あべこべ世界でゲームを作ろう!   作:蓮太郎

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⑦ 製作者は誰なのか

 

「お母さん、結構探り入れられてきてる」

 

「でしょうね。もちろんあしらったわよね?」

 

「当然、うちに襲撃とかされたらたまったもんじゃないからね」

 

「そうそうないでしょうけど、スウェンが家に居ることはくれぐれも、ね」

 

「大学でも話題になってるけど、そんなへまはしないって」

 

 鞄を担いで玄関を出ようとするロウルに出勤前のスライが声をかける。

 

 大富豪の母とその次女、そして姉妹たち共通の秘密。

 

 フリーゲーム『悪霊の館』の製作者が世にも珍しい男かつ自分の息子/弟であるスウェンということ。

 

 既に世界に配信されて2か月経過したが一向にブームが去る気配がない。

 

 公式グッズを自社で作り利権を確保する動きを見せて便乗から権利侵害を防いだ。

 

 何故このようなことをするかというと、謎に満ちた製作者(スウェン)のゲームである『悪霊の館』をフリーゲームからなあなあで公式として奪おうとすることで、それを権利侵害で訴訟しようとしても肝心の製作者(スウェン)が男であることが世間にバレてしまうからである。

 

 既にショタボイスを流している時点で男とバレているが、身元だけは守らねばならない。

 

 『悪霊の館』に登場する少年たちのR18絵が既に大量に作られているところにスウェン・ケイという生モノをぶち込まれると家族として非常に、非常に複雑な気分になってしまう。

 

 それを利用してしまうかもしれないという邪心は置いておき、大企業を統べる女の息子が慰み者にされるという不名誉を負ってしまう。

 

 愛情を抜きにしても企業イメージを守るためにもスウェンの情報を保護しなければならないのだ。

 

「それはそうと、スウェンの方は大丈夫か?なんかもう次に何かしようとしてるっぽいけど」

 

「…………また、新しいのを作ってるみたい」

 

「あいつも飽きないなぁ。あんな売れ方したら天狗になってもおかしくないってのに」

 

「ロウルだったら調子に乗って得た利益を全部何かしらでスってたわね」

 

「んなっ!いつの話だよ!?」

 

「いつとは言ってないわ。でも心当たりがあるんでしょう?」

 

 カマをかけられ顔を背けるロウルだが、鋭い眼光を放つ母に全て見抜かれていた。

 

「帰ってきたら話があります」

 

「…………ッス」

 

 ロウルはその日、帰って来ず余計に叱られることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

 

「お坊ちゃま、今日の宿題は終わらせましたか?」

 

「うん、終わったよ」

 

「そうですか…………」

 

 僕ことスウェンは既に10歳だというのに学校に通ったことが無い。

 

 何故なら世界でも数が少ない男性で、女性は獣と教わり外へ出ないようにされているからだ。

 

 僕は大富豪の息子という金に物を言わせられる親が僕を確保したからこんな生活だが、本来なら男性専用施設に入って男性だけで生活するらしい。

 

 資料を読んだけど、男性は基本的に精子を提供することで生活を保障されているみたいで、もっと何か欲しいといった欲があれば『何か』の仕事をしてもらうのだとか。

 

 たしかドラマにも男性は稀に出ることはあるらしいけど僕は見たことがない。

 

 閲覧制限がついたネット上で得られる情報なんてほんのわずかだから仕方ないけど。

 

「何か間違ってた?」

 

 難しい顔をして僕が提出した宿題を家庭教師に見てもらっている。

 

 宿題と言っても簡単な算数や国語といった本当に小学生が習うようなものだ。

 

 前世持ちという知能が他の子供よりも高いチート性能の僕にとって容易く解けてしまう作業だ。

 

「いえ、全部正解です。お坊ちゃまミスは殆どしてませんね。天才ですよ」

 

「そうかな?」

 

「ええ、最近はパソコンで遊んでばかりですよね?そこから知識を?」

 

「まあ、うん」

 

 前世からだと言えない。もう十分変な子なのは自覚あるけど。

 

「もう少しステップアップしてもいいかもしれません。奥様と相談してます」

 

「えっ、もう?」

 

「もう既に3つ上の子が学ぶ事を学び切っています。集団生活に入っていないのに社会性も…………」

 

「あっ、えっ?」

 

「いえ、品性も十分に…………素晴らしい」

 

「そ、それほどでも…………」

 

 ベタ褒めで思わず照れてしまう。少し顔が赤くなっていたのかその様子を見ていた家庭教師も少し顔を赤くしていた。

 

「いけないいけない、おじ様が好みなのに子供に欲情など…………」

 

「何か言った?」

 

「いえ、何も」

 

 こほん、とひとつ咳払いをした家庭教師は一礼して出ていった。

 

 新たな宿題を残して。

 

 …………うん、やっぱり遊びとか趣味に関係ない勉強って気が滅入る。

 

 楽しいことを考えておかないと辛いところがある。子供の物といえど、気分転換としても味気ないものだし、国語はもう勘弁してほしい。

 

 語彙力を高めるためにやるけどさぁ。RPGのストーリーだって考えなければいけないし。

 

 むしろストーリーよりも声をメインにした方が受けはいいんだろうけどさぁ。

 

 でも、どこにボイスを仕込むかって言われたら…………

 

 だって主人公の勇者パーティーは全員女性。僕がボイスを入れるとしても大人っぽい声を出さないといけないから、ぶっちゃけ子供が大人ぶっているだけで何とも言えない。

 

 他にボイスを入れるとしたら、うーん。

 

 モブ村人とか救出される王子様とか?

 

 大味すぎて物足りない。シンプルで王道なのはいいけれど、もうちょっと特徴を付けないと話にならない。

 

 王道ものなんて大手が売り尽くしているし、ドラゴンを倒して王子を救う物語なんてごまんと存在する。

 

 じゃあラスボスに捻りを入れる?

 

 そこまで物語をややこしくするとついていけなくなる人が出てくる。

 

 決してプレイヤーを馬鹿にしている訳じゃない、ゲームは頭を空っぽにして楽しく遊ぶことこそゲームだ。

 

 複雑なことを考えずに、多少脳死でも戦えるものが一番いい。

 

 伏線とか考察とかはそういった方針が決まってからしよう。

 

 しかし、人間には軒並み声を付けられないと来たら…………

 

 妥協で王子に声を当てるか?どうせご褒美要素になるから間違いではない筈だ。

 

 他に声を当てられるものなんて居るのかなぁ?

 

 考え事をしながら宿題を進めていって、ご飯の時間までまたパソコンでストーリーの構想を練るのであった。

 

 




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