GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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 感想を見たら『俺』として、扱ってくれる読者さんが多くて嬉しい……嬉しい……。それと、10評価ありがとうございます!!


30戦目:しっかりしよう!

 CPU1機だけが残り、遠方から貧弱な射撃武器を思い出した様に撃って来る中、アラタはミサの愚痴に付き合わされていた。

 

「すると。ミスター、いや。ミサさんは昔。マイスターと一緒にチームを組んでいたけれど、急に姿を消してアメリカへと渡ったと」

「久々に会った時も直ぐに逃げるしさぁ。なんで、私のこと避けているの?」

 

 アラタの顔はシワシワになっていた。他人の痴話げんかに巻き込まれた経験はあるが、慣れる気はしなかった。

 

「ガンプラファイターなんて、不安定な生き方にミサを付き合わせる訳には行かないからな」

 

 GBBBBを始めとしてガンプラバトルは広く普及し、関連する仕事がビジネスとして成り立つまで成長はした。

 だが、プロファイターとして生計を立てられる者は極僅かだ。勝敗がそのまま収入にも繋がる不安定な生き方ではある。

 

「だから、私を放って行ったってワケ?」

「そうだ。ガンプラバトルは趣味に留めて、真っ当に生きた方が良い。折角、彩渡商店街も活気を取り戻したんだ。当時の目標は達しただろ?」

 

 いつもは冷涼な雰囲気を漂わせているマイスターの声色が心なしか、優しい物になっていた。

 もしかして、自分はGBBBBだけではなくガンプラバトルのレジェンドとパートナーの再会という歴史的瞬間に立ち会っているのではないのだろうかと、アラタは困惑していた。

 

「だったら、ちゃんと! 言え!!」

「いや。当時のミサが聞いてくれていたかどうか」

 

 言われてみれば、先程からの感情の爆発ぶりを見るに、冷静な話し合いは中々に難しいかもしれない。

 

「時間掛けてでも理解するっての! もしかして、言わなかったら有耶無耶に出来ると思っていた!? フルスクラッチのガンプラを送って来る位に気にしているなら、素直に話せ!!」

「いや、その頃はGBBBBの立ち上げやミスターガンプラからの指導の他にも、各社スポンサー周りとかでも忙しかったんだ。何時かは、話そうとは思っていたんだが……」

 

 ミッションを終わらせない為に1機だけ敵機を放置しているが、貧弱な射撃武器のSE音が空しく響いていた。この空間に付き合わされている無言の同志にお辞儀をしつつ、アラタは思ったことを言った。

 

「最初の段階で『自分はプロの道に進む』って言って、別れていたら拗れることも無かったんじゃねぇのか?」

「あの時は互いに17歳。受験も控えていたし、要らないことを言ってミサに不安を与える真似をしたくなかったのもある」

「言われない方がフラストレーション溜まるんだけれど」

 

 当時の2人は果たしてチームメイトという関係だけだったのだろうかとか、下らない想像が過ったが、思考の隅に追いやることにした。

 

「じゃあ、なんで色々と落ち着いたのに連絡を取らなかったんだぃ?」

「……暫く、間を開けたから連絡が取り辛くて」

「ボケッ」

 

 もしも、フレンドリファイヤ設定があったら容赦なくマイスターの機体に攻撃がぶち当てられていた所だろう。

 色々と理由を付けて遠ざけていたが、やはり本人も気にしてはいたらしい。ここにいるのはGBBBBのエースプレイヤーではなく、異性に対する距離感を図りかねているヘタレだった。

 

「と言うことは、ミサさんがGBBBBをプレイしていたのはマイスターと会う為かぃ? でも、それならなんでミスターのアバターを?」

 

 単純にリアル準拠の顔写真を使いたくなかったからかもしれないが、ある程度マイスターに目星を付けていたなら、素顔で会いに行った方が反応なども伺いやすいのではないかと思った。

 

「あ、いや。正直言うと、コイツを見つけたのはマジで偶然。本当は別の目的があったのよ。妹の、リンの様子を見に来ていたのよ」

「いも……え?」

「妹がいたのか。初めて聞いたな」

「ちょっと色々とあってね。最近、ウチに来たんだよ」

 

 そこら辺の事情はあまり深堀するべきではないだろうと、マイスターとアラタも理解していた。だが、それならば聞きたいことがあった。

 

「なんで、こんな教育に悪いオンゲーを勧めたんだぁ?」

「いや、だって、ガンプラのオンゲーって言われたら、オリジナルガンダムとかそう言うので来ると思うじゃん!? そりゃ、私達が使っていたバージョンの筐体でもガオガイガーとかゲッターを作る奴はいたけれど、あくまでアレはネタで……まさか、すーぱーふみなちゃんを魔改造するプレイヤーが蔓延っているとは思わないよ! 風紀どうなってんの!?」

 

 実に切実な叫びだった。きっと、姉としてはガンダムゲーの面白さを妹にも分かって貰おうと思っていたんだろう。だが、ふたを開けてみればロビーにいるのは飛頭蛮だの、バズライト・フミナーだの、対魔忍だの。中にはぶっちぎりでアウト方面に突っ走って晒し首になっている奴らもいる。

 

「ミサ。ガンプラは自由なんだ」

「自由であっても、無法ではねーんだよ!! 飛頭蛮なんて名前、このゲームで初めて知ったわ!」

 

 人として守るべきマナーはあるって、メイジンも言っていた。実際の所、ただのプレイヤーでしかないマイスターにどうこうする権限は無さそうだが。

 

「確かに。こんな所に居たら、見守りたくなる気持ちも分かるぜぃ」

 

 オンゲーなんて何処も似たり寄ったりだろうが、せめて自分が好きなジャンルとゲームでプレイしつつ、見守りたいという気持ちは理解できるスタンスではあった。

 

「運が良かったことに、マトモな子達とフレンドになれたしね。リンと一緒に遊んでくれて、ありがとうね」

「こっちもリンのツッコミには助けられているぜぃ! ただでさえ、ウチのクランも濃い奴が多くなって来たからな!」

 

 ニューリーダー病のカルパッチョを始め、脳焼きマシマ、GBBBB界のレディー・ガガことシーナと。徐々に秩序が危うくなっているので、彼女の常識的なスタンスは貴重だった。

 

「……なんか心配になって来た」

「それなら、ミサさんもビアンカに来たらどうだぃ? ミスターとして、歓迎するぜぃ?」

「あ、それはいい。接触機会が多いとボロが出ちゃうから。まだ、少しずつ距離は詰めて行きたいんだ」

「分かったぜぃ。もしも、打ち明けてくれたら。その時はミスターじゃなくて、ミサさんとしてウチに来て欲しいぜぃ」

「考えとくよ。じゃあ、アラタ君のデータ収集の方を進めようか」

 

 さっきまで、ずーっと攻撃をしていたNPCを撃破して、WAVEが進んだ。

 世界大会にも名を轟かせた彩渡商店街のレジェンド2人。彼らの戦いを間近で見られることは、実に贅沢だった。

 

「うーむ。やっぱり、動きが良い……」

 

 間近で見る2機の動きは実に隙が少なく、ガンプラの完成度も非常に高い。

 彼らに負けじと動いていると、不意に動作が重くなった。この変化は、アラタにも覚えがあった。自分がプレイし始めた当初に起きていた、バグの前兆だ。

 

「マイスター。なんかやべぇぜ」

「私も感じている。何があるか……」

「クラックされているとか?」

 

 不穏な空気は感じ取っているが、周囲には何の影響も見当たらないまま、次のWAVEへと進んだ。彼らの前には陶磁器や芸術品を彷彿とさせる様な、白亜の機体が1機。思わずアラタが機体の名前を口にしていた。

 

「カルラ!?」

 

 マイティーストライクフリーダムガンダムのライバル機であり、劇中では死闘を繰り広げていたが、実装されているとは聞いていなかった。

 

「ねぇ、これってサプライズ実装か何か?」

「いや。一切聞いていない。恐らく開発中のデータのハズだが」

 

 今回のアップデートに合わせたイベント用の機体かと思ったが、マイスターにとっても想定外の存在だった。

 すると、カルラのツインアイが赤く光ると同時に、機体からも赤色の光が放たれた。バックパックのウィングから8基のドラグーンが放たれ、アラタ達に襲い掛かった。ご丁寧に修正された後なのか、ファンネル系の攻撃頻度は非常に上がっていた。

 

「クソッ!! 誰だ!? 誰がコレを動かしている!? 開発中の物を動かしたりでもすれば、クライアントにどんな影響が出るか!」

 

 バグなどで動く物ではない。オンゲーのクライアントにあるデータを無理にでも動かせば、サーバーにどんな影響が表れるか分からない。

 

「リタイアも使えないみたいだね」

 

 ミサも強制的に戦闘を終了させる案としてリタイアを試そうとしたが、メニュー画面で選択した所で使えそうになかった。

 

「じゃあ、ぶっ倒すしかねぇってことだけどよ! 敵側の攻撃力が高い!」

 

 カルラのドラグーンは攻撃頻度だけではなく、一発一発の威力も高かった。命中すれば体力がゴッソリと削られる上、ドラグーンだけではなく本体から飛んで来るビームライフルの一撃も痛い。

 

「クソッ!」

 

 マイスターもマイティーストライクフリーダムガンダムで応戦しているが、イベント用に調整された機体である為か、強化されたカルラには満足いくダメージを与えられない。叫んだ。

 

「アラタ君! ミサ! 時間を稼いでくれ! スタッフに話して、愛機を持って来て貰う!」

「分かった! アラタ君!」

「やってやるぜぃ!!」

 

 何から何までトラブル塗れだ。下手をすれば、GBBBBに重大なトラブルを引き起こす状況かもしれないというのに、自分だけが出来る体験を前に。アラタのテンションは上がるばかりだった。

 

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