経凛々は付喪神ということでどう書こうか悩みましたね。
「・・・・・・見事なものだ」
満月の夜、伊織は浅草の街をあるいていた。
助之進から頼まれた無頼浪人退治が長引き、昼頃に始め気づけば日が落ちていた。
「思えばあの夜も、今日ほど月光が明るかったな」
煌々と夜を照らす月をみて、伊織はかつてセイバーと出会った日を思い返していた。
「と、いかん。このままでは日をまたいでしまうな」
自分が月に見入っていたことに気づき、伊織は再び歩き出した。
「ちょっとそこの兄さん」
「む?」
「これ、もらってくれない?」
「これは・・・・・・古い巻物のようだが、一体?」
道端にいた男から渡された巻物は手触りでわかるほど破れており、少し握っただけで崩れてしまいそうに感じられた。
「昼間から誰かにもらってくれないか聞いてたんだけど、もう夜になっちゃってね。最後に兄さんにどうか、と」
「ふむ・・・・・・まあ、構わないが・・・・・・」
「蔵を片してるときに出たものだから。もらってちょうだいね」
そう言うと男は去っていった。
「・・・・・・」
試しに巻物を開いてみると、そこには丁寧に漢文が書かれていた。
「見事なものだが・・・・・・何故このような物を一つだけ・・・・・・」
胡散臭さを感じつつも巻物を戻し、懐にしまおうとする。
「む?」
すると巻物は僅かに震え、伊織は手を止めた。
「今、僅かに・・・・・・むっ!」
違和感を感じた伊織を肯定するかのように、巻物は大きく震え始めた。
それはまるで伊織の手の内にあることを拒絶するかのように大きく、そして小刻みに振動する。
「一体何が・・・・・・あっ」
振動に耐えかねた紐が解け、まるでその紐が地面に繋がり引っ張られたように、なぜか伊織は巻物を落としてしまった。
地面に落ちた巻物は乱雑に広がり、中に書かれた漢文を露出させる。
「・・・・・・」
「繧ュ繝」繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「!」
「!?」
落ちた巻物を拾い上げようとした伊織の手が触れた瞬間、巻物はまるで猛禽や女性の悲鳴のような声を上げ、伊織を威嚇した。
「繧ュ繝」繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「!」
「・・・・・・」
一瞬手を引いた伊織だったが、何事もなかったかのように巻物を拾い上げ、再び巻き始めた。
「繧ュ繝」繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「繧「!繧ュ繝」繧「繧「繧「繧「繧!繧ュ繝」」
やがて完全に巻き戻すと声は止んだ。
「あ、お兄さ〜ん!」
「む?貴殿は、先程の」
「ごめんね〜。ちょっとその巻物、色々あって返して欲しくて」
「そうか」
「ありがと。お兄さん素直ないい人ね。ちょっと不満かも」
「そうか?いや、不満とは?」
「とにかく、さよならさよなら〜」
伊織をその場に残し、男は暗闇の中に消えた。
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