GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】 作:ゼフィガルド
RBTカイザーが振り下ろしたビームソードを、デビル・ふみな(バロックガン)が両手で受け止めると同時に、機体の両肩に搭載されている巨大な花弁状のシールドが開き、中から無数の砲塔が現れた。
「行けェ!」
アラタの号令と共に至近距離で一斉に砲撃されたが、RBTカイザーは直ぐにビームシールドを展開して対応したついでに、尾の様に伸びたカイザーアークを振り回し、デビル・ふみなを打ち据えていた。
しかし、この程度では態勢を崩しさえしない。バックパックから『ヴォワチュール・リュミエール』が噴出し、逆にRBTカイザーへと突っ込んだ。
「力比べという訳か。だが、付き合う気はない!」
直ぐにマイスターは両ウィングを展開して、空中へと逃げた。
そこへ追撃する様にして、両肩上部に取り付けられていたザタリオンの対空兵器が一斉に火を噴いた。実弾からビーム兵器までありとあらゆる射撃が放たれるが、RBTカイザーの両肩に取り付けられているショルダーワイバーンから放たれた火龍砲で薙ぎ払われていた。
「なら、空中戦だ!」
「これ、飛ぶの!?」
こんな巨体が飛ぶのかとリンは驚いていたが、巨大な塊は宙へと浮かびあがった。そして、花弁状のシールドから大量のドラグーンが放たれた。RBTカイザーの周囲を飛び回り、次から次へと砲撃を加えて行く。
「邪魔だ!」
マイスターはカイザーウィングを大きくはためかせた。黄金の風が周囲に吹き荒び、ドラグーン同士が衝突して次々と落ちて行く中、デビル・ふみなは両手を突き出していた。
「貫けッ!」
アラタの掛け声と共に鉤爪状の五指が撃ちだされ、カイザーウィングの翼膜を貫いた。そして、一気に引き寄せた。掌の中央部分には砲撃用にエネルギーがチャージされている。至近距離まで来たらドン! と言った具合だが。
「その誘い。乗ってやろう!」
マイスターは抵抗する所か、逆に自分から急接近をした。エネルギーのチャージを終える前に、先んじて切り捨てようという算段だろうか。
「アラタ! どうする!?」
「慌てるな!」
近接戦用の武装が使えないと、タオが焦る中。アラタはバックパックにマウントされている『M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲』を展開した。既にチャージ済みで、いつでも砲撃出来る状態だ。
RBTカイザーが肉薄する。両手に展開したビームソードの出力は周囲が歪んで見える程だった。切り裂かれたら、ただでは済むまい。
「これでぇ!」
リンが叫ぶと同時に砲撃が放たれた。至近距離での一撃だが、マイスターは予め来ると分かっていたかの様に、易々と回避していた。
「まだだ!」
すると、コア部分のふみなの胸からミサイルが飛び出していた。古式ゆかしい、おっぱいミサイルを決勝でもやってのけたが、RBTカイザーは腕部で受け止めていた。
「私がこの不意打ちを警戒しないと思ったか?」
「あぁ。警戒してくれると思いましたよ。なんたって、カオスさんすら撃破した攻撃ですから」
ふみな・コアがキッと目を見開き、あんぐり口を開けた。両目がキラキラと輝き、ついでに口中もギラギラと輝いた。一瞬でマイスターは理解した。
「目からビーム!!!」
古式ゆかしいサブカル識者の脳裏にはメイド服を着た猫耳少女が思い浮かんでいるかもしれない。ふみな・コアの両眼からはC.E式の緑色のビームが放たれ、口からは青と赤のエネルギー砲が放たれていた。
胸部ミサイルは警戒していたが、まさか顔面にまで武装が搭載されているとは思わなかった。RBTカイザーの巨体では回避は難しく、コア・ユニットである騎士エクシアへと命中していた。
「二度もゲロを食らうとは!!」
コア・ユニットに攻撃を食らいながらも、RBTカイザーは攻撃を止めなかった。
両手に展開したビームソードでデビル・ふみなの巨大な花弁状のシールドを切り裂いた。返す一撃と言わんばかりに、アラタは引き戻したクローでRBTカイザーのウィングユニットを引き千切り、そのまま両腕を握り潰した。
「落ちろ!!!」
「お前もな!!」
RBTカイザーのショルダーワイバーンが肩部からパージし、デビル・ふみなのバックパックへと獰猛に食らい付くと、こちらも同じ様に引き千切った。
そして、尾のカイザーアークが激しくうねり、デビル・ふみなの外付けユニットへと潜り込むと、まるでシロアリの様に装甲を食い散らかしていた。
両機は飛行能力を失い、地面へと叩きつけられた。互いの攻撃で使い物にならなくなった外装を脱ぎ捨て、コア・ユニットが出現した。
「僕らが出来るんはここまでや!」
「アラタ! 後はお願いね!」
先の外装ユニットはタオとリンが形作っていたこともあり、バロックガンユニットの破壊は、同時に2人が撃破されたことを意味していた。それは、マイスター側も同様であるが。
ふみな・轟と騎士エクシアが向かい合う。先の巨大MS決戦の際、両者コア・ユニットへと負ったダメージも少なからずある。既に覚醒も切れた状態であり、残すはシンプルな実力勝負だった。実況すらなくなり、誰もが固唾を飲んで見守っていた。
二機が同時に駆ける。両機、射撃兵装はあまり積んでおらず白兵戦に強く調整されている為、近距離戦で決着を付けようとする流れは自然だった。
「(負けられない!)」
ふみな・轟が拳を振るった。騎士エクシアは上体を逸らして回避すると、そのまま腕を切り飛ばそうとソードを振るった。
だが、アラタはもう一方の腕を突き出して、アームカバーに取り付けられている砲口を切り飛ばされようとしている腕へと向けた。火を噴いた。
「(本当に自分のガンプラをよく壊す!)」
砲撃を受け、騎士エクシアのブレードの刃が欠けた。だが、直ぐに腰元から予備のロングソードとショートソードを取り出していた。対する、ふみな・轟は隻腕だったが、継戦に問題は無かった。
美プラらしい華奢な脚部を振り上げた。鞭の様にしなり、不規則な軌道を描く蹴撃を受け止めるのは難しい。ブレード部分が欠けたシールドで受け止めながら、騎士エクシアはロングソードとショートソードで切り返していた。
「(履帯部分のせいで切り飛ばせん……!)」
相手がキックを放った直後にカウンターで切り飛ばそうとするが、下腿部に取り付けられている履帯がガードの様な役目をしていて、刃が通らない。
刃と足撃がぶつかり合う中、切り飛ばされたパーツが自動的に引き寄せられ、ふみな・轟の腕に装着された。一方、騎士エクシアのブレード部分は壊され方が中途半端だった為か、自動修復が起きないでいた。
「(まだだ、焦るな)」
このまま一気呵成に勝負を付けたいという欲求がアラタの中で過るが、何とか制していた。立ち回りが少しでも雑になれば、その瞬間に返り討ちに遭うことは分かっていたからだ。
ここに至るまでの戦いを通じて、2機の耐久値は相当に減っている。少しでも雑な行動をすれば、そのままフィニッシュにまで持っていかれる。
先程までのバトルと比べれば、必殺技や巨大ユニットが出る訳でもない、静謐で画面映えのしない遣り取りだが、当事者の2人は一番の緊張状態にあった。
「(少しでもミスれば、負ける)」
「(何か隙は……)」
分はアラタの方にあった。騎士エクシアのロング/ショートブレードは徐々に刃こぼれを起こしているのに対して、アラタは履帯などの頑強な部分をぶつけているので、損傷は少ない。
だが、マイスターもただジリジリと攻撃を受け止めていた訳ではない。ふみな・轟が繰り出す格闘攻撃の挙動やパターンを見極めていた。
「そこだ!」
ロング/ショートソードをふみな・轟の脚部と履帯の間に滑り込ませると、機体のバランスを崩して、転倒させた。しかも、直ぐに立ち上がれないように刃を翻して、レッグパーツへとめり込ませていた。
「しま……」
騎士エクシアも最後の武装であるダガーを取り出していた。まるで、走馬灯の如く、アラタの中で様々な記憶が駆け巡った。
GBBBBを始めたこと、クランを作ったこと、沢山の人と出会ったこと、GBBBBの存亡にかかわる程の事件に巻き込まれたこと、ジークアクスを見てクラバトをしたこと、リンに告白されたこと……。
「(あった!)」
走馬灯と言うのは、状況を打開する為の手掛かりを模索する為に見るという面もあると言われている。立ち上がれないなら、無理に立ち上がる必要などない。アラタは地面に両手を地面に付けて立ち上がった。
「!?」
文のイシツブテふみながブン回っていた様に、クラバトでアッガイがブン回っていた様に。ふみな・轟も回るべきなのだと。
クラバト用のアッガイとはパーツレベルも攻撃性能も段違いなのだから、ブレイクダンス・アタックが弱い訳がない。騎士エクシアの頭部を蹴り飛ばして、手にしていたダガーを弾き飛ばして、胴体を抉っていた。
ただ、ふみな側も無事では済まない。脚部にソードが突き刺さっている状態でやっているのだから、衝撃の度に刃が食い込み、移動の操作を受け付けなくなっていく。もはや、武器として使う外ないという状態だった。
「(倒れろ! 倒れろ!)」
「うぉおおおおお!」
だが、マイスターは最後まで勝負を諦めない。唯一残されたシールドを使って殴り掛かって来た。旋風脚を弾き飛ばし、それでも殺しきれない一撃が片腕を吹き飛ばしても、残った腕を振り下ろした。
ガギッと鈍い音が響いた。騎士エクシアのシールドバッシュはふみな・轟の片足を叩き割っていた。だが、ふみな・轟の残された脚は騎士エクシアの胴体を突き破っていた。暫くの静寂の後、マイスターの機体が崩れ落ちた。
『遂に! 決着ッッ!! 最強が陥落した!! 今、ここに! GBBBBに新たなる王者が誕生しました!! 皆さん! ぜひ、祝福を!!』
今まで、黙っていた声を上げた。間もなくして、ユーザー達の感性やエモーション。コメントが怒涛の様に押し寄せて来た。
周りの熱狂と反する様に、アラタは世界の全てが遠く感じる程の疲労感に包まれていた。そして、ポツリと漏らした。
「あー、やっぱり。ガンプラバトルって面白いなぁ……」
勝利の余韻や王者となった興奮などではなく、このGBBBBをプレイしているユーザーならば誰もが思う感想だった。