カードファイト!! ヴァンガード BraveBeyond   作:バビロン@VG

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♯4 Breaking Point/Ⅰ

 

白い光が降り落ちて、辺りの闇をかき消した。

 

薄暗闇の会場を覆い尽くす熱気。

ざわめく人の声が、言葉を織り成して入り混じる。

 

あらゆる思惑が渦巻く闇の世界に――

 

『――皆様、お待たせいたしました』

 

冷たい水を連想させるような、落ち着いた声が響いた。

インカムを耳につけた美女。口元に浮かぶ笑み。

 

両手を広げて――

 

『ようこそ、アンダーグラウンドファイトへ!!』

 

露出の多い衣装を着た妖艶なる美女。

水無瀬シキが、大きく声を張り上げた。

 

歓声があがり、会場が盛り上がっていく。

 

『今宵のアンダーグラウンドファイトは特別イベント!! 通常のファイトとは異なり、複数のファイターによるトーナメント形式での戦いとなります!!』

 

観客席に向けて吠えたてるシキ。

会場を渦巻くざわめきが大きくなっていく。

 

『参加するファイターは全8名!! 加えて、今回のイベントではさらに特別な趣向をご用意しました!!』

 

自信に満ちた語り口。

シキが妖しげに微笑んで、手をかざす。

 

白い光が、暗闇を切り裂いた。

 

テーブルの前、立ち並ぶ7人の姿が浮かび上がる。

タキシードにドレス、軍服。多種多様な服装。

 

彼らの顔は、いずれも仮面に覆われ隠されている。

 

『見ての通りです!! 本日は、参加するファイターは顔が分からない状態でファイトしていただきます!! そう!! 今この場に限っては、彼らは何者でもない名無し(ネームレス)のファイターなのです!!』

 

高らかに説明するシキ。

観客席から期待のどよめきが溢れ出ていく。

 

ばっと、シキが勢いよく手を伸ばした。

 

『さぁ、紳士淑女の皆様!! 顔のないファイターを前にして、己が閃きと直感に従うか!! あるいは僅かな情報を元に理論を組み立てるか!! 選択は全て皆様次第となります!! 果てなき栄華の行方に酔いしれて下さい!!』

 

シキの声がインカムを通して響き渡る。

煽るように言葉を紡ぐシキ。不敵な表情。

 

ゆっくりとした動きで、天を仰ぐ。

 

『それでは!!』

 

闇に響き渡る声。

白い光が降り注ぐ中で――

 

『ここに仮面舞踏会(マスカレイド・トーナメント)の開催を宣言します!!』

 

シキの言葉と共に、凄まじい歓声が会場に巻き起こった。

熱狂と期待。大きな盛り上がりに包まれる会場。

 

薄暗闇の中、空気が震えていく。

 

白い光に照らされながら――

 

「……はぁ」

 

立ち並ぶ7人の内の1人。

黒のタキシードを着ている人物。

 

薔薇の模様が入った白い仮面の下で――

 

(……なんであたしが)

 

仮面の人物――鶴見サヤが、そう心の中で呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

VANGUARD

BraveBeyond

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鐘の音が鳴り響き、賑やかな空気が流れていった。

 

穏やかな気候。青白く広がる空。

がやがやという生徒達の声が、あちこちからあがる。

 

そんなお昼の時間、屋上に設置されたテラス席で――

 

「…………」

 

鶴見サヤが、不機嫌そうな視線を対面へと向けた。

じっと、相手を見つめているサヤ。ムスッとした表情。

 

首をかしげて――

 

「サヤちゃん先輩~? 私の顔に何かついてます~?」

 

対面に座る人物――朔導ナヅキが、そう訊ねた。

ぽわぽわとした雰囲気。普段と変わらない様子のナヅキ。

 

ゆっくりと、サヤが口を開く。

 

「……あんたさぁ、何者な訳?」

 

「はい~?」

 

「とぼけないで。昨日のファイトの事よ!」

 

噛みつくように言うサヤ。

椅子によりかかりながら、腕を組む。

 

「相手の自称勇者ちゃんも大概おかしい感じだったけど、まだ理解できる範疇だったわ。でも、最後のあんたのターン。あれは何よ?」

 

真剣な口調。問いかけるサヤ。

ナヅキが「ん~」と言い、頬に指をあてる。

 

「何と言われても~。私はただ、遊んだだけですよ~」

 

のほほんと答えるナヅキ。

サヤが不満そうにその姿を睨んだ。

 

ミユキが指を伸ばす。

 

「最後のターン、朔導さんの迫力は本当に凄かったですよ。相手の子も急に悲鳴とかあげだしちゃうし、なんていうか怖いくらいで……」

 

怯えたように身体を震わせるミユキ。

ナヅキが「えー?」とおかしそうに微笑んだ。

 

「そんなぁ~。私はどこにでもいる、か弱くてかわいい女子高生ヴァンガードファイターなのにィ~☆」

 

照れたように頬に手を当てているナヅキ。

サヤがチッと舌打ちした。

 

「ちょっと、あたしはそこの凡人と違って騙されないわよ!」

 

強気な口調で話すサヤ。

ミユキが「ぼ、凡人!?」とショックを受けた。

 

サヤがナヅキを見据える。

 

「確かに、傍から見ればそいつの言う通りよ。だけど、あのヒーローもどきの視線や雰囲気は違った。明らかに別の何かが見えていて、それに恐怖していたように思えるのよ!」

 

トントンとテーブルを指で叩くサヤ。

ナヅキは無言のまま、その声に聞き入っている。

 

鋭い視線を向けて――

 

「あんた、何者よ? あの自称勇者ちゃんは何を見せられてたの?」

 

サヤが、ナヅキを問い詰めた。

迫力ある瞳。冷たい視線を向けているサヤ。

 

辺りの空気がかすかに張りつめ、重くなっていく。

 

「あ、あの……! えっと……!」

 

2人の間にはさまれ、慌てているミユキ。

おろおろと、2人の顔を交互に見る。

 

緊迫した空気が流れ、そして――

 

「……サヤちゃん先輩」

 

おもむろに口を開くナヅキ。

すっと、その身を乗り出して――

 

唐突に、サヤの頬をぷにっとつまんだ。

 

「ふぃっ!?」

 

びっくりとした声を出すサヤ。

ナヅキが楽しそうに微笑んだ。

 

「も~、サヤちゃん先輩ったら~。そんな怖い顔してちゃダメですよ~。私達は青春を謳歌する女子高生なんですから~☆」

 

きゃぴきゃぴとしているナヅキ。

サヤが「はぁ!?」と声を荒げた。

 

「ふっざけんな!! ごまかすんじゃないわよ!!」

 

ナヅキを見上げるサヤ。

にこにこと、ナヅキが両手を合わせる。

 

「ごまかすだなんて、そんな~。私は本当に、ただちょーっとだけ、本気を出しただけですよ~」

 

ゆるゆると喋っているナヅキ。

ほんの少し、その瞳孔が開いて――

 

「まぁ、あの臆病者さんには、私の炎は少し刺激が強すぎたみたいですけどね」

 

ナヅキの口元に、冷たい笑みが浮かんだ。

醸し出される異様な威圧感。ゾッとする2人。

 

しゅんと、すぐにナヅキの雰囲気が元に戻る。

 

「まぁ、終わった事はいいじゃないですかぁ~。それより、次にアンダーグラウンドファイトに選ばれるのはいつかな~。それまではファイトしようねー、ミユキちゃん~」

 

「うぇっ!?」

 

驚愕するミユキ。

真っ青になりながら、絶望的な表情を浮かべる。

 

会話している2人を見ながら――

 

「……なんなのよ、もう」

 

ぼそりと、サヤが不満そうに呟いた。

青い空の下、もやもやとした気持ちでいるサヤ。

 

平穏な日常の時間が過ぎ、そして――

 

メッセージの到着を知らせる音が、その場に響いた。

 

「ん~?」

 

声をあげるナヅキ。

サヤもまた、持っていたスマホに視線を落とす。

 

簡素な件名のメールが、画面上に表示された。

 

『仮面舞踏会 参加募集のお知らせ』

 

アンダーグラウンドファイト運営からのメール。

ミユキが自分のスマホを取り出した。

 

「あ、あれ? 私には来てない……」

 

おろおろと通知画面を確認しているミユキ。

サヤがひらひらと手を振った。

 

「当たり前でしょ。これはアンダーグラウンドファイトのイベント参加者用のメールだから。ファイターにしか送られてないわよ」

 

「い、イベント……?」

 

眉をひそめるミユキ。

サヤが頬づえをついた。

 

「あんたも何回か行ってるから分かるだろうけど、あそこはショー・ビジネスを重視したエンタメ寄りの闘技場なの。だからたまに特別なイベントを開催してるのよ」

 

「へぇ、そうなんですね~」

 

感心したように頷くミユキ。

ナヅキが「ほへ~」と気の抜けた表情になる。

 

「仮面舞踏会ですかぁ~。皆でファイトの代わりにダンスでもするんですか~?」

 

口元に指を当てているナヅキ。

サヤが呆れたように目を閉じた。

 

「違うわよ。これは参加者の顔が伏せられた状態で戦うトーナメントイベント。8人でやる勝ち抜き戦よ」

 

「勝ち抜き戦?」

 

ぴくりと反応するナヅキ。

サヤが手を広げた。

 

「そっ。参加者は顔が分からない格好で戦って、他の参加者のファイトも観戦できない。誰が出てて次は誰と戦うか分からない状態でファイトするって趣向。まぁ、他にも変な取り決めがあるんだけど……」

 

徐々に小声になっていくサヤ。

ミユキが不思議そうに首をかしげた。

 

「変な取り決め……?」

 

興味深そうに訊ねるミユキ。

サヤが大きく、ため息をつく。

 

「別に、なんだっていいじゃない……」

 

「えー!? そんな、気になりますよ~!」

 

言いたくなさそうなサヤに対し、

不満そうに声をあげて迫るミユキ。

 

「サヤちゃん先輩、教えて下さいよ~」

 

ナヅキもまた、期待に満ちた目を向ける。

2人に見つめられているサヤ。悩まし気な表情。

 

ほんのりと、その頬が赤く染まって――

 

「……コスプレよ」

 

とても恥ずかしそうに、

サヤが小さな声でぼそりと答えた。

 

「コスプレー??」

 

綺麗にハモる声。

サヤが嫌そうに頷く。

 

「そうよ。正確に説明すると、"仮面をかぶった状態で仮装をする"のが参加条件なの。別に絶対、コスプレしないといけない訳じゃないわよ」

 

言いたくなさそうに話すサヤ。

2人が理解できず、きょとんとする。

 

サヤが再びため息をついた。

 

「つっても、実際の所はだいたいの参加者がコスプレみたいな格好で出るのが伝統になってるけど。去年は水着に吸血鬼、武士にゾンビに花嫁と、それはまぁ変テコでカオスな絵面だったわ……」

 

苦々しい口調で語っているサヤ。

2人の脳内に、訳の分からない光景が思い描かれた。

 

会話が一瞬、滞る。

 

「……サヤちゃん先輩、出たんですか?」

 

おそるおそる訊ねるミユキ。

サヤが鋭い目を向けた。

 

「んな訳ないでしょ!!」

 

ぴしゃりと言い切るサヤ。

ミユキが「ひぇー!」と悲鳴をあげる。

 

ナヅキがその目を糸のように細めた。

 

「コスプレ……なるほど……」

 

ぶつぶつと呟いているナヅキ。

何かを思案するかのように、考え込む。

 

サヤが手を振った。

 

「そんな訳だから、今回のイベントはガチガチの対戦系じゃなくてエンタメ寄りのファイトイベントって事。あんたの望むような戦いができるとは――」

 

喋っている途中のサヤに向かって――

 

「あっ、私はもう参加希望出しました~☆」

 

にっこりと、ナヅキがそう告げた。

サヤの動きが固まり、その言葉が途切れる。

 

「はぁっ!?」

 

大声を出し、ナヅキの方に顔を向けるサヤ。

ナヅキが目をきらきらと輝かせた。

 

「だってだって~、普段は1回しかファイトできませんけど、今回は最大で3回も戦えるんですよ~! お得じゃないですかぁ~!」

 

はしゃぐように話すナヅキ。

サヤが唖然とした顔でその姿を見つめた。

 

「えっ、じゃあ朔導さん、コスプレするんですか……?」

 

驚きながら訊ねるミユキ。

ナヅキが得意そうに胸を張る。

 

「もちろんです~! 何を隠そう、私は中学の頃の文化祭において、クラスの演劇で目覚ましい大活躍をしたんですよ~!」

 

自信満々に言い切るナヅキ。

サヤが頭痛を感じながら、手を顔にあてた。

 

「あんたねぇ……言っておくけど、このイベントの仮装はわりと本格的なのが多いわよ? そんじゃそこらの素人が出ても恥をかくだけよ」

 

「大丈夫ですよ~。実はお気に入りの衣装が1つ、お家に残ってるんです~。演劇部の人が作ってくれた、凄く出来のいいやつなんですよ~」

 

ぽわぽわと答えるナヅキ。

ミユキが訝しむように目を細めた。

 

「衣装? どんなのなんですか?」

 

「ヴァンガードのユニットの衣装です~」

 

ピースサインを作るナヅキ。

ミユキとサヤが「ユニット……」と呟いた。

 

「……何でしょうね、ユニットって?」

 

「知らないわよ。無難な所でいえばリリステのどれかじゃないの? アレスティエルとか、フェルティローザとか……」

 

 

双翼の大天使 アレスティエル

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

リリカルモナステリオ - エンジェル 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのメインフェイズ開始時、あなたのバインドゾーンから1枚選び、手札に加え、加えたら、山札を上から1枚表でバインドする。

白翼-【永】【(V)】:あなたのターン中、このユニットのパワー+5000/クリティカル+1。

黒翼-【永】【(V)】:あなたのターン中、相手のユニットすべてのパワー-5000。

(白翼はバインドに奇数グレードのみ、黒翼は偶数のみで有効)

― 白き翼は喜びを配り、黒き翼は退屈を吹き飛ばす。

 

 

宵闇月の輪舞曲 フェルティローザ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

リリカルモナステリオ - ヴァンパイア 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのドライブチェックで〈ゴースト〉のノーマルユニットが出た時、そのカードをユニットのいない前列の(R)にコールしてよい。コールしたら、さらに【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、そのバトル中、このユニットのドライブ+1。(このバトルでのドライブチェックを1回増やす。これが最後のドライブチェックだった場合でも、追加でもう1回できる)

― 夜空に月が輝く限り、私と一緒に踊りましょう?

 

 

ひそひそと話し込む2人。

ナヅキがニコニコと笑いながらサヤに迫った。

 

「ねぇねぇ、サヤちゃん先輩も出ましょうよ~。私、サヤちゃん先輩ともまた戦いたいんですよぉ~」

 

甘えるような声。

サヤが「はぁ!?」と嫌そうな表情になった。

 

「なんであたしが! てか、コスプレしてファイトなんてごめんよ! 恥ずかしいし!」

 

顔を赤く染めながら答えるサヤ。

ナヅキがふくれっ面になる。

 

「えー、そんなぁー。寂しいィ~!」

 

面倒くさい反応をみせるナヅキ。

サヤがイラついたように睨みつける。

 

ミユキが指を伸ばす。

 

「あれ、でもサヤちゃん先輩ってアパレル会社の社長なんですよね? だったら、参加すれば宣伝とかにもなるんじゃないですか?」

 

思いついたように言うミユキ。

サヤが「なっ……!!」と驚愕する。

 

ナヅキが再びその目を輝かせた。

 

「そうですよぉ~! 今ならタダで宣伝ができるんですよぉ。絶好のビジネスチャンスです、サヤちゃん先輩~!」

 

「い、いや。てか、うちは自社ブランド品をネット通販で売ってる会社だし、あんな場所で宣伝しても――」

 

「いやいや、あそこって表の顔も凄い人達が集まってる雰囲気あるじゃないですか! 朔導さんの言うことも一理ありますよ!」

 

ナヅキとミユキ、2人に言い寄られるサヤ。

だらだらと、冷や汗がその顔に浮かぶ。

 

「……うぅ」

 

サヤが脳内で計算を巡らせていく。

会社の利益と自らの羞恥心。秤に乗せられる両者。

 

天秤が傾いて――

 

『参加希望受付が完了しました』

 

「ああぁぁ……!!」

 

スマホに表示されたメッセージを前に、

サヤが頭を抱えながらうめき声をあげた。

 

「うぇーい!!」

 

ハイタッチするナヅキとミユキ。

やりきった表情。息ぴったりな2人。

 

サヤが恨めしそうに顔をあげた。

 

「ちょっと、なによそれ! そんなに楽しい!?」

 

批難するような口ぶり。

ナヅキとミユキが迷いなく頷いた。

 

「とっても楽しいですよ~」

 

「当日はカメラ持っていきますね、サヤちゃん先輩」

 

断言している2人。

サヤがますますイラついたように顔をしかめた。

 

「ふ、ふん! 言ってなさいよ!」

 

椅子に背中を預けるサヤ。

腕を組むと、不機嫌そうに顔をそらす。

 

「あいにく、これはあくまで参加希望だから。選ばれるかどうかはまた別よ! そこそこ人気のイベントで倍率高いんだから!」

 

自分に言い聞かせるように言うサヤ。

ナヅキが「わぁ~」と感心したように手を合わせた。

 

「ミユキちゃん、聞きましたか~? あれがフラグってやつなんですね~」

 

「うぅむ、実に見事な前フリ。本場摂津でも、ここまで綺麗なのはなかなかお目にかかれないですなぁ~」

 

好き勝手言い合っている2人。

サヤが「あーもう!!」と声を荒げる。

 

椅子から立ち上がって――

 

「うるさいうるさい!! あたしは絶対!! コスプレなんてしないんだからねー!!」

 

サヤの魂の叫びが、青空の中にこだました。

必死な表情。赤面しているサヤ。

 

穏やかな風が通り過ぎていき、そして――

 

目の前に、暗闇に包まれた空間が広がっていった。

 

『それでは、ここに仮面舞踏会の開催を宣言します!!』

 

高らかに響き渡る声。

闇が渦巻く闘技場の中、歓声が飛び交っていく。

 

白いスポットライトの光に照らされながら――

 

(あのピンク女、いつか殺す……!!)

 

サヤが、高まる殺意を胸に拳を握りしめた。

 

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