GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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EX3:24年後の君へ 9

『皆さん。長らくお待たせいたしました』

 

 いつもは明朗快活な実況でユーザー達を盛り上げている、レコだったが今日の彼女はいつもと雰囲気が違っていた。相方である、ミスターガンプラも固唾をのんで見守っている。

 

『GBBBBがβテストで終わってしまうかもしれない困難を乗り越え、ジークアクスと言う祝砲と共に再開したサービスとバトルトーナメント決勝戦。敗者復活も掛けての戦いでしたが、やはり運命は二つのチームを選びました』

 

 選手達のガンプラが入って来る。最初に入って来たのは、背部兵装にウィンチアーム、ダブルガトリングガンなど。過剰と言える位にまで兵器を搭載した、超大型MS。幾重もの世界を渡り、災厄をばら撒いて来た存在。

 

『SD機体がプレイアブル化したGBBBBという舞台にも侵略しに来たか! コマンド、ナイト、武者の世界を脅かす巨悪! フューラーザタリオンだ!!』

「SD使いとしては切っても切れん存在やからね!」

 

 続いて入って来たのは、先程のMSと比べ物にならない位に小柄で華奢な機体。美プラにも類する機体だが、このGBBBBにおいての使用者はただ一人。正真正銘のワンオフ機体。

 

『SDに続いて、これを忘れてはいけない! ガンプラの革命だ! カッコいいだけがGBBBBじゃない! 魑魅魍魎が蔓延る無法地帯に咲いた一輪の花! リン・カーネーションだ!』

「少しは取り締まれーッ!!!」

 

 リンの抗議も完成の前に掻き消されて行くばかりだった。この熱を逃さまいと、次の機体が入場して来た。

 カラーリングの変更は出来ないので、見慣れた黄色のメイド服姿であるが、両腕にはゴッドガンダムと同様のアームカバーが取り付けられている。カバーの上下部には砲口が覗いていた。

 華奢な脚部にはスライド式の履帯が取り付けられており、用途に応じて走行形式を切り替えることが可能だ。そして、背中には好敵手から受け継いだ、デスティニーのバックパックが取り付けられている。

 

『そして! そして!! GBBBBと言ったら彼女が主役だ! 一体、私にどれだけの首を刈らせて来た!? それでも、やっとここまでマトモなプレイヤーが勝ち上がって来た! リビドーの発散先だと思っている奴らの魂胆に轟け! 『ふみな・轟』だ!!』

「よろしくぅ!」

 

 この期に及んで、決めポーズを付けて見せたので、ユーザーから多数のエモーションが送られることになった。ガンプラにおいては王道ではない連中だが、GBBBBを象徴する様な3機だった。

 

『果たして、GBBBBが生み出したシンボル達は王者に届くのか! 対戦チームも入場です!』

 

 マイスターのチームで最初に入場して来たのは、ドムの機体をベースにジオン系MSのパーツをミキシングした、王道を行く硬派なMSだった。

 

『見よ! これぞ王道を行く、俺ガンプラ! 『ドム・ストラグル』だ!!』

「特徴無さすぎてネタを膨らませるのにも困ってそうだな」

 

 プライヤーであるライムは苦笑を浮かべていた。却って、GBBBBでは特徴が無いと言うことかもしれないが、ここまで勝ち進んで来た強さが、他の何にもない彩と特徴を与えていた。

 続いて入場して来たのは、頭身の低い機体だった。このGBBBBを語る上で、外せない機体種である。

 

『ナイトガンダム、武者ガンダム、コマンド戦記。貴方が始めて触れたSDは一体どぉれ? 兵器然とした造詣だけがガンダムじゃない! コミカル! ファンタジー! 活劇のオールラウンダーがGBBBBにも参戦だ! ガンプラバトルニューエイジの先鋒! 『アータルナイト』だ!!』

「いざ、尋常に」

 

 見た目は可愛らしいが、GBBBB最強のプレイヤーと肩を並べる程の力量を持っていることを忘れてはならない。憧れと懐かしさだけでは終わらせない、強者がいた。

 王道、憧憬。ガンプラバトルの過去と今を突き進み続ける2機に続いて現れたのは、リアル頭身でありながらSDガンダムシリーズを彷彿とさせる中世の騎士めいた造詣をした機体だった。

 

『GBBBBの絶対王者! スーパーストームに代わり、最強の騎士が降臨した! 『騎士エクシア』だ!!』

 

 騒がしかったロビーが静まり返った。誰もが察していた。今までのバトルで見せて来た物とは違う何かが機体に宿っていると。

 普段ならば、そのまま試合が開始される所なのだが、今回は決勝戦と言うこともあり、まずはロビーで両チームの代表者同士が挨拶を交わすことになっていた。

 

「アラタ君。ここに来るまで半年位だっただろうか? でも、この半年は何年もの時間を凝縮したような密度だった」

「俺もです。GBBBBに出会ってから、沢山の出会いと経験があった。クランメンバーやフリーダムフリート。いや、このゲームを作り上げて来た人達全てのお陰で、今の俺があります」

 

 仲の良いフレンドだけではない。このGBBBBを作り上げている一人一人のスタッフやユーザー達のおかげで、自分はここまで来たのだと。

 

「私もその中に入っているかい?」

「勿論ですよ」

 

声と抑揚で、画面越しに笑顔が伝わって来るようだった。

マイスター、いや。タクマの胸中に深い歓びが湧き上がり、それと比肩する程の闘志も噴き出していた。

 

「最高の戦いをしよう」

「はい!」

『それでは、両チーム! フィールドに転送します!』

 

 参加選手がバトルフィールドへと転送された。今まで、GBBBBの絶対王者である彼らに挑戦して来たチームは数知れない。

 だが、全ては退けられていた。いつしか、ユーザー達の間では停滞感や諦観の様なものが漂っていたかもしれない。トップは永久不変なのだと。

 

「でも、アラタ達なら何とかしちゃいそうでしょう?」

 

 聞き覚えのある声にユーザー達が振り向いた。そこには、カルパッチョを始めとしたモンハン遠征組がいた。

 この半年間。いつも、話題の中心にはこのクランが居た。バカもやる。ガチンコの勝負もやる。悉くユーザー達の度肝を抜く真似をして来た。

 

「やれますよ。アラタさん達なら」

「なんたって。俺だってこんな風に変えられたんだからさ」

「奴には不思議な力がある」

 

 シーナもガンダムタンクではなく、ジークアクスを悪用したエヴァ初号機でやって来ていた。隣には、セリトの『真TALE・レコ』とグスタフの『ドーラ・MAX』もいた。

 

「アイツにはねぇ。きっと、何かを起こしてくれるであろう力があるのよ! だから、優勝して独占インタビューさせなさいよ!」

「アンタは本当に何処に居ても変わらないのねェ」

 

 ドーラはすっかり呆れていた。そんな彼女達を見ながら、ユーザー達はやはり期待の混じった予感をせざるを得なかった。

 もしかして、アイツらならやってくれるんじゃないかと。難攻不落の絶対王者に食らい付いてくれるんじゃないかと。

 

――

 

「ねぇ、リュウセイ。あの3人の中に、教え子がいるの?」

「2人いるよ。片方は学園で教えていた子、もう片方はGBBBBでピッチリと特訓を付けた方」

 

 ロビーの片隅にはリュウセイとサナが大型モニタを見ていた。そんな彼らに歩み寄って来る、2機のMSが居た。丹生とユイの機体だ。

 

「先生ェ。なんで、こんな片隅で?」

「後方指導者面かな。真面目に言うと、機体が大量に集まっている所に行くとPCの動作が重くなるからね」

 

 人口過密MMMO特有の悩みである。隣ではサナとユイが楽しそうにエモーションを繰り広げていた。

 

「ユイちゃん、彼ピとは仲良くやっている?」

「うん。この間、すーぱーふみなのコスプレしてデートしました」

「え……」

 

 あまりの進み様にサナが丹生の方をちらりと見た。彼はサムズアップを返すだけだった。フドウは苦い顔をしていた。

 

「若気の至りで済まないこともあるから気を付けてね」

「皆に、この幸せを分け与えなくっちゃって……」

 

 アラタと違って、彼は大学生なのだからこれ以上言うのは止めておくことにした。というか、あまり突っ込みたくない内容だった。

 多くの人達に見守られる中、バトルトーナメント決勝戦の火ぶたは切って落とされた。

 

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