GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】 作:ゼフィガルド
「マジかよ。合体なんてありなのか!?」
マシマだけではなく、同様のことを思っていたユーザーは多数いたのか、ロビーは少なからず騒めいていた。一同が過った疑問を代弁するかのように、ミスターガンプラが質問をしていた。
『レコ君。マイスターが見せた挙動は仕様なのか? 私もかつてはガンプラファイターだったが、合体なんて機能は見たことが無い!』
『え~。私の方でも確認を取ってみた所。どうやらアレは『覚醒』状態のときのみに使える挙動である『バーストアクション』の一種だそうです』
時折、覚醒を使えるプレイヤーがゲーム内で見せていた機体から迸るエネルギーを相手にぶつけて居た挙動を『バーストアクション』というらしい。
殆どのプレイヤーは覚醒を使えない為、仕様と言われても納得し難い所はあった。ただ、マイスターが操る機体に対して思うことがある者は多いらしい。
「すっげぇ。スペリオルカイザーがGBBBBで動いているし……」
詳細は避けるが、スペリオルカイザーはアニメにも登場を果たしたことはあるが、動いている姿を見られることは少ない。
本家のガンダムシリーズが積み重ねて来た歴史もあるが、同じ様にSDガンダムも積み重ねて来た歴史がある。
その代表格である騎士ガンダムの真の姿『スペリオルドラゴン』が、完全に力を取り戻した『スペリオルカイザー』として、GBBBBの頂点を決める戦いに君臨している姿は、多くのユーザー達の心を撃ち抜いていた。
「フフフ。変身したからって何よ! 相手はもうマイスター1機だけじゃない! こっちは3機! 勝ったわね。風呂入って来る」
「すっげぇ。こんな負けフラグを言う奴って、リアルにいるんだ……」
カルパッチョが得意気に言っていたので、セリトはやや引いていた。
だが、彼女が言う様に数的な有利はビアンカの方にあった。現状、誰一人として落ちてはおらず、対してマイスターのクランはライムが撃破され、アータルも取り込まれている。相手はカイザー1機だ。
「先生ェ。どう見ます?」
「分からない。けれど、恐らく追い込まれたのはアラタ君達の方だ」
一部の者達は楽観視しているが、フドウや丹生達の様な一部の実力者達は察していた。
スペリオルカイザーの性能は予想も付かないが、ガーディアン覚醒という鉄壁をぶち抜くほどの攻撃力にマイスターの操縦技術も加われば、数の不利など無きに等しいと。
アラタ達の知り合いが思い思いに考えを巡らせ、ロビーも騒めく中。ミサは静かに試合の様子を見守りつつ、呟いていた。
「あーあ。やっぱり、私も出たかったなぁ」
~~
「嘘でしょ!?」
「ガーディアン覚醒がぶち抜かれたぁ!?」
リンとタオも声を上げずにはいられなかった。今まで、自分達を導いて来た鉄壁の守りがぶち抜かれた。
RBTカイザーの一撃を食らった『ふみな・轟』のダメージは深刻であり、何よりも絶望的だったのがガーディアン覚醒の状態が切れていないことだ。
「(切れるタイミングを狙っての一撃じゃない。ガードの上からでも突破するだけの火力があるのか!)」
「ライムを撃破したのは見事だ。アータルを消耗させたことも。だけど、ガーディアン覚醒頼みの君では、私には勝てない」
胸から出現させた巨大な金龍の弓を引き、彼らの頭上目掛けて放った。
すると、回避のしようもない程に大量の矢が降り注ぎ、アラタ達の機体を貫いた。アラタと同じくガーディアン覚醒を発動させていたリンにも多大なダメージが入り、咄嗟に防御を固めただけのザタリオンは全身を破壊されていた。
「タオ!?」
「(そりゃあ、ザタリオンやからスペリオルカイザーに負けるんは分かるけど!)」
それは大激闘の果てに待ち受ける結末であって、こうして容易く薙ぎ払われてのことではない。アラタとリンがヨロヨロと立ち上がっているが、このままでは撃破されてしまう。
RBTカイザーの両手に燃え盛る様なビームソードが出現した。このままアラタがやられてしまえば、自分達なんて簡単に撃破されてしまうだろう。それは避けたい。リンに向かって叫んだ。
「リン! 僕らもアレをするんや!」
「アレって!?」
「アラタと合体や!!」
合体。という響きがリンの中で反芻されたが、直ぐに正気に戻った。自分達もアータル達がやった様に力を合わせて、と言うことか。
「そうね。アラタと力を合わせるのね! さっき、アータルさんがやったみたいに!」
「せや! 合体や!」
何故、この男は先程から合体と言う言葉を強調するんだろうか? もしも、これを言っているのがマシマなら訝しんでいたが、草食系を超えて草とも言えるタオが言うからには、多分SDガンダム感覚なのだろう。
だが、出来る気は全くしなかった。アレはアータルと言うGBBBBの挙動や仕様を全て把握している存在だから出来ただけで、そんな機能があったことすら知らなかった自分に出来るとは思えないが。
「やってやろうじゃない!!」
どうせ、このままでは撃破されるだけだ。ならば、こんな逆転を起こした現象を真似てやろう! という意気込みは決して無謀ではなく、むしろ死中に活を求める行為でもあった。
発動させていたガーディアン覚醒の青い光が強くなり、タオのザタリオンをも包み込んだ。アラタも察したのか、リン達の元へと駆けた。
「させると思うか!」
再びRBTカイザーが金龍の弓を引いた。だが、放たれた矢は彼らに届かない。
3機を包んでいた青い光が攻撃を弾き飛ばしたからだ。RBTカイザーの力に呼応するかのように、彼らにまとわりついている光は輝きを増し、3機の輪郭を呑み込んだ。混ざり合い、融け合った先には機体が1機。
「コレって……」
リンは新たに出現した機体を確認した。両肩にはリン・カーネーションの花弁状のバックパックがシールドとして取り付けられており、両手はザタリオンの凶悪さを象徴するかのような鉤爪状へと変貌している。
バックパックにはブラックロータスことデスティニーの翼が展開されており、下半身はザタリオンの重厚な脚部に履帯を取り付けた走破性の高い物になっていた。そして、極めつけは……こんな凶悪な見た目の中央にすっぽりと収まって、上半身だけ姿を現しているすーぱーふみなだった。
「せや! これぞバロックガ……」
『おーっと! チームビアンカ! ここに来て、スペリオルカイザーと対峙するのは、まさかのデビル・ふみなだ!!』
レコの実況がタオの解説を遮った。実際の所、スペリオルカイザーと対峙する相手と言えばバロックガンなのだろうが、生体ユニット的に収まっているスーパーふみなを見たら、そっちを連想する人の方が多かった。
「いや、これバロックガンやとおも」
「行くぜ! タオ! リン! 俺達のGBデビル・ふみなで神様ぶっとばすぞ!」
「うん! 分かった! なんか、私達の方が悪役みたいに見えるけれど!!」
話の流れ的に捕らわれているすーぱーふみなをスペリオルカイザーが颯爽と助け出して終わりそうな気がしたが、リンは直ぐにあり得ないと思った。何故かと言うと……。
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「うぉー! 生体ユニットふみなだー! やっぱり、ヒロインは生体ユニットに取り込まないとな!」
「最近は、かっこ可愛いふみなに日和ったと思ったけれど、やっぱりこうでなきゃGBBBBのふみなじゃないねー」
「フミナはトライファイターズの一般ガンプラ好き少女だから、ネットの玩具みたいに扱うのは良くないねー」
「流石、セリトが見込んだリーダーなだけにあるぜ! 俺達のGBBBBと言えばふみなだからな! 絶対に離さないぞ!」
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「このGBBBBのバカ共に囚われているふみなちゃんが! マイスターに引き剥がせる訳無いでしょ!!」
「リン……立派になって……」
ユーザー達の行き過ぎたリビドーから決して解放されることが無いと言うことを確信しているリンは啖呵を切った。
このゲームが始まったばかりの頃は、悲鳴上げていただけの彼女が随分と逞しくなったものだと、タオはほろりと来ていた。
「まるで、あの時を思い出すかの様だ」
マイスターの声は喜色に弾んでいた。ラシードによってGBBBBが破壊されるかもしれなかった事件の中、デビルガンダムは脅威として立ちはだかった。
そんな機体が、こうして決勝の舞台に好敵手として現れるのは、このゲームが全てを受け入れてくれる。という、度量の広さを表している様でもあった。
「何度も言うけど、バロックガンやからな!!
タオの訂正は全ての人間からスルーされた。神と悪魔、さながら創世譚(サーガ)の様な荘厳な第2Rが開始されようとしていた。