GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】 作:ゼフィガルド
「β版だから仕方ねぇけれどよ。このGBBBBって特別なイベントとか無くて、ちょっと退屈だよな」
先日の、ストーリーミッションのハクスラを行い、全体的にレベルが向上した位に、アラタが言った。実際、GBBBBはストーリーミッション、ミッション、サバイバル、PvPがある位で期間限定イベントなどは無かった。
「確かになぁ。ソシャゲとかネトゲとかになれているイベントが無いんも不思議な話よなぁ」
タオもソシャゲ慣れしている為、期間限定イベントと言う物の流れを理解している。大体は限定のキャラがガシャに入り、イベントをクリアすると報酬で限定キャラが貰えるという類の物であるが。
「イベント限定のガンプラとかを用意して、獲得できないって自体を避ける為じゃない?」
「確かに。GBBBBは俺ガンプラを作るゲームですし、入手できないパーツがある。って言うのは望ましくないことだと思われます」
リンとシーナも言う通り、GBBBBはオンゲーであると同時にガンプラのプロモーションも兼ねた場である。多くのユーザーにガンプラの魅力を知って貰う為にも、特定のガンプラを入手できないという事態は避けるべきだ。
「ガンプラ以外で限定品にするって言ったら、ビルダーズパーツとかかしら?」
コウラの提案が最も現実的な所だった。と言っても、下手にビルダーズパーツを渡したら骨の髄まで貪り、悉く悪用するのがGBBBBユーザーである。
「もしも、配布するならアクセサリー系は無しで完全に武器にしねーとな。見ろよ、このGBBBBじゃベアッガイの尻尾がロクでもない使われ方をしているからな」
主な使用用途は胸とケツ。偶にカービィや球体の存在を再現する為に使われるが、尻尾として使われることはあまりない。
「飾り付け一つでも気を使わなければならない。というのは、逆説的に人間の想像力の広さを物語っていますね」
文が感慨深そうに頷いていた。言う程素晴らしい話じゃなくて、むしろ人の業を煮詰めたかのような話だったが。
いつもの様にモニタには晒し首一覧が並ぶ……かと思ったが、ゲーム内情報をお知らせする『GBBBBニュース』の時間が始まった。
「はーい! 皆さん! いつもGBBBBを楽しんでくれてありがとうございます! 先日の『ふみなVSエイリアンVSプレデター』は凄かったですね! そろそろ、ふみなちゃんを解放してあげよう!!」
ロビーにいる誰もが首を横に振っていた。このサービスが続く限り、パイセンが解放されるのはレアリティ位だろう。
「でも、ユーザー間でのイベントが盛り上がるのはとても良いことです! 私達運営も皆さんと一緒にGBBBBを盛り上げていくために、この度。期間限定イベントを開催することになりました!」
ロビーがざわつく。正に、アラタ達が話題にしていたことであり、周囲ではイベント内容や報酬についての予測が飛び交っていた。
「題して! マイスターからの挑戦! です! 皆さん、いい加減ミッションの5-24でSDガンダムと金ぴかズをボコボコにするのも飽きて来ていませんか? そう思った皆さんの為に、マイスターと運営がタッグを組んだ高難易度ミッションを実装しました!! 難易度は全種解放していますが、どれも骨のあるミッションになっています!!」
ユーザー達から歓喜とやる気を感じさせる呟きが溢れる中、皆の挑戦心を煽うる様にレコが付け加えた。
「ただし。高難易度ミッションでは『メイス』系の派生攻撃と『専用サーベル』の特殊挙動のダメージは調整されています! いつもみたいなハクスラ感覚で行ったら、痛い目を見るのは間違いないです。ミッションの受注にはビルダーズランクによる制限もあります」
流石に運営も特定の武器種の使用率などに関しては把握しているらしい。
ロビーにいる者達の雰囲気が徐々に変わりつつあった。俺がクリアしてやる。どんなステージ構成になるのか。そして……。
「一番気になるのは、やっぱり報酬ですよね? 皆さん、大変ながらくお待たせしました。報酬はこちら」
モニタの映像が切り変わる。再生されたのはムービーだった。ドゥンドゥン……という特徴的なイントロが入る。この時点で多くのユーザーが気付いた。アラタ達も直ぐに分かった。
「おいおい、こいつはマイティボゥイだぜぃ!」
イントロから次いで流れたのは『Meteor-ミーティア‐』だった。直近の劇場作品として皆の記憶にも新しい。脱皮に失敗したインフィニット・ジャスティスのプレイヤーが大歓喜していた。
「はい! マイティーストライクフリーダムガンダムが先行実装されます! 後日、ゲーム内でも追って実装されます。イベントの開催については、次回のメンテナンス後に!」
ロビーはチャットに溢れていた。まさか、ビルダーズパーツではなく未実装のガンプラがやって来るとは思っていなかったからだ。
「これはどえらいことになってもうたね」
「暫く、様子見に回った方が良いかと。運営側もユーザー側のデータの統計に対する造りはしていると思うので」
「そうね。文の言う通り、高難易度を謳っておきながら簡単にクリアできたら企画力を笑われるからね」
ここがオンゲーの難しい所で、難しすぎたらクリアが出来ないが、あまりに簡単に攻略されたらコンテンツの寿命が一気に縮む。
「メンテは今から1週間後だよ。それまで、レベルも上げておこうよ!」
「だな。リンの言う通り、チャレンジも出来ないとなったらお笑いだぜぃ!」
受注にはビルダーズランクの制限もあるというし、一体どんなミッションが待ち構えているのか。自分達が出来ることはパーツレベルを上げておく位だ。
まだ見ぬ、マイティーストライクフリーダムガンダムを入手する為、アラタ達はストーリーミッション以外にもミッションをぐるぐる回していた。
~~
して、約束の日が来た。メンテナンスの終了直後は避けた。何故なら、ロビーに人が殺到して鯖が重くなるからだ。
『皆、掲示板やSNSを見る限り、高難易度の謳い文句に嘘はないみたいだぜぃ。メイスの派生攻撃はかなり下方修正を食らっているし、専用サーベル系の武器もナーフを食らっている。後、ステージギミックでOPパーツのリロード時間が滅茶苦茶伸びているらしい』
『なるほど。マイクロミサイルランチャーによるパーツアウト&ヒット数稼ぎは使えない訳ね。ガチガチに対策して来たのね』
クラン『ビアンカ』専用のチャットルームで各自仕入れた情報を照らし合わせていた。高難易度ミッションと言うだけにあって、今までの定石や強武器に頼り切った方法ではクリアが出来ないと言うことらしい。
『現状の攻略方法を見るに、ガトリング系の武器でHIT数を稼いで拳法などでグラウンドブレイクをして倒していく。というのが、最適解になっている様ですね』
『え~? 私、HIT数の多い武器持っていたっけかな?』
『一応、最終WAVEまでクリアしたって報告はあるけれど、これを周回せなあかんのはめっちゃきつそうやなぁ』
『タオさんって文字チャットでも関西弁になるんですね』
一体、どんなミッションが待ち受けているのか。最終WAVEの敵画像等も貼られてはいたが、皆して見ないようにした。流石に、それ位は自分達で見たいからだ。
学生諸君は宿題などを終わらせ、明日の準備などもばっちりしてゲームが終わり次第、睡眠に移れる様に準備をした後。ようやくログインした。ロビーの様子は一変していた。
「まぁ。これが、GBBBBのロビーですか?」
シーナも驚いていた。普段はふみなやネタガンプラなどで溢れているが、今のロビーはエース機を引っ張って来たのか、カッコいい系のビルドで席捲されていた。どうやら、試練は相棒と共に乗り越えたいと思う位にはGBBBBのプレイヤーはガンダム好きであったらしい。
「なんで、最初からやれるのにやらないのよ!?」
「普段から力んでたら疲れてまうから……」
「これから定期的に高難易度ミッションを実装して行ったら、GBBBBも健全化するんじゃないかな?」
リンが微笑みながら言っていた。こんな状況下においても、ふみなを魔改造した奴を使う奴もいたが、そいつらは筋金入りだ。
ロビーに溢れるチャットや、早速入手したマイティーストライクフリーダムでビルドされたガンプラを見て、増々挑戦意欲が高まる一同に声を掛ける者がいた。ミスターだ。
「おや。またメンバーが増えた様だね。私の名はミスターだ。よろしく」
「こちらこそ、始めまして。シーナと申します。ミスターさんも高難易度ミッションに?」
「そうだ! 皆と一緒に挑もうと思ったんだが。もう6人いるみたいだしね」
定員オーバーと言うことで諦めようとした所、ミッションカウンターへと向かったコウラが手を挙げていた。
「じゃあ、私の代りに行って」
「先輩。いいのかい?」
「というより、私じゃ皆と一緒に受けられないのよ。これ見て」
ミッションの説明を見ると、パーティ間のパーツLvの差が開き過ぎている場合は参加できない。という条件も加えられていた。コウラの機体は全パーツLv.MAXである為だ。
「なんで、こんな制限があるんやろ?」
「恐らく。低レベル帯でも高難易度になる様にと言う調整故だと思います。レベルの低いパーティの中に、高レベルな先導者が混じればクリアは容易ですから」
文が淡々と推論を述べた。いずれの難易度でも高難易度になる様に、パーツレベルによって受けられる難易度が固定されるらしい。
「滅茶苦茶徹底しているね。簡単にクリアされたら悔しいのかな?」
「ちょっと堅苦しすぎる気はするがね。私のガンプラも君達と同じ位だが……本当にいいのかね?」
「構わないわ。私はちょっとフリーダムフリートの人達に混じれないかをチャットしてみるから。先に行っといて」
さて、如何様にチームを組むかと考えた場合、ミスターガンプラがパンと手を叩いた。
「よし。では、私はリン君とタオ君と組みたいのだが、いいかな?」
「ボクは問題ないですけど。リンは?」
「私も別に」
「じゃあ、決まりだな。俺はシーナと文と組むぜぃ」
パーティ訳は特に詰まることも無く決まった。そして、WAVE1が始まった瞬間のことである。『WARNING!』の文字が響くと同時に現れたのは、00ライザーをメインに据え、カスタマイズされたPG機体だった。
「……あ!? この機体!?」
突如としてミスターが叫んだので何事かと思ったが、疑問を他所にPG機体が突っ込んで来た。グランドブレイクで攻略するべきと思い、拳法などでやって来た機体にはキツイ相手だろう。
「ミスター。どないしたんです?」
「いや、何。少々、昔のことを思い出していたのさ。さぁ、こんな最初のカマセ犬。我々の力で突破してやろうじゃないか」
「……なんかうれしそうだね?」
先輩プレイヤーとして歯ごたえのある難易度に興奮しているのかと、リンは思っていたが、それだけではなさそうな様子もあった。そして、マイスターからの挑戦が始まった。