GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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EX2:正式サービス開始! 6 ※ジークアクスのネタバレを含みます。

「タオ君。君には前衛をして欲しい」

「えぇ!? 僕がですかぁ!?」

 

 クラバトのペアを決めた際、フドウからこの様な提案を受けたタオは困惑していた。自分はサポート向き……と言えば、聞こえはいいが、彼はクラン内における自身の立ち位置を自覚していたからだ。

 

「君に自信が足りないのは、同期やクランメンバーに対して委縮しているからだと思う。それじゃあ、楽しくないだろう?」

 

 今やGBBBBにおいて時の人とも言えるアラタを始めとして、元・プロプレイヤーやフリーダムフリートから移籍して来た者。更には、あのマイスターとチームを組んでいたプレイヤーまでいるのだから、どうしても比べてしまうのだ。

 

「僕に出来るんでしょうか?」

「これが、プロの試合だったらそうはいかない。けれど、これは『遊び』なんだ。勿論、勝ちも狙いに行く。だけど、一番大事なのは『楽しく』遊ぶことだよ。楽しむことを忘れた趣味は苦痛にしかならないから」

 

 バトルトーナメント決勝戦のメンバーに選ばれた時は、タオもやる気に満ちていたが、色々とあって有耶無耶になってしまったので、彼のモチベーションも宙ぶらりんになっている所はあった。

 

「……せやなぁ。なんか、色々とあって。バトルには勝たなアカンって想いばっかりが強くなって、何が楽しいかよー分からんようになっていたけれど」

 

 タオは改めて出場予定の機体を見た。ミリタリー色のザクⅡだが、ショルダー部分は真紅の塗装が施されていた。ブレードアンテナの生えた頭部は、ビルダーズパーツである騎士ガンダムのバイザーで覆われていた。手にはヒート・サーベルとザク・マシンガン。

 

「ブラッディザクをイメージしている?」

「はい。1年戦争の機体でやる言うたら、やっぱりコレでしょ! コマンドガンダムも好きやけど、同じ位ザタリオン側も好きなんですよ」

 

 フューラーザタリオンを組み立てる位に、タオはG-ARMSに入れ込んでいる。今回のレギュレーションを見て、この機体を組み上げるのは必然だったのかもしれない。

 

「じゃあ、好きをぶちまけに行こう! それが出来るのがGBBBBなんだから」

 

 そう言う、彼の声色は優しい物だった。きっと、自分と同じような苦悩を持つ生徒達を沢山見て来たのだろう。

 ガンブレ学園では成績や将来に関わって来るだろうから、掛ける言葉も限られるだろう。だが、GBBBBはゲームで遊びだ。責任なんて無い。

 

「うん。そうしますわ! でも、先生ェ。その機体は何ですか?」

 

 タオの機体とは裏腹に、ピンク色のズゴックの胴体からアッガイの手足が生えた珍妙な機体。そもそも、胴体と頭部が一体化しているズゴックと頭部以外が一体化しているアッガイを組み合わせるのはGBBBBでは不可能では無いのか。

 

「物凄く頑張った。サナと一緒に考えた機体だ。マスコット枠を目指して失敗したけれど、これも味があるってことで一つ。名前はズッガイ」

「何から何まで雑すぎやしませんか?」

 

 これに後ろを任せるのは不安しか残らなかった。いや、もう自分が頑張るしかないと奮起させる為の機体なのかもしれない。そう思うことにした。

 

~~

 

「だぁあああ!!」

 

 タオのザクⅡが手にしていたマシンガンが火を噴く。サーヤが操るタンクは見た目の重厚さとは裏腹に軽快な機動で回避し、ニャアッガイも腕部のメガ粒子砲で応戦していた。

 戦略的にどちらを狙うべきか。ということを考えようとしたが、首を振った。自分がやりたいことは決まっているからだ。ニャアッガイの方に突撃した。

 

「リィイイン! 覚悟せぇや!」

「!!」

 

 彼女のニャアッガイが一瞬硬直した。タオが突っ込んで来たのが予想外だったのだろう。そんな彼をサポートする様にして、フドウのズッガイがサーヤの機体に張り付いていた。

 

「悪いけれど、暫くは俺と……」

「キモい!!」

「>ひどい」

 

 サーヤはズッガイ目掛けてマシンガンとバズーカを放っていたが、フドウは彼女を挑発する様にしてカニ歩きで回避運動を取っていた。腹立たしいことに、こんな挙動をしているのにキッチリと避けていた。

 

「あぁ、もう! FCSの性能が甘い!」

「流石に、そこまで弄れちゃうとカスタムの難易度が上がり過ぎちゃうからね」

 

 カニ・タンク合戦の傍ら、タオとリンは撃ち合いを止めてクロスファイトの距離まで接近していた。

 

「タオがここまで積極的になるなんて、ちょっと意外!」

「僕かて、ビアンカのメンバーや! それに、他の誰に負けても! 君には負けとぅ無いんや!」

 

 タオのザクⅡが振るって来たヒート・サーベルを、リンのニャアッガイは両腕を交差して受け止めていた。直ぐに頭部のバルカン砲が火を噴き、ザクⅡのバイザーが吹き飛んだ。

 同じ少年の背中を見続けて、ここまで走り続けて来た者同士。仲間であり、友人でもあるからこそ。負けたくはなかった。

 

「私も! 同じ!!」

 

 受け止めていたヒート・サーベルを弾くと、丸っこい両腕の先端からは鋭いアイアンクローが飛び出していた。突き出した腕は相手を貫くことは無かった。

 タオは咄嗟にスパイクショルダーを前面に突き出して、リンの攻撃に対してカウンターを試みていた。果たして、彼の目論見は上手く行った。スパイク部分とクロー部分が衝突して、互いのパーツが拉げた。

 

「うぉおおお!!」

 

 タオは直ぐに、至近距離でザク・マシンガンを発砲した。咄嗟にニャアッガイが丸まった。ずんぐりむっくりした体型は可愛らしさ以外にもステルス性や特殊な態勢を取ることで耐久性を高める役目も果たしていた。

 だが、タオは攻勢を弱めない。ならば、スイカ割の様にして球体を叩き割ってやるとヒート・サーベルを高く掲げた。振り下ろされる。

 

「タオ君!! 避けろ!!」

 

 フドウの指示が飛ぶ。モーションは止められない。タオは見た。リンのニャアッガイが地面に向けてメガ粒子砲を放ち、その反動で機体が勢いよく跳ねた。全身を質量弾にしてザクⅡに突っ込んだ。

 

「まだぁ!」

「これで!!」

 

 機体の姿勢は崩されたが、決着が付いた訳ではない。ニャアッガイが突き出して来た腕を紙一重で避けた。返す一撃で、ヒート・サーベルを逆袈裟に振り抜く。切り飛ばされた腕の先端には拉げたクローが飛び出していた。

 

「良かった、反応してくれて」

「うぉおおお!?」

 

無理な体制で反撃した為か、直ぐに回避運動を取ることが出来ない。

ニャアッガイが残された腕を突き出して来た。先端に生えたアイアンクローが連続でザクⅡの胴体を貫いた。

 

「やっ……」

「最後まで油断大敵だよ?」

「リン!!」

 

 タオのザクⅡが機能を停止した数秒後。リンのニャアッガイも背後から胴体を貫かれていた。驚きはしたが、直ぐに取るべき行動を取ろうとした。

 だが、フドウも動きを読んでいたのか引き抜くスピードが早い。このままでは逃げられると踏んだ彼女は、目の前のザクⅡを引き寄せた。

 

「!?」

 

 フドウのズッガイはニャアッガイだけでなく、機能停止した味方機をも巻き込むことになった。2機分を貫いているともなれば簡単には引き抜けない。

 しかし、彼の判断は早かった。直ぐに腕を自切して、振り向きざまに腕部メガ粒子砲を放った。

 

「ッツ!!」

 

 サーヤも避け切ることが出来ず、ザク・マシンガンを持っていた腕に命中し、爆発を引き起こした。だが、彼女の猛進は止まらない。

 バズーカの引き金を何度も引いた。だが、フドウの機体はこれらを回避していた。こうも実力差を見せつけられれば、サーヤも認めざるを得ない。

 

「(私よりも強い!)」

 

 隻腕のズッガイが目の前まで迫っていた。突き出されたアイアンクローによって、頭部が潰され、残っていた腕部も抉り取られた。

 油断も舌なめずりをするような真似もせず、サーヤの機体を潰そうと最後の一撃を繰り出した刹那。ズッガイをメガ粒子砲が貫いていた。

 

「え、えへへ…」

 

 先程、ズッガイに貫かれたニャアッガイは機能停止まで追い込まれていなかったのだ。最後の力を振り絞って放ったメガ粒子砲は、フドウも予想だにしていなかった一撃だった。

 

「まだぁ!!」

 

 だが、同じ様に油断しては更に逆転されると踏んだのか。サーヤは残された履帯状の脚部を用いて、ズッガイを轢き潰していた。もはや攻撃と言えるかすら怪しい一撃だったが、間もなくアナウンスが流れた。

 

『勝負ありだぜぃ! 最後の最後までどっちが勝つか分からねぇ緊迫した試合だった!!』

『勝者はリン&サーヤペア! いやぁ、フドウさん怖すぎでしょ! あそこからマジで捲られるかと思ったわ!!』

 

 決着は着いたが、リンもサーヤも大きな溜息を吐いた。あまりに状況が目まぐるしく変わっていたので、本当に自分達が勝ったのかどうかという実感が湧いていなかった。暫くして、呼吸を整えた位で。ようやく、実感が湧き始めていた。

 

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