GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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10戦目:特訓をしよう!

 GBBBBはクランやミッションなど交流を奨励している部分はあるが、ミッションの難易度が高すぎると言うことも無いので、ソロプレイでも気軽に遊べるというハードルの低さも魅力だった。

 

「今日は皆いねぇかぁ」

 

 本当に珍しいことだが、今日は『ビアンカ』のメンバーはアラタ以外、誰もログインしていなかった。ソロプレイも悪くはないが、もっと交流の輪を広げてみても良いだろう。

 GBBBBには幾らか有名プレイヤーがいる。マイスターやカオスの様に輝かしい戦績を持っている者達は勿論、いつもロビーにいる奴やトンデモないネタガンプラを作っている奴など……。

 

「おい~す。トロンさーん」

「お。アラタか。今日は一人なんだな」

 

 その中でトロンはIN率の高さと、とある機体を彷彿とさせる俺ガンプラ『ガンダムフリューゲル』の使い手であることで有名だった。

 彼の志と機体アセンブルを同じくした者達が集うクラン『OG』は、尊厳破壊ふみな程ではないが、いつバニシングされるかという危険を孕んでいる。

 

「1人で先に進んだら、皆と楽しく遊ぶのが難しくなるかもしれないし」

「歩調を合わせないと、養殖になりがちだもんな。特に、そっちのタオ君とか」

 

 トロンからの指摘にアラタはドキッとした。アラタも内心で思ってはいるが、口にするべきことではないと考えているからだ。あまり、タオが強くないと。

 

「プレイスタイルの強要は俺が一番嫌うことだから、やりたくねぇんだけれどよ。でもよ。やっぱり、皆で楽しく遊ぶ上で必要な最低ラインってあるじゃねぇか?」

 

 忘れがちだが、ネタガンプラや魔改造ふみなを作っている奴らは大体パーツレベルもビルダーズランクも高い。つまり、ネタアセンで出撃しても結果を残せるだけの強さがあるのだ。

 

「分かるぜ。クランとか一緒にプレイして行く上で必ず引っ掛かる問題だよな」

 

 クラン『OG』のトップとして、同じ悩みは通過して来たらしい。人数が多くなればなるほど、プレイスタイルの違いによる諍いも見てきたはずだ。

 

「トロンさんは、どうやって解決を?」

「ミッションはパーツレベルを上げたらどうにでもなるけれど、対人戦はそうはいかねぇ。だから、対人戦に出すメンバーを鍛えるには……」

 

 アラタは一言一句を聞き逃さない様に構えていた。このGBBBBの先達として、蓄えて来た経験を自らの血肉に換える為、しっかりと傾聴していた。

 

~~

 

「(ドタバタして、INするのが遅れたなぁ)」

 

 普段、学校から帰って来たら即座にINしているが、今日は色々とあったので遅れてしまった。タオがGBBBBにログインすると、フレンド一覧の中でオンラインになっているのはアラタ位だった。おまけに目の前にいる。

 

「タオ。待っていたぜぃ」

「へ? 僕になんか用?」

 

 惚けてみたが、内心ではやや覚えがあるのか多少緊張していた。流石にアラタだし、糾弾して来るような真似はしないと思いつつ身構えていた。

 

「実はだな。今後、クランも対人戦を意識して行くに当たって、お前を鍛えることにした!!」

「急やね!?」

「何故か、今日はミスターとも遭遇しないからな。トロンさんからイロハを聞いたんだ。特訓だ!!! お前と……楽しく遊びてぇんだ!」

 

 GBBBBのプレイヤーとしては自分の方が先輩だが、今となってはアラタの方が上手くなっている。と言うことは、タオとしても自覚せざるを得ない所だった。

 コウラの様なベテランプレイヤーは言わずもがな。リンも向上心はあるし、文の上達速度も早い。

 

「特訓かぁ……」

 

 大仰な言い方だが、皆よりも少し努力を重ねるという意味で言っている所なら望む所だ。何故なら、GBBBBはとても楽しい場所だからだ。

 

「ええね。なんか、ビルドファイターズ味を感じるわ!」

「受けてくれるか! 嬉しいぜ!!」

 

 重く受け止める必要はない。ホビーアニメにおいて特訓などは必要回とも言えるだろう。ロビーで、こんなやり取りをしていると拍手のエモーションを送って来たプレイヤーがいた。

 

「素晴らしいです! お2人の友情に私、感銘いたしました! ぜひ、私にも近くで見届けさせて貰えませんか!」

「アンタ。話が分かるじゃねぇか!」

「え……」

 

 男同士の友情に、突如女が割り込んで来た。百合に挟まる男が晒し首になるのは古来から決まっていることだが、男同士の間に挟まる女はいかように扱うべきかは、GBBBB内でも難しいことである。

 アラタはノリノリだったが、タオからすれば標準的GBBBBプレイヤーに首を突っ込まれて困惑するしかなかった。だが、彼女は特に気にした様子もなく自己紹介を始めた。

 

「私、普段はソロプレイをしています『シーナ』と申します。お2人の遣り取りに大変興味を持ちましたので、特訓なる光景を見せて頂きたいのです」

「構わねぇぜ。よし、ミッションを受注した! 入って来な!」

 

 シーナの使うガンプラ自体はマトモな物だが、こんなノリを嬉々として鑑賞したいという神経はタオにも理解できない物だった。流石に、これにはタオも思うことがあったらしく、耳打ちをした。

 

「アラタ。怪しいと思えへん? こんな会話に急に割り込んで来るなんて」

「そうかぁ? ウチの学園じゃ割と見るぞ?」

 

 なんていったって『ソロモンの魔女』がいる学園なのだ。男同士の間に割り込んで来るエルメスめいた奴がいても不思議じゃないのだろう。

 そう言われたら、別に変じゃない気がして来た。周りを見れば、ジャスティスの上半身にズゴックの下半身と。脱皮に失敗した奴がいたり、ボールを使ったタチコマが闊歩していたりするんだから、男同士の間に割り込む女なんて大したことは無いだろう。

 

「そうかな。そうかも……」

「だろ? だから、一緒に行こうぜ!」

 

 GBBBB式洗脳を受けたタオはこれ以上、疑問を持つことが出来なかった。

 結局、3人でミッションを受注することになったが特訓とは一体何なのか。と思っていたら、アラタは後ろの方でドッシリと構えていた。

 

「……あのー。アラタ?」

「いつも俺が頑張っているから、今日はタオが頑張れ。応援しているぜ!」

「はい。私も応援しています!」

 

 ミッション中にエモーションで手を振っている動作は、場合によっては煽っている様に見えるかもしれない。タオの周囲に敵機が集結したが、いつもみたいにアラタが追い払ってくれたりはしない。

 

「僕が主体で戦えってことかいな!?」

「この間の、ミッションのリプレイを見たんだぜぃ? コウラ先輩が周りを蹴散らして、お前がウロウロしていたから存分に戦わせてやろうと思ってな……」

 

 と言っても、相手は大して強くない。頑張れば戦えるし、普段はアラタや他の者達が前線を張っているので、偶にはこういう機会もあって良いだろう。

 

「こっちに来た敵機は相手をしておきますので」

「おんどりゃああああ!」

 

 アラタとシーナは実に消極的に戦いながら、タオが必死こいて戦っていた。

 WAVE1ではユニコーン系の機体が現れ、ジェスタキャノンからボコスカ攻撃を食らったりもしていたが、HPが回復しているのが見えた。どうやら、アラタとシーナがフォローを入れてくれているらしい。

 

「か、硬い……」

 

 パーツレベルを上げていても、無双と言う訳にはいかなかった。

 先日のプレイで見たコウラの超大型メイスによる瞬間撃破の魅力が過ったが、タオは首を振った。

 

「ボクのガンプラは! G-ARMS所属やぞ!」

 

 効率を求めたら見た目なんて選ぶ必要がない。タオはコマンド戦記が好きだから、こうしてキャプテンとコマンドのミックスを動かしている。ついでに戦国伝も。

 普段は何となくプレイしているだけで意識していなかったが、こうして自分が前線を張ることで強く意識する所でもあった。

 

「流石、タオだぜぃ。奴はG-ARMS所属だ。負けるもんか」

「グリーンベレーは私も大好物です」

 

 玄田版に対して屋良版をぶつける辺り、彼女も相当濃い人物らしい。

 迫りくるユニコーン達を撃破して、WAVE2ではザクⅡを始めとして一年戦争の機体達を見事に殴り倒していた。どうやら、タオは思ったよりも弱くはないらしい。

 

「僕もやるやろ? 所で、なんでこのミッション選んだん?」

「それはだな」

 

 WAVE3。最終WAVEの開始と共に『BOSS APROACHING』という警告文が流れた。地面からガンプラ箱が生えて来る演出は一際強力なボスであることを示している。現れたガンプラにはこう書かれていた。

 

「『SUPER FUMINA』……。アラタぁ!?」

 

 そう。ストーリーミッション『2-7』。このGBBBBを始めた者達が、初めてすーぱーふみなと戦うのが、ここなのだ。

 

「GBBBBはフミナパイセンによって支えられているんだ。頑張れ、タオ。お前も強くなれる!! 何回でも付き合うぞ!!」

「キミがすーぱーふみな回収したいだけやろ!!!」

 

 店売りのパーツは全てLv.1で最低レアリティの為、いきなり使っても強くはない。

 しかし、ミッションで手に入れた機体はレベルとレアリティがある程度は良い物が出て来る。これはタオの特訓と私欲を満たす目的を兼ねた合理的な選択であった。

 

「なら、私も付き合いますわ!」

「1回でええやろ!!」

 

 流石に最終WAVEと言うこともあって、こればっかりはアラタとシーナも付き合ってくれた。流石に3人がちゃんと動くとミッションもサクッと終わり、報酬画面に推移した後、ロビーに出たのだが。

 

「とても楽しかったです。良ければ、フレンド登録をしませんか?」

「勿論だぜ。何なら、ウチのクランに来ねぇか?」

「まぁ! よろしいのですか!」

 

 ジェットコースターもかくたるやと言わんばかりに全てが決まって行く。

 一体、何処の力が働いているのだろうかと言わんばかりの急行っぷりに、タオはつい言ってしまった。

 

「君らは一体何やねん! あぁっ! いきなり割って入って来る! 私も鑑賞させてとか言い出す! かと思ったら、アーマーリペアとかでちゃんと補助はする! 挙句はボクをすーぱーふみな発掘係にする!」

 

 コマンドーガンダム好きらしくキッチリと付いて来る当り、タオもちゃんと履修はしているらしい。かくして『ビアンカ』にまた一人、濃いのが入って来た。

 

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