GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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15戦目:作ってみよう!

 GBBBBの初イベントもパーツ収集が終われば通常運行へと戻り、エース機を引っ張り出していたユーザー達もいつも通り、対魔忍ふみなやらマイティ―ストライクフリーダムに随伴させるラクス・クラインやらを作っていた。中には頑張ってブラックナイトスコードカルラを作っているユーザーもいた。

 

「やっぱり、これがいつものGBBBBだぜぃ!」

「いい訳無いでしょ!」

 

 アラタは日常が戻って来たことを喜んでいたが、コウラは抗議していた。普通のガンプラ好きとしては、ネタに染まったロビーが甚くお気に召さないらしい。

 

「うーん。不思議なモンやな。いつもはネタ機体が跋扈するロビーに疑問を抱いていたのに、いざ皆がカッコいいガンプラを持ってきていると落ち着かんって言うか……」

「郷に入っては郷に従え。タオさんもやはり居心地の良さを感じていたのでは?」

 

 シーナの言う通りだった。もしも、先日の様にカッコいい俺ガンプラばっかりが集まる所で、SDガンダムを引っ張り出しても埋もれてしまう気がした。

 こう言ったネタガンプラが蔓延るロビーだからこそ、SDガンダムが存在していても良い様な気がする。有体に言えば、アレよりはマシだというちょっとした優越感が、自分の中にもあることを自覚せざるを得なかった。

 

「確かに。なんていうか、こう。ハイレベルなガンプラを引っ張り出されていると、私の機体が拙い感じがしちゃうのよね」

「そうそう。リンの言う通りや。やっぱり、比べてまうねんな」

 

 ナンバーワンより、オンリーワンと言う言葉が通じ辛い世代である。

 ただ、真っ当にガンプラの造詣に悩む青少年達の図は、コウラにとっては格好の的だったのか、直ぐに食いついて来た。

 

「コンテストとかなら比べてしまうけれど、こう言った場のイマジネーションに貴賤は無いわ。貴方達が思い浮かべる形に自信を持って」

「コウラさん……」

「(なんで、その気遣いを普段から使えやねんやろ……)」

 

 リンにとっては年上のお姉さんからの優しい言葉は身に染みる物があったが、『ソロモンの魔女』であることを知っているタオは、若干冷めた意見が混じっていた。

 

「思い浮かべる形ですか。皆さんはどうやって、ガンプラの構想を?」

 

 未だに素組のすーぱーふみなを使い続けている文が疑問を投げかけた。これに関しては、皆も一家言を持つ所である。

 

「俺はアレだな。どんな見た目になるか想像できない組み合わせでやっているぜぃ!」

 

 アラタの言うスタンスを取るユーザーは多い。いわゆる『ネタ勢』に分類されるが、時に思いもしない組み合わせに魅入られてしまう者も後を絶たない。

 

「僕はアレやね。コマンド戦記の戦いでキャプテンガンダムがコマンドガンダムの力を引き継いだら……って設定で組み合わせとるよ。バックパックは気にせんといてな」

 

 自分だけのオリジナル設定を組み込んだ上で機体を組む者もいる。こう言った者達はGBBBBだけに留まらず、他の媒体でイラストや小説などの二次創作に派生する者も多い。

 

「皆さん凄いですね。私は何となくです。好きな機体を組み合わせたいと思っただけで」

「私も同じ。タオがそんなことを考えながら、組んでいるとは思わなかった!」

 

 そして、見た目が好みになる様にパーツを組み合わせた者達。ある意味、最も自由なビルダー達かもしれない。

 

「私は中学生の頃からUCが好きだったらBDカラーにしたりとかしているわね。何かしらのテーマなどを決めると、組みやすいかもしれないわ」

「テーマ。ですか?」

「そう。タオ君が言った例が良いかもしれないわ。貴方のすーぱーふみながどういった場所で活躍して……とか、そう言った風に考えると自ずと必要なカスタマイズも分かって来るハズよ」

 

 GBBBBのネタっぷりを憂うだけにあって、コウラは実に真摯に対応していた。だが、文は首を傾げるばかりだった。

 

「しかし、すーぱーふみなはビルドファイターズトライに出て来る機体であって、他のガンダム作品には出て来ないのでは?」

「考えの幅を狭めちゃだめ。トライ内でも、他の誰かがどうやって改造をしてとか……」

「肖像権の問題になるのでは?」

「大丈夫だぜぃ。このGBBBB内では最も守られていない物だからよ!」

 

 アラタが指差した先では、先程の対魔忍ふみながニンジャスレイヤーと対峙していた。考えの幅を広げる上では参考にするべきかもしれないが、造形的には決して参考にするべきでない光景が広がっていた。

 

「何となく分かった気がします」

「今、何を見て分かった気がしたの? ねぇ?」

 

 明日になったら、文の使っている機体が対魔忍になっていたりでもしたら、コウラは憤怒のあまりスーパーモードに移行してしまうかもしれない。

 

「まぁまぁ。まずは、文の好きな風に任せてみましょうよ。ネタであっても、弄る楽しさを先に覚える事が大事やと思いますし」

「くっ……」

 

 どうやら、比較的真面目に俺ガンプラを作っている人間の言うことは聞く傾向にあるらしい。どんな物を作るにしても、まずは作る楽しさ自体を味わって貰うことが大事だ。

 

「分かりました。私も皆さんの機体を参考にして、自分なりの考えを導き出したいと思います。明日にはお披露目できると思います」

「楽しみにしているぜぃ!」

 

 アラタが無邪気に喜んでいるが、コウラは何とも言えない表情をしていた。このGBBBB内の機体を参考にするとはどういうことか……。

 

「イヤーッ! イヤーッ!」

「グワーッ! アバーッ!」

 

 ロビーにいた例のニンジャ2機が寸劇を繰り広げていた。

 流石に喘ぎ声を書き込むほどにヤバイ奴ではなかったらしい。いや、R-18のゲームに出て来る奴を再現しているのもどうかと思うが。

 

「最近はソシャゲやブラゲーで全年齢対応だから、子供が知っていても不思議じゃないそうですよ?」

「説明ありがとう」

 

 シーナから要らない補足を入れられた。果たして、文の機体は無事な姿で帰って来るのだろうか? 既に彼女は、自分達がいるサーバーから姿を消していた。取材に行ったのだろう。

 

「皆、追うわよ」

「そこまで気にするん?」

「可愛い子には旅をさせよと言いますが」

「いや、私も追うよ。だって、もしも明日から文の機体がおっぱいふみなになっていたら、どうするの?」

 

 流石に運営からお叱りを食らうライン位は分かってそうな気がするが、チキンレースを掛けてしまう可能性はある。

 どうにも文は人の機微やそう言った物に疎い傾向があるので、本人が気づかない内にやってしまいそうな気がするのだ。

 

「しょうがねぇなぁ。ちょっと、追いかけてみるか。ついでに、どんなのがあるのかも気になるしな」

 

 リンの警告に加え、アラタの前向きな意見もあって一同は文を追いかける為にGBBBB内のサーバーを回ることにした。

 

~~

 

 GBBBBには幾つかのサーバーがある。人が密集する鯖から、身内だけで集まる為に存在する過疎サーバーなど。用途に応じて使い分けるというのが一般的な認識だ。

 こう言ったサーバー訳はユーザー間により、ある程度分けられている。ミッション攻略用のサーバー、PvP用のサーバー、俺ガンプラをお披露目するサーバーなど。密集鯖はどれもごっちゃになっている。文が出向いたのはミッション攻略用のサーバーだった。

 

「ここにおる人らのアセンブルって殆ど決まっとるよなぁ……」

 

 タオが見た感じ、右も左も似たような装備だった。近接武器は『超大型メイス』。射撃武器は『アトミックバズーカ』。シールドは試作二号機の物。機体もネタと普通が半々と。あまり見栄えがする光景ではなかった。

 

「ここにいるユーザーは攻略を主としているからね。正直、文の参考にはあまりして欲しくないんだけれど……」

 

 良く言えば、最適化されたスタイル。悪く言えば没個性。

 まだまだGBBBBを楽しむのであれば、効率化には縛られ過ぎない程度に見分を広げて欲しい。という考えが、コウラの中にもあった。

 

「あ。文が次のサーバーに向かいましたよ」

 

 見る物は見たと言わんばかり、文は別のサーバーに移動していた。彼女を追いかけた先にはPvPのサーバーがあった。

 タオ達がここに来るのは当分先になると思っていただけに、画面映えする機体が並んでいるかと期待していたのだが。

 

「なんというか。異形が多いですね……」

 

 シーナも顔をしかめていた。これはネタ機体と言う訳ではなく、腕だけが異様に大きかったり、胴体と頭部が異常に小さかったりと。明らかに何かしらの目的をもって、アンバランスなシルエットになっている機体が多かった。

 

「対戦用の調整ね。皆も知っているかもしれないけれど、腕パーツとかを大きくするにしたがって武装のサイズも変わるの。ヒット判定まで広がるかは調査中だけれどね。胴体と頭部を一体化させているのも当り判定を小さくする為ね」

「やる奴はとことんやるんだな!」

 

 アラタは感心していた。戦闘用の調整というのも存在しているのかと! 一頻り、異形達を観察した文は次のサーバーへと向かった。いよいよ、本命だ。

 俺ガンプラの展示サーバーであり、ネタ機体も多いサーバーだ。ふみなの魔改造は勿論、モビルドールメイを使った美少女キャラの再現。中にはガンプラやキャラですらないニンジンやジャガイモなども跋扈していた。

 

「想像力は広がりそうだな!」

「広がるというか、歪む感じね……」

 

 たけのこの里ときのこの山が互いに戦争を繰り広げていたり、トランスフォーマー達がPvPをしていたりと。玄人にもなると、ふみなに追加で髪の毛を生やして、クラウドを作っている者もいた。勿論、武器は大剣だ。

 

「あの。このゲームガンダムゲーなんよ。スパロボちゃうんよ」

「スパロボに『きのこたけのこ戦争』は参戦しないと思うんだけれど」

 

 スクショ右下の©の文字が悲しんでいる様に見えた。

 インスピレーションが刺激される光景であることには間違いないが、いい方向に影響を与えるかは別問題である。

 この伏魔殿のような光景を観察した彼女はこちらへと歩み寄って来た。付けられていたことにはとっくに気付いていたらしい。

 

「私を心配してくれたのですか?」

「そうよ。貴方がネタに染まらないかって」

 

 コウラの心配は皆も共通していることである。明日からクランメンバー対魔忍になっていたらと思うと、気が気でない。

 

「大丈夫です。改めて、私はGBBBBを見て回って思いました。このゲームには沢山の想いや考え方が形としてあるのだと。彼らの表現方法を少しでも知りたい。私も真似をしてみたいと思えたのです」

 

 そう言われたらコウラも口を噤むしかなかった。意思が希薄な彼女が、自分から何かをしてみたいと思ったのなら遮る訳にはいかない。

 

「ええと思うで! 文のやりたいようにやってみたら!」

「ありがとうございます。明日をお楽しみにして下さい」

 

 そんな彼女の背中を押す様にタオが言った。心なしか、文が少し微笑んだ気がして、マイルームに籠った。暫く、見守っていたが中々に出て来ないので彼女の言う通り、明日に結果を確かめることにした。

 

~~

 

「皆さん。お待たせしました」

 

 翌日のことである。文からVCを受け取り、皆に機体をお披露目したいということで一同はロビーに集まっていた。

 マイルームから出て来たのは、ミッション攻略用のサーバーの者達を参考にした超大型メイス、アトミックバズーカ、ラジエーターシールドの3種の神器。

 ボディのアセンブルはPvPを参考にして武装がデカくなるように両腕だけを肥大化しつつ、胴体を最小化にして頭部に埋め込み、脚部をボールの物に。

 そして、肝心の頭部は自らの存在を表す様にしてふみなの物に。――ここにイシツブテふみなの誕生である。

 

「いかがですか?」

「ゲットだぜぃ! って感じだな!」

「戻しなさい」

 

 コウラを始めとした皆の意見により、文の初めての俺ガンプラは水泡に帰することになった。

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