GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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21戦目:おしり合おう!

 クラン戦。βテスト中のGBBBBにおいて実装されている、数少ないイベントだ。

 様々なシチュエーションで行われており、最強を決める様な物もあれば、設立して間もないか選出されたメンバーのビルダーズランクとパーツレベルが一定以下でないと参加できないと言う物もある。アラタ達が出場するのは後者だ。

 

「今回、私達は参加できないからサポートに回るわ。それで、出場クランを調べて来たけれど、そこまで有名な所は無かったわ」

「私も配信がてらにリスナーの皆にも聞いてみたけれど、目ぼしい情報は無かったね!」

 

 直接バトルに参加しなくとも、コウラとカルパッチョのサポートは非常にありがたい物だった。

 ネタに振り切れる程でもなく、ストイックに鍛えこんで来た者達でもない。ある意味、一番カジュアルな層が集まるのが今回のクラン戦かもしれない。

 

「タオボゥイ。クラン戦って好成績を残せば賞品とか出たりするのかぃ?」

「そう言うんは無いなぁ。あくまで名誉だけやで」

 

 こういった所で待遇に差を付けたら不満にも繋がりかねないと言うことで、賞品的な物は存在しないらしい。

 

「今までの対人戦は殆ど負けて来たから、今回は勝ちたいよね!」

 

 リンもやる気はバッチリだった。これまでのPvPはほぼ全部事故みたいな相手ばっかりだったので、真っ当な対戦というのは彼女も楽しみにしているのかもしれない。告知モニタに対戦の組み合わせが発表されていた。

 

『対戦表が出ましたね。どのクランも新進気鋭! 将来的にGBBBBを大いに盛り上げてくれるエースが眠っているかもしれません! ミスターが気になっているクランはありますか?』

『知名度だけで言えば『ビアンカ』かな? 先日の配信は記憶に残っているよ。ただ、このマッチングを見るに。多分だけれど、カルパッチョ君は出て来なさそうだね。彼女は指導側に回っているのかもしれないね』

「は???」

 

 実質的な指導者ポジに収まっているコウラが抗議していたが、モニタの向こうに伝わる訳もなかった。自分達の対戦相手を見たが、やはり見覚えのないクランだった。

 

「私達が知らないだけで、クランって沢山存在しているのですね」

「これだけ大型のオンゲーだったらな。中にはプロチームとかも存在している位だしな」

 

 ソロプレイの時期が長かったシーナが驚いている中、マシマは大して驚いた風もなく言った。何処となくベテランめいた雰囲気が漂っている。

 

「コウラ。対戦クランのスカウティングに向かいますか?」

「いえ、そこまでガチガチに勝ちに行かなくていい。まずは普通に楽しんで欲しい。今から、勝ちを狙いに行くとそれしか考えられなくなるから」

 

 コウラはガチプレイヤーなのでしっかりと勝ちに行くかと思っていただけに、文の提案を採用しなかったのは、少し意外だった。

 アラタ達がやる気を出しているが、どうやら相手チームのスタンスは違うらしい。突如、現れた黒と紫のカラーリングが施されたバエルが、アラタ達の方をジィっと見ていた。すかさず、彼も相手のプロフィールを確認した。

 

「対戦相手のクランメンバーか。ご挨拶に来たのかィ?」

「そんな所。それと、カルパッチョちゃんがいるって聞いて」

「もしかして、ファン?」

 

 例え、都落ちしても有名配信者であることには変わりない。自身に絶対の価値を見出している彼女は何処までも尊大だった。

 

「いや、フレンドがファンなんで確認しておいてくれって。……それと、そっちにいるの。ひょっとして、タオ?」

「……セリト君?」

「二人共知り合いかぁ?」

 

 自分とコウラの様なパターンか? と考えたが、どうも雰囲気的によろしくは無さそうだ。タオが言葉に詰まっていたので、代わりにセリトが言った。

 

「同じ学校なんだよ。やっぱり、お前もこのゲームやっていたんだな」

「あの、実はセリト君もガンダム好きで?」

「別に。他のフレンドから誘われたからやっているだけだよ」

 

 積極的な加害性を感じることはない。だが、アラタ達は今までに見たことがない質のプレイヤーを見て戸惑っていた。

 

「なんか。あんまり楽しそうじゃねぇなぁ?」

「付き合いでやっているだけだからな。よろしくお願いします」

 

 ペコリとエモーションで頭を下げて暫く棒立ちした後に去って行った。あまりに不可解な立ち回りだった。

 

「あの、タオさん。リアルのことを聞くのは良くないと思うんですけれど、セリトさんはどんなお方で?」

「えっと。クラスの陽キャ? グループの人間で、ボクとはあんまり接点は無いんやけど。正直、ボクのこと知っとったんは驚きやけど」

 

 シーナが控え目に尋ねたので、タオも控えめに答えていた。ただ、先の遣り取りを見ていたリンは首を傾げていた。

 

「陽キャなの? 何か、凄い暗かったけれど」

「こう言っちゃなんだけれどよ。あの年のガキなんて、人に迷惑かけまくっているモンだと思うんだけどよ……特にタオみたいな奴に」

 

 マシマの遠慮のない物言いにリンが眉間に皺を寄せていたが、タオは苦笑いするばかりだった。

 

「今は、何処で誰が見ているか分からへんから、ちょっかいなんて掛けてけぇへんよ。いじめ現場を撮影されてSNSに晒されたら終わりやからね」

 

 現代は若気の至りなんて物は到底許されないし、ネット上にアップされたらデジタルタトゥーとして残り続ける。だから、ある程度賢い陽キャグループはそもそもターゲットに近付きすらしない。

 

「でも、付き合い云々でSNSからも離れられないって所か?」

「せやね。教室におる時も、セリト君。ようスマホ触っとるし」

「現代っ子は生き辛ぇなぁ」

 

 マシマは溜息を吐いていた。別にガンダムが好きという訳でもないのに、SNSなどの繋がりを無碍にする訳にも行かないので、プレイせざるを得ないのだろう。

 

「なんだか。可哀想ですね」

 

 シーナが割と本気で同情していた。楽しむはずのゲームを義務的にやらなければならない苦痛は想像も出来なかった。

 

「時間の無駄だと思うなら、止めてしまえば良いのでは? 仕事や義務ではないのですから」

「文。それが、ちょっと難しいねんな」

 

 ここら辺の機微は中々に難しい。ゲームなどの共通の話題を知らないと置いて行かれる、なんてことは珍しくない。知る為にもプレイする必要はどうしても出て来る。

 

「勿体ねぇ! こんなに楽しいゲームなのによ!!」

 

 バッとアラタが指差した先のロビーでは、ラーメンとチャーハンが集まりピーマンが飛び跳ねていた。……これを見ても無反応で居られるのは逆に凄いんじゃないんだろうかと思った。

 

「いや、あのガキはムッツリと見たね。魔改造ふみなやセクシーモビルドールのスクショを撮って眺めているタイプだ」

「しょうがないにゃあ」

 

 マシマが何か言ったのに合わせて、カルパッチョが良く分からない言葉を呟いていた。アラタ達は首を傾げるばかりだった。

 

「その返しが分かるって、結構なオンゲーの経験者ってことだよな……」

「そこを見ヌクとは大した物ね」

「多分だけれど、青少年に有害っぽい話は止めて貰える?」

 

 コウラが如何わしい雰囲気を感じたので止めに入った。そもそも、人の学友を勝手にスケベ認定する辺り無礼も無礼だったが、アラタが咳払いした。

 

「タオ。俺達の熱いハートを見せてやろうぜ! このGBBBBはなぁ。自由で! 最高に面白ェんだ!」

 

 普段はお調子者な癖に、こういった時の発言は本当に頼もしいんだから分からない。

 

「せやね。でも、どうしたらいいんやろ?」

 

 ただ、勝つだけでは意味がない。自分も相手も楽しんで勝たなければ意味が無いのだ。と、2人が燃えている中、コウラが問うた。

 

「私達がそこまでやる義理は?」

「無い!! でも、やるんだぜぃ!!」

 

 実際の所、タオはセリトと仲が良い訳でもないし仲良くしたい訳でもない。

 しかし、自分達が楽しんでいるGBBBBの楽しみを少しでも分かち合いたいという……言ってみれば、かなり傲慢な気持ちが入っていることも否めない。

 

「よくぞ言った! やっぱり、ガキはこうでねぇと! よっし! 今から変装して、後を付けてみようぜ!」

 

 推定いい年こいたオッサンことマシマがノリノリでマイルームへと突っ込んで行き、アラタとタオも続いた。リンとコウラが彼らのテンションにドン引きする中、シーナはウットリしていた。

 

「なんか、男子って……良いですよね」

「アホくさ」

 

 どう反応して良いか分からないコウラとリンに代わって、カルパッチョがシーナ以外の女子陣の気持ちを代弁していた。

 

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