NTRゲーに転生したはずなのに寝取られる気配がない件について   作:THE TOWER XVI

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 食後のミントガム的な、読書の合間の暇つぶしにでもなれば幸いです。


その日、俺はNTR(寝取られ)を世界から寝取られた

 俺は転生者である。

 

 

 今どき、歩いていたら交差点ごとにぶつかりそうな一般転生者であるが、俺には夢があった。

 

 

誰もが振り向くような美少女幼馴染と親公認の仲になり、将来は二人で結婚すると指切りげんまんをするも、高校生になる時には方や学園のアイドル、一方俺は冴えないどこにでもいるどころか、なよなよした雑魚男になり、最初はそれでも付き合っていたものの、いつしか会う機会がどんどん減っていき、既に寝取られていた彼女の変化にも気づけず、幻滅されて電話越しに身も心もイケメンマッチョ陽キャに捧げた幼馴染がニャンニャンしながら、俺をこっぴどくこき下ろして間男に媚びる様を、嬌声を聞きながら無様に俺の俺Jr.をおったてながら鬱ニーしながら一人暗い部屋の中で聞き、そしてそのショックで大学受験を失敗し、過去の幼馴染との思い出にすがりながら惨めな負け犬人生を送ることである。(早口)

 

 

 やべ、想像しただけで俺の俺Jr.が!!

 沈まれ俺の俺Jr.!!

 

 (しず)まったな!ヨシ!!

 

 ともかく、俺は寝取られが大好きな一般転生者である。

 

 前世、俺は自身の膨大な寝取られ欲を抑えるべく、日々ありとあらゆるNTRものを読み漁り、果てには筆を執って有り余るリビドーでNTR(寝取られ)漫画を描いていた。

 

 幸いにして界隈(かいわい)ではそれなりに有名になり、別口のNTRへの情熱によって鍛えた腕と、イラストレーターの仕事も併せることで、日々絵とNTR漫画を描いて地産地消していれば生活できる、謂わば永久機関を完成させていた。

 

 そしてある日、俺は重大な事実に気づき、絶望した。こんなにもNTRを愛しているのに、俺にNTRの経験がないのである!!!!

 

 なんということだ。

 おいしい料理を食べたことがない料理人の料理なんて、果たして本当においしいといえるのだろうか??

 

 今まで積み上げてきたものが虚構であると突き付けられ、俺は泣いた。そして真のNTRの王となるべく、NTRれて脳破壊されることを決意した。

 

 しかし、俺は家にこもって日々ペンタブとパソコン相手に戦う孤高のNTR戦士。

 

 そもそもNTRれるためには間男が寝取ってくれて、そして俺が惨めになれるような最高の美少女と付き合う必要がある。

 あと可能ならば、甘酸っぱい過去を積み重ねた分だけ脳破壊指数が上昇する幼馴染がいい。(わがまま)

 

 だが、俺に幼馴染なんていなければ、なんなら常にNTRへと邁進していた俺の周りには、顔を合わせるほど親しい人間なんていなくなっていた。

 

 どうしようもない。

 

 そして俺はすでに、すべてが遅すぎたことに、気づいてしまった。

 

 そうだ。そうなのだ。

 

 俺の愛していたNTRは、俺の手から、すでに世界によってNTRれていたのだ。

 

 

 俺は初めて味わう真の脳破壊(NTR)にテクノブレイクした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、俺が生まれたってわけ。

 

 

 俺の転生先は主人公、それも俺がちょうどNTR場面までプレイして積んでいた『僕と君の冒険譚』というRPG風NTRエロゲである。

 

 この福音(事実)に気づいたとき、思わずひざまずいて神に歓喜の涙をまき散らしながら感謝したものである。

 

 おぉ、神よ、なんとあなたは寛大なのでしょうか。

 

 きっとこれは、NTRを体験できないことを悟ってしまった俺への慈悲なのだろう。

 

 神は言っている。汝、幼馴染を寝取られるべし。

 

 ちなみに、滂沱(ぼうだ)の涙を流して神への感謝を(ささ)げる俺を、孤児院のシスターがヤバイ子供を見る目で見ていたが気にすることはない。

 なぜなら俺が理想の脳破壊をされることは決定事項だからである。

 

 たのむぜ世界の強制力!!

 俺は君のことを信じているぞ!!!

 

 

『僕と君の冒険譚』の主人公はありがちな気弱だが優しい心の持ち主で、女っぽい、どちらかといえば可愛い見た目をしている。そんな彼には結婚を約束した美少女の幼馴染(素晴らしい!!)がいる。

 

 彼女と将来はパーティーを組んで、一緒に冒険をする将来を描いていたが、スキル覚醒という中学生ごろになると発現する能力によって、その夢は崩れ去ることになる。

 

 そう、勇者が夢だった主人公にはなぜかスキルが発現せず、無能の烙印(らくいん)が、一方、幼馴染には聖女というスキルが覚醒してしまうのだ。

 

 そしてそのスキルの発現を聞いてやってきた、勇者スキル持ちのイケメンこそが、本作の竿役にして寝取り役。

 

 勇者は彼女を誘うも、彼女は主人公のことを想っているので一度断る。しかし、周りの圧力がそれを許さず、不安そうにする彼女を「ぼ、僕が君を守るから!」と勇気づける下拵え甘酸っぱいイベントを挟みつつ、主人公がついていく形で落ち着く。

 

 しかし残念ながら主人公はスキルを持たない糞雑魚のため、荷物持ちしか出来ない役立たずである。

 

 最初は主人公のことを気にかけていた彼女も、次第に強くて頼れる勇者のほうに惹かれていき、いつの間にか会話も無くなり無視されるようになってしまう。

 

 主人公はそれでも、幼馴染との(かつ)ての約束を信じていたが、ついに幼馴染と勇者が宿で盛っているのを、夜、偶然聞いてしまい、心が折れてしまう。

 

 なお、その先は知らないままである。

 

 その時点で、(うつ)オナ〇ーのし過ぎで、俺の俺Jr.が痛みで限界を訴えていたためそこで中断。そして、NTRを見れて満足していたため、遊び終わったつもりでいたのである。

 

 

 ......ちなみに、幼馴染と主人公は結婚の約束はしても、付き合っていなかったのなら、それBSSでは?と指摘される有識者がいるかもしれない。だが、ここでは広義のNTRに含めている。幼馴染というシチュなのでOKです!!

 

 

 それはともかく、よくよく考えるとRPG風と(うた)っておきながら、RPG要素なかったな。それなりの値段したし、続きがあったのか?

 

 まあでも、NTR漫画的には、そのまま実家に帰って彼女との過去の幸せな思い出を抱えたまま、惨めに隠居した以外蛇足(だそく)である(※個人の意見です)

 

 それに、俺は脳破壊された後は故郷に帰って、過去の思い出に浸っては、聞こえてくる勇者の活躍を聞きながら、惨め鬱〇ナニーに文字通り(せい)を出して余生を送るつもりなので、その後の話なんてどうでもいいことではある。

 

 

 大事なのは、俺が脳破壊を、理想の幼馴染NTRを生体験できるということだ。

 

 

 ありがとう......転生させてくれて、ありがとう。

 

 

 世界はこんなにも輝いていたんだね。

 

 

 しかし、NTRに関して、世界の強制力さんのことは信じているが......自分のことはあまり信用できない。

 

 正直な所、恋愛経験0の自分が原作通りにヒロインといい感じになれるか、かなり不安である。

 

 保険をかけて、好感度稼ぎは頑張るべきだろう。いや、むしろ何もしていなかった原作主人公に対して、恋愛経験0の雑魚が頑張ることで、±0で丁度良いのではなかろうか。

 

 流石NTRIQ180の俺の脳だぜ。なんて明快な論理だろう。

 

 降ってきた名案に上昇する口角を抑えることもなく、俺はニチャァと顔を歪ませた。

 

 皆に食事の時間を伝えるために来たシスターが、そんな俺を見て恐れ(おのの)いていたが気にすることはない。

 

 俺には世界によって確約された脳破壊があるのだから。

 

 たのむぜ、世界の強制力さんよ、とびっきりのNTR、期待しているぜ☆

 

 俺ことアレン4歳。将来の夢は「将来を誓い合った幼馴染を寝取られて村で(みじ)めに勇者と幼馴染の活躍を聞きながらニート鬱オ〇ニーに勤しむこと」である。

 

 

 

 

 

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