GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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34戦目:マルチをぐるぐるしよう!

『は~い! レコで~す! 先日のカスタマイズイベントは盛り上がりましたね! 運営側が選抜した物を投票して貰う形でしたが『ちゃんと俺のも投票対象にしろ』『忖度だ』等と批判がありましたが、そんなことしたらコイルと五条の二の舞になるに決まってんだろうがぁああああああ! ユーザー間だけで行われたガンプラ投票で1位になったのもちゃんと見ているんですからね!! 1位になった拘束されたメイ&ふみなのユーザーァ! お前、何度首切られているんだよ! 頭何個ついてんだ!?』

 

 どうやら公式に行われていたカスタマイズイベントは兎も角として、非公式&非常識で行われたカスタマイズイベントは途轍もない物になっていたらしい。

 AIとは思えない位に感情豊かにブチギレているレコを見て、ロビーを闊歩するプレイヤー達は大はしゃぎしていた。これにはミスターガンプラもコメントに困っていた。

 

『ユーザーの自由を奪いたくは無いんだけどね。1人の無法で規制が厳しくなってしまうかもしれないと言うことは忘れないで欲しい』

『とにかく。皆さんにビルドイベントを与えるとロクでもないことをするのは分かりました。迸るリビドーはしっかりとガンプラバトルで消火して欲しい。……という訳で、新規のイベント! 『バトルトーナメント』を開催します!』

「いや、この前ぶりで盛り上がるの無理やろ」

 

 闇のカスタマイズイベントに興味が無い訳ではないが、学生が立ち入ってはいけない雰囲気が漂っていたので、タオは大人しく引いていた。アラタもリンも普通に引いていた。

 

「自由なガンプラは良いけれどよぉ。公共の場でR-18はちょっと」

「何度も首切られているのに復活しているって、ホラーでしょ」

 

 もしや、このGBBBBはクラッカーやウィルスなんかとは比べ物にならない程、恐ろしい奴に取り付かれているんじゃないかと思った。

 ただ、そう言う奴らを処理するのは運営の仕事なので、自分達のような健全なユーザーは真っ当にイベントを楽しむばかりだった。

 

『期間限定イベントミッションに出現するボスのドロップアイテム。こちらがトーナメント参加の鍵となっています! 当然、ドロップ率は超低確率です! ただし! このミッションはクランミッションとなっており、クランに所属している人達のみが受けられます!』

『ソロでは受けられないのかい?』

『はい! 変則型のクラン戦とも言えるので。メンバーの一人でも習得することが出来れば、自動的に所属メンバー全員に参加権が付与されます! これを機に何処かのクランに所属したり、あるいは一時身を置いたりと。ある種、コミュ力も問われるイベントになっております。ぜひチャレンジしてみてくださいね!』

 

 先のカスタマイズイベントのブチギレとは打って変わって、ロビーはややネガティブ気味に騒めいていた。

 

「ソロプレイヤーもあり方だとは思うので、あまり何処かに所属したりすることを強要するイベントは望ましくないのですが……」

 

 ソロプレイヤーの時期が長かったシーナとしても思う所はあるらしい。

 別にバトルトーナメントに興味が無ければ参加しなければいい話なのだが、やはりマイスターへの挑戦権というのは大きい。

 

「ッチ。駄目ね。低難易度をガン回しで攻めようと思ったけれど、自動的にクランメンバーの平均レベルに合わせて受注できる難易度が固定されるみたい」

 

 コウラがミッションを受注しようとしていたが、受けられる最低難易度が決まっていた。同じことを考えていたプレイヤーは他にもいたらしく、色々と会話が交わされていた。一方で、カルパッチョは笑っていた。

 

「私にいい考えがあるわ」

「カルパッチョ司令官!」

 

 アラタがノリノリで頷いていた。2人の間にはG1的な何かが流れているのだろうか? とりあえず、聞いて欲しそうな感じだったのでマシマが尋ねた。

 

「何か案があるのか?」

「この受注ミッションって平均レベルで算出されるんでしょ? だからさ、ビアンカに大量の新規ユーザーを招けば良いのよ」

 

 新規ユーザーは当然、レベルが低い。彼らを招けばクランの平均レベルは下がる。そうすれば必然的にミッションのレベルが下がる。難易度が易化すれば、上位陣のメンバーで回し易くなる。低確率の物を掘り当てるのに必要なのは、試行回数と言うことを鑑みれば、彼女の作戦は合理的な物ではあった。

 実際、似た様なことを考えたクランはあったらしく。SNSで検索してみれば、クラン募集の呼びかけが活発に行われていた。

 

「合理的ではあるな。アラタ、どうする?」

「悪ぃ。カルパッチョさんよ。アイデアは悪くねぇが、そう言う増やし方は良くねぇ。規約的にも引っ掛かる可能性がある」

 

 心配そうにしているクランメンバーを代表してマシマが問うたが、アラタは首を横に振った。そう言った方法でメンバーを増やしたくないという感情的な面もあったが、規約に引っ掛かるのではないか? という、部分もあった。

 

「そっかぁ。楽しようと思ったんだけれどなぁ」

「短期で増やす方法なんてサブ垢とかになるだろうし。今回のイベントはあまり運営側の手際が良くない気がするのよね」

 

 平均レベルと言うことは、大規模クランであれば底の方にいるメンバーは受注できない可能性があるだろうし、今回のような水増し作戦もあるかもしれない。どうにも手際が良くない気がした。

 

「……逆にこういう考えもあるのではないのでしょうか? 前回のカスタマイズイベントでは、運営が強力に規制をした結果。プレイヤー達は外に逃げましたが、ある程度の穴を敢えて作った場合はどうするか? という、パターンを観察する為だとか」

「炙り出しってことかぃ? 趣味が悪ぃな……」

 

 とは言え、ネトゲに悪質プレイヤーは付き物である。イベントという餌をぶら下げて、マーキング相手を探し出すというのなら……運営はちょっとキレているのかもしれない。

 

「運営がそこまで怒るというか警戒する理由かぁ……」

 

 リンが原因を思い浮かべたが、あり過ぎて分からなかった。そもそも、運営の思惑を想定しても自分達にはどうしようもないのだが。

 

「おーい、タオ―」

「アレ? セリト君?」

 

 今回のイベントの是非についてを考えていると、垂れた胸部が特徴的な美プラ『TALE・レコ』が、ビアンカのメンバーの元にやって来た。プロフィールを見れば、クランは無所属になっていたのでアラタが聞いた。

 

「所属していたクランはどうしたんだ?」

「俺以外、全員打ち首になった。思ったよりもヤバい集まりだった……」

 

 カスタマイズイベントが行われた前後を考えると、セリトは案外闇のクランにいたのかもしれない。タオは明日から、どういう顔をしてクラスメイトに遭えば良いのか分からなくなっていた。

 

「もしかして、ウチに来るの?」

「頼む! この間、一緒にミッションに行った仲だろ?」

 

 リンが本当に嫌そうな顔をしていた。だが、何の不幸か。セリトは丁度自分達とレベルも近く、新入りとしては最適レベルの人材である。

 タオも困っていた。リンが嫌そうにしているが、タオの場合はリアルでも顔見知りである。ここでの関係がダイレクトに影響を及ぼすのだ。なので、卑怯な問い方をしてしまった。

 

「アラタ。ええか?」

 

 これでもしも受諾された場合はアラタが許可を出したと言うことだし、断られたら自分の意思は兎も角アラタが受け入れなかったという結論に持って行ける。保身的な問い方になってしまったが、当の本人はスマイルを浮かべていた。

 

「勿論、歓迎だぜぃ!」

「ありがとうございます!」

 

 以前のような慇懃無礼な感じではなく、年相応の明るさを持って頷いている所はアラタも快く思っていた。GBBBBで解放された心は前向きな物だった。ちょっと、垂れているけれど。

 

「本当なら可愛い女の子が良いんだけど。バカやれる男子が増えるってのも悪くはないな」

「せやね。丁度、セリト君を入れてビアンカのメンバーは男子:女子=4:5やから。あと一人、男性が来てくれたら」

「呼んだかい?」

 

 近くで話を聞いていたんじゃないかという位のタイミングで、いつもの赤いゲルググが現れた。普段はソロプレイヤーであるが、こういったイベントが開催される以上、ミスターがビアンカに来るのは必然だった。

 

「噂をすれば。だね! ウチに来たのって、やっぱり」

「うむ。恥ずかしながら、今回のイベントはソロでは無理そうなのでね。IN率の関係上、レギュラー的なメンバーとしてカウントするのはキツイとは思うのだが、私も所属しても大丈夫だろうか?」

「勿論だぜぃ! 戦力的にも心強ェ!」

「丁度、半々のクランになったね!」

 

 2人の新規メンバーがビアンカに加わり、ちょうど男女比のバランスも取れたとタオも喜んでいたが、アラタは知っている。

 

「(4:6なんだよなぁ)」

「ミスターも来てくれるなら心強いや! このメンバーでミッションを回すとして、クリアできる編成にするとすれば……」

 

 どういった編成でミッションにアタックするパーティにするのかという夢想を始めたリンは楽しそうな物だった。……だが、彼女の予想とは裏腹にGBBBBで最も苛烈なレースは始まっていた。

 

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