GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】 作:ゼフィガルド
シーナの抱えていた問題も解決し、クラン戦も順調に進んでいた。メンバーを入れ替えたりしながらの真っ当な対戦経験はビアンカにとっても良い経験にはなっていたのだが。
「貰ったァ!!」
偶に存在が確認される、実装されていない機体の再現機体である『火器運用試験型ゲイツ』が放ったレールガンが、リンの『ガンダムクレール』へと直撃した。ダメージと共に怯んだ一瞬を狙って、追加でジャスティスガンダムのバックパックである『ファトゥム‐00』が飛来する。
「あっ……」
直撃すれば撃墜は免れない中、猛進して来るリフターに大量のポップ・ミサイルランチャーが命中して、空中で爆散した。
見れば、既に相手を撃破したアラタのガンダムタンクがこちらの援護に回ってくれていたらしい。
「リン! 任せたぜぃ!」
「わ、分かった!」
この至近距離でレールガンもバックパックの一撃も外したら、直ぐに撃てる武装は無いと睨んで、リンはビームサーベルを引き抜いて襲い掛かったが。
「馬鹿め!!」
ゲイツは脚部からラケルタビームサーベルを引き抜き、逆にリンの機体の両腕を切り飛ばしていた。返り討ちに遭ったことで、リンの思考が停止した一瞬にトドメの一撃が加えられそうになったが。
「お前がな!」
上空から急降下して来た、マシマの『クレインクイン』によって切り裂かれ爆散した。試合終了のコールが鳴った。
『勝負あり! チームビアンカの勝利です!』
マシマも相手を撃破してから、こっちに駆け付けてくれたらしい。よく見れば、2人の機体は損傷も少なかった。対する自分の機体は損傷塗れだ。
これが1回目なら未だしも、何度かクラン戦を繰り広げても同じ様な光景になっているのだから、リンの胸中は複雑な物だった。
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「コウラさん。どうすれば強くなりますか?」
試合が終わった後、リンは率直に彼女に尋ねた。もしも、同年代の人間しかいなければ闇雲に修行するしかなかっただろうが、話しやすい同性の先輩がいるのは幸運だった。
「難しいわね。センスが問われる部分もあるし。単純な判断能力とかもあるしね。……もしかしてだけれど、2人と比べている?」
「はい。マシマさんは兎も角として、アラタは同時期に始めたじゃないですか?」
マシマは前バージョンからやっていると言っていたし、立ち回り的な物を十分に理解できている故に強いのだろう。だが、アラタは同時期に始めた相手のハズで……。
「アラタは学校の方でもガンプラシミュレーターをそれなりに動かしているから、貴方達よりも経験値があるのは当然なの。こっちは授業に加えて、先達のアドバイスもあるからね。比べちゃ駄目よ」
「え? そんなに?」
ゲーム内で暗黙の了解とでもいうのか、基本的にリアルの話はあまりしないようにしている。先日のシーナは、あまりに例外のパターンだったが。
「少なくとも、貴方やタオ君よりは上よ。費やしている時間が違うから。だから、焦っちゃ駄目。ちゃんと立ち回りの動画とかを見て、自分の動きを見直すだけでも全然違って来るから。今日のこと、気にしている?」
優しく諭されたが、同期だと思っていた相手が自分達よりずっと先にいるというのがどうにも気になる。
「割と気にしています。だって、他の皆は強いし、タオだってこの間は活躍していたし! 私、強くなりたいんです!」
「対人戦の立ち回りに関しては、ミッションでは鍛えられないのよね。かと言って、私が参加するとビルダーズランクの平均値が爆上がりするし……」
誰か他のクランメンバーを呼ぼうかと思ったが、こんな時に限って誰もいない。さて、誰を誘った物かと考えていると、こちらに向かって近寄って来る見慣れたゲルググが1機。
「おや。見かけたので声を掛けてみたが、何か相談中かい?」
「ちょっと対人戦を鍛えたいって話をしていて。……そうだ! ミスター、一緒に参加してくれる!?」
「構わないよ。あと一人は……コウラ君はレベルが高すぎるね」
残る一人は誰にしようか。ロビーの方を見れば、いつも通り魑魅魍魎立が蠢いているが、先日のクラン戦でも見たセリトの新機体『TALEレコ』が膝を着いていた。今、ここにいるメンバーとは仲良くもないが落ち込んでいる彼を見過ごせないのか、ミスターが声を掛けた。
「キミはタオ君の友達か? 何かあったのかい?」
「『ビアンカ』の人ですか? ……実は」
友人達の作ったクランに所属していたが、見聞を広げる為に性癖エビル四天王というクランに体験入団したのは良かったのだが。
「四肢王争覇は我慢できずに四肢を肌色に塗ったのがセクシーすぎて打ち首になり、欠損ウォルターガンダムは3回目の注意喚起で首が飛びました。リーダーは真っ当な美プラクランに行ってしまって、俺一人だけが残って」
「そ、そうか……災難だったね」
「残念でもなく当然」
ミスターは頑張って慰めの言葉を吐いたが、リンは容赦なくぶった切っていた。公衆の面前で何を晒してくれているのかと。
「気分転換に一緒にPvPはどうだい? 丁度、一人足りなかったんだ」
「え?」
「はい。ご一緒させて貰います……」
スッとセリトの機体が立ちあがったが、レコとしての再現は中々に高い。ただ、胸元が垂れている様に見えるのが滅茶苦茶引っ掛かったが。
「よし。3人揃ったわね」
「これで行くんですか!?」
「強くなりたいと言っていたのは嘘なの!?」
もっとメンバーは選びたいという贅沢は言える空気じゃなかった。
そのまま、PvP戦に行った。流石にある程度のレベルになると問題のある外見の機体はいなくなるが、変なのはよく見る。
「あ、あれは!! ごちうさのチノちゃんにラビットハウスのメンバー!」
「なんで、ガンプラで再現しようとするのよ!?」
「創意工夫が溢れているねぇ。最高にGBBBBって感じだ」
例えば、美少女系アニメのキャラクターの再現であったり、いつも通りゲッターやガオガイガーと遭遇したりすることもあったり、中には先日の火器運用試験型ゲイツの様な実装されていない機体の再現とも遭遇したり、王道な俺ガンプラとも遭遇したりはしたが。
「うぉぉおおおお! レコミサイル!!」
何故か、このバカは胸元に頑張って取り付けたマイクロミサイルランチャーからのミサイル攻撃を愛用していた。機体も相まって、リンの視線はチラチラと彼の方へと向けざるを得なかったが。
「セリト君! 危ない!」
「え!?」
チラチラ見ているおかげもあって、自分と敵対している機体を見ながらも、セリトや彼の周辺近くの動きを見ることも出来ていた。リンの掛け声に反応して、TALEレコは敵機の攻撃を避けていた。
「そうだ! リン君! 今のサポートは良かった! チームで戦うと言うことは、自分だけではなく、俯瞰的に場を見ることが大事なんだ!」
そう言えば、アラタやマシマも自分の方を見ていたからこそサポートに回ってくれていたのかもしれない。
「そうか。チームで戦うって……」
自分だけが強くなっても意味が無いのだと。共に戦う仲間を支え合う力も併せ持っての強さなのだ。
もしも、セリトが普通の機体を使っていたらチラチラ見ることも無かっただろう。このGBBBBの空気が、自分に気付きを与えてくれたのかもしれない。
「サンキュー。助かった。うぉおおお! 食らえ!」
どうやら、セリトの機体は胸元近くに武器が集約されているらしく、今度はシュツルムファウストが飛び出して行った。古式ゆかしい、おっぱいミサイルだった。
「ミスター。なんで、アレを誘ったの?」
「ごめんて……」
想像以上に想像以下だったので、リンに責められたミスターはキャラ造りも忘れて地の対応をせざるを得なかった。