GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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EX2:正式サービス開始! 15 ※ジークアクスのネタバレを含みます。

 超高度に陣取っての一方的な攻撃。空中にいる間は残弾管理も落ち着いて行えるため、手数を途切れさせることが無かった。

 地上部ではドラッガイとマチュッガイが逃げ回るズゴ・タンクを追いかけているが、頭上からの攻撃にまで気が回らずに幾らか被弾していた。

 

『えーっと、ここでコメントの一部を抜粋しましょうか。『特格空キャン』『逃げないで戦ってください』『逃げずに戦います』『2強1バグ』。いやぁ、実に自由なコメント欄ですね』

『外患誘致がよぉおお!!』

 

 ユーキの抑揚のない司会とは裏腹に、カルパッチョは自らの頭がガンガンと痛むのを感じていた。人は過ちを繰り返す。

 ただ、過去に問題になったと言うことは、それだけ強力だったと言うことだ。アクションゲーという共通点はあるが、挙動と言った点では共通点が少ないので問題は無いかと思っていたが、微妙に似ている部分があった故、悪夢の再現が出来てしまっていた。

 

「ヤメロー!! モー!!」

 

 アラタがコウラの非人道的な戦い方に悲鳴を上げていた。最初は何とか切り返す手段を考えていたが、本当にどうしようもなかった。

 まず、アッガイは射撃武装に乏しい為、空中にいる相手に狙いを付けられない。じゃあ、同じ様に飛翔すれば良いのかと言えば、簡単な話ではない。

単純にブーストが足りない。では、途中でコウラがやっているみたいに格闘武器を素振りしながら、ゲージを回復させればいいかと言われると。

 

「空中? どうぞ、どうぞ」

 

 丹生のズゴ・タンクの射撃が待ち構えている。空中での動きはどうしても限られてしまうし、回避するにしてもブーストゲージを消費させられる。

 

「ダメージ覚悟でニュー君を仕留めようにもねぇ」

 

 カオスもジワジワと焦り始めていた。彼にも追い込まれた経験は多数ある。

 そう言った時はいつも焦りよりも闘争心や興奮の方が先んじていた。もしくは下らないチキンプレイを見て来たことも多数あった。大抵の場合は彼のプレイスキルによって仕留められていたが、丹生は違っていた。

 距離の取り方、逃げるタイミング、上空からのコウラの射撃間隔。全て計算づくで動いている、彼のガン逃げには一種の技巧すら感じる程だった。

 

『カルパッチョさん。一応聞いておきますが、タイムアップでの判定はどうなるんですか?』

『いや、正直考えていなかった。短時間でケリが付くモンだと思っていたし……』

 

 言葉こそ呑み込んだが、ガン逃げ戦法を取る奴が出て来るとは思わなかった。というのもあるだろう。

 

『GBBBBの対人戦にも時間制限はありますが、仕様通りに行くなら。タイムアップした瞬間、両ペアの敗退が決まり、自動的に『リン・サーヤ』ペアが優勝に成りますね。良いんですか?』

 

 ユーキが淡々と説明している未来は何としても避けねばならなかった。

 タイム判定が無いのは、GBBBBにおいてガン逃げやファンネルなどの遠距離武器主体によるタイムキル狙いの試合を避ける為なのだが……。

 

『駄目に決まってんでしょうがぁあああああ!! なんで、過去作からガン逃げは駄目だって学んでんのに、その仕様を潰してないのよぉおおおお!!』

 

 先程のリン達の熱い試合が霞むレベルで、この試合は盛り上がっていた。

 コメントは結構荒れていたが、ガンダムおじさん達の過去作を懐かしむ声が溢れていた。

 

『では、コウラ・ニューペアにペナルティを付けますか?』

『いや、付けるとしたら次回から。今回は私のレギュレーションの詰めの甘さが原因だからね』

 

 流石にリアルタイムでペナルティを食らわせる訳にも行かないし、カルパッチョ的には非常に不本意であるが、コウラ達の自由な戦い方がリスナー達に活気を生み出していたのは事実だったからだ。

 

「コウラ君! このままでは君達も敗退するぞ! 本当に良いのか!?」

「いいえ、アンタ達が勝ち進めなくなった時点で勝ちも同然よ!!」

 

 カオスの訴えは払いのけられていた。今日のコウラは一味違って、パチパチと弾けている。このままでは両者敗退で自動的に優勝者が決まるという、イベントとしては最悪な終わり方になるだろう。

 

「(正直、先輩のことを嘗めていた)」

 

 ガンプラバトルの勝率や諸々を含めて、見縊っていた所があったのは、アラタも認めざるを得なかった。カオスに通信を入れた。

 

『アラタ君! どうする!! 正直、私もここまで焦燥感を覚える戦いは初めてだ。嫌らしい戦い方をするよ」

『丹生先輩はそう言うの得意だから。……ツケを払わせる形で申し訳ない。カオス、俺の盾になって欲しい』

『おっけぇええ!!』

 

 アラタの意図を汲み取ったのか。コウラの機体が空中で近接攻撃の素振りをしてブーストゲージの回復を試みたタイミングを狙って、カオスのドラッガイが飛び出して行った。彼に追従する形で、マチュッガイも飛翔した。丹生が叫んだ。

 

「コウラ! 全力で落とせ!!」

「言われなくても!!」

 

 バズーカの砲弾とミサイルランチャーに加えて、ビーム砲まで放たれた。地上部からズゴ・タンクの砲撃が加えられる。頭上からの攻撃はドラッガイが受け止め、地上からの攻撃はマチュッガイが受け止めていた。

 ただ、青軽キャノンの攻撃は激しかった。回避を許さない高威力の射撃はドラッガイの耐久力をガリガリと削り、機能停止直前まで追い込んでいた。

 

「後は頼んだぞ!!」

「オッケー! ご苦労さん!!」

 

 すると、HPの削れていたカオスのドラッガイは空中で格闘攻撃を繰り出した。ゲームの仕様上、空中で静止する形となる。

 そんな彼の頭部へと着地したマチュッガイは、同じ様に制止してブーストゲージを回復させた後、残り耐久力の少ないドラッガイを思いっきり踏みつけて更なる高度へと飛び出して行った。

 

「せんぱ……コウラァアアアアアアアアア!!」

「来なさい! アラタ!!」

 

 たった、1回きりのチャンス。もしも、一度でも遣り取りをミスって地上に落とされたら、逆転の目は無い。格闘で素振りしてゲージを回復させていたこともあったのだろうか、コウラも逃げることは出来なかった。

 アイアンクローが青軽キャノンの胴体の表面を削り、ビームサーベルでの反撃がマチュッガイの頭部を焼いた。だが、互いに格闘を振るった際に得たブーストゲージを用いて、更なる攻撃の挙動に移っていた。

 

――

 

 一方、アラタの踏み台となったドラッガイの耐久力はほぼ限界まで来ていたが、踏みつけられた際に得た加速を用いて、ズゴ・タンクへと迫っていた。

 

「(僕がやったみたいに道連れを狙っているかもしれないけれど)」

 

 迎撃するような真似はしない。相手が勝手に潰れるなら、自爆させておけばいい。丹生はガン逃げという戦法を最後まで変えるつもりはなかった。

 

「ニューくうぅううううん! 逃がさないよぉおおおお!! 何故なら、ワガハイ! 逃げる相手を追いかけるのは大好きなのだからァ!」

 

 声質も相まって、脳まで噛んで来そうなサディスト臭が溢れていた。ドラッガイが落ちて来るスピードはかなり速いが避けられない程ではない。

 直線的な軌道での回避はせずに、大きく余裕を取って避ければいい。目標物が落ちて来る。相手が最後に軌道を変えるタイミングに合わせて、こちらも避ければ良い。3,2,1。互いに動いた。

 

「捉まえた!」

 

 まるで、彼に動かされたとすれば思った。丹生の機体に合わせる様にして、ドラッガイは射撃武器を放つ反動で軌道を変えた。全身を砲弾と化した特攻だった。

 

「(あ、コレ『雲の上の王国』で見た奴だ)」

 

 奇しくも。それは、パロディ元である国民的に有名なお世話ロボットが劇場版で繰り広げた特攻と瓜二つだった。ズゴ・タンクへとめり込み、2機は盛大に爆散していた。

 

――

 

「(あぁ、もう。やっぱり)」

 

 空中でブーストゲージの容量をやりくりした白兵戦が繰り広げられていたが、徐々にコウラは押され始めていた。こうなることは分かっていた。

 片や、効率を追い求めて型通りテンプレ通りの戦術。片や、どんな状況でも果敢に挑み続け、格上や理不尽にも立ち向かって来たセンス。先を行かれるのは当然だった。だが、不思議と悔しい気持ちは……。

 

「湧かない訳が!! 無いでしょうが!!!」

 

 青軽キャノンがビームサーベルを振り抜こうとしたが、アイアンクローで腕を貫かれ、回転を加えられて捩じ切られた。それと同時に全身に向けて激しいラッシュが打ち込まれた。

 

「今まで、GBBBBをやっていて。一番、追い込まれた戦いでした」

 

 理不尽にボコボコにされることはあった。そう言った場合は追い込まれたという気持ちはなかった。最初から抵抗の余地すら許さない戦いだったから。

 条件も同じ、バランスも同じ。ここで負けたら単純に腕の差。となる、公平な戦いで、ここまで窮地に陥ったのは初めてだった。

 マチュッガイが両腕を振り抜いた。青軽キャノンの胴体が引き裂かれ、落下して行き……空中で爆散した。

 

『勝負あり!! 第2回戦! 波乱の第三試合の勝者は! 『アラタ・カオス』ペア! 制限時間ギリギリ! 選手も観客もハラハラしっぱなしの迷勝負でした!!』

 

 カルパッチョの宣言が響き渡った。どっとコメントが溢れ、ガンダムゲーの温故知新を汲み取った勝負には惜しみもの無い称賛が送られていた。

 

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