというシンプルな作りですが、これだけだったら話題になる事もなかったでしょう』

 

『本当に僅か、僅かですがこのゲームには声が当てられています』

 

『主人公に当たる3人の子供、彼らが悪霊に捕まる最後の叫び。これに興奮したものは少なくない筈です』

 

『このゲームは現在推測でしかありませんが、幼い子供が何らかの意図を持って作り上げたものだと考えられます』

 

『それも、男の子が』

 

『幼い声は女性が演じているという可能性も否定できません。しかし、このゲームの製作にはフリー素材を多く使っていても、「スリップ工房」と呼ばれる突如現れた製作者しか関わっていません』

 

『正確には「悪霊の館」関連のグッズ販売を始めた「ケイ・カンパニー」も関わっていそうですが、突然現れた金の卵を運よく掴めたような慌てっぷりを見せており、個人製作であるとみていいでしょう』

 

 

『私もグッズ予約取れなかった…………』

 

『こほんっ、話を続けましょう。何故このゲームが人気になったか。先程も言ったとおり推定ですが男の子の声を使った素材です』

 

『ドラマですら滅多に出ることがなく、そういったものがあったとしてもそこそこ料金がかかるサブスクリプションに入っていなければ見れないものを、いえ、本当に極一部分でしかありません』

 

『男の声を聴いたことがない、という人も殆どいませんが女性と区別することは出来ます』

 

『これは女性のサガとしか言えませんが、人口比率が圧倒的に女性に偏っているため性に飢えているというのは事実です』

 

『それを紛らわせるために同性愛に走ることも多いですが、やはり男性がいいという声が多いです』

 

『私もそうです』

 

『それでですが、この悲鳴は私たちの嗜虐性と保護欲を掻き立てる生の声であり、人気が爆発する要因となったでしょう』

 

『ただし、結末は最悪ですが』

 

『私もこれをプレイした時は悲鳴聞きたさにやったという事は否めません』

 

『それでもゲームであるならばクリアしないといけないと煩悩を振り払ってプレイしました』

 

『普通にホラーでしたね』

 

『いや、話の内容も普通にホラーでほっこりする余裕も興奮する余裕も…………いえ、恐怖で興奮はしましたね、はい』

 

『それに自分のミスでショタを死なせてしまったという罪悪感が半端なく辛かったのを覚えています』

 

『しれっと選んだ一人だけ生き延びて他二人は消息不明…………』

 

『救い、欲しかったな…………』

 

『と、ともあれ、このような万人受け、ではないですが事実上R18指定が入るのではないかと噂されている「悪霊の館」です』

 

『残念なことに製作者への取材は何度も断られて詳細を知ることは出来ませんが』

 

『SNSでは「スリップ工房」は悪霊の正体のこともゲーム内の収集要素として存在することを示唆していますので、今はおとなしく収集要素を集めましょう』

 

『このゲームはやっぱりお金がいるのではないかって?』

 

『フリーゲームですので気軽に遊ぶことが出来ます』

 

『ダウンロードしていない人は、自分の欲求を満たすためにぜひするべきでしょう』

 

『そして私と同じ苦しみを味わえ』

 

『お前も地獄に落ちるんだよぉ!』

 

 




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