GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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EX2:正式サービス開始! 12 ※ジークアクスのネタバレを含みます。

『さぁ、やってまいりました! クラバト2回戦! 今回からアラタ選手も試合に参加しますので、解説は私カルパッチョと!』

『1回戦落ちしました、ミサが務めます』

 

 かくして、クラバト2回戦の日が訪れた。本日行われる試合は3回。

 シード枠として、前回は出番の無かったアラタ・カオスペアとシーナ・ドーラペアの試合から始まることになった。

 

「アラタさんとですか」

「シーナ。緊張しているのかい?」

 

 していないと言えば噓になる。シーナは自信の実力が、ビアンカ内でも上位に食い込むほどの物でないこと位は自覚している。

 このGBBBBにはネタ勢でありながら腕前も備わっているプレイヤーが数多く存在する。故にネタ勢であるが故に、バトルは強くないという逃げに走りたくはなかったのだ。やるからにはネタもマジも全力で! そう。目の前にいる2機の様に……。

 

「緊張はしています。ですが、それ以上に楽しみですね」

「いい気概だ。あの調子に乗った二人をぶちのめしてやるよ!」

 

 かくして、フィールドにはドーラのザクⅡとシーナのガンキャノン。そして、ネタ勢の極みとも言えるイロモノアッガイ2機が降り立った。

 

『勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず、操縦者の技量のみで決まらず。ただ、結果のみが真実……』

『カルパッチョちゃん。それ、2年前の方!』

『フィックスリリース!』

 

 宇宙世紀から一気に離れた口上と共に試合は始まった。ドーラのザクⅡに追従する形でシーナのガンキャノンも行動を共にしていた。一方、アッガイコンビはと言えば、ゴロリと丸くなったカオスのドラッガイの背面にアイアンクローを差し込み、後方へと大きく腕を下げて、振り抜いた。

 すると、球体状になったドラッガイが2機に肉薄した。よくある、フレンド・ウェポンアタックなので、ドーラも打ち返すべく大型ヒートホークを振り被ったが、そこはGBBBBトッププレイヤー2人。

 

「ドーラさん!」

「!?」

 

 シーナの声に反応してみれば、ボーリングボールと化したドラッガイに追走する形で駆けて来た、マチュッガイが飛び出していた。

 丁度、ジークアクスの作中でマチュがザクからガンダムへと乗り換える際に見せた動きと同じ様に、前脚を大きく振り上げていた。ついでにドーラのザクⅡを蹴り飛ばしていた。

 その一瞬に合わせる様にして、姿勢制御を終えたカオスのドラッガイが地面に手を着き、独楽の様に回転を始めた。ブレイクダンスの様な奇妙な動きではあるが、回転によって生まれたスピードとアッガイの質量による蹴撃はダウンしたばかりのザクⅡの頭部と胴体に叩き込まれていた。

 

『凄いね。アッガイ北米横断2250マイルネタじゃん。ジークアクス世界線じゃ、あの兄弟はどうなっているんだろうね?』

『ミサさん。それ、ネタとしてマイナーな方じゃない?』

 

 2機のアッガイと兄弟を主役にしたコメディも入り混じった外伝作品であるが、しっかりと犠牲者や戦争のシビアさも描かれている硬派な作品である。2人が参考にするには十分な話であった。

 試合の方はと言えば、シーナが射撃で2機のアッガイを退かせようとしていたが、直ぐ目の前にマチュッガイが迫っていた。既に拳を振り被っていた。

 

「あ」

 

 刹那、シーナの脳内に流れたのは、ジークアクスの挿入歌でありエンディングにも使われた曲だった。勿論、彼女がリピートされたということは某MADの方だ。

 改札の前で立ち止まり、不意に出た言葉をきつく飲み込まなかったばかりに、所属組織の崩壊RTAを招いてしまった可哀想な男と女みたいな名前をしたニュータイプのヒステリーが只管に再生されるアレだ。

 

「何考えているか、なんか分かったぁ!」

 

 アラタが叫ぶ。ゴッ! という音がしそうな勢いと共にシーナのガンキャノンが殴り飛ばされていた。急いで上体を起こして、手にしたバズーカと肩部のキャノンを放つが、咄嗟の姿勢での反撃は余程読みやすかったのだろう。マチュッガイは軽々と避けていた。

 

「チィッ!!」

 

 カオスのドラッガイを相手にしていた、ドーラのザクⅡが大型ヒートホークを投擲した。狙うは、正にシーナに止めを刺そうとしているマチュッガイに対してだが、カオスは跳び上がって、弾き飛ばしていた。

 

「ドーラくぅううん!! ダメダメ! よそ見はさぁ~!」

 

 わさびボイスの方ではなく、濁声を意識した声真似はカオスの年齢を物語っていた。即座にザク・マシンガンに持ち替えて応戦したが、遅かった。目の前にアイアンクローの切っ先が迫っていた。

 一方、シーナのガンキャノンも堅牢な手足を用いた白兵戦を挑んでいたが、こればっかりは経験の差が如実に出ていた。今までバトルトーナメントを始めとして、強敵と幾度も交戦して来たアラタと、強いことは強いがそこそこのレベルの相手との交戦経験しか持ちえないシーナでは直ぐに優劣が現れ始めていた。

 

「(遠い!)」

 

 これが、自分達のクランリーダーか。両腕のパーツが貫かれた一瞬を狙って、至近距離でキャノンをぶっ放したが、しゃがんで避けられた。お返しと言わんばかりに、頭部のバルカンを打ち込まれた。

 ガンキャノンの胴体で爆発が起きた。姿勢を崩した一瞬、アイアンクローのラッシュが打ち込まれ、シーナのガンキャノンは機能を停止させた。

 

「(強い!!)」

 

 分かってはいたが、このアラタ・カオスペアは強かった。ドーラもフリーダムフリートに名を連ねている幹部である以上、GBBBBプレイヤーの中では上澄みだ。

 だが、顔面を半分潰され、近接武器も奪われた自機を顧みれば、そんな矜持は崩れそうになるほどの差があった。

 

「じゃあ、アラタ君! アレ! 行っちゃおうか!」

「オッケー!」

 

 シーナを撃破して駆け付けて来たマチュッガイとドラッガイが一斉に接近して来た。状況的に言えば『詰み』というしかない。だが、ドーラは最後まであきらめなかった。飛ばされた大型ヒートホークに向かって駆け出していた。

 この2機を前にしてはザク・マシンガンも豆鉄砲になってしまうので、どうしても強力な武器が必要だった。だが、前方はドラッガイに回り込まれ、背面からはマチュッガイが迫っていた。2機の腕からはアイアンクローが飛び出していた。

 

「無駄無駄無駄無駄!!!」

 

 自分の声質を理解しているカオスから掛け声と共に怒涛のラッシュが繰り広げられ、合わせる様にアラタも背面からラッシュを叩きこんでいた。

 ドーラのザクⅡのパーツが次々と吹っ飛んでいき、耐久値も一瞬で消し飛んで、景気よく爆散した。あまりに圧倒的な差が付いていた。

 

『いやぁ、凄いね。てっきり、機体は新規だからそこまでの差は出来ないかと思っていたんだけれどさ』

 

 ミサの感想は多くの人が抱いた物だろう。試合が終わってみれば、アラタ・カオスペアの実力は圧倒的だった。

 

『やはり、このクラバト! 下馬評通りに行ってしまうのか! 動画配信的にはあんまり美味しくない展開だけれど、実力者同士が組んだらどうなる! という、リスナーの希望をやってみたパターン! って言うのは必要よね!』

『だからこそ、対戦相手次第で試合が気になる所でもあるんだけれどね。次の試合は、対抗馬になっているマシマ・クロカンテペアの試合だしね』

 

 ミサがチラリとリン・カーネーションへと視線を投げていた。

 次に戦う相手は、コイツらと比肩しうるペアなのだと。初めて日が浅いリン・サーヤにとってはあまりに強大な相手だ。

 

「あんな試合を見たら、俺達もがぜんやる気が出て来るな。マシマ、勝ちに行こう」

「当たり前だ。そう言う訳で、嬢ちゃん。この試合は俺達が貰うぜ」

「やってやるんだから! ね、サーヤちゃん!」

「まさに壁越えですね」

 

 実力の彼我は大きいが、自分達だって成長している。と思ってはいるが、圧倒的な差で敗れたシーナ達の姿が思い浮かんでしまったので、リンはPCの前でカムリを振った。第2試合が始まろうとしていた。

 

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