GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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36戦目:取りに行こう!

 某中学の昼休み。タオはセリトと一緒に昼食を取りながら、雑談に興じていた。ちなみに彼と何時も絡んでいた陽キャグループは斬首された後、別ゲーに移行したらしい。

 

「俺達がこうしている間もGBBBB内での参加枠は埋まって行くんだよな……。カルパッチョはあんなこと言っていたけれど」

「あくまで願望位に聞いておかんとね。SNSとかで見る限りやと、今晩がヤマというか最終チャンスみたいやし」

 

 普通の人は学校や仕事があるというのに、どうしてこんな勢いで参加枠が埋まって行くのだろう? と言うことは、きっと気にしてはいけない問題なのだ。

 

「じゃあ、帰って宿題済ませたらINするとして。……で、これも済ませないといけないんだよな」

 

 セリトが机から引っ張り出したのは『学校見学の感想』と書かれたプリントだった。志望校を見学して来た感想を書けと言う、受験への意識を高める目的の課題であった。

 

「セリト君は行きたい所とか、決まっているん?」

「いや。普通科の公立高校を狙って学費を抑えつつ、有名私大ってコースで考えている。タオはやっぱりアレか? ガンプラ部が強い所とか?」

「奏海高校とか有名やもんね。大学も考えるなら極袖大附属高校とかもありやけど、今の所気になっているんはここやね」

 

 タオがスマホを操作して表示したホームページには『ガンブレ学園』と書かれていたので、セリトはしかめっ面をしていた。

 

「やっぱり、一日中ガンプラ動かしている学園なのか?」

「聞いた話そうでもないらしいんよ。ガンプラに関わることなら幅広くやっているらしくて、商業経済から情報工学。企業とも提携したりして、GBBBBの開発とかにも関わっているらしいんよ」

「流石にゲームばっかりやっているヤバい学校って訳じゃないんだな」

 

 そもそも、そんな物が教育機関として成立する訳がない。

 たかがゲーム。それも『ガンダム』というIPを使った一ジャンルでしかないにも関わらず、専門の教育&研究機関が出来ていることから市場規模の大きさが伝わって来るようだった。

 

「それにまぁ……ここにアラタとコウラさん。おるっぽくない?」

 

 基本的にネトゲでリアルを特定するのはご法度に近い行為であるが、好奇心旺盛な中学生が止まれる訳がない。

 今までの付き合いや話から、アラタがいる場所はガンプラ部が強い。という程度ではなく、かなりガンプラと密接に関わっている学校にいることは推測できた。ガンブレ学園自体にも興味はあるが、あわよくばオフ会めいたことも出来ないだろうか。という、目論見もあっての選択だった。

 

「だったら、俺も一緒に行っても良いか? 別に学校見学は1つだけしかダメ。ってこともないし」

「一緒に付いて来てくれるんなら嬉しいね。じゃあ、今度の土曜日に行こうか」

 

 2人して学校見学の申し込みに必要な手続きなどを調べ、昼休みは有意義に過ぎて行った。

 

~~

 

『はぁ~い! カルパッチョの~! 都落ちチャンネル~!』

『住めば都だぜぃ!』

 

 バトルトーナメントの残り参戦枠が少なくなって来たというのに、カルパッチョとアラタは動画配信をしていた。

 

『バトルトーナメントに向けてのレアドロ堀はどうかな? 私達も未だに出ていなくて、と~っても焦っています!』

『もう、俺なんて帰って来て即PC起動よ! 色々な所で飛び交っている推測を見るに、今夜がヤマっぽいぜ!』

 

 アラタの大仰なリアクションはやはり動画映えしやすいらしく、カルパッチョも釣られて肩をすくめる挙動を見せた。

 

『なんなら、この配信中に最後の一枠が埋まっちゃうかもしれないよね。だ、か、ら。今夜はレアドロ出るまでor終了するまで帰れまてん!』

 

 カメラが引き気味になって、ビアンカのメンバーが映し出された。既にパーティが組まれており、しっかりと周回する準備は整っている。

 ……すると、映像内に写り込んでいたモニタにとあるパーティの映像が映し出された。レアドロップだ。レコの実況が響く。

 

『お~っと! 今ので、残り5枠になりました! 今夜、バトルトーナメントに出場する全てのクランが決まりそうです!』

 

 どうやらSNSなどで流れている予測は概ね正しかったらしい。実況者であるカルパッチョも気を持ち直していた。

 

『それじゃあ、ミッションスタートぉ! 皆も応援してね~!』

 

 この時のカルパッチョの表情は営業スマイルを忘れないラブリーでプリティーな物だった。先日、述べていた持論に確信を持っているが故だった。

 今の今まで出ていない時点で焦っても良いハズだが、自分達が選ばれると信じて疑っていない。この窮地も言ってみれば、自分達の進出を演出するシチュエーションに過ぎないのだと思っていた。配信中の彼らに聞く訳には行かないので、文がマシマに尋ねた。

 

「マシマ。本当に出ると思いますか?」

「いや、分からねぇ。配信が始まる前にアラタに運営からDMが来てないかは聞いたけれど、そう言うのも無いんだってよ。念の為にスクショとかも見せて貰ったけれど」

「だとしたら、ガチで運次第と言うことか」

 

 ミスターの声に緊張感が漂っていた。やはり、運営は公平感を出す為に、自分達を落とす。と言うことも十分にあり得る。

 とりあえず、イベントミッションは周回するが董卓プロヴィデンスの顔も見飽きて来た。SDガンダムのパーツはボロボロ手に入るが、これらのパーツはミキシングするのが非常に難しい。

 

「(専ら、このパーツはスキルレベル上げ用に使わせて貰うんだけれどよ)」

『はい! 今回は落ちませんでした! 次!』

 

 カルパッチョ、アラタ、マシマという画面映えを狙いつつ、ビアンカ内では上位メンバーを集めたパーティだけにあって周回は効率的に進んでいた。

 

『やっぱり、バトルトーナメントに出場するに当たってマイスターへの挑戦も大事だけれど、まずは私達を追いやったフリーダムフリートのカオスや皆にお礼参りをしないとね!』

『俺達の復讐のレクイエムはこれから始まるんだぜぃ。ヘッヘッヘッ』

『鎮魂歌(レクイエム)って言うか。その場、その気分の『奇想曲(カプリッチョ)』って感じだけれどよ』

『カプリッチョ? なんか、名前の響きが似ているし良いわね。復讐のカプリッチョよ!!』

 

 マジで頭の悪い会話をしているのは余裕の表れでもある。焦った所で周回速度が速くなる訳ではないので、精神的な衛生を保つ上では重要なことではあるが、事態は進む。

 

『カオスの奴はいっつもそうなのよ。クロカンテならあーだ、クロカンテならこーだ。アイツがクラン戦で優秀なのはよぅく分かったってのよ!』

 

 コメント欄では『定期カルパッチョリーム』だの『いつものニューリーダー病』だの。視聴者が好き勝手にコメントを書き込んでいた。

 フリーダムフリートから解き放たれたことで彼女の話す内容は愚痴をネタっぽく語っていたが、どうにもムーヴから何まで某TFのNo.2っぽかった。

 

『俺が遊びに行った時は他の幹部は見当たらなかったよけれどよ。後は、誰がいるんだぁ?』

『お地蔵のグスタフに女王様気取りのドーラ。後は、私の後釜に収まったボーボボね。何考えているか良く分からないけれど』

『お地蔵???』

 

 マシマとしては女王様キャラについて聞いておくべきなんだろうが、人物紹介でお地蔵なんて言われたら、気にならない訳がない。

 

『ドーラの後ろにジッと付いているんだけれど、マジで何も話さないのよ。仕事はするしバトルは強いんだけれど、なんでアレを幹部にしたのかって聞いたら、音量のバランスを取る為だとか言っていたのよね』

『なるほどな』

 

 必要な人材であることはよく分かった。マシマはカオスが抱えている気苦労を思うと、目頭を押さえずにはいられなかった。

 

 

『おーっと! 残り参加枠3つ! 急がないとね!』

 

 カルパッチョは別枠でもSNSなどで情報を収集しており、残り枠の把握にも努めていた。今までは余裕ぶっていたが流石に数が減って来るごとにドンドン余裕がなくなって来ていた。

 

『な、な、なんで出ないのよ。どうなってんのよ』

 

 トークにもやや飽きて来た視聴者だったが、カルパッチョから余裕が消えて来たのを見計らって活発になっていた。『お、大丈夫か大丈夫か』等と煽って来たり、『全く、カルパッチョめ!』等。まるで意味の分からない書き込みもあった。

 

『最後までファイトだぜぃ?』

 

 しかし、こんな状態でも周回速度に関するプレイングには全く問題が無いのだから、腐っても上位クランに在籍していたプレイヤーではあった。

 だが、回れど回れどレアドロは出ない。遂には、残りのレアドロ枠は1つまで減っていた。ラストチャンスである。

 

『くそおおおっ!! ちくしょうめぇ!!! おっほっほほホオーウホッホアアー!!!』

『配信者が出しちゃいけない声出しているな』

『それでも、出るかどうかは一切が謎のままだぜぃ』

 

 ガチで落選する可能性にぶち当たり、果物をシロップで煮たデザートよりもなお甘い自らの見通しに気付いたカルパッチョは狂態を晒していた。

 これには視聴者もテンションも爆上がりで、コメントには『おっほっほほホオーウホッホアアー!!!』という、ゴリラの鳴き声の様な文字列が並んでいた。

 もはや、ラブリーでプリティーな姿はない。ラフリー(粗暴)でプリミティブ(原始的な)な存在がいるだけだった。だが、声に漏れ出た彼女の執念が実を結んだのか。何度目になるか分からない董卓プロヴィデンスを撃破した所、直ぐにリザルト画面に移ることはなかった。倒した後に演出が入る。

 

『今! バトルトーナメントに出場する最後の一枠が決まりました!』

 

 カルパッチョ達の前に、念願のレアドロが姿を現した。アラタとマシマも喜ぼうとしたが、最初に声を上げて喜んだのはカルパッチョだった。

 

『やったぜベイビー☆ これで、私は心置きなくGOOD☆NIGHTを過ごせるってワケ!!』

『間違いねぇ!! カルパッチョは超が付くほどのラッキー☆ガァルだぜぃ!』

 

 あまりのテンションにコメント欄も『風邪ひいた時に見る夢』。『放送時間帯が3時間はずれている』等、視聴者も含めて頑張ってくれた配信だった。そして、このテンションに付き合い続けたマシマは思った。

 

「もしかして、ビアンカで一番ヤバいのって。コイツなんじゃ……」

 

 もしかしなくても事実である。でなければ、フリーダムフリートのリーダーが追い出したりする訳も無いのだが、一緒になって喜んでいるアラタを見ていると。多分、ここ以外は囲えないだろうと言うことも想像できた。

 紆余曲折はあった物の。最後の最後でビアンカもバトルトーナメントに出場する権利をゲットできた。ロビーで待機していたビアンカのメンバーは、カルパッチョ達の帰還を歓迎した。

 

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