GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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 『GQuuuuuuX』のネタバレを多分に含みます。先行上映を見てからの閲覧をお勧めします。


EX1:正式サービス開始まで 完 ※最新作映画のネタバレを含みます

「ねぇ、カルパッチョさん。具体的に言うと、今回のイベントで使用可能な機体ってどこら辺までなの?」

 

 休日ということもあり、サイゼリアが混みあって来たので早めに出てガンプラショップに着いたのだが、カルパッチョが主催しようとするイベントのレギュレーションと言う物が、リンやセリトには把握しかねる所だった。

 『GQuuuuuuX』はIFとも言える宇宙世紀の歴史を辿っている為、MSの開発状況は正史とは異なっているだろう。ジオンも少なからずの影響はあるが、連邦は特に影響が大きいハズだ。

 

「まずね。ファーストガンダムの1話目が『宇宙世紀0079の9月18日』に始まっているからね。それまでに生産されたMSはOKにしましょう』

 

 ガンプラショップなので、カルパッチョは特に声量を絞って話していた。

 サイゼリアでは聞かれても問題ない人達が多いかもしれないが、ガンプラショップでは聞かれては不味い人種が多いからだ。アラタも彼女に倣うことにした。

 

「GBBBBで実装されている機体で言うなら『ザクⅡ』『グフ』『ドム』『アッガイ』『ズゴック』。『モビルワーカー』も一応は該当するか?」

「そんな所ね。連邦に関しては『ガンタンク』と『ガンキャノン』だけ。ちなみに『ガンダム』は無しね」

 

 アラタが挙げた機体だけしか使えないことを考えると相当に少ない。それだけ、あの映画は本来の宇宙世紀を外れた物だったのだろう。GBBBBだけの知識しかないが、セリトも小声で尋ねた。

 

「『ゲルググ』とか『ギャン』はどうなんですか?」

「『ギャン』と『ゲルググ』も無し。映像を見ていた限りは1機も出なかったし、奪取されたガンダム……の量産機辺りとのコンペで負けたんじゃない?」

 

 確かに、劇中でも両機の姿を見掛けなかった。1年戦争ではかなり強力なMSだったので、採用されているなら出ていないのはおかしい。

 

「殆ど、ジオン機体でのバトルになりそうだな」

 

 マシマも小さく呟いた。戦争の結果を考えれば、ある意味自然な選択だ。だが、これで、買うべきガンプラというのは概ね検討が付いた。

 

「とりあえずザクⅡを買っておくと良さそうやね。あ、セリト君。それ、ザクⅡFZやから、レギュ的に使われへん奴やで」

「いっぱいあって、マジで分からん」

 

 ガンダム好きが身に着けている教養も、一般人にはまるで分らない領域のことである。リンも気付いたのか、アラタに近付いた。

 

「(よし。ここで私もアラタにどれを選んだらいいのかを聞いて……)」

「ねぇ、カルパッチョ。別にGBBBBで組むんだから、実際に購入する必要はなくない?」

 

 しかし、ここに来て正論ハンマーを振り回したのはコウラである。

 決して、リンを牽制する為に言ったのではないのだろう。カルパッチョとは真逆で、基本的に彼女のノリは良くない。だが、フリーダムフリートとビアンカの両方で少なからず付き合いのあった彼女は即座に返答をした。

 

「もしも、GBBBBの再開が長引いた場合用にね。その時はゲーセンにおいてある筐体で遊べるように組み立てておくのよ。それにね、立体物を作っておいた方がゲーム内でも愛着は湧きやすいんだから」

「確かに。そうね、貴方の言う通りだったわ。少し物臭をしようとしていたわ」

 

 この理屈にはコウラも素直に納得していた。彼女の効率厨ぶりをロジカルに収めたことに、シーナは感心していた。

 

「す、すごいです。いつもは猿叫を上げているかネタに走っているかのカルパッチョさんがまるで、カリスマPの様です」

「もしかして。私のことを猿かチンパンかとお思いで?」

 

 普段、彼女がカルパッチョのことをどう思っているかがストレートに吐き出されていた。堪らず、文も尋ねていた。

 

『どうして、普段からこの対応を維持しないのですか?』

「普段からそんなにネタがある訳じゃないから……」

 

 げに恐ろしきは新作パワー。とりあえず、リンは当初の予定通りに行くことにした。アラタも彼女に気付いたのか口を開いた。

 

「リンも一緒に探すか?」

「うん。こういう機会に宇宙世紀の機体も触ってみたいしね」

 

 種類が多くないので悩み過ぎる必要もない。リンはSEEDシリーズを見ていたので『ザク』と『グフ』にも馴染みはあるが、イマイチパッと来なかった。

 

「俺もなぁ。散々、ガンタンクで遊び倒したから、今回ばかりは別の機体を使いたいんだよなぁ。リンはどうする?」

「う~ん。こういう時は、やっぱりアッガイに目が行くよね」

 

 癒し系MSとして、ビルドファイターズシリーズでも可愛らしいカスタムが施されたりもしている。

 

「分かる。『ビルドファイターズシリーズ』では癒し系も出来るし、『アッガイ北米横断2250マイル』みたいにギャグもバトルもこなせるけれど、サンダーボルトでは工作MSとしてクールな役目も出来る、演技幅の広い機体だよな」

 

 こういう時に早口になる辺り、アラタもやはりガンダム好きであった。というか、これだけ話を聞いていると、先の本編でも出て来そうな気はする。

 

「でも、この機体って宇宙で動けたっけ?」

「そこはホラ、アレだよ。重力下でバトル的な物があるかもしれないし」

『それを言ったら『ズゴック』も『グフ』も使えませんしね。『ドム』も厳密に言えば使えないのですが、『リック・ドム』扱いということで一つ』

 

 文のフォローもあって、とりあえず使って良いと思うことにした。

 ただ、リンはあまりガンプラを組み立てたことは無いし、オリジナリティを出すというのも難しい話だ。

 

「そもそも。改造って、何するの?」

「色々とあるからなぁ。カラーリングを施したり、他のガンプラをミキシングしたり。ここら辺はGBBBBでもやっているから予想し易いんじゃないかな?」

 

 イメージは枠が、実際にやるとなれば話は別である。ガンダムフレールも自分が作ったというよりも、殆どミサが作ってくれた様な物だった。リン・カーネーションも彼女から譲り受けた物である。……一つ気付いたことがある。

 

「アレ? 私、殆どガンプラ作ったこと無くない?」

「GBBBBプレイヤーでもそう言うユーザーは多いから、大丈夫」

 

 ゲーム内でビルドする楽しみを知って貰い、リアルの方へと誘導する。この橋渡しをするのもGBBBBの役割である。

 

「じゃあ、このアッガイが初めてちゃんと取り組むガンプラになるのかな?」

 

 ずんぐり、むっくり。昨今、スマートにスリムになって行くMS達からは掛け離れたシルエットだが、不思議なことに愛嬌がある。やはり、ビルドファイターズの影響は大きかった。

 

「もしも、リンがアッガイを選ぶなら、俺もアッガイにしようかな? 話していたら、アイデアも思い浮かんで来たし」

 

 まさかの御揃いである。だが、レギュレーション的に組むことは無さそうなので、そこが少し残念でもあった。

 

「え? どんなの作るの?」

「それはお披露目までのお楽しみということで。出来たらGBBBBじゃなくて、実物でやる方で挑みたいね」

 

 クックック。と何やら悪い笑みを浮かべていた。ただ、御揃いの機体で行くというのはなんだか嬉しくもあった。他のメンバーも構想が固まったのか、思い思いのガンプラを手に取っていた。

 

「よっし。じゃあ、各自。公開日まで準備をしておきましょう。感想はチャットで語らいましょう」

 

 全員が頷いた。相当長い時間、選んでいたのか。結構良い時間になっていた。全員がガンプラの入ったビニール袋をぶら下げながら、帰路へと付いて行く。

 

「じゃあな、リン。ミサさん」

「うん。イベ日楽しみにしているね~」

 

 ミサがヒラヒラと手を振っていた。普通に別れを告げるだけなのに、リンは少し固まってから口を開いた。

 

「アラタ。また、一緒に遊ぼうね」

「うん。それじゃあ」

 

 電車のドアが閉じた。今日は1日、色々とあった。本当に密度の濃い1日だった。ちょっと疲れたのでチラリと横に視線を投げると、ミサが微笑んでいた。

 

「今日は1日楽しかったね」

「うん。また、こうしてお姉ちゃん達と一緒に出掛けたいね」

 

 少し前までの自分ならこんなことを言うことも無かっただろう。

 どんな風にガンプラを改造しようか、どんな機体にしようか。自分だけの空想が形を伴っていくことを想像してみると……すごく楽しみだった。

 

~~

 

 それから1ヶ月ほどの時間が過ぎた。本予告が公開され、主題歌には光の巨人のリブート映画を担当した歌手が起用され、入場者プレゼント、物販情報等も公開されて行き―――ついに先行上映の公開日は訪れた。

 

「クロカンテ君。これはマジかい?」

「これが新しいガンダムになるんですかのぅ」

 

 我慢できずに駆け付けたガンダム好き達は誰もが目を剥いた。そして、驚いた。同時に思った。

 

「流石、『庵野』先生ェ。やってくれるじゃない!」

「ドーラ、楽しそう」

 

 誰もが思ったはずだ。この衝撃と感想を共有したい! 

 しかし、彼らは喉元までせり上がった物を呑み込んだ。このインパクトをSNSで公開したが最後、他の同志の楽しみを奪ってしまうと。

 

「でも、ユイ姉ェ。僕達はガンブレ学園の生徒だから共有し放題だよね」

「うんうん。アラタ君とコウラちゃんも見た? 今、この感想を解き放ちたくて仕方が無いよ! 私のリビドーは凶暴だよ」

「どうして、周りの奴らが見ていないのに、よりによってこの2人だけ!」

「コウラ先輩。今ばかりは、かつての蟠りを捨てて盛り上がりましょう。いや、俺も話したくて仕方が無いんですけれどね」

 

 ガンブレ学園では派閥が出来る始末だった。観た奴と観ていない奴。なんなら教師でさえもソワソワしている。

 どうにかして、この内側に溜まった思いを発散したい! でも、内容をネタバレする訳には行かない! 一体、何処に。どうすれば! いや、あるだろう!! スマホ、PC、あるいはゲーム機を起動させた。

 

『皆さん! お久しぶりです! レコです!』

『ようやく、この時が来たか! 世はまさにガンダム熱が迸っている!』

 

 モニターでは久しぶりとなるレコとミスターガンプラの軽快なトークが降りなされ、ジークアクスのPVが流れている。更に、ロビーの中央にはジークアクスの機体が表示されていた。

 GBBBBのロビーに表示されている。ということは、既に内部データにパーツがあるということだ。コレには久々にログインしたユーザー達が狂喜乱舞した。

 

『長らくのメンテナンス、お待たせいたしました。ガンダムの最新作が公開された祝砲と共に、私達『GBBBB』も正式サービスを開始いたします!』

 

 誰もがSHOPに向かって一年戦争の機体を買い漁っては、マイルームに突っ込んで行く。ロビーはチャットに溢れ、今ばかりは美プラも影を潜める勢いだった。GBBBBが正式サービスという朗報と共に帰って来た。

 

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