NTRゲーに転生したはずなのに寝取られる気配がない件について   作:THE TOWER XVI

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銀髪ゴリラ女

 自慢のNTRIQ180の脳がはじき出した名案に従い、道しるべを得た俺は、精力的に活動し、順調に成長していった。

 

 第一に、健全なNTRには健全な体が欠かせない。

 

 万が一、NTRへの計画に(ほころ)びが出ても、修正出来るだけの力を身に付けるべく、自由時間は原作知識を生かした鍛錬(たんれん)に勤しむ。

 

 第二に、子供の統制世話を買って出ることで、好感度稼ぎとNTRへの下地作りにも余念はなし。

 

 おかげで今や子供たちの頼れる兄貴である。

 

 どこにNTRの芽が隠れているかなんて分からないからね。

 

 パーフェクト・ネトラレリストは手を抜かないのだ。

 

 幼少期の姿との差異(ズレ)で、気づいていないだけで、子供たちの中に原作ヒロインがいる可能性は十分にある上に、なんなら、子供たちの数だけ幼馴染NTRの可能性があると言って良い。

 

 こんなところで手を抜いて、夢の幼馴染NTRの可能性をおじゃんにしたとなれば、きっと俺は発狂してしまうだろう。

 

 

 俺はNTRに本気(マジ)なのである。

 

 

 もしもの時は俺と結婚の約束して付き合って、その後寝取られて脳破壊を返してくれよな!!

 

 そんなある日、突然、シスターに泣きながら、そんなに頑張らなくてもいいのよ、自分をもっと大事にして、と言われてしまい強制的に鍛錬を禁止されてしまった。

 

 仕方なく、俺はいつも子供たちが遊んでいる広場に様子を見に行くことにした。

 

 しかし、世話を焼いても、精神年齢が邪魔して、ちゃんと遊んだことなかったな。

 

 ちょっとまて、これ普通に子供としての好感度は稼げてないのでは......?

 もしかして世話を焼くのではなく一緒に野原を駆け回るのが正解だったのでは......?

 

 NTRIQ180の頭脳でも気づくことの出来なかった盲点に、愕然(がくぜん)としていると──肩に痛み。

 

「ちょっと!あなた、聞いてるの!!」

 

 振り向いた先には、勝気なつり目に、腰まで伸ばした銀髪を後ろで一つに(まと)めた少女。

 

 彼女がいつの間にか近くに立っていた。

 

「このわたしがさっきから話しかけていたのに、ぼーっとしちゃって! あなた今ひまなんでしょ? ここをあんないしなさい!」

 

 誰だこいつ......? 原作に銀髪の女の子なんていたか......? しいて言えば勇者が銀髪だったような気がするが......彼は男である。

 

 でもこのオーラは主要人物の可能性が高いと、俺の勘が言っている。

 

 ならば、もしや隠れNTRヒロインの可能性も!!

 

 その瞬間、俺のNTRIQ180の脳がフル回転!

 

 もちろん、関係値、上げるよね?

 

「それが人にものを頼む態度かね? 誠意を見せなさい、お嬢さん。例えば将来ネトラ......」

「せ、せいい? 大人みたいな言葉つかっちゃって、こどものくせになまいきよ!」

「お前も子供だろ。

 あ、ちょっと、殴るのやめて、まって、普通に力強い。わかった、わかったから!」

 

 これでも同年代ではかなり鍛えている方なんだが?天然のゴリラか?

 

「それでいいのよ! この私が選んでやったんだから! こうえいに思いなさい!」

 

 案内といい、この辺にしては高価そうな服装といい、この街の外から来たのは確実。そして尖った自信ありげな態度とこのビジュアル......ペロッ、はいやっぱり主要人物確定。

 

 尚、遊んでいた子供たちに殴られていたの見られたのか、割って入ってみんなで庇ってくれたことにほっこり。

 

 彼女は彼女で、大勢に敵扱いされて、さっきの強気の態度が嘘のようにうろたえていた。

 

 それを笑ってしまい、子供たちに説明して遊びに帰したあと、顔を真っ赤にする彼女を(なだ)めるのには、少し手間取ったものの、その後町を回るうちに打ち解けていった。

 

 どうやら、彼女は交易のためにこの町を訪れた商会の娘らしく、まさかの同い年である。ゲームの主人公()と同い年......? コレワァ、主要人物ですね、間違いない(確信)

 

 孤児院は年下というか、なんだかんだ、みんな素直だし、逆にシスターとはやっぱり大人と子供の関係だし、元気に振り回されるのも楽しかった。

 

 

 そして広場に戻る帰り道、赤く道が照らされるなか、まさかの襲撃イベ。さすがゲーム世界、治安が悪いぜ。

 

 あくまで彼女が目的だったようで、武器がないから楽勝とか襲撃者が言っていたが、普通に横から殴った。

 

 すまんが、YES寝取りNO殺しなので。

 

 俺から彼女を寝取りに来た陽キャ間男なら、全力でボコられて、主演男優賞まったなしの演技力で100年の恋も冷める糞雑魚敗北男を遂行するのだが、雰囲気的に彼女を始末する気満々だからね。

 やばそうな刃物持っているし。

 

 彼女は俺の大切な(付き合ったうえで寝取られてくれるかもしれない)人だからな!!

 

 (NTRの種)がも゛った゛い゛な゛い゛!!!

 

 俺は全力で未来のNTRを守護(まも)るぜ!!!

 

 

 どうやら俺はノーマークというか、そりゃ、小学生程度のガキを警戒するわけもなく。

 

 魔力を循環させ、地面を蹴って加速、接近──不意を突かれ、目の前に現れた子供に驚愕(きょうがく)する男の顔。

 

 NTRを守るという強い思いが俺に力を与え、(あご)に一撃、襲撃者の意識を刈り取っていた。

 

 この後、恐怖から解放された安堵か、彼女に泣きつかれつつ、結局、彼女の親、というよりも関係者らしき大人がやってきて、この襲撃者は彼らが処理することに。

 

 おそらく、勝手に行動した彼女を叱ろうとして──しかし、なかなか俺から離れない彼女に彼らが困る場面もありつつ、テキトーに言いくるめてバイバイした。

 

 まあ、彼女は99%主要人物だしな。すぐに、また会えるだろう。

 

 彼女の関係者らしき人からは(いた)く感謝された。お礼については、飽くまでも俺の目的、NTRのためであるため、遠慮したものの、少しだけお金をもらって孤児院にその日は帰った。

 

 

 孤児院に着いたら着いたで、シスターに貰ったお金を渡したら、頼りなくてごめんねと泣かれた。

 

 襲撃者に襲われた、という部分は余計心配させそうなので省きつつ、街を散歩しただけだと説明したが、信じてくれなかった。解せぬ。

 

 

 

 

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