GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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EX2:正式サービス開始! 7 ※ジークアクスのネタバレを含みます。

「タオ。良い勝負だったよ」

 

 試合終了後、リンはロビーにてタオに『握手』のエモーションを出していたが、当の本人はと言えば罰が悪そうにしていた。

 

「でも、後半。一気に追い上げたんはフドウ先生ェの巻き返しがあったからやし」

「あんまり卑屈になり過ぎると、相棒にも失礼ですよ?」

 

 サーヤが慰める様な真似をせず、敢えて尻を叩くような言い方をしたのは、相手の力量を認めているからだろう。自分達とこれだけの勝負を繰り広げたのだから、卑下するなと。

 

「そうだよ。タオ君が引き付けてくれていたからこそ、俺はあのチャンスを活かすことが出来たんだからね。最後は底力で巻き返されたけれど、この一寸先も分からない展開が醍醐味だよね」

 

 フドウが述べているのは決してお世辞でもリップサービスでもない。本心からの言葉だったからこそ、タオは自分の気持ちに正直になることが出来た。

 

「あぁ! ごっつぅ悔しい! 行ったと思ったんに! リン! 今回は僕の負けやけど、次は普段使いの機体で勝負やからな!」

「うん! 何時でも受けて立つよ!」

 

 MAVを繰り広げた後は、真のマブが出来ると言った所だろうか。少年少女の友情劇を見た、ビアンカの年長組は感慨深げにしていた。

 

「タオの奴、言う様になったなぁ。俺は嬉しいぜ!」

「だよね。リンも物怖じしなくなったし。……でも、2人には悪いけれど、今回のクラバトで優勝は頂いて行くからね」

 

 年長者であり、アラタに次いでクランメンバーの面倒を見ることが多い二番手三番手の2人。根っこはビルドファイターであるが故、最初から優勝しか狙っていなかった。

 

「丁度良い。ミサとはどっちが上かを決めておきたかったんだよな。マイスターには悪いけれど、頂かせて貰うぜ?」

「そっちこそ。鼻の下伸ばして、そのまま伸されないようにね?」

「あ、俺にNTR趣味はねぇから」

 

 流石に彼氏持ちに手を出す程、マシマは節操無しの男では無かった。

 というか、本人は軟派を公言しているが、それらしい振る舞いはあんまり見当たらない。なので、リツキが尋ねた。

 

「もしかして、キャラ造りの一環ですか?」

「いや、可愛い子は好きなんだけれどよ。なんか、先んじて老婆心みたいなのが出て、それ所じゃなくなるって言うか……」

「ウム。正に、ノブレス・オブ・リージュという奴だな」

 

 クロカンテが騎士風のドムで頷いていた。見た目はチャラチャラしている癖に、中身はおっさんというか。おっちゃんというか。

 

『何やってんだ! 2人共心温まる遣り取りしてないで、煽り合えよ! ほら、お前のアバター胸盛り過ぎだろ! みたいな感じで!』

「人がクリエイトしたアバターを煽るのはどうかと思うぜ」

「カルパッチョちゃん。配信が終わったら、話し合おうね」

 

 マシマからのマジレスとミサから怒りの矛先を向けられる羽目になったカルパッチョは、クルリとアラタの方を見た。

 

『と、言ったら2人を良い感じに焚きつけられるんじゃないかって、アラタが言っていました』

『言ってねぇよ!?』

『さぁ、第1回戦注目のカード! どちらが勝つか、皆さんも想像してみて下さいね! それでは!』

 

 アラタの抗議を全て無視して、カルパッチョは4組目のクラバト開始の声を上げた。ビアンカの2番手を決める戦いともなれば、興味を持っているユーザーも多いのか、視聴者数も増加していた。

 フィールドに降り立ち、真っ先に動いたのはマシマ達だった。白い軽キャノンが、バックパックに搭載されたキャノンからビームが放たれた。狙いはリツキの砲撃仕様のザクⅡに対してだ。

 

「まぁ、僕を狙うでしょうね!」

 

 ミサから呼ばれるだけにあって、リツキは状況把握能力も備えていた。ビーム砲の回避挙動を取った先、クロカンテのドムから放たれていたジャイアント・バズの砲弾も迫っていたが、これも防いでいた。

 返す一撃と言わんばかりにマゼラトップ砲が放たれたが、これはマシマ達を捉えるには至らない。だが、回避した先にはビームが飛んで来た。

 

「お互いの動きは分かっているってか」

「合わせる練習もして来たからね!」

 

 フィールドがあまり広くない為、逃げ回ることはできない。なので、遠距離仕様の機体でもない限り距離が詰められるのは必然だった。

これは配信でガン逃げ戦法を取られることを防ぐことを兼ねてのステージ選択であった。最も、互いに逃げ回る気は無かった様だが。

 

「おらぁあああああああ!」

 

 軽キャノンがガンダム・ハンマーを振り回していた。だが、ミサのガンキャノンは鉄球の一撃を受け止めていた。このまま投げ返すか、あるいは手繰り寄せて一撃を食らわすか。

 という、選択に陥る前にマシマはハンマーを手放し、バックパックに収納されているビームサーベルを取り出していた。なので、ミサはそのままガンダム・ハンマーを奪い取っていた。

 

「いい出来しているねぇ!」

 

 人から奪い取ったパーツを我が物のように扱っていた。

 ただ、使い方は原作の様に鞭の先端に付いているハンマーを当てるという感じではなく、先端の根本付近を持って叩き付ける。という、SEEDでも出て来たビームブーメランの先端で切りつける様な使い方をしていた。

 直ぐにマシマとクロカンテが2人掛かりで抑え込もうにも、彼らの連携を上手いこと潰す様にして、リツキのザクⅡから砲撃が飛んで来ていた。

 

「リツキ君か! 中々、良い動きと位置取りをしている! もしも、君がGBBBBを続けるなら、ぜひフリーダムフリートにも来て欲しい!!」

「ご勧誘ありがとうございます! でも、僕達に勝ててから勧誘してくださいね!」

 

 返礼と言わんばかりに、ザクⅡの脚部に装着されていたミサイルランチャーが火を噴いていた。迫り来るミサイルを避けていると、眼前にガンダム・ハンマーが飛んで来ていた。

 

「うぉ!?」

「近くでも遠くでも殴れて、便利だよね!」

 

 接近して来たら短く持って、殴る。遠くに離れている相手には通常通りの使い方をして殴る。鈍重そうな武器を実にフレキシブルに用いていた。避けきれなかったクロカンテの機体の肩部が吹き飛んでいた。

「参ったな。俺より上手く使いこなしてやがる!」

 

 まるで、元々の持ち主が彼女であったかのような馴染みぶりにマシマは逆に感心すらしていた。遠くからは砲撃が、近距離中距離からはガンキャノンのハンマーとキャノンが待ち構えている。

 マシマとクロカンテは互いに背中合わせになっていた。ガンキャノンと砲撃仕様のザクⅡに挟み撃ちにされているからだ。

 

「(普通なら、砲撃仕様のザクⅡを狩りに行くんだろうな)」

 

 マシマとクロカンテの二機は近接戦に重点を置いている。2人で一斉にミサに襲い掛かろうとすれば、隙だらけの背中にザクⅡの砲撃がぶち込まれるだろう。

 だからと言って、リツキのザクⅡを始末に向かえば、ガンキャノンのハンマーとキャノンが同じ様に背面に叩きこまれるだろう。

 

『まさに挟み撃ち! やはり、物を言うのは積み重ねて来た経験か!? ビアンカのナンバートゥーはここで決まるのか!』

『だけど、マシマ達も諦めてねぇみてぇだぜ!』

 

 クロカンテがザクⅡの砲撃を捌いている中、彼はマシマだけに聞こえる接触通信を入れていた。

 

「マシマ君。私の背中を借りるぞ!」

「OK!!」

 

 マシマの軽キャノンとクロカンテのドムがほぼ同時に動いた。軽キャノンがリツキのザクⅡに向かって駆け出し、ドムがシールドを構えて肉薄して来た。

 

「(砲撃は防いで見せるってか)」

 

 砲撃の軌道は直線状になる為、最初から防ぐつもりで動ければ十分に阻害が出来る物だ。ただ、ミサのガンキャノンは有機的に軌道を変化させる武器を手にしている。彼女は躊躇いも無く振るった。

 

「その瞬間を! 待っていたよ!」

 

 クロカンテはシールドの裏に忍ばせていたヒート・サーベルを抜いて、放たれたガンダム・ハンマーのチェーン部分を断ち切っていた。

 ミサのコントロールから外れたスパイクの付いた鉄球は感性のまま飛んでいき、ターゲットであるマシマの軽キャノンと言えば緊急回避をしていた。更に飛んで行った先にいたのは。

 

「うぉ!?」

 

 リツキのザクⅡだった。まさか、自分に向かって飛んで来るとは思わず、咄嗟に回避をしたが、無理な態勢で避けてしまったので隙を晒すことになった。

 

「フリーダムフリートの前に。ウチに遊びに来てくれよ!」

 

 リツキは諦めずにヒート・ホークを引き抜いていたが、遅かった。既に軽キャノンはビームサーベルを振り抜いていた。ザクⅡの胴体が溶断され、吹き飛んで爆散した。と、同時にマシマの背後でも爆発が起きていた。

 マシマは振り向くと同時に回避機動を取った。すぐ横を砲弾が通り過ぎた。拳を固めたガンキャノンの姿があった。

 

「マシマぁあああああ!!」

 

 手にはドムの残骸。どうやら、ガンダム・ハンマーが切り飛ばされた後、ミサは迷うことなく格闘に切り替えて、クロカンテを葬ったらしい。

 

「何も持たなくてコレかよ!?」

 

 ガンキャノンが突き出して来た前腕部を切り飛ばした。だが、残った肘から下の部分で殴られ、吹き飛ばされた。

 急いで態勢を立て直した軽キャノンは、肩部のビームキャノンを放った。ミサのガンキャノンは両腕をクロスさせて突っ込んで来た。分厚い装甲を貫いて胴体を破損させることは出来なかったが、両腕はオシャカになっていた。

 

「うぉおおお!!」

 

 すると、彼女は残された脚部で蹴り飛ばして来た。軽キャノンの胴体がベコンと凹んだ。パーツアウト等、物ともしない獰猛さだった。

 

『凄い! まるで闘争の化身の様です! あの状態になったら、私なら逃げ回っちゃいますね!!』

『いや、多分。普通はそうすると思うぜ。あの状態で戦えるのは、ミサさんに半端ない位に格闘の心得があるからなんだぜぃ』

 

 五体満足であるはずの軽キャノンが両腕の無い、ゾンビの様なガンキャノンに迫られている。だが、この迫力に呑まれないマシマもまた実力者だった。

 

「じゃあ、根競べだ! 俺とお前! どっちが強いか!!」

 

 すると、マシマは破壊されたクロカンテの機体のバックパックからヒート・サーベルを引き抜いていた。迫り来る、喧嘩キックをビームサーベルとヒート・サーベルの二刀で受け止めていた。

 

「こちとら6年は待てるくらいに根性あるんじゃ!」

 

 ガンキャノンはキックを受け止められたとなるや、絶妙な機体制御をして空中へと跳び上がった。すると、バックパックに納められていたドムのヒート・サーベルが宙を舞った。と同時に、彼女はそれを軽キャノンに向かって蹴り飛ばした。

 無茶苦茶な軌道で飛んで来たヒート・サーベルを弾く為に、マシマが切り払った一瞬に合わせて、頭上からガンキャノンの踵落しが降って来た。軽キャノンのビームキャノンが火を噴いた。

 

『おっと。これは……』

 

 カルパッチョが動画を拡大表示させていた。ガンキャノンの踵落しは、軽キャノンの頭部を胴体へとめり込ませ、軽キャノンのビームキャノンはガンキャノンの胴体に風穴を開けていた。

 暫く、お互いが奇妙な態勢で固まっていたが、崩れ落ちたのはガンキャノンの方だった。

 

『勝負ありなんだぜぃ! 2回戦にコマを進めるのはマシマ・クロカンテペアなんだぜぃ!』

「あっぶねっぇ!!」

 

 何とか勝てたが、本当に一瞬の判定だった。もしも、ミサのガンキャノンの挙動の方が早ければ、倒れていたのは軽キャノンの方だっただろう。

 注目のカードと言われるだけにあって、1回戦から満足のいく試合が繰り広げられたことは、試合開始時から増えていた視聴者数に表れていた。

 

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